車の歴史
更新日:2019.12.24 / 掲載日:2019.12.24
DATSUN 69 FAIRLADY 2000(SR311)【3】

競技用を前提としたU20型を搭載する
●型式:U20 ●エンジン形式:水冷直列4気筒SOHC ●ボア×ストローク:87.2×83.0mm ●総排気量:1982cc●圧縮比:9.5 ●燃料供給装置:44PHH-2型×2●点火装置:ポイント式 ●最高出力:145PS/6000rpm●最大トルク:18.0kg-m/4000rpm
いわゆるソレックスのツインチョークが標準装備される。他にもGT-Rをはじめソレックスを標準装備する国産車は何台かあるが、SRに付くソレックスは他が40Φなのに対し44Φとより大口径なものとなる。
インマニもSR専用品だ。社外パーツなどないため唯一無二の部品となる。そのインマニには冷却水パイプが接続され、温度管理がなされていた。またインシュレーターはベイクライト製ではなくゴム製となる。
ガレージサカイでは始動性と夏場のパーコレーション対策として、燃料ポンプを純正の機械式と並列接続で電磁式を追加している。これによりセルを回さずにフロート内に燃料を満たすことができる。
ミッションはSR専用。とはいえ一部のギヤは日産の他車用も流用が可能だそうで、ケースのみ専用となる。その前方には大型の冷却フィン付きアルミ製オイルパンが鎮座する。これもU20専用のパーツだ。
点火は本来ポイント式となるが、使い勝手の向上をめざし、社外パーツを用いて点火系を強化している。デスビも本体は純正だが、キャップを外すと日立製のフルトラに変更されているのがわかる。
助手席の足元にはワコーテクニカルのCDIユニットが設置されている。点火系や燃料ポンプの高性能化により、始動性が著しく向上しており、日常使用でもストレスなくSRを楽しめるようになっている。
本来はダイナモだが、ブラックオルタネーター(社外品の強化タイプオルタネーター。スズキカプチーノ用を流用)に変更してある。また配線を改造し、チャージランプも備えられている。
昭和の時代によくいた頑固オヤジが主治医を努める
下鳥さんのSR311の主治医がガレージサカイの酒井さんだ。ちなみに酒井さんに今時のカーショップでは当たり前の愛想の良さなどを期待してはいけない。昔のカーショップにいた頑固オヤジ、これが酒井さんを表現するのにぴったりくる。ガレージサカイのWEBサイトがありそこに登場する酒井さんはやさしいオヤジさん風なのだが、そのイメージで来店すると間違いなく面を喰らうはず。
そんな酒井さんが営むガレージサカイなのだが、SP/SRの不調を直せずに困ったオーナーが全国から集まる。というのも酒井さんの整備ノウハウが豊富だからなのは言うまでもない。ただ現状では欠品しているパーツが多数あり、それら欠品パーツの交換を含む整備となると、ノウハウが豊富な酒井さんといえども対応できないことは多いという。外観のきれいさだけで判断してSP/SRを買ったものの、まともには走れず、困ってガレージサカイに来店する人が非常に多いそうで、そういった人達の対応に酒井さんも頭を悩ませているそうだ。
ちなみにそんな酒井さんのSP/SRの整備方針は見た目はノーマル風でいながら、今の交通事情の中を気持ち良く、そして安全に走れるようにするというもの。完全なるオリジナルもいいが、エンジンがしっかり掛かり、気持ちよく回る、走ればしっかり曲がりそして止まることができるよう、ポイントを押さえてモディファイしているのがポイントだ。
Xメンバーで補強されたラダーフレーム

●サスペンション フロント:ダブルウィッシュボーン式 リヤ:半楕円リーフ ●ブレーキ フロント:ソリッドディスク リヤ:リーディングトレーリング●ステアリング:カムアンドレバー●タイヤサイズ:5.60S-14-4PR
現在の交通事情にマッチさせるべく足回りとブレーキを強化する
純正は対向2ピストンキャリパーとなるが、パッドの面積が小さいためか、他に原因があるのか全く効かないそうだ。安全性向上の為、対向4ポッドとなる日産レース用OPTのMK63キャリパーに変更。
フロントは昔ながらのダブルウィッシュボーンを採用する。60年代の足回りなので、ノーマルのままでは接地感も非常に乏しく、現在のタイヤとの相性もよくない。
そこでフロントはガレージサカイオリジナルのスプリング、レース用OPTのスタビ、カヤバのショックを組み合わせ、キャンバーなどを変更。ステアリングはカムアンドレバー式でギヤボックスは車体前端にレイアウト。
レース用の板バネに合わせてマフラーも配管レイアウトを
リヤもオーソドックスなリーフスプリングを使用するリジッド式。フロント同様に足回りは強化されており、板バネは日産レース用OPTの強化タイプで、ショックはカヤバ製となる。その車高に合わせてレイアウト変更。
本来はフロアに沿ってホーシングの上を通ることになる排気管だが、写真のようにホーシングの下を通るようにすることで、バンプ側のストローク時にホーシングと排気管が干渉することがなくなったという。