車の歴史
更新日:2020.02.05 / 掲載日:2020.02.05
CROWN 1900 DELUXE(RS41) 【3】

スタンダードとデラックスメカニズム上の違いは?
搭載されるエンジンは、4気筒OHVで排気量が1897ccとなる3R型。デラックスに搭載される3R型は90PS/14.5kg・mのトルクを発生していた。また静粛性も考慮されており、冷却ファンはクランク直結とはせず、回転がコントロールされるサイレントファンを設定している。対するスタンダード用のMT仕様はトルク重視の3R-B型を搭載(タクシー専用車にはLPG仕様も用意されていた)。こちらは80PSとなり、クーリングファンもクランク直結となる。
組み合わせられるミッションはMTと共に半自動変速のトヨグライドも、スタンダード、デラックス共に用意されている。ちなみにMTはどちらも3速だが、高速での長距離移動や静粛性を意識するデラックスでは、オーバードライブ(OD)付きとなる。このODは、一般的な減速比1:1以上のギヤの組み合わせを持たせるといったものではなく、3速ミッションからアウトプットされた駆動力をプロペラシャフトに伝える前に増速させる機能を追加しているというものとなる。考え方としては副変速機的な機構が備わっているのだ。
またその使い方も独特で、MTながらODに関しては半自動で切り替わるという。オーバードライブを使用するようなシチュエーションであれば、インパネにあるODの作動スイッチをオンにしておくことで、速度などの条件に合わせ3速走行中に自動でODとなり、プロペラシャフトに伝わる駆動力は倍速されるのだ。もちろんODオフも自動的に作動する。
ちなみにこのODへの切り替えは、高速道路走行時などの速度域でのみ作動するであろうと思ってしまうが、一般道でも巡航状態になればしっかりと作動してくれる。もちろん電子制御などではなく、完全なるアナログ制御だが、高級車たるクラウンのデラックスグレードに見合うだけの志を感じる機能といえる。
先代から引き継いだ直4OHV 1.9Lの3R型
エンジンに覆い被さるように装着される円柱状のエアクリーナーボックスの下には1器のキャブレターが備わる。チョークはセミオート的なもので、始動時にチョークレバーを引く必要はない。
OHVの3R型エンジンは、助手席側に吸排気ポートがあるターンフローヘッド。エンジン右(運転席)側の中央部にディストリビューターと機械式の燃料ポンプがレイアウトされている。
エンジンのフロント前端部。シリンダーヘッド前端に備わるウォーターポンプは、Vベルトを介したクランクプーリーからの動力で駆動する。ちなみにシリンダーヘッドは鋳鉄製だ。
ボンネットの裏側中央部には作業灯が標準装備。ドライバーがボンネットを開いて作業することが日常的だった、60年代車ならではの装備といえる。
ヒーターのブロワーはエンジンルーム内に設置されている。恐らく前席3名乗車時の中央の乗員の足元スペース確保のために、ブロワーがこの位置に追いやられたのではなかろうか?
ノーマルではエンジン駆動のファン(回転制御式)が備わるのみだが、撮影車両には追加でラジエーターの前方に電動ファンを設置し、渋滞時などでのオーバーヒート対策としている。
分厚くシャーシブラックが塗り重ねられたミッションは、前進3速、後進1速。ちなみにオーバードライブは、ミッションの後部に別のギヤユニットを装備するというものであった。
エンジンルームとキャビンの隔壁にはクラッチとブレーキのマスターシリンダーが設置される他、電装系のヒューズ類もレイアウトされている。ちなみにマスターバッグの装備はない。
オーバ ードライブは自動で変速

デラックスに装備されたオーバードライブ(OD)は、いわゆるトランスミッションで変速比を変えるのではなく、アウトプットシャフトとプロペラシャフトの間に倍速させる機械的な装置を配することで、エンジンの回転を抑えながら、速度をキープするというもの。ちなみにODはプルレバーをオンの位置にしておくと、速度やアクセルに反応して半自動で切り替わる。OD走行時はコンビメーターの緑色のインジケーターが点灯する。