中古車購入チェックポイント
更新日:2022.05.28 / 掲載日:2022.05.28

中古車を選ぶにあたっての適正な走行距離とは?

中古車は一つとして全く同じ状態の車両は存在しません。そのため、多角的にしっかりチェックして、車を選ぶ必要があります。

その中でも重視すべき項目として「走行距離」が挙げられます。中古車を購入するにあたって、どのような視点で走行距離をチェックすればいいのでしょう。

走行距離で見るべきポイントについてここで紹介しますので、参考にしてみてください。

中古車の走行距離は気にした方がいい?

中古車を購入するにあたって、「走行距離は重視すべき」とよく自動車のポータルサイトや情報誌で紹介されています。なぜ、走行距離をチェックすべきなのか、ここで詳しく見ていきましょう。

ただし、走行距離が少なければ状態が良いとも限りません。走行距離の少ない車でも、状態の悪い車両のあることも併せて紹介します。

走行距離は重視すべき

中古車を選ぶ際は走行距離をチェックすべきと言われるのは、車の状態を推測できる材料だからです。

車は走れば走るほど、部品が摩耗して劣化していきます。つまり、走行距離の長い車は、それだけ大きな負担がかかり故障リスクが高い車だと言えます。

コンディションの良い中古車を探しているのであれば、走行距離があまり出ていないものを探しましょう。

かつては10万kmを超えた車は故障しやすいので購入しないほうがいいと言われていました。しかし、今はそうとも言い切れません。

自動車業界は近年、大幅に技術革新が進みました。メンテナンスされていることが条件ですが、10万km超の中古車でも簡単に故障しないものも少なくありません。

走行距離は気にしなくてもいいという意見も

走行距離の出ている中古車だからと言って、候補から外すのは安易だという意見もあります。走行距離の出ている車両でも、メンテナンスをしていて消耗品を正しく交換していれば十分走れるからです。

むしろ走行距離の出ている車両はお買い得な場合もあります。例えば、人気車種や高級外車だと、新車ではなかなか手が届かないという方もいるでしょう。しかし、10万km超の中古車であれば、リーズナブルな価格で販売されている可能性があります。

特に国産車の場合、海外では20万や30万kmの走行距離でも現役で走っているというケースも少なくありません。走行距離をあまり過信しないほうがいいという意見もあるのは、そのためです。

ただし、メンテナンスがきちんとできているかどうかは、購入する前にチェックしておきましょう。

走行距離の少ない車が良い車とは限らない

走行距離の少ない車は、各パーツに負担がかかっていないので状態が良いと思われがちです。しかし、走行距離の少ない車でも故障リスクの高いものもありますので、注意しましょう。

例えば、長いこと運転されずに放置されていた車の場合です。車は使われなさすぎも良くないと言われています。

年式の割にあまりに走行距離の少ない車の場合、長期間エンジンを動かしていない可能性が高いです。購入していざエンジンをかけようと思ったら動かなかった、といったことも起こりえます。

また、走行距離の少ない車は近距離走行しかしていない可能性も考えられます。するとエンジンオイルが温まる前にエンジンを切る機会が多く、エンジンに負担がかかっているかもしれません。

【結論】走行距離はチェックすべき

きちんとメンテナンスをしていれば、走行距離の出ている中古車でも状態の良いものもあります。逆に走行距離が少なくても長年放置していて、状態の悪い中古車があるのもまた事実です。そのため、走行距離が長ければダメで、少なければ良いとは言い切れません。

しかし、中古車の状態を推測する判断材料の一つとして、走行距離があるのもまた事実です。もしできるだけ長く中古車をマイカーとして愛用したいのであれば、走行距離は見ておくべきです。

ただし、走行距離の長い中古車でも、欲しいものがあればメンテナンスの記録を確認しましょう。こまめにパーツの交換をしているなど、定期的に整備されていれば、車両の状態はいいでしょう。

そして、引き続き自分でもこまめにメンテナンスを行うようにしましょう。

中古車選びにおける走行距離の考え方

中古車選びにあたって、走行距離は重要な判断材料の一つです。ただし、走行距離が長ければダメで、少なければ良いという単純なものではありません。

では、走行距離をチェックするにあたって、どこを見ればいいのでしょう。年間当たりの距離と希望別の距離などポイントがありますので、以下にまとめました。

年間1万kmが妥当なところ

自動車は使い過ぎも使われなさすぎでも、コンディションを悪化させます。妥当な使われ方をされてきたかどうか、年式に対する走行距離で判断しましょう。

一般的に目安になると言われているのが、1年当たりの走行距離が1万kmというものです。この走行距離の前後であれば、過度に負担のかからない使われ方をされた中古車と判断できます。

例えば、5年落ちの中古車の場合、だいたい5万km前後の走行距離であれば問題の発生する可能性は低いと推測できます。

年式と走行距離の関係は、中古車を購入する際にチェックしましょう。

10万km超の車でも問題なし

中古車のポータルサイトなどを見てみると、「走行距離10万kmを超えた車は危険」と紹介されていることがあります。しかし、これは一昔前の話と考えましょう。

10万kmを超えた車でも、問題なく走行できている車両は珍しくありません。メンテナンスをきちんとしていれば、まだまだ走り続けることができます。

欧米では何十万kmという車両が街中を普通に走っています。20万kmを超えている車両が走行する光景は日常です。タクシーの場合は40万km以上走行すると言われています。

ただし、10万kmを超える中古車を購入する際には整備が行われているかどうか、お店のスタッフに確認しましょう。

希望別・おすすめの走行距離

中古車を購入する際、何を重視するかは人それぞれです。とにかくコンディション重視で探す方もいれば、値段の安い車が欲しいという方もいるでしょう。

そこでここでは、希望別で目安になる走行距離についてまとめました。中古車を購入する際の参考にしてみてください。

状態重視なら3万~5万km

中古車だけれども、できるだけ状態の良い車両を購入しようと思っているのであれば、3万km程度のものがおすすめです。

走行距離3万km程度であれば、まだ新車と比較しても遜色ない状態の中古車も少なくありません。あまり使われていないので、外装も傷が少ないでしょう。また、内装もハンドルやシートのへたりもそんなにないものが多いです。

状態重視であれば、せいぜい5万km程度の走行距離を上限と考えましょう。年式にもよりますが、まだ部品の劣化もそれほど進んでいないはずです。そのため、購入してすぐに不具合が起きて修理が必要になるといった危険性も低いとされています。

コスパ重視なら5万~7万km

中古車の価格の考え方として、一つのラインになるのが5万kmと言われています。

50,000kmを超えた中古車は、値段がガクッと下がることが多いです。それは一般的に走行距離5万km・5年のタイミングで車を買い替える方が多いためです。

5万km程度の走行距離は、まだまだ状態の良い中古車も多くあります。

もしコスパ重視で中古車を探そうと思っているのであれば、5万km前後の車両の中から絞り込んでみるといいでしょう。安全に、これからも長期間にわたって乗り続けられるような車両も多いです。

車の状態がそれなりの中古車を探すのであれば、7万kmを上限に探してみるといいでしょう。この走行距離の範囲であれば、不具合が起きるリスクは比較的低いと言えます。

安さ重視なら10万km超

とにかく安さ重視で中古車を探しているのであれば、走行距離10万km超の中から選ぶといいでしょう。この程度の走行距離になると、新車と比較して半額以下という中古車もあります。

新車ではとても手の届かなかった車でも、10万km超なら購入できる価格のものもあるかもしれません。

ただし、基本的に乗り潰すことを検討しましょう。10万km超の車をしばらく運転して買い替える際、買取価格は期待できません。リセールバリューはほとんどないと覚悟してください。

10万km超の中古車の場合、車両の状態をきちんと確認しておくことが重要です。メンテナンスが適切に行われていれば、当面は乗り続けられるでしょう。

キリのいい数字をちょっとオーバーした走行距離の車は掘り出し物の可能性

中古車の価格設定で、走行距離は重要な要素になります。一般的に走行距離が伸びると価格も安くなりますが、一定のペースで値下がりするわけではありません。

中古車業界では、キリのいい数字でガクッと下がる傾向が見られます。例えば、5万kmや10万kmといった数字です。

具体的に見ていくと、走行距離49,000万kmと51,000kmの中古車があったとします。走行距離はたったの2,000kmの違いです。しかし、50,000kmを超えている51,000kmの中古車は49,000kmの中古車よりもかなり安い価格設定になることが多いです。

そのため、中古車を購入する際には5万kmとか10万kmを少しオーバーしているものは、お買い得の可能性があります。

軽自動車を購入する際の走行距離の考え方

マイカーとして軽自動車の購入を検討している方も少なくないでしょう。小回りが利き、運転しやすい、維持費が安いということで人気です。

軽自動車は、普通自動車と比較してリーズナブルな価格で販売されている車種が多いです。それは、中古車でも同じことですが、普通自動車の走行距離の考え方とは少し異なります。

軽自動車の場合は年間8,000kmが目安

中古車選びで年間当たりの走行距離を重視することは、軽自動車についても同様です。

軽自動車の場合、1年間当たりの走行距離は8,000kmが目安と言われています。普通自動車の年間1万kmと比較すると、若干少なめです。

3年落ちの軽自動車で24,000km、5年落ちの場合40,000kmを一つの目安にしてください。

ただし、この基準を若干オーバーしていたからと言って、すぐに故障するわけではありません。また、軽自動車の整備が適切に行われていれば、走行距離の割には状態のいい中古車もあります。

参考材料として、中古車の軽自動車は年間8,000kmが一つの基準として覚えておきましょう。

軽自動車は寿命の短い恐れ

なぜ軽自動車の年間当たりの走行距離の目安が短めなのか、それは寿命が関係しています。軽自動車は一般的に普通自動車と比較して寿命の早い傾向が見られます。

なぜ、軽自動車は普通車と比較して寿命が短いのかというと、規格が設けられているからです。ボディとエンジン排気量、ともに法的な制約がかかっています。

まず、エンジン排気量は660cc以下でなければなりません。これはオートバイ並みの排気量です。

軽自動車の場合、オートバイ並みのエンジンで複数人が乗ることになります。そうなると、エンジンにかかる負担はかなり大きくなります。

またボディも普通車と比較して、一回り小さく作るように決められています。これも寿命を短くする要因の一つです。

車はボディが大きいほうが物理的に耐久性が高いと言われています。車は運転中、直進、曲がる、止まるを繰り返しますが、そのたびに衝撃を受けて劣化が進んでいるのです。

中古車の走行距離をチェックするにあたっての注意点

中古車選びをする際に走行距離をチェックしておくと良いと前述しましたが、業者の中にはメーターの改ざんをしている可能性もあります。

そこで、どのような方法で走行距離をチェックすればいいのか、そのコツについて紹介します。

メーターの改ざんは減少傾向にある

走行距離を確認する方法として一般的なのが、オドメーターを見ることです。オドメーターはその車両の総走行距離を示し、メーターパネルに設置されています。

業者の中にはオドメーターを巻き戻すことで、本来よりも総走行距離を短く見せようとする場合があります。走行距離が長いと、車の価値が下がるという共通認識があるからです。

しかし、このような改ざんは減少傾向にあります。メーターの巻き戻しなどの悪質な行為を問題視した業界で、不正対策を厳格化したためです。

例えば、車検証には前回と前々回の走行距離を併記する方式になりました。メーターを巻き戻すと、車検証に記載されている情報と一致しなくなります。

改ざんは少なくなっていますが、そのようなことをする悪徳業者もいることは覚えておきましょう。

改ざんのハードルはかなり高い

かつては、メーター巻き戻しによる走行距離の改ざんがしばしばありました。そのたびに不正対策を進めていきましたが、悪徳業者の中にはそのたびに抜け道を見つけ、鼬ごっこのようになっていました。

しかし、今ではECUの搭載により、改ざんするのはかなりハードルも高くなっています。ECUとは、コンピューターユニットの一種で、走行距離を暗号化した状態で記録しています。そのため、従来のように簡単にメーターの巻き戻しができなくなりました。

さらに、日本オートオークション協議会という中古車の取り引きに関する管轄団体では、走行メーター管理システムを開発しました。これはオークションに出品された中古車の走行距離を個別管理できるシステムです。もしメーターの改ざんをしたら、記録と一致しなくなります。

意外なところでチェックできる走行距離

走行距離を確認する際には、オドメーターを見るのが一般的です。しかし、オドメーター以外にも走行距離を確認する方法はあります。

意外なところでは、タイミングベルトを見る方法です。なぜタイミングベルトを見ると走行距離がわかるのか、それは走行距離10万kmが交換の目安と言われているからです。

タイミングベルトには交換ステッカーが貼られています。ステッカーには交換時期と交換時点の走行距離が記載されています。

この数字とオドメーターの走行距離が一致しているかどうか、チェックしてみましょう。

メーターの改ざんをしても、タイミングベルトまでは対応できていない場合が多いです。

契約書の走行距離を確認する方法も

中古車の売買の際、販売店は契約書を用意します。通常契約書の中には、車両に関する情報が記載され、走行距離も含まれています。

もし契約書に記載されている走行距離と車検証の走行距離が異なる場合には、注意が必要です。一致していないということは、メーター戻しやメーターそのものが交換されている可能性が出てきます。

また、契約書の走行距離が「不明」となっている場合もあるかもしれません。この場合、メーターの巻き戻しがいつか分からないけれども行われている、個人でメーター交換しているのいずれかの可能性が高いです。

契約書にサインをしていなければ、まだ購入したことになりません。もしおかしなところがあれば、曖昧にせずに販売店側に説明を求めましょう。

自動車公正取引協議会や消費生活センターに相談する

メーターについて注意していたけれども、それでも購入前に気づかないということもあり得ます。もし購入した中古車にメーター戻しなどの不正が疑われる場合、専門機関に相談しましょう。

相談窓口になるのは、自動車公正取引協議会もしくは消費生活センターです。販売店にクレームを入れても不正を行っているようなところですから、誠意ある対応はまず期待できません。

また、弁護士に相談する方法もあります。無料法律相談を各地域で行っているので、こちらに相談するのも一考です。

もしおかしなところに気づいたら、早めに動くことが大事です。ズルズルと先延ばしにしていると、契約解除などが難しくなる可能性があります。

まとめ

①中古車の走行距離を確認することで車の状態は推測できる

②ただし100,000kmで寿命という従来の考え方は今ではそぐわない

③年間で普通自動車なら10,000km、軽自動車なら8,000kmが目安

④稀にではあるがメーターを改ざんしている業者もいるので注意

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
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