車の歴史
更新日:2020.07.28 / 掲載日:2020.07.28

“丸目”に惹かれる!人気者 TOYOTA SPORTS800の魅力 メカ/インテリア

45psの最高出力ながら最高速度は155km/h そんな軽量な車体を実現するべく、ヨタハチは、ベースとなったパブリカ同様にフルモノコックボディを採用。当時の小型スポーツカーはオープントップが主流であり、ヨタハチもタルガトップ式の開閉可能なルーフを採用したが、フルオープン式にしなかったのは、そんなフルモノコックボディという形状が影響しているのではなかろうか? スタイリングは、航空機のような丸みを帯びたデザインを採用する。これは軽さと共にヨタハチ開発陣がこだわったという空力を優先させた形状で、空気抵抗係数が0.35。カタログスペックとなるが、最高速はなんと155km/hをマークするという。45psという最高出力は、現在のベーシックグレードの軽自動車よりも低いが、そのエンジンパワーでカタログスペックとはいえ、155km/hを実現するのは、空力の良さ無くして不可能だったはずだ。 さて、ここまで非力さを強調して記述してしまっているヨタハチのエンジンだが、それはあくまでもライバルであったホンダSシリーズのエンジンと比較してであって、ベースとなったパブリカと比べれば圧倒的にパワフルにチューニングされていた。ベースとなった697ccの排気量から28ps、5.4kg-mのトルクを発していたパブリカのエンジンをベースに、排気量をボアストローク共に拡大することで約100cc大きな790ccとし、圧縮比も7.2:1から9.0:1に高めるなどのチューニングを施しているのだ。燃料供給もパブリカがシングルキャブレターだったのに対し、ヨタハチはツインキャブ化している。 ホンダSシリーズに比べると、数値的に非力感の否めないヨタハチだが、ベースのパブリカから比べると、パワーは60%アップとなる45ps、トルクは25%アップの6.8kg_-mと大幅パワーアップを果たしているのである。ちなみにホンダSシリーズと比較しても、トルクに関してはシリーズ最大のS800でも6.7kg-mなのでヨタハチの方が大きく、さらに言えば発生回転がS800が6000回転、ヨタハチは3800回転となり、低回転域ではヨタハチの方がトルクフルな走りをしてくれる。

  • 強制空冷の水平対向2気筒を搭載するヨタハチ。燃料供給は当然キャブとなるが、各バンクことに1機のキャブを配するツインキャブとなる。丸い形状の小ぶりなエアクリーナーもそれぞれに配されている。

  • 空冷エンジンということで、室内用ヒーターの効きが今ひとつ。オプションでガソリン燃焼式ヒーターの設定があり、撮影車には実動のものが設置されていた。かなり強力に室内を温めてくれるようだ。

  • 燃料供給経路は、上記のガソリン燃料式ヒーターが装着されることで、そちらにも燃料供給する必要があるため少々複雑。ちなみに燃料タンクの錆で不調だったことがあり、撮影車両は燃料フィルターを増設している。

  • 水平対向エンジン上部には補機類が集中する。写真右上がオイルフィラーキャプ。そのまま視線を下に移すとオイルフィルター、点火コイル、スターターとなる。写真左上はダイナモ、そこから下に視線を移すと、デスビ、燃料ポンプとなる。ちなみに燃料ポンプはヒーター用とは別系統となっている。

トーションバー+ Wウィッシュボーン のフロントサス

  • フロントサスペンションは、ベースとなるパブリカ同様のWウィッシュボーン式を採用する。ロワアームはIアームといわゆるテンションロッドの組み合わせ。ブレーキはドラム式となる。

  • フロントサスペンションはトーションバーを採用。ロワアームから後方に伸びる黒いバーがそれだ。その奥に見えるのがトランスミッションで、大部分がバルクヘッドより前方に収まる。

  • ステアリングはウォームセクターローラー式、いわゆるボール&ナット式を採用。エキゾーストは、各バンクから伸びるパイプ形状のものが、プロペラシャフトの通るセンタートンネル前端で集合している。

  • リヤサスペンションはリーフリジッド式。ブレーキはフロント同様にドラム式を採用。ボディ後端部には運転席側に燃料タンク、助手席側にマフラーのサイレンサーを配する。

4眼6連メーター を備える スポーツカー然 としたインパネ

  • メーターは4眼式の6連で右から電流&燃料、スピード、油圧&油温、そして左がタコメーターとなる。そのメーター上部3カ所にあるインジケーターランプは、右がハイビーム、中央が充電、左がウインカーとなる。

  • ハンドルコラムにはウインカーとヘッドライトのハイ/ロー切り替えレバーが設置されている。ちなみにヘッドライトのメインスイッチはインパネ中央部のプルスイッチ。レバーにはパッシング機能はない。

●ヘッドライトスイッチ
スモール/ヘッドライトのメインスイッチがこれ。1段引くとスモールが点灯し、2段引くとヘッドライトが点灯する。ハイ/ロー切り替えはウインカーレバー側で行う。
●シガーライターソケット
撮影車両ではナビケーションシステム用の電源プラグが差し込まれているが、本来はシガーライターとなる。ちなみに灰皿はダッシュパッド部、中央に設置されている。
●ワイパースイッチ
ワイパーは、このプルスイッチを手前に引くことで作動する。その作動はハイとローの2段階切り替え式となっていて、1段目がロー、2段目がハイとなっている。
●メインキーシリンダー
キーシリンダーはインパネにレイアウトされる。4ポジションで右から3番目がオフ、2番目がオン、一番右がセルとなる。残りの左側は「ラジオ用だったはず?」とのこと。
●燃焼式ヒーター用ランプ
ガソリン燃焼式ヒーター車専用のインジケーター。ヒーターの点火時、通常使用時、消火時などの状態をドライバーが把握できるように、インジケーターランプの色が変わる。
●マップランプ&スイッチ
マップランプはダッシュボードのほぼ中央部、タコメーターの左側に設置されている。その上部のトグルスイッチがマップランプのスイッチとなる。レバーを下に傾けるとオンだ。
●ブロワ&燃焼式ヒータースイッチ
ブロワファンのスイッチであると共に、オプションで設置されているガソリン燃焼式ヒーターの作動スイッチも兼ねる。レバーを目一杯引くと、ヒーターが点火するそうだ。
●ハザードランプスイッチ
ハザードランプは標準で設定されておらず、現代の交通事情に合わせオーナーが追加で設置したそうだ。旧車のインテリアにマッチするプル式スイッチの社外品をセットしている。
●チョークレバー
60年代当時のキャブは、オートチョーク式は珍しく、まだ手動式のチョークがあたり前。使用頻度も高いので、ヨタハチのチョークレバーはインパネのほぼ中央に位置している。

  • シフトレバーが生えるセンタートンネルはコンソールなどのカバーは無くカーペットのみ。リンクによるリモコン式なので、シフトレバーの配置はドライバーにとって自然な位置となっている。

  • ABCベダルはご覧のように右側に寄ったレイアウトとなっている。アクセルペダルとブレーキペダルは特に寄せて配置されており、ヒール&トウといった、スポーツドライビングならではの操作がやり易そうだ。

  • 運転席側、フットスペースの側壁にはボンネットオープナー(中央)と共に、フロントグリルのフラップを動かすためのプルロッド(右上方)が設置されている。ちなみに引くとフラップが閉じる仕組み。

  • シートはバケット形状のスポーティなデザインで、ヘッドレストの設定のないいわゆるローバックタイプ。リクライニング機構は備えてはおらず、調整は前後のスライドのみとなっている。シートベルトは2点式。

  • シート後方には大きなスペースが広がっている。ここはトレイではなく、トランクスペースとの間をトノカバーによって仕切っている。左右シートの間には車検証などを入れる小物入れ用の扉がある。

  • 非常にシンプルなドア内張り。前方にウインドウレギュレーターハンドル、中央部にドア取手とドアハンドルが備わる他、ドアロックはドアハンドルから独立した上部後端にレイアウトされている。

  • アルミ製のタルガトップは前後3か所ずつある固定金具で、ボディに固定される。金具のロックはネジ式で、開閉にはそこそこの時間を要する。バックミラーは中央ではなくやや助手席側にオフセットして装備される。

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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