中古車購入チェックポイント
更新日:2019.06.07 / 掲載日:2018.11.13

ホンダ ステップワゴン【ONE MAKE MARKET RESEARCH】

左:ステップワゴンスパーダ/右:ステップワゴン

文●工藤貴宏
(掲載されている内容はグー本誌 2018年11月掲載の内容です)
※中古車参考価格はすべてグーネット2018年10月調べ。


ステップワゴンは5ナンバーサイズミニバンで、強豪ひしめくジャンルに位置する。ライバルとの違いもしっかりと理解しながら、その魅力を探ってみよう。

2015年 ホンダ ステップワゴンスパーダ クールスピリット 2WD(CVT) 全長×全幅×全高:4735×1695×1840mm ●ホイールベース:2890mm ●トレッド前/後:1470/1485mm ●車両重量:1700kg ●総排気量:1496cc ●エンジン:直4DOHCターボ ●最高出力:150ps/5500rpm ●最大トルク:20.7kgm/1600-5000rpm ●サスペンション前/後:ストラット/車軸式 ●ブレーキ前/後:Vディスク/ディスク ●タイヤ前後:205/55R17 ●中古車参考価格帯:150万円~350万円(15年~18年 ※全グレード)

強豪ひしめくクラスで差をつける独自アイデア

 「5ナンバーサイズの箱型ミニバン」は日本の新車市場でも売れ筋で、強豪ひしめくジャンル。トヨタ、日産、そしてホンダと3つのメーカーがしのぎを削り、ホンダの車種が「ステップワゴン」だ。
 このクラスのポイントは大きすぎない車体ながら室内は十分に広いことで、どのライバルでも3列目は大人が座ってのロングドライブも受け入れてくれる。 一方で、ほとんど同じ車体サイズのクルマがライバルとなるだけに、各メーカーが重視するのはどうやって他車と差別化するのかということ。そこで5代目のステップワゴンに盛り込まれたのが、実用面では「わくわくゲート」と呼ぶ独自発想のテールゲート。さらにメカニズム面では、ライバルにはない1.5Lターボエンジンの搭載だ。
 背の高いミニバンの実用面での悩みのひとつが、テールゲートが大きすぎて狭い場所では開けられないことや、開閉のアクションが大きいゆえに開けるのが億劫になること。そこで小型で横開きのドアも追加し、気軽に開け閉めでき、車両後部のドアとして簡単に人の乗り降りもできるように考えたのだ。これが使ってみるとじつに便利。
 また1.5Lターボエンジンは、低回転域のトルクが太いので発進加速が力強く、運転しやすい。

インパネは、メーターを高い場所に配置してハンドルに遮られることなく確認できるように工夫。室内は3列目まで無理なく座れる。 ※写真はステップワゴン G EX インテリアオプション装着車(2015年)

スパーダのインテリアは黒を基調としスポーティな雰囲気を強調。本革巻きのハンドルを全グレードに標準採用するなど装備水準も高い。 ※写真はステップワゴンスパーダ インテリアオプション装着車(2015年)

【UTILITY】広い室内が実用的 後部ドアにも技あり

 ステップワゴンが属する「5ナンバー箱型ミニバン」は、広い室内が自慢。そのうえ低い床と大開口部のスライドドアにより、乗り降りも楽々だ。ライバルに対するアドバンテージで特徴的なのは3列目のシート。ライバル中唯一、床下への格納が可能で、3列目を畳んで2列シート車として使うのにも適している。

テールゲートにも独自のアイデアを盛り込んだ。車両後部のドアは上に跳ね上げて開くだけでなく、一部が横方向にも開くのだ。狭い場所での荷物の出し入れにも便利だし、玄関のように出入りも可能。

【MECHANISM】2つの個性的な動力源

 パワートレインは純ガソリンエンジンとハイブリッド(スパーダのみ)。いずれも特徴があり、ガソリンエンジンは排気量が1.5Lと少なめながら、ターボの働きで力強いのが特徴だ。ハイブリッドは、高速領域以外はエンジンを発電機として使う仕掛けで、モーターの走行感が爽快。

  • ハイブリッドシステム

  • エンジン

【SAFETY】

 「Honda SENSING」と名付けられた先進安全デバイスを搭載。2017年9月の改良以降は全グレードに標準装備されている。システムは物体の形を正確に検知するカメラと遠くまで状況を把握するレーダーを目として使う。

  • 「アダプティブ・クルーズ・コントロール」高速道路において、前を走るクルマに合わせて自動で速度をコントロール。一定の車間距離を保って走る。

  • 「車線維持支援システム」車線の真ん中を走るようにハンドルの操作を支援し、車線からはみ出しそうになったときには車線内に戻す。

  • 「誤発進抑制機能」前方にクルマや障害物がある状態で、誤って急加速するのを抑止。運転操作の誤りによる事故を未然に防ぐ。

  • 「衝突軽減ブレーキ」衝突の危険が迫ったときに、自動でブレーキをかけて減速。追突被害を軽減、もしくは衝突を防ぐ。

RIVAL ライバル車種ってどんなクルマ?

 トヨタは「ノア」「ヴォクシー」そして「エスクァイア」の3台があり、プリウス譲りのハイブリッドも選ぶことができる。日産「セレナ」は電気自動車のような爽快な加速が自慢の「e-POWER」も用意。

  • 日産 セレナ中古車参考価格帯:170万円~360万円(16年~18年 ※全グレード)

  • トヨタ ヴォクシー中古車参考価格帯:160万円~290万円(14年~18年 ※全グレード)

MODEL HISTORY 登場から3年でラインアップが拡充

  • 2015年4月:フルモデルチェンジ
    5代目ステップワゴンが登場。5ナンバーミニバンとしてははじめてダウンサイジングターボエンジンを搭載し、エンジン排気量はわずか1.5L。テールゲートに組み合わせた横開きドアも特徴。

  • 2015年7月:車いす仕様車を追加
    アルミスロープを組み合わせた車いす仕様車。スロープは車両中央ではなく左側に寄せて取り付けられ、車いす乗車時でも3列目右側のシートに人が座れるように工夫しているのがポイントだ。

  • 2016年5月:一部改良
    装備仕様の変更が中心。従来はメーカーオプションとしていた先進安全機能(Honda SENSING)と1列目のサイドエアバッグ+カーテンエアバッグなどを「G」系と「スパーダ」系に標準装備化。

  • 2016年10月:モデューロXを追加
    専用デザインのフロントグリルやバンパーで個性を高めたボディに、全高を約15mm低くした専用サスペンションを組み合わせた仕様の「モデューロX」を追加。インテリアも上質な仕上げ。

  • 2017年9月:マイナーチェンジ
    「スパーダ」のフロントデザインを大幅に変更。また「スパーダ」にはステップワゴン初となるハイブリッド車も追加された。先進安全機能のHonda SENSINGも機能が向上し、採用車種が拡大。

  • 2018年4月:モデューロXを一部改良
    組み込まれるナビの画面を10インチに大型化。一方でナビ非装着車も設定され、こちらは従来モデルに対して20万円以上のプライスダウンを実現。購入しやすい価格設定となった。

【先代モデル】広い室内スペースが頼もしい

 2009年10月から2015年4月まで販売されていた4代目。その前のモデル(3代目)に比べると室内スペースは大幅に広くなって5代目と同じ水準で使い勝手がよく、3列目を床下に格納するアイデアも盛り込まれている。エンジンは全車とも排気量2Lの4気筒自然吸気だ。

中古車参考価格帯:80万円~230万円(09年~15年 ※全グレード)

車体をダウンサイジングした3代目から一転し、全長を伸ばすとともに背を高くして居住空間が広がった。内外装の仕立ては標準モデルとエアロ外装&黒内装の「スパーダ」が用意されている。

【MARKET DATA】中古車市場ではスパーダが人気 相場はやや高めだが物件が充実する

 価格重視ならば標準モデルがねらい目だが、好みの仕様を選ぶなら物件豊富なスパーダがオススメ。3年落ちなら200万円前後の予算から探せるほか、走行距離も少ないものが多い。マイナーチェンジから1年が経過し、前期型はこれから相場が下がることが期待できそう。

  • 年式
    ●もっとも豊富なのがデビューした2015年式。ちょうど車検を迎えたものが多い傾向。また2018年式は登録済未使用車がほとんど。

  • 走行距離
    ●デビューから丸3年程度しか経過していないため、走行距離は少ないものがほとんど。3万km前後のものが中心だが、未使用車も多い。

  • グレード
    ●全体の8割近くがスパーダとなり、標準仕様はかなり少なめ。上級グレード「クールスピリット」は相場は高いが、物件は豊富である。

自動車ジャーナリスト工藤貴宏の「ホンダ ステップワゴンのGOODとBAD」

【GOOD】わくわくゲートとパワートレーンが魅力

 ライバルに対するステップワゴンの魅力はいくつもある。実用性でいうと「わくわくゲート」や転回して床下に格納する3列目シートといった独自の発想は便利で、ライバルにはないからステップワゴンを選ぶべき理由として魅力的だ。またパワートレインは、1.5Lターボエンジンの走りが力強く、ハイブリッドは爽快感でトヨタのライバルに勝る! セレナとは互角。


【BAD】3列目シートの構造は好みが分かれるところ

 3列目シートの格納方法は、ライバルが左右跳ね上げ式なのに対してステップワゴンは床下格納式で独自だ。このシートは便利だけど、使い方によっては好みが分かれるところ。優れているのは、格納時は完全に姿を消してしまうから荷物を積む際にも後方視界にも邪魔にならないこと。日常的に畳む人に向いている。難点は、構造上シートサイズが小さいこと。

編集部イチオシ!

買いのグレードは「スパーダ クールスピリット」

ブラックコンビシート、17インチアルミ、パドルシフトなどスポーティな装備が充実する「クールスピリット」。物件豊富で、装備内容を考えれば素のスパーダよりお買い得だ。


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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
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