中古車購入チェックポイント
更新日:2022.01.31 / 掲載日:2022.01.24

中古車を購入すると節税になる?その理由と減価償却の計算方法とは?

「4年落ちの中古車を購入すると節税になる」と聞いたことがあるという方もいるかもしれません。

ここでは、なぜ新車ではなく4年落ちの中古車がいいのかという理由や、定額法と定率法の違いなど減価償却を有利に進めるための計算方法について説明します。

また、車の購入時期を調整したり、カーナビを経費化する際にひと工夫加えたりすることで、さらに節税効果はアップします。

個人事業主やフリーランスの方も使える方法なので、ぜひ参考にしてください。

中古車を購入することで節税につながる

4年落ちの中古車を購入することで、法人や企業は節税することが可能です。

なぜかというと、もともと業務用で使われる車というのは購入費や維持費を経費として計上することができ、これによって経理上は利益の減少となるからです。

そして、4年落ちの中古車は定率法という計算法を使うことで購入費用の全額を償却できます。そのため、大きな利益が見込める場合に一度に計上して法人税の支払いを減らすということが可能となります。

なぜ中古車を購入すると節税になるのか?

法人税は「課税所得」に対して課せられます。

課税所得とは、一般の企業が計算する損益計算書上の経常利益に対して、法人税額の算出を目的として一定の修正を加えて算出する金額のことです。

法人税額はこの課税所得の金額に応じて決まるので、課税所得が小さければ小さいほど払う税金も少なくなります。

そこで、車を購入して減価償却費として経費に計上すれば利益が減少し、課税所得も減少させることができます。その結果、支払う法人税額が少なくなり節税になります。

車を購入することで税金対策につながるというのは、このような意味です。

「中古車」である理由

新車と中古車では減価償却の期間が異なり、中古車のほうが短期間で償却可能です。

例えば、新車と中古車を同じ300万円で購入した場合、「新車は6年」で「中古車は2年~4年」で償却できると決まっています。

これを定額法で計算すると、1年で「新車の場合は50万円」「中古車の場合は75万~150万円」の償却額です。

中古車のほうが25万~100万円も多く経費処理が可能になり、この金額分だけ節税の効果が生まれることになります。

中古車のほうが節税になるなら新車よりも効果的!

税金対策として企業が車を購入するなら、新車よりも中古車のほうが節税効果は高いとされています。理由は、経理上の仕組みのひとつである「減価償却」にあります。

減価償却をすることよって利益額が少なくなりますが、翌年に支払う税金を減らすことが可能です。

減価償却の処理を行う際、勘定科目として「減価償却費」を使います。減価償却費が大きいほど節税効果は高くなり、中古車はまさにそれに該当します。

以下では、一般的な事業者を想定して、新車・中古車を購入したそれぞれの場合について、実際の減価償却処理を例にしながら解説しましょう。

中古車の減価償却について

中古車の減価償却の場合、新車と違って「使用した年数」によって減価償却率が異なってきます。

中古車の使用年数によって「後どれくらい乗れるか」の指標となる耐用年数が変動し、それにより計算の基準も変わるからです。

また、減価償却には「定額法」と「定率法」の2種類の計算法があり、有利なほうを選択することができます。

少しややこしいと思うかもしれませんが、計算そのものは非常に簡単なので詳しく説明していきます。

新車の耐用年数は?

減価償却の対象となる固定資産は、全て法令によって耐用年数が規定されています。

車やダンプに限らず、バイクや自転車などの「車両」も同様で、いずれも新車で購入した際の法定耐用年数は以下の通りに明確に決まっています。

・普通自動車・・・6年
・ダンプ型貨物自動車・・・4年
・軽自動車・・・4年
・バイク・・・3年
・自転車・・・2年

中古車両の耐用年数は?

中古車は新車で車両登録されてから一定期間が経過しているものなので、経過した年月分だけ耐用年数が減少することになります。つまり、使用した期間が長いほど残りの耐用年数も少なくなります。

計算式は次のようになるので、見ていきましょう。

中古資産の耐用年数 =(法定耐用年数-経過年数)+ 経過年数×20%

例えば、4年落ちの中古車を購入した場合の耐用年数は2年となります。

(6年-4年)+ 4年×20%=2.8年=2年(小数点は切り捨てのため)

耐用年数は、あくまでも減価償却費を計算するための根拠となる数字です。そのため、耐用年数を経過した後も継続して乗れますし、その車は帳簿価格(簿価)として計上し続けられます。

定額法とは?

減価償却費の計算方法は、定額法と定率法の2種類があります。

このうち定額法では、購入価格に減価償却率をかけた金額が減価償却費となり、毎年同じ金額を償却費として計上していくことになります。

定額法を使用する企業が増加しているのは、その分かりやすさからです。

計算式もいったってシンプルで、新車の場合は耐用年数が6年なので1÷6年=0.1671年となり、この0.1671という数字が減価償却の率となります。

購入金額÷耐用年数で計算してもよく、例えば300万円で購入した新車の場合は300万円÷6年=50万円です。

定率法とは?

定率法は銀行の複利計算と同じ考え方で、残額に対して償却率をかけた金額を償却していく方法です。

この率は耐用年数によって、以下のように定まっています。

・耐用年数2年・・・1.000
・耐用年数3年・・・0.667
・耐用年数4年・・・0.500
・耐用年数5年・・・0.400
・耐用年数6年・・・0.333

この償却率を使い、300万円の新車の償却金額を計算してみましょう。耐用年数が6年なので減価償却率は0.333で、後は次の通りになります。

初年度
減価償却費:300万円x0.333=99.9万円
残存価格:300万円ー99.9万円=200.1万円

2年目
減価償却費:200.1万円x0.333=66.6万円
残存価格:200.1万円ー66.6万円=133.5万円

3年目
減価償却費:133.5万円x0.333=44.5万円
残存価格:133.5万円ー44.5万円=89万円

この計算が「償却保証額」と呼ばれる金額に達するまで続き、それ以降は残りの金額を定額で計上します。

定率法で計算し続けて何年経っても償却し切れなくなる事態を避けるために、ある段階からは定額で償却するよう定められています。

定額法と定率法はどう使い分ける?

企業利益に減価償却費は大きく関わってくるので、定額法を使うか定率法を使うかは会社の経営方針によって変わってくるでしょう。

例えば、利益が出ているので法人税を少しでも節税したい場合は、初年度の減価償却費が多く計算される定率法を採用できます。一方、定額法の場合は毎年の償却額が一定なので、将来の計画を立てやすくなる点がメリットです。

個人事業主が減価償却を行う場合は定額法と基本的に決まっており、定率法にしたい場合は税務署への申請が必要となります。

計算方法を償却期間中に変えることも可能です。変更する場合は理由を明確にした上で、税務署に申請します。

最近は資産の状況を正確に財務諸表に反映させるために、定額法を採用する企業も増えています。ただし、建物については定額法しか使えないことになっているので注意が必要です。

減価償却は経費上の細かい処理が必要になるので、十分な知識を持ってから臨むようにしましょう。

中古車を購入して減価償却を用いた場合の一例

定額法の場合、購入価格に減価償却率をかけた金額が減価償却費となり、これを毎年同じ金額で償却していくことになります。

計算式は簡単で、新車なら6年が耐用年数ですので、1÷6年=0.167でこの0.167が減価償却率です。

例えば300万円の新車を買った場合、1年の減価償却費は50.1万円となります。この金額を損金として損益計算書に計上することができます。

そして、中古車の場合は新車登録から2年経過したものであれば耐用年数は4年です。償却率は1÷4年=0.25と算出されます。減価償却費は300万円x0.25=75万円となり、毎年75万円を損金として計上することができます。

中古車にかかる費用は経費にできる

自動車にかかるお金は購入費用だけではなく、維持費もかかります。

維持費は、各種税金のほか、保険の費用、ガソリン代、駐車場代などが挙げられますが、これらも経費として計上し節税につなげることができます。

ただし、プライベート用の車の購入、維持費用、リサイクル預託金などは経費にはならないので注意が必要です。

以下で詳しく説明しますが、何もかもが経費になるわけではないことを覚えておきましょう。

経費として扱えるのは仕事用の車だけ

車に関する費用や税金を経費として計上することができるのは、あくまでもその車が仕事で使うものである場合に限られます。プライベート用の車の維持費などは、もちろん計上できません。

仕事とプライベートの両方で車を使う場合は、費用を分けて計上することもできます。ただし、計算時に厳密に分けなければならないため、処理が煩雑になるでしょう。

経費になるもの

車の購入費用は減価償却費として計上できますが、それ以外の費用はどうなるでしょう?

例えば、税金をはじめ、保険の費用、ガソリン代、駐車場代等がありますが、これらはいずれも一般的な経費として計上できます。

経費にならないもの

経費にならないものとして「リサイクル預託金」が挙げられます。

リサイクル預託金とは、車を廃車にした際の処理費用をユーザーが一部負担するものとして徴収されるお金です。

これは、基本的にその車を最後に所有していたユーザーが負担するとされており、車を廃車ではなく売却すれば返金されてくるでしょう。車を売却した場合は、買取金額にリサイクル預託金の返金分が含まれていることがほとんどです。

そのため、リサイクル預託金は資産計上することになり減価償却はできず、科目も車両運搬具ではなく「リサイクル預託金」となります。

消費税も対象外となり、決算書の表示区分も有形固定資産ではなく「投資その他の資産」扱いです。

中古車を購入する時期に注意する

中古車を経費で購入して節税につなげたい場合は、4年落ちのものを選び、さらに定率法による減価償却処理を行いましょう。取得費用の全額をまとめて購入年度に減価償却費にとして計上できます。

ただしこの場合、減価償却費は月割計上になることに注意が必要です。節税したいからと言って決算期末ギリギリに慌てて中古車を購入しても、その購入費用の全てを損金計上することはできません。

中古車を購入して効率よく減価償却したい場合は注意が必要です。減価償却処理もまた、計画的に行いましょう。

カーナビにも節税効果がある

カー用品も車の価値を高める固定資産と見なされます。そのため、会社の車に高額なカーナビを設置する場合も減価償却に使えます。

注意したいのは、カーナビには標準装備として先付けする場合と、車の購入後に後付けする場合があることです。節税対策として活用したいなら、後者の後付けにして経費化するほうがいいでしょう。

カーナビは全額経費に計上できる

20万円未満の資産については「一括償却資産」として耐用年数より短い期間で経費にできるという特例があります。この特例をうまく用いることで、耐用年数に関わらず3年に分けて一括経費として処理することができるでしょう。

さらに、従業員500名以下の中小企業は、令和4年3月31日までに30万円未満の減価償却資産を取得した場合に、300万円を限度に全額損金算入できるという「少額減価償却資産の特例」という法律もあります。この特例は2年ごとに延長されるので、さらなる延長も期待できます。

つまり、これに該当する中小企業は、30万円未満のカーナビを購入すると全額を損金算入にできるということです。

これらの法律を上手に利用すれば、例えば本体とは別に後からカーナビを購入して取り付けることで、節税につなげることができます。

カーナビは後付けにして経費化する

オプションのカー用品を後付けにすることで、節税に活かすやり方を説明します。

例えば、300万円の新車に18万円のカーナビを取り付けて、計318万円の取得価額となった場合、新車の耐用年数は6年なので、定額法による減価償却費は53万円/年です。

一方、300万円の新車を購入して、しばらくした後に18万円のカーナビを取り付けたとします。新車の減価償却費は50万円/年で、カーナビの償却費は3年で処理できるので6万円/年となり、合計56万円です。

つまり、後者のほうが処理できる金額が3万円増えるので、その分法人税の対象金額を低くできます。

さらに中小企業の場合は特例により18万円を一括処理でき、68万円となります。

カーナビを後付けで経費化するデメリット

カーナビを例とするオプション類を後付けにして、それを経費で計上するやり方をここまで説明してきました。

しかし、このやり方は赤字の会社だとメリットがないこともあります。以下で詳しく説明します。

会社が赤字なら先付けの方がいい場合もある

赤字経営の会社の場合、そもそも経費を減らす必要があります。

税金対策のためにあえて赤字にするケースもありますが、赤字経営であれば経費を少しずつでも削って黒字に近づけようとするのが一般的です。

一括償却をするとその分経費が増大し赤字額が増えてしまうので、経費計上するものはできるだけ分散したほうがいいことになります。

そのため、赤字の場合は車の購入と同時にカーナビも取り付けてしまったほうがいいでしょう。

会社が黒字なら後付けの方が節税効果がある

黒字経営の会社の場合、経費などを増加させて利益を減らすことで、課税の対象になる金額を減らすことができます。そのため、カーナビも後付けにすることで経費処理の金額を増加させることができるというわけです。

さらに、金額が10万円未満のカー用品であれば、全て消耗品として事業年度内での経費処理が可能になります。あえて無駄遣いをする必要はありませんが、車用の清掃用品などを購入するのもいいでしょう。

中古車による節税は個人事業主やフリーランスも可能

個人事業主やフリーランスも、法人と同じように車の購入を通して節税することが可能で、購入費用を減価償却処理することができます。

ただし、車を使うにあたり仕事とプライベートが混在しがちなのは注意が必要です。

法人の場合、車はほぼ100%業務目的で使うことになりますが、車・家賃・光熱費などを生活費やプライベートで一緒に使っている場合、経理上は一定のルールに則って区別しなければなりません。これを「家事按分」と言います。

個人事業主やフリーランスの場合、この家事按分をすることで、使った車の取得費用などを経費処理することができます。その結果、確定申告で税金が戻ってくることになるでしょう。

まとめ

①事業用に中古車を購入すると税金対策になる

②中古車は減価償却の期間が短く、一気に経費にできる

③中古車の減価償却費は、定額法か定率法で算出する

④定額法は、購入金額を耐用年数で割ったものを毎年計上する

⑤定率法は、残額に一定率をかけたものを毎年計上する

⑥事業用に購入しても経費として扱えないものがある

⑦カーナビは後付けにすると、車とは別に減価償却できる

⑧フリーランス、個人事業主も中古車で節税できる

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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