中古車購入チェックポイント
更新日:2018.11.27 / 掲載日:2016.04.15
春の乗り換え守るべき絶対ルール

多くの人が新生活を迎える春は、中古車市場も動く時期。フレッシュマンが初めての愛車を、なんて話はおおいに結構だが、すでにクルマを持っているオーナーだってこの好機を逃す手はない。お得な“乗り換え”購入の方法を紹介していこう。

購入後ハッピーになれる乗り換え成功の秘訣とは?
現在乗っているクルマを手放して別のクルマを買う、すなわち愛車を“乗り換える”ということ。魅力的なクルマと出会ったり、現在の愛車が故障したりなどと、その動機は人それぞれだろうが、乗り換えというのは、実はそれなりにハードルの高い作業である。
そもそもクルマの購入にはそれなりに費用がかかるし、満足度の高い買い物ができないと後で後悔することになってしまう。だから現在の愛車より次に買うクルマのほうが魅力的であることはもちろん、家族を説得するための乗り換える理由や、乗り換え後に得られる楽しいカーライフが想像できなくてはならない。
では、購入後ハッピーになれる乗り換えには、いったいどんな条件が必要となってくるのか。まずは愛車をできるだけ高い金額で手放したいところだし、そのためにも絶好のタイミングで売却・購入ができれば最高だ。また、現在悩まされているクルマのトラブルが次のクルマで起こらなければ好ましいだろう。今回は、これら乗り換え成功の秘訣について探っていこうではないか。
「愛車を高く手放して、次もいいクルマを買う!」ための基本講座 ~賢い乗り換えのために~
タイミングと売却先をよく考えて高額で手放す
乗り換え購入をする際、まず気になるのがタイミングだ。そもそも春は乗り換えに適したタイミングと言えるのだろうか。結論から言うと、ベターなタイミングである。実は、中古車の需要が1年で一番多くなるのは2~3月の卒業や就職のシーズン。4月以降はこの需要が一気に減るということもあり、相場が下がると言われている。さらに、販売店側が2~3月に減ってしまった在庫を補充するため、査定時にもそれなりにいい値がつくことが多いのだ。
次に、現在の愛車を高く手放すことも乗り換えの大切なポイント。手放し方には、販売店に引き取ってもらう下取りのほか、買取店へ売ったり、知人への譲渡やオークションなどを利用した個人売買などもある。買取が最も高額というのが定説だが、ひと手間かかることを考慮したり、近年は下取りでも結構いい金額を出してくれるという話も聞かれ、下取りに出す人も増えている。
最後のポイントは、かかる時間を短縮するということ。無駄な時間を浪費していては乗り換えに成功したとは言えない。手順と手続き内容を知り、迅速に作業を済ませたい。
1日でも早く手放す

長く維持していれば、それだけランニングコストがかかるし、車検の時期も近づいてくる。早めに手放すほうがベター
時間とともに下がり続ける愛車の価値
タイミングは大切だが、売ると決めた愛車を長く持っていても査定額が上がることはほぼない。基本的には早めに手放したほうが得することが多い。購入も、相場をみながらタイミングを計るのはひとつの手だが、中古車は同じものが存在しないオンリーワンの存在。売れてしまう前に思い切って購入することも大切だ。
売却と購入の流れを知る

納車時期は販売店に相談して多少操作することも可能だが、自宅に駐車場が1台ぶんしかないのに2台同時所有となると大変
段取りとかかる時間を知っておくことが大切
スムーズな乗り換えを実行するためには、売却と購入の段取りを事前に知っておくことが望ましい。下取りなら無駄はないが、買取店への売却や個人売買などをする場合、一時的に2台所有してしまったり、愛車のない期間が長くなったりして、無駄な手間や時間、費用などが発生してしまうこともあるからである。
書類の準備を進めておく

自動車税を支払ったことを証明する納付証明書。車検時にも使うが、売却時にも必要なので車検証と一緒に保管しておくべきだ
まずはなにが必要かを知ることから
無駄な時間を使わないよう書類を早めに準備しておけば、購入の段取りもスムーズに進む。現在の愛車の車検証、自賠責保険証明書、自動車税納付証明書、譲渡証明書などは売却時に使い、印鑑証明(と実印)や委任状は売却と購入どちらにも必要、車庫証明は購入時に必要となる。まずは印鑑証明を準備しておこう。
愛車の手放し先として考えられる選択肢
中古車販売店
購入を考えている中古車販売店で、そのまま下取りしてもらう。売却と購入を1店舗で済ませられ、いろいろな手間が減る。下取りNGの販売店もある。
買取店
一括見積りサイトに登録すれば多くの買取専門店から連絡がくる。専業としている業者も多いことから、基本的にはここが最も高値。ただし車種にもよる。
個人売買
知人やオークション利用者などに個人的に譲渡する。手続きをすべて自分で済ませる必要があるため多少面倒なことと、支払いの確実性が気になる部分。
廃車
寿命をむかえた現在の愛車は、手放す際に廃車せざるをえない。次のクルマの購入店で手続きをしてくれることもあるが、多少の出費は覚悟するべき。
今こそ乗り換えるべきクルマっていったいどんなモデル?
春を迎えたこの時期だからこそ乗り換えるべきモデルやジャンルとはいったいなにか?
以下の5つのケースごとに、「現在の愛車」「次に買いたいクルマ」両方の視点から、乗り換えるべきか否かを考察していく。
CASE1 オープンカー
オープンドライブには絶好の季節となるが?
魅力的なニューモデルが相次いで発売され、にわかに盛り上がっているオープンカー市場。マツダ・ロードスターやダイハツ・コペンなどの先代型の中古車相場は下がってきており、現在これらのモデルに乗っているオープンカーオーナーにとっては売り時とはいえない。
一方で、これらのモデルを買おうと考えている人にとっては好都合だ。一世代前のモデルでも気にしない、むしろ一世代前のモデルのほうがデザインが好きだったなどという人にとっては狙い目の時期でもある。
季節的な面で考えるならば、春はオープンカーで走るのには絶好の季節。需要が高まるため、冬から春は相場が上がる時期となり、手放すならできるだけ早めがいい。購入するのなら、この春は楽しめないが、相場が低くなる梅雨が狙い目だ。
代表的モデルの相場と流通台数

ロードスターの場合、新型への乗り換え需要が喚起され、2~3代目モデルが狙い目に。市場が活況したことで、良質な物件が増えた
現在オープンカーに乗っている人
相場が上昇中につき手放すなら早めが吉
これからオープンカーに乗りたい人
梅雨あたりまで待てば相場が下落する
CASE2 コンパクトカー
狙い目は流通台数の多いロングライフな現行型
マツダの現行型デミオやホンダ・フィットのハイブリッドは例外的に今後もしばらく高めの相場が崩れそうにないが、「やや古めの現行モデル」は流通台数が多く、これらのお買い得度がかなり高まっている。特に、いまだモデルチェンジの気配がない日産・キューブや、タイ生産のためマニアからの評価が低いマーチ、存在としては地味ながら意外に販売台数の多いノートやトヨタ・ヴィッツなどはお買い得傾向にある。
季節的に考えると、2~3月のフレッシュマン需要が終わり流通量が増加しているため、売りの時期とは言えないが、買うほうならまだ狙い目。購入初心者はとにかく安い物件へ流れる傾向があるので、格安でなくてもそれなりに程度のいい、トータルでお買い得といえる物件が残っている可能性が高い。
代表的モデルの相場と流通台数

デビュー8年目となるキューブは狙い目。新型プリウスの登場以降、トヨタ・アクアも相場が下落。100万円以下の物件が増加傾向にある
現在コンパクトカーに乗っている人
流通量が多いので売りの時期とは言えない
これからコンパクトカーに乗りたい人
お買い得物件を探してみる価値あり
CASE3 SUV・ワゴン
高い人気を誇るSUVだがデザインによっては狙い目に
SUVやワゴンは、夏のレジャーシーズンに向けて相場が上がっていく傾向にある。この春に手放すことを考えているようであれば、早めに動くのがいいだろう。購入を考えている人は、6月あたりまで流通台数が増えていくので、じっくり物件を探していっても問題ない。
また、近年は総じてワゴンは不人気、SUVは人気が高いという風潮がある。さらに、SUVのなかでも、ファッション感覚で乗りたい場合は「待ち」、アウトドアなどで道具として使いたい場合は「旧型モデルがおすすめ」という状況だ。トヨタ・ハリアーやマツダ・CX-5など都会的デザインのクロスオーバーモデルは総じて相場が高いが、機能性を重視してアウトドア使用を目的とするならば、1~2世代前のクロカン系モデルが断然狙い目となる。
代表的モデルの相場と流通台数

ハリアーなどクロスオーバーモデルの相場の下落はあまり期待できない。日産・エクストレイルなどは旧型でも使い勝手の良さがハイレベルだ
現在SUV・ワゴンに乗っている人
相場が上がっていく時期なので売り時
これからSUV・ワゴンに乗りたい人
夏前までにじっくり選んでいければいい
※すべての価格は参考価格です
※中古車市場データはGoo-net 3月調べ。

CASE4 車検切れ間近のクルマ
5年経過した物件は乗り換えを熟慮せよ
車検が切れそうだから乗り換えるという人は多い。新車から2回目までの車検なら、税金と点検費用くらいしかかからないが、3回目以降となると、修理や消耗品の交換などで工賃がかさむようになってくることが多いからだ。しかも車検の際に多額のメンテナンス費用を投じても、手放す際には査定にそれほど影響しないのが悲しいところ。
愛車がまだ新しいうちは、乗り換え前に車検を受けても大きな損はないが、新車登録から5年を過ぎている物件は、車検の見積もりを出してもらい、整備費用がどのくらいになるかを把握したうえで乗り換えプランを立てるのがベター。車検切れが間近に迫っている時は、費用を最小限に抑え(可能ならユーザー車検など)、なるべく車検の残り期間が多いうちに乗り換えたい。
新車登場時から3年・5年目のモデル
現在車検切れ間近のクルマに乗っている人
車検見積りを見てから判断したい
これから車検切れ間近のクルマに乗りたい人
良縁を逃さずに入手するのがベター
CASE5 2世代前のモデル
スポーティ系やSUVの一部モデルは独自の動き
基本的には、新型が発売されるとその数ヶ月後には先代モデルが値落ちしはじめる。同様に、さらに前の先々代型になってしまった2世代前のモデルはやはり相場が下がるので、買うなら絶好機到来、手放すなら残念な結果となる。
ただし、スポーツカーやSUVは古くなっても人気を維持する傾向があり、2世代前の物件を購入しても数年後に一定の値がつくことを期待できるものが多い。スポーティ系ではスバルWRXや三菱のランエボ、SUVではランクル系などは、多少古くなっている2世代前のモデルでも比較的安心して買える。
同様に、これらのモデルなら2世代前になってしまっても、今ならまだ高値で手放せるので、現状よりもさらにいいクルマに乗り換えやすい状態にある。
ハイエースなど盗難されやすいクルマの上位に挙がってくるモデルも、世代を問わず相場が落ちにくい傾向にある
ランエボなどマニア受けのするスポーツモデルは、現行型も2世代前のモデルも固定ファンがいるので値は落ちにくい
現在2世代前のモデルに乗っている人
マニアに人気のモデルは査定に希望あり
これから2世代前のモデルに乗りたい人
年式が古くなり過ぎないうちに購入したい
絶対!今よりいいクルマを買いたい人のための物件の絞り込み方
乗り換えるべき最適な時期がわかったら、いよいよ車種や物件を絞り込んでいくことになる。そこでこのコーナーでは、具体的な質問とそれに対する答えという形で、物件の絞り込み方を提案していく。
条件に即した車種から満足度の高いものを選ぶ
人が乗り換え購入をする理由はさまざまだ。「家族が増えた」「引越しをした」など生活環境の変化があった時や、現在の愛車が壊れてしまった時、もちろん、欲しかったクルマを買う資金が貯まったので満を持して乗り換えるという人もいるだろう。
これらの理由と予算によって選べる車種はある程度決まってくる。ただ、乗り換えということであれば絶対にいまの愛車より「買って得した!」と思えるモデルを選びたいのが人の心というもの。もちろん、譲れない部分を譲らずに“自分の好きなモデルを選ぶ”ことを第一条件にして物件を絞り込んでいこう。
Question 次に買うクルマは今の愛車より車格を上げたいと思っているのですが維持費が心配です。
Answer 生活に影響しない程度なら車格のアップは有意義

自動車税の年額は、軽自動車以外で排気量1000cc以下だと2万9500円。以後、排気量が500cc増えるごとに高くなっていく
現在の愛車より魅力的なモデルに乗り換えたいと思うのは当たり前のこと。マークXからクラウンなど、現在の愛車より車格の高いモデルを所有できれば、きっと購入後の満足度も高いことだろう。もちろん排気量やボディサイズが大きくなれば、税金や保険、燃料代といった維持費用は増額されることになる。要はどちらに重心を置くかだが、まずは欲しい車種の維持費を算出してみよう。おおよその金額はGoo-netやネットなどで確認できる。そのうえで、増額された費用が生活を圧迫するようなら諦めるべきだし、無理のない範囲であれば乗り換えるのがいい。車格が上のモデルに乗ることで、新たなクルマの魅力と出会えるかもしれない。
Question 次のクルマを選ぶにあたって今より古い年式のクルマを選ぶのはやはりリスクが大きいでしょうか?
Answer メンテがしっかり施されていれば多少の古さは問題ない

ユーザーからの賛否はあるが、ガソリン車で13年、ディーゼル車で11年を超過したクルマは自動車税が15%ほど高くなる
リスクという点では、年式が古く経年劣化が進んだ物件が壊れやすいのはたしかである。とはいえ、年式が古くてもしっかりメンテナンスされていれば故障は少ない。逆にいえば年式が新しくてもメンテが行き届いてない物件は壊れやすいということ。これは物件選びする際に最も気をつけておきたいポイントだ。同様に、走行距離の少ない物件のほうが劣化は少ないが、あまりにも走行距離が少な過ぎる物件は、逆に調子が悪くなることもあるので注意。13年経過したクルマは自動車税が高くなるというデメリットはあるが、いま以上に魅力的だと自分が感じられるモデルであれば、年式の古さというのはあまり関係ないということだ。
Question クルマを選ぶ時はカタログ燃費を参考にしていますが今より燃費性能の低いモデルは選ばないほうがいいですか?
Answer 燃費はあくまでも目安それより価格を気にすべき

年間5000km走行する人なら、1.0km/L燃費がいいクルマで得をするのは、1年で約5000円程度(リッター120円で計算)。
とにかく費用をかけず、追い金をできるだけ減らして購入することも、乗り換え購入のひとつの成功パターン。そんな人にとって、新しく買ったクルマの燃費が今の愛車よりよくないとショックである。たしかにクルマの基本性能というものは年々向上しているはずなので、より年式の新しいクルマを買うのであれば、燃費性能も高くなると想像しがち。ただ、それは車種によってさまざまだし、あくまでも目安であるカタログ燃費と実燃費との差も車種によって違ってくる。燃料代は日々のカーライフにおいても気になる部分だが、燃費数値の差より車両価格の差を気にすることをおすすめする。こちらのほうが財布に影響することが多い。
Question 国産車から輸入車へ乗り換えたいと思ってますが壊れやすいって本当ですか?
Answer 壊れやすいモデルもあるが壊れないクルマなんてない!

世界中のメーカーから数え切れないほどの車種が販売されていて、それぞれのモデルでしか味わえない味や魅力がある
輸入車は壊れやすいというイメージを持っている人が多いようだが、これって半分は本当で半分はウソ。たしかに一部の輸入車は国産車と比べて壊れやすいし、機械製品としての耐久性に欠けるものもある。国産車と違って部品が手に入りにくく、修理に時間や費用がかかるという面もある。もちろんこれがすべての輸入車に当てはまるわけではなく、生産年やブランド、車種によってもさまざま。しかし、国産車だって壊れる時は壊れるもの。「本当に好きなモデルだったらお金や手間がかかっても許せる!」という人であれば乗り換えてもまったく問題ない。ただし、国産車より維持費がかかることは想定しておいたほうがいいだろう。
Question 欲しいモデルを探すとチューニングされた物件ばかり。デメリットってありますか?
Answer ノーマルパーツがないと売却査定は低いが仕方なし

90年代に発売されたモデルはデザインにも多大な開発費用がかけられていて、いま見ても十分カッコいいモデルが多い
最近スポーツカーに注目が集まっている。特に、若い頃は金がなくて買えなかった40代の人たちが、年月が経ち安くなった90年代のスポーツカーをいま中古で狙うというパターンが多い。しかし、流通物件のほとんどがドレスアップやチューニングを施されたものばかりなので、自分の好みに合うものを探し出すしかない。デメリットとして考えられるのは、手放す際の売却額の低さ。純正パーツも保管してあって元に戻せれば問題ないが、そういう物件はあまり多くない。ただ、元来「走ってなんぼ」のスポーツカーだけに、見た目はもとより中身も経年劣化しているのは当たり前。自分の代で「乗りつぶす」くらいの心もちで買うのがいいだろう。
いい物件を見つけたら販売店へ! 店頭チェック時のポイント
よさそうな物件が見つかったら、いよいよ店頭で物件確認だ。今の愛車よりいいクルマが欲しいと思っているなら、必ず実車をチェックしておきたい。現在の愛車と並べて比較してみてもいいだろう。
実際にシートに座ってみて現在の愛車と比べてみる
今の愛車以上に魅力的なモデルに乗りたいと思っているなら、実車確認は必須だ。買おうと思っているモデルを過去に運転したことがあるならともかく、クルマは写真と実物で印象が異なることも多いし、実際に自分の目で見て、今の愛車と比較することができるからである。
まず販売店に着いたら、店員と話をして物件の経歴などを聞き出そう。前オーナーの乗り方まで聞ければ最高だが、わからないようであれば、整備記録簿などをチェックさせてもらうのもいい。過去のメンテナンス歴が書類にしっかりと記帳されていれば故障のリスクは低くなる。
次は車内に乗り込んでみよう。ドライビングポジションを取り、現在の愛車とのフィーリングの違いを確認し、自分の身体に合っているか、苦手な感じがないかどうかを確かめる。この時、嫌なニオイがないかどうかもチェックしておくといい。
最後に、可能であれば、購入検討車の側にその日乗ってきた愛車を並べてみたい。よく見比べてサイズ感やデザインの好みもチェック。今の生活に照らし合わせ、乗り換え後の雰囲気を想像してみよう。
POINT_01
店員の話や書類などからメンテの有無を調べる
POINT_02
車内に乗り込んでフィーリングを確かめる
POINT_03
近くに並べられるなら今の愛車と見比べてみる

試乗可能かどうかは販売店や物件にもよるが、可能なら必ず試乗したい。乗ってみて初めてわかることは意外と多い
※すべての価格は参考価格です
※中古車市場データはGoo-net 3月調べ。

大切に乗っていればいいんじゃないの? 愛車の価値を下げないための毎日の乗り方とは?
TEXT 伊達軍曹
数百もの中古車販売店を取材した経験を持つ中古車研究家。現在の愛車は、その経験をもとに実車を見ずに購入した初代ロードスターとルノー・カングー。
購入者の目線で考えて内外装のキレイさを保つ
高く売れるクルマとは、当たり前の話だが「多少高くても買いたいと思うユーザーが多いクルマ」である。で、それは果たしてどんなモノか?ということを考えてみれば、毎日の乗り方は自ずと見えてくる。
誰しもが「内外装ができるだけキレイな中古車を買いたいなぁ」と思うため、まずはそこを日々徹底しよう。外装をキレイに保つためには、洗車をひたすら繰り返すよりも「屋根付き密閉車庫で放置プレー」のほうが実は効果的だ。しかし愛車を屋根付き密閉車庫で保管している人の数よりも、青空駐車場に置いている人のほうが圧倒的に多いだろう。
そこで「ボディカバー」だ。
最初は面倒くさく感じるかもしれないが、「帰庫したら必ずボディカバーを被せる」という習慣さえ付けてしまえば、ボディ表面が紫外線や鳥のフンで傷むという減点要素を最小限にすることができ、同時に内装が紫外線でヤレまくることもない。
どうしてもボディカバーは面倒でイヤだという場合は、せめて専門店でボディのガラスコーティングは施工しておこう。
そしてお次は内装。「車内は土足厳禁で飲食禁止!」ということにしておけば、そりゃインテリアはいつまでもキレイだ。しかしそれではあまりにも堅苦しすぎる。何かの食べこぼしが多少車内に散らばったっていいじゃないか。しかし内装の汚れに関しては「極力すみやかに掃除するクセ」を付ける必要はある。
できれば即日中に、そうでなくても数日中に、食べカスなどは小型掃除機で吸引する。そしてできれば毎回、運転後は固く絞ったウエスでステアリング表皮を拭き、ついでにその他の内装部分も拭きあげておくとより良い。それだけのことをするかしないかで、1~2年後の「車内の見栄え」は天と地ほどに変わる。当然、「天」のほうがはるかに高値で売却できるだろう。
保管
保管
洗車しなくてもいいような環境を作ってあげたい
屋根付き車庫保管が最高だが、青空駐車ならボディカバーが有効。洗車のやり過ぎはボディに優しくない
整備をしっかりこなせば査定額はさほど下がらない
内外装の美観を日々整える習慣が付いたら、あとは日々のメンテナンスだ。といっても特に神経質になる必要はなく、半年に一度を目安にエンジンオイル交換をしっかり行い、そして12カ月法定点検と24カ月法定点検をディーラーや工場などで受け、その証を「整備記録簿」に記載してもらうだけのこと。これの有無でも査定額は微妙に変わるものだ。というかそもそも、点検を受けていないクルマは往々にして調子を崩す。で、調子を崩したクルマを高値で買い取る業者はほぼいないと思っていい。
そして日々の運転に関しては、基本的にはごくフツーに行えば特に問題はない。もちろんボディの四隅やサイドミラーの端などをぶつけたり擦ったりしないよう注意するのは言うまでもないが。ただし走行距離は、高値売却を目指すのであれば「年間1万km以下」に抑えるべきで、もしも「年間8000km以下」に抑えられるならベターだ。まぁそこばかりを意識しても人生つまらないので、必要以上にこだわりすぎる必要もないとは思うが。
メンテナンス
メンテナンス
定期点検をこなせば調子は維持できる
必要最低限のことを実施していれば問題ない。実施時は記録簿の記帳や実施内容のわかる書類を保管する
運転
運転
ボディ四隅に注意し安全を心がけた運転を
気をつけていても、ボディ角やホイールは擦りやすい部分。査定額が違ってくるので丁寧な運転を心がけて
愛車査定時に準備すべきこと
中古車店での下取りや買取の査定の際、気をつけるべきことや注意点などをまとめた。
査定額アップのためにできることは?
まずは「その車種・その年式のだいたいの相場」を頭に入れておくこと。といっても我々ユーザーが知ることができるのは「販売価格の相場」だけで、「買取額の相場」ではないのだが、そうだとしても、そのクルマの直近の販売相場はいちおう調べておきたい。
もしも社外パーツに交換している箇所があり、そして元々の純正部品を保管しているのであれば、それをトランクなどに入れて持参する。中古車というのは(基本的には)純正状態に近ければ近いほど高査定になるからだ。
で、必要な書類がそろっていることが確認できたら、査定の“直前”に洗車を行う。やはりホコリと泥だらけのクルマでは高査定は得にくい。いちばん安い水洗い洗車でOKなので、とにかく直前に洗車しよう。

査定してもらう前に洗車するのは欠かせないことだが、日頃からある程度綺麗にしておくよう心がけていると汚れもつきにくい
まとめ 愛車を40台以上乗り換えてわかった乗り換えのコツと乗り換えの喜び
―買うときは恋愛、売る時はビジネス。 乗り換えは、結婚と離婚に似ている。
どんなクルマに乗り換えるか。それはもう「あなたが好きなクルマ」に決まっている。あなたが惚れたクルマと言ってもいい。惚れる原因にはさまざまある。外観デザインや内装やユーティリティや動力性能その他モロモロ。すべてはあなたの好み次第だ。
購入するお店も同様。気に入ったお店で買えばいい。どんなお店を気に入るかも好き好きである。中古車の場合、同じ状態のクルマは1台たりともないので、どんなクルマをどんなお店で買うかは、もちろん損得もあるにはあるが、究極をいえば恋愛のようなもので、完璧な正解は存在しない。
が、現在の愛車をどこで手放すかに関しては、違う。愛車と引き換えにいくらお金をもらえるかという、完全な数字の勝負だからである。もちろん、あんまりいろいろなお店で査定してもらうのは疲れるからイヤだ、といった事情はあるだろうが、とにもかくにも数字という絶対基準に置き換えられてしまうぶん、恋愛とは正反対で、一種のビジネスだということができるだろう。そこには正解みたいなものが存在する。
私はこの半年で2台のクルマを買い、3台のクルマを手放した。買った2台は好きだから買ったのであって、恋愛のようなものである。しかし売った3台はビジネスだった。
たとえば4年間乗ったトヨタ・アクア。
左サイドは家族がボコボコにぶつけたままの、けっこうくたびれた感じのクルマだったが、シエンタの新車購入にともない、ディーラーに下取り査定を依頼したところ、33万円という答えが出た。
うーん、かなり安い。しかしサイドはボコボコだし4万km走っているし、こんなもんか。そう思いつつインターネットの一括査定をやってみたところ、最終的には67万円もついてしまった。まさか!であった。

新車を購入するために同店で下取りしてもらおうと思ったが、ディーラー査定ではそれほど高値がつかなかった。諦め半分でネットの一括査定にチャレンジすると、まさかの2倍に!
その前に売ったのはBMW335iカブリオレ。2軒のBMWディーラーでの査定額は、それぞれ130万円と140万円だった。他の中古BMWへの乗り換え前提の金額だったので、これが世間的にいっぱいいっぱいの数字なのかと一瞬誤解した。
が、結局BMWをやめて中古のランチアを買うことを決め、その販売店で下取り査定をしてもらったところ、「オークション相場が180万円くらいですから、170万円でいかがでしょう」と言われたのだ!
ディーラーの下取りより30万から40万も高いじゃないか!
別にディーラー下取りをくさすつもりはない。今回の3店がたまたま渋かっただけかもしれない。が、言えることは、どこに売るかはビジネスなので、複数のお店を回ってみたほうが絶対いい、ということである。やっぱり愛車ですから、高く評価してくれれば嬉しいっていう面もありますしね!
買うときは恋愛、売る時はビジネス。なんだか結婚と離婚にソックリですなあ。結婚は勢いでしてもいいけど、離婚するときはガッチリやりましょう。もちろん愛を持って。

BMWもまずはディーラーで査定してもらったものの、最終的には次のクルマを購入した中古車販売店での下取りが最も高額となった。売却額は時期にもよるので、多数の店舗で試してみるべきだ
自動車評論家 清水草一
自動車評論家 清水草一
1962年東京生まれ。中古車、新車問わずこれまで40台以上ものクルマを購入してきたベテラン自動車評論家。自動車専門誌から一般誌までさまざまな雑誌で連載を持っている。首都高研究家、交通ジャーナリストとしても活躍中。