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更新日:2020.01.10 / 掲載日:2020.01.10

ホンダ シビック【ONE MAKE MARKET RESEARCH】

ホンダ シビック 2017年~

文●工藤貴宏
(掲載されている内容はグー本誌 2020年1月掲載の内容です)
※中古車参考価格はすべてグーネット2019年11月調べ。


かつてコンパクトカーとして大ブレイクしたシビック。現行世代は車体サイズが大型化し、上質な雰囲気とハイレベルな走りを身につけている。究極のスポーツモデル「タイプR」にも注目だ。

海外市場での強い人気が日本でもメリットに

 シビックといえばかつては日本を代表するコンパクトカーだったが、昨今は状況が異なる。アメリカやアジア地域におけるホンダの基幹モデルになっていて、日本よりもむしろ海外での人気が高いのだ。
 しかし、そんな海外人気は日本のユーザーにとってもメリットがある。それは世界各地で販売するために入念な開発がおこなわれ、結果として完成度が高いこと。2017年に日本での販売が始まった現行世代は、とにかくしっかりつくり込まれていて、なかでも走行性能のレベルの高さには驚く。スポーツモデルの「タイプR」はもちろんのこと、標準タイプでもハンドリングが正確でコーナリング時の安定感が高く、しっかりと走る感覚が強いのだ。
 かつてのコンパクトカーとは異なり、最新のシビックの車体は大きい。具体的には、15年ほど前のアコード(ホンダでシビックよりもひとクラス上の車種)よりも大きいほどなのだ。それに価格も大きく上がっているので、以前のように気軽に買える車種とは言い難くなった面もある。一方で高級な雰囲気は高まった。車体はセダンとハッチバックを選べるが、どちらも流麗なスタイルで美しい。見比べると、ボディ後方が長くて伸びやかなのがセダンだ。
 実用面では、ハッチバックとセダンでは前後席間隔が異なり、後席はセダンのほうが広い。また荷室もセダンのほうが広いので実用的だ。
 ちなみにここ数世代のシビックと異なり、現行モデルにはハイブリッドの用意がない。その役割はハイブリッド専用車の「インサイト」が担っているからである。
 本格スポーツモデルの「タイプR」はFF市販車最速を競うほどの、世界屈指の走行性能が味わえる。

[ヒストリー]暮らしに寄り添って50年弱の歴史を持つ

 人々の暮らしを豊かにするにはどんなクルマをつくればいいのか? シビック誕生の原点はそこにある。初代は、小さなボディで最大の居住性を求めて開発された。ちなみにシビックという車名は、ホンダのクルマとしてもっとも長く使われているものである。

1973年 初代 CVCCを搭載したシビックが登場

 ホイールベースを長くして室内を広げ、一方でオーバーハング(前輪より前と後輪より後ろ)を短くして車体を小さく設計。CVCCという画期的な排出ガス浄化システムを搭載したのがトピック。

1983年 3代目 日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞したモデル

 「ワンダーシビック」と呼ばれた3代目は、初代や2代目から一転して直線的なデザインに転換。天井を高くして室内空間と荷室を広げたワゴンボディの「シビックシャトル」もラインアップ。

1997年 6代目 スポーツモデル「タイプR」が登場

 6代目シビックにおける最大のトピックは、スポーツモデルの「タイプR」が追加されたこと。サーキット走行を前提として開発され、特別な設計がなされた1.6Lエンジンを組み合わせた。

2001年 7代目 シビックハイブリッドが初めて設定された

 デビューから1年経過後の2001年末に、シビックとしてはじめてのハイブリッドが用意された。ハイブリッドはセダンボディのみで、専用エアロパーツや専用アルミホイールを装備する。

2005年 7代目 国内市場はセダンのみの展開に

 日本国内ではハッチバックの販売を終了し、セダンへ一本化。5ナンバー枠をオーバーして3ナンバーサイズとなったボディは、ライバルよりも流麗で伸びやかなデザインが魅力的だった。

[NEXT CIVIC]現行型シビックが大幅改良スタイリッシュなフェイスに

 2020年1月にシビックはマイナーチェンジを実施し、最新モデルへと進化。フロントバンパーのデザインが刷新されるほか「オブシダンブルー・パール」など新しいボディカラーも追加となる。また、先進安全運転支援システムの「ホンダセンシング」も機能を向上。

[SEDAN/HATCHBACK]実用性も異なる2つのタイプ

 スタイリングにおいてセダンとハッチバックで大きく異なるのは、リヤまわりのデザインだ。リヤウインドウ周辺までは似た雰囲気だが、セダンのほうが車体後部が長くて伸びやか。さらにセダンは荷室が広く、また後席取り付け位置が後方なので後席の居住性が高い。以上のことから実用性はセダン有利。ハッチバックの魅力は軽快な雰囲気と全長が短いことだろう。

2017年式ホンダ シビックハッチバック ホンダセンシング(CVT)全長×全幅×全高:4520×1800×1435mm ●ホイールベース:2700mm ●トレッド前/後:1535/1555mm ●車両重量:1350kg ●排気量:1496cc ●エンジン:直4DOHCターボ ●最高出力:182ps/6000rpm ●最大トルク:22.4kgm/1700-5500rpm ●サスペンション前/後:ストラット/マルチリンク ●ブレーキ前/後:Vディスク/ディスク ●タイヤ前後:235/40R18

[インテリア]

 インパネはドライバーを包み込むようなスポーティなテイストで、大きな液晶表示を組み込んだメーターも採用。エンジンはいずれも1.5Lターボで、自然吸気2Lエンジン相当の動力性能がある。トランスミッションはCVTを基本とするが、イギリスで製造するハッチバックはMTも選べる。セダンは日本で製造される。

[ユーティリティ]ラゲッジスペースはセダンが大容量

 ハッチバックのラゲッジスペースは、ゴルフバッグが3個積める420L。世界初となる、横へ引くタイプのトノカバーを組み合わせる。一方セダンは519Lで、ゴルフバッグは4個積載が可能。いずれも後席を倒して荷室を拡大することができる。

パーキングブレーキは電動式。指先だけで操作でき、力を入れなくても確実にブレーキを作動させられるメリットがある。自動解除機能も備える。

[TYPE R]世界最高峰の運動性能を所有する

 「タイプR」はサーキットでの速さを徹底的に求めて開発されたスポーツモデル。スポーツカーの聖地と言われるドイツのニュルブルクリンクサーキットで市販FF車最速タイムを叩き出すなど、このクラスでは世界最高峰の運動性能を実現している。なお、最新モデルは快適性能にも配慮されているのが特徴だ。単に速いクルマというだけでなく、乗り心地や静粛性といった部分にも配慮してつくられているのは、大きな進歩と言えよう。

2017年式 ホンダ シビック タイプR(6速MT)全長×全幅×全高:4560×1875×1435mm ●ホイールベース:2700mm ●トレッド前/後:1600/1595mm ●車両重量:1390kg ●排気量:1995cc ●エンジン:直4DOHCターボ ●最高出力:320ps/6500rpm ●最大トルク:40.8kgm/2500~4500rpm ●サスペンション前/後:ストラット/マルチリンク ●ブレーキ前/後:Vディスク/ディスク ●タイヤ前後:245/30ZR20

[インテリア]

 タイプRの伝統である赤をモチーフにしたインテリアを採用。シートは身体を保持する能力を高めた構造で、ハンドルの中央にあるホンダエンブレムも真紅に染めた特別なものだ。シフトレバーも、タイプRシリーズの伝統になっている銀色の球状。素材はアルミ製。

[メカニズム]速さを求め最高の技術を集結

 シビックシリーズでありながらも、タイプRをつくるテクノロジーは本格スポーツカーと同じ思想。強固なボディにハイパワーなエンジン、そして路面をしっかりと捉えるサスペンションがそのコアテクノロジーだ。サスペンションのダンパーは電子制御の可変式で、特性を変更可能。

サスペンションは可変式ダンパーを採用したことで、高い次元の走りを極めつつ、スイッチを切り替えて乗り心地をよくすることもできる。

[市場データ]相場はまだまだ高め。買い時はもうしばらく先

 2017年発売なので、今年で3年目を迎えるシビック。物件数はそれなりに揃ってきたが相場が200万円台半ばと高め。低走行車が中心だが、買い時は先だろう。

  • 走行距離
    走行距離は、1万km未満が半数以上を占めており、低走行物件が中心となる。改造などが施された物件も少なく、良質な車両が揃う。

  • グレード
    バリエーションは、セダン、ハッチバック、タイプR(ボディはハッチバック)の3つ。どれも万遍なく選べるが、ハッチバックがやや多い。

  • 年式
    年式別で物件数を比較すると、もっとも多いのはデビュー翌年の2018年式。ただし、初年度や2019年の物件も揃っている。

自動車ジャーナリスト工藤貴宏の「ホンダ シビックGOODとBAD」

【GOOD】ハイレベルな走りと実用性の高い荷室

 乗って驚いたのは、走りが抜群にいいこと。「タイプR」は言わずもがなだが、そうではない一般的なモデルでも峠道を気持ちよく走れるのだ。車体が大きいので室内や荷室にもゆとりがあり、ファミリーユーザーにもオススメできる。「タイプR」は徹底的な走行性能が自慢。この値段で、FF車世界最高峰の走りが味わえるのだから魅力的だ。

【BAD】高めの新車価格ボディサイズも大きい

 新車を基準に考えると、ライバル勢に対してウィークポイントなのが価格。高く感じてしまう。また、車体の大きさも気になる。かつてのシビックとは違って車体サイズが大きめなので狭い駐車場や狭い道などで気を遣うシーンがあるのだ。一方、「タイプR」に関して言えば走行性能だけでなく快適性も歴代最高水準とトータル性能が上がり、死角は見当たらない。

編集部イチオシ!

ハッチバック ホンダセンシング

「タイプR」を除き装備グレードは全車共通で、ラインアップはボディタイプにセダンとハッチバックの選択肢があることと、後者でCVTのほかMTが選べること。ハッチバックは軽快な雰囲気が魅力で、物件数も豊富。

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
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