車の歴史
更新日:2020.10.17 / 掲載日:2020.10.17

軽さは速さだ! SUZUKI FRONTE SS(LC10) メカニズム

0~3500rpmも イエローゾーンとなる出力特性の尖ったエンジン

フロンテのエンジンルーム。ちなみに上の寄った写真は強制空冷用のシュラウドを取り外した状態。エンジンルーム右側のタンクは2ストオイル用。その左隣はエアクリーナーへのダクトだ。

  • エンジン前方に位置する3連キャブレター。VM24型なのでミクニ製のキャブレターとなる。チョークはリンクを使った1本ワイヤー引きだが、スロットルは各キャブ1本ずつの3本引きとなる。

  • エンジンを運転席側下方から見た写真。手前の円柱部はフライホイールやクラッチが収まる。そのエンジンの下部、空冷フィン付きのオイルパンのような部分がミッションとなる。

  • エンジン助手席側はセルダイナモ(ダイナモがスターターモーターの役割も果たす)。回転部には強制空冷用のフィンが付く。開口部に右写真のシュラウドが接続されエンジンを冷却する。

  • 撮影のためにオーナーさんが取り外してくれた冷却シュラウド。表面の状態からFRP製にも見えるが、スチール製だ。右側(運転席側)には室内ヒーター用の切り替えバルブが付く。

Wウィッシュボーン +セミトレで4輪独立懸架となる豪華な足回り

計器盤の0~3500回転に付く
黄色い帯の意味を実感
 今回、そんな過激な特性のエンジンを搭載するフロンテSSに、オーナーの田中さんのご好意で試乗することができた。
 フルバケットに変更されたドライバーズシートに収まりキーを回すと、セルダイナモ式ならではの、短く唐突な作動音と共にエンジンは目を覚ました。既にエンジンは暖まった状態だったので、チョークを引いたり、タイヤハウスを避け中央よりに大きくオフセットされたアクセルペダルを踏み込む必要もなく、アイドリングは安定している。
 1速にシフトし、どれほど低速トルクがないのかを確認すべく、アクセルをほぼ踏み込まずに半クラにしてみると、エンストすることなく動き出した。極低回転の粘りはあるようだ。しかしそこから加速しようとすると、0~3500回転までがイエローゾーンになっているのは伊達じゃないかが分かる。アクセルを踏んでも全く加速してくれないのである。
 低回転トルクの細さを体感できたので、次は高回転域を体験させてもらう。発進のクラッチミート回転を4000回転に変更。今度は力強く加速してくれるようになった。アクセルを踏み込みつづけるとスムーズに回転は上昇する。貴重な旧車なので、イエローゾーンの始まる7500回転の手前、ギリギリ最高出力発生回転を超えた回転でシフトアップしたが、まだまだ上まで回っていく勢いがあった。
 エンジンばかりのインプレになってしまったが、それ以外はどうだったのか?400kg台という車重の影響か、足回りがいいのか、とにかくロール感が少ない。乗り込むと沈み込むのが分かるぐらいソフトな足回りなので、ハンドルを切れば大きなロールが伴うのでは?と予想していたのだが、走らせてみるとロール感の少なさを強く感じた。

  • フロントはWウィッシュボーン式。上下アームともアーム長を長く取っているのも特徴だ。またいわゆるテンションロッドはアッパーアームに付き、ロアアームからフロント方向に延びるロッドはスタビとなる。

  • ボディとアッパーアームの間に収まるコイルスプリングは純正オリジナル。ヘタっていたショックアブソーバーはクラシックミニ用を流用している。ブレーキは前後共にドラム式となる。

  • リヤはセミトレーリングアームを採用する。ドライブシャフトは、両端にユニバーサルジョイントが備わり、中央部にテレスコピック式の機構を備えることで長さ変化に対応する。

  • リヤはショックアブソーバーとスプリングが同軸となるレイアウト。重量物がリヤに集まるためかスプリングのヘタりが激しかったそうで、スプリング下にスペーサーになるものを入れて車高を調整する。

  • 写真はフロントフード内のスペアタイヤを外した状態。中央のガソリンタンクの後方(写真では右側)にラックピニオン式となるステアリングギアボックスが配置されている。前(写真左)方向両端には、アッパーアームに繋がるテンションロッドのボディ側マウントブッシュが配置される。

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グーネットマガジン編集部

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