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更新日:2018.10.19 / 掲載日:2018.02.22

プリウスが培った技術はEVへ発展できる?

欧州を中心に脱内燃機関車を目指す「EVシフト」が鮮明になっているが、日本メーカーはこれにどう対応していくのかが心配される。ハイブリッド車がメインのトヨタは勝てるのか?を、20年の電動化技術の進化で示していた。

プリウスが培った技術はEVへ発展できる?
 トヨタは昨年11月末に20年以上にわたって培ってきた車両電動化技術の説明会を歴代プリウスの主要ユニットや構成部品の展示とともに行った。最近CO2規制や大気汚染問題、そしてディーゼルゲート事件などで、脱内燃機関を宣言する国やカーメーカーの電動化プランが注目されるが、ハイブリッド車をメインにしているトヨタでは、ピュアEVがなかなか見えてこない。海外市場での対応次第では日本のメーカーの存在も危ういのではないかという危機感も高まってきている中、EV化へも対応できる技術は常に磨いているから安心してくれというのが、今回の説明会の趣旨のようだ。
 クルマの電動化に必要な3大要素は、モーター、バッテリー、パワーコントロールユニットとされている。ハイブリッドのプリウスでもこれらは当然必要で、代ごとに小型で軽量、効率を大きく引き上げている。この20年でモーターは出力が2倍になっているが容積は半分となり、体積あたりの出力は4倍となっている。バッテリーでは質量で30~50%、体積で60%の小型化を図っており、これはラゲッジスペースの拡大に大きく役立っている。モーターを制御しバッテリーのエネルギーを無駄なく使うためパワーコントロールユニットはエネルギーロスを80%も削減し、体積も半分にしている。
 普及してこその環境対応技術という取り組みは2017年9月末時点でハイブリッド車の累計販売台数が1000万台を突破し、同クラスのガソリン車比でのCO2削減効果では累計7700万トンにもなるとしている。グローバルでの電装車両シェアは実に40%に達している。それでもEV化となると、充電時間や航続距離、コストや耐久性の面からバッテリー技術のブレークスルーが不可欠になる。現在有望視されるのが全固体電池の実用化で、トヨタもこれに参入を開始しているが、実用化は2025年から2030年あたりではないかとみられている。海外メーカーも含め、それまでのつなぎも気になるところだ。

icon 初代

1997(NHW10/11)

貴重な初代プリウスのカットモデル。乗り降りのしやすさや十分なヘッドクリアランスなど、5ナンバーサイズながらセダンの基本をしっかり押さえている。前期ではバッテリーが大きくリヤシート背面配置のためトランクスルーは実現していない。後席座面下に燃料タンクがあり、初代のみ給油口は右側。ブレーキは、ハイドロブースターを採用。パワーコントロールユニットも大きく、トランスアクスル上でドーンと居座っていた。

icon 現行4代目

2015(ZVW50)

2代目からは5ドアハッチバックへの3ナンバーサイズに拡大。3代目からエンジンは1.8Lとなっているが、4代目は新しいTNGAプラットフォームを採用し、トランスアクスルの平行軸化やパワーコントロールユニットの小型化を行い、スペース効率が大幅に向上。12Vの補機バッテリーをエンジンルームに搭載できた。ハイブリッド駆動用バッテリーは、リヤシートの座面下に配置されてラゲッジスペースも拡大。

エンジン&THSトランスアクスルの進化

icon 1997【初代】 モーターの冷却に腐心した形跡

エンジンは4気筒1.5Lの1NZ-FXEで前期は43kW(58ps)、モーターは30kW(41ps)。空冷式だったので、ミッションオイルからの遮断が必要なのと冷却で苦労していた模様。発電機のステーターコイルには白いモールドが封入されているが、これは熱伝達を少しでもよくするためらしい。

icon 2003【2代目】 500Vへの昇圧システムを採用

初代に続き、動力分割機構からサイレントチェーンでファイナル側へ動力を伝える構造を採る。駆動電圧はバッテリーの288Vを500Vに昇圧して、モーターは6000rpmへと高回転化し、最大トルクも400N・m、出力1.5倍へと大幅に強化。モーター室は油室化されて冷却性能も向上。

icon 2009【3代目】 プラネタリー式の動力分割機構

エンジンは1.8Lの2ZR-FXEへ拡大。モーターを小型化して、13500rpmへと2.25倍に高回転化しつつリダクション(減速比2.636)機構で駆動力を確保。トランスアクスルのオイルレベルを最適化することでオイルによるロスを減らしている。可変電圧で650Vまで昇圧可能。

icon 2015【4代目】 モーターレイアウトを平行軸式へ大変更

エンジンは3代目と同じだが、高タンブル燃焼室の採用などで最大熱効率を40%に引き上げた。モーターの小型化にともなって従来の短軸から副軸の平行軸式として、トランスアクスル自体を大幅に小型化。昇圧システムは600Vと少し下げている。JC08モード燃費は専用グレードで40.8km/L。4WDも加わった。

駆動用モーターの進化

高回転化でMAX17000rpmへ到達
モーターは、モーター特性と減速機構の最適化による「小型軽量化」、「冷却性能」向上、モーター駆動ユニットの効率向上による「低損失化」、電動ユニットの「静粛性」向上が進められ、低コスト化も行われた。モーターを同軸配置する2代目までと、リダクション式を採用した3代目以降ではサイズや最高回転数が全く異なっている。コア体積では、代ごとに5.1→4.7→2.7→2.2(L)と小さくなり、回転数は、5600→ 6000→13500→17000(rpm)。構造的には4代目のコイルに角線を採用したところなどが目立つ。

  • 初代

  • 2代目

  • 3代目

  • 4代目

4代目のコイル線は角線にして、導線の密度を上げているが、これはアクアに先行導入されている。コアプレートは2代目までが0.35mmで、3代目で0.3mm、4代目で0.25mmと薄くなり低損失化に貢献。

高圧ケーブルもここまで簡素化

高電圧ケーブル一つ見ても、凄まじい進化を遂げている。初代は、三相交流で1本ずつ分かれていたが、2代目では一束にまとめられ、4代目では6本をコネクターハウジングと共にセット。高電圧化で電流を減らしていることも効いている。

  • 初代

  • 4代目

EVシフトに必要な要素はすべて揃っている

本当は遅れていない!?

主要コンポーネントの違い

HV
ハイブリッドで電動車に必要なコンポーネントづくりがすべて行われている。モーター、パワーコントロールユニット、バッテリーの3大ユニットを備えている。

PHV
プラグインハイブリッド(PHV)では、HVに対して外部充電器が加わり、EV走行の航続距離を増やすためにバッテリーも大容量化される。エンジンでの走行も可能。

FCV
ゼロ・エミッションながら、充填時間の短さや航続距離ではEVに優る水素燃料電池車。ハイブリッドの発電機部がFCスタックとFC昇圧コンバーターになる。

EV
電気自動車でも、HV技術で培った電動化3大要素はそのまま使える。そこに大容量のバッテリーと外部充電器を追加すればよい。問題は電池のコストや使い勝手。

パワーコントロールユニット(PCU)の進化

歴代PCUユニット。写真左から初代→2代目→3代目→4代目。

パワー素子の積層化や直冷化でギュッと小さく
低損失化ではパワー半導体(IGBT)の進化で、初代が1とすると、2代目以降0.32→0.25→0.21と1/5程度に。素子面積も4代目では47%に縮小。PCUの体積も初代の17.4Lから昇圧化した2代目は19.2Lと大きくなるが、以後12.5→8.4Lと半分以下になった。出力密度は初代と4代目比で2.5倍だ。

IGBTも内製化

IGBTを作るためのシリコンウェーハーも自動車用のハイブリッドに適した素材を研究し、当初から内製している。初代は世界初の車載用温度センサー内蔵型。2台目は世界初8インチウェーハーでの量産、3代目は世界初のトレンチゲートIGBT、4代目はキャリア蓄積構造を採用し低損失化を進めた。

  • 写真左から、初代→2代目。

  • 同じく左から、3代目→4代目。

3代目までは平面、4代目で積層化に成功

素子の面積や損失も代ごとに減らしているが、冷却方法も変えている。初代と2代目は片面冷却、3代目は世界初の直接冷却方式を採用して放熱グリースを廃止し、高放熱と軽量化を実現。4代目は、IGBTを冷却器で挟んだ世界初の両面冷却構造として、冷却性能が飛躍的に向上した。

バッテリーの進化

最初期のみ筒型
バッテリー技術開発の3本柱は、小型化、軽量化、そして高入出力化。コスト低減には搭載性をよくして多くの車種へ展開。初代の前期は筒型ニッケル水素。2代目は角型で放熱をよくするためアルミ板を貼っている。現在はリチウムイオンバッテリーもある。

  • 初代前期

  • 初代後期

  • 2代目

  • 4代目(リチウム版)

クーリングファンも細かく進化

リレーやサービスプラグなど小さな部品で、進化やコスト低減策を展示していた。これはバッテリーの冷却ファン。基本はシロッコ型だが、低電力化や低騒音化など代ごとに変えている。3代目の斜めハウジングや外周のリブ(ノイズ放射対策)などが印象的。

  • 3代目の斜めハウジング。

  • 3代目のハウジング外周にはひし形のリブが設けられている。

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グーネットマガジン編集部

ライタープロフィール

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
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