車の歴史
更新日:2020.08.31 / 掲載日:2020.08.31
今もその名を残す伝統 TOYOTA 72 COROLLA メカ
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丸型のエアクリーナーボックスの下にはシングルキャブレターが備わる。この車両を手に入れた時にはキャブが原因でエンジンが不調だったとのことで、RSロゴスでO/Hを施したそうだ。
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このカローラには、純正と思われる貴重なクーラーが装着されているので、見慣れぬ形状のコンプレッサーがエンジン右サイドに付く。しかし残念ながら現在のところ稼動していないそうだ。
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エンジン右側面には、クーラーコンプレッサーの他、ディストリビューターや機械式のフューエルポンプ、アダプターを介してメンテしやすい角度で付くオイルフィルターなどが配置されている。
真鍮タイプの昔ながらの形状のラジエーターの後方にはスチール製のシュラウドが備わる。冷却ファンはクランクプーリー直結タイプで、エンジンの回転数と共にファンのうなり音も大きくなる。
アクセルとクラッチはワイヤー駆動を採用。ブレーキはマスターバックが付かないため、マスターバック付きしか知らない世代だと、ブレーキの初期制動の感覚に不安を感じるかもしれない。
フロントの足回りはマクファーソンストラット式。2T-Gを積むレビンと基本的には同様で、小型乗用車としては十二分な性能を誇る。ちなみにスタビライザーも標準で装備されている。
撮影した1200デラックスのブレーキは4輪ドラム式。ハイデラックス以上のグレードにはフロントにディスクブレーキが採用された。また12インチホイール車のPCDは110mmとなる。
ステアリングギヤボックスは、当時の定番ともいえるボールナット式を採用。タイヤやホイールのサイズがノーマル同等のものが装着されていることもあり、今でも違和感なく作動している。
リヤの足回りはリーフスプリングにリジッドアクスルを組み合わせた、通称リーフリジッドタイプ。足回りとは関係ないが、ガソリンタンクは下側から見えない構造となる。
撮影車のミッションは4速MT。フロアフレーム部の左右幅が広いせいもあるが、そのミッションを載せるメンバーはかなり大型のものとなる。ちなみにプロペラシャフトは1本構造だ。

ハイパワーな2T-Gにも
対応したシャーシまわり
そんな2代目カローラには、3種類の排気量のエンジンが用意された。先代のモデル末期に登場した1.2リットルOHVの3K型を軸に、より大きな排気量のエンジンを追加していく。最終的には1.6リットルはツインカムの2T-G型が搭載され、軽量なボディとハイパワーなエンジンの組み合わせにより、スポーティなイメージを植え付けることに成功している。
今回取り上げる1200デラックスは、その車名のとおり、ベーシックな3K型を搭載。発生するパワーは68PSと現在の感覚からすればプアなイメージだが、750kgという軽いボディとの組み合わせとなるので、必要十分なパワーといえる。
走りを支える足回りは、フロントにマクファーソンストラット、リヤにリーフリジッドの組み合わせだ。ブレーキは、上級グレードではフロントにディスクブレーキを奢るが、デラックス以下の下級グレードでは4輪ドラムとなる。このあたりに80点主義の割り切ったクルマ作りが見え隠れしているのではなかろうか?
スポーティな走りよりも
のんびり流すのが似合う
今回はそんなカローラ2ドアセダンの1200デラックスを、特別に試乗させていただけたので、その時感じたことを記しておこう。
乗り込んでみての印象は、特に狭いとは感じることはない。ブラックで統一されたシンプルな造形の内装は、現代のクルマのようなドライバーを包み込むという演出力はなく、それ故に狭さを感じさせないものと思われる。しかし実際には左手を伸ばせば、身体を大きく傾けることなしに左側のドア内張りに手が届くので、助手席に人が乗っていれば、やはり小ささを感じるかもしれない。
エンジンの始動は、冷間時からの始動となるとチョークが必要となる。セルを回してエンジンがかかった後でも、エンジンが暖まるまでは、チョークの引きを手動で調整する、もしくはチョークを戻してアクセルでアイドリングを保つ必要があった。
エンジンが暖まったところで、クルマを発進させてみる。エンジンや駆動系などオリジナルな状態を保つ車両だけに、特に違和感なく動き出してくれる。エンジンはキャブのO/Hと各部の調整が、現在のオーナーの手に渡ってから施されただけとのことだが、街を流すレベルの走り方では特に不満もなく乗ることができる。ただしアクセルを踏み込んで走るような乗り方をしても、エンジンにはパンチもなく、回転も上昇も重く感じる。ハイパワーな2T-Gを搭載するTE27レビンのような豪快な走りを求めず、街をのんびり流して乗るのがこの1200デラックスには似合うと思われる。
ちなみに4輪ドラムとなるブレーキだが、街中を走るレベルであれば、制動力的に問題はない。ただしマスターバッグが装備されていないことによるペダルフィールには、少々慣れが必要だろう。