中古車購入チェックポイント
更新日:2018.11.25 / 掲載日:2009.03.20
トヨタ マークII
トヨタ マークII
参考車両 : マークII 2.0 グランデ 初年度登録2001年1月
■全体のチェックポイント
比較的高い年齢層が乗っている上級セダンだが、点検整備をしっかり受けているかどうかがポイントになるだろう。車体まわりは、外観だけにこだわらず、トランクルームや床下のチェックも、念入りに。また、仕様グレードによっては、注意が必要。ターボ車は、激しいスポーツ走行で各部に負担がかかっている場合がある。中には、マフラーを交換していたり、大きなサイズのタイヤを装着しているなどの改造車もある。車両のチェックは、使い方や走り方を推察することも大切だ。
1.最初に全体の様子を見る
車両から少し離れて、各部の立て付け状態や部分的な異常の有無などを探ってみよう。車体の傾きやナンバープレートを外した形跡などもヒントになる。不審な箇所があれば、近寄って、さらに詳しく調べてみよう。
前面はバンパー/グリル/ボンネット/ヘッドライト、後面はバンパー/トランクリッド/コンビネーションランプ(リアライト)、それぞれの横線が揃っているか、左右対称になっているか、確かめる。
前後とも、左右ライトの片側だけ新しい(交換している)場合は、理由を確かめる必要がある。
2.見る角度を変えて観察
車体まわりのチェックでは、傷や凹み以外に、プレスライン、塗装の異常(部分的な変色、色むら)なども探ろう。
外観がきれいでも、見る角度を変えながら、斜め方向から透かして観察すると、見落としがちな浅くて広い凹み、エクボと呼ばれる小さな凹み、あるいは波打ち(しわ)なども確認できる。
しわが寄っているのは、衝撃を受けているか、板金修理跡だ。
また、塗装面の艶が周囲と違っていたり、変色や色むら、肌荒れ状態になっている箇所も、修理跡かもしれない。
3.エンジンまわりのチェック
3.エンジンまわりのチェック
ゴムホースやベルトなどの消耗部品を中心に、エンジンと周辺の部品をチェック。
点検整備記録とつき合わせながら、冷却水やオイル、ブレーキ液などの量も、点検したい。オイルの汚れやにじみ(オイル漏れの兆候)にも、注意しよう。
新しい部品が付いている(交換の疑い)場合は、整備記録を調べると同時に、周辺の車体部に修理跡がないか、チェックしよう。
4.鉄板部の異常を探る
左右フェンダー内側のインナーパネルや室内とエンジンルームを隔てているダッシュパネルなど、エンジンルーム内の各部鉄板を見てみよう。
前部に大きな衝撃を受けて、車体内部にまでダメージが及ぶと、走行機能面に不具合が生じる。修理跡(溶接、シーラー、塗装の異常)はないか、歪みなどはないか、探ってみよう。サスペンションの付け根付近は、特に注意。
5.裏側も探ってみる
5.裏側も探ってみる
ボンネットは、外観表面の傷や凹みの有無をチェックしたら、開けて、内側に修理跡などがないか、調べてみよう。
ダメージを負うと交換することもある。支えている金具(ヒンジ)部の固定ネジを脱着した形跡がないかも、探ってみよう。
交換している疑いがあれば、車体前部に衝撃を受けて、他の部分に影響が及んでいることも考えられる。車体前部周辺に修理跡がないか、確かめよう。
6.車体前部の修理がわかる
6.車体前部の修理がわかる
エンジンルーム内は、ラジエターコアサポート(エンジンルームのいちばん前で車体の左右に渡してある鉄板)を必ずチェック。
前部を修理すると、外観がきれいでも、ここに証拠が残る。
修整や修理、交換している形跡はないか、調べよう。固定されている他の部品の取り付け状態も、ヒントになるだろう。左右フェンダーに繋がっている鉄板やフェンダーとの接合部に異常がないかも、調べよう。
7.取り付け状態を確かめる
7.取り付け状態を確かめる
フロントフェンダーは、ボンネットを開けて、固定しているネジをチェックしよう。脱着した形跡があれば、修理するために外したり、交換している可能性がある。
左右を比べてみれば、取り付け状態の異常を見つけやすい。
傷や凹みの補修、あるいは損傷を受けて修理しても、修復歴車にはならないが、交換している場合は、インナーパネルをはじめ、周辺を再チェックする必要がある。
8.立て付けの見どころ
8.立て付けの見どころ
車体前部では、フェンダー、ドア、ピラー(フロントガラスを挟んだ左右の柱)、ボンネットなどが、隣接している。それぞれの隙間の幅が均等になっていなければ、ダメージを受けていたり、修理している可能性がある。
また、隙間を境に、隣り合う外板パネルの塗装の色調も、比べてみよう。修理や交換で塗装すると、仕上がりの色艶が微妙に違って見えることがある。車体の左右を見比べと、判断しやすい。
9.側面の修理を推察する
側面に大きな損傷を受けると、ドアを交換することも多い。ヒンジ(ドアを支えている金具)の固定ネジをチェックしよう。
前後左右ドアのヒンジ部を調べて、特定のネジだけに脱着した形跡があれば、交換していることが考えられる。
ただし、立て付け調整でネジを回すこともある。ネジ脱着だけで、ドア交換と判断できない。
10.リアフェンダーのチェック
10.リアフェンダーのチェック
リアドアを開けて、開口部を見てみよう。リアフェンダー周辺を補修、あるいは修理した車両には、開口部分などにマスキング跡が残っていることもある。
また、ホイールアーチ(タイヤを覆っている縁の部分)も、調べてみよう。修理跡が残っているのを見つけることもある。さらに奥のタイヤハウス内も、覗いてみよう。内側の部品などに塗装(スプレー)の飛沫が付着している場合は、どこかを修理している。周辺を詳しく調べてみよう。
11.意外なところにヒント
11.意外なところにヒント
フューエルリッド(給油口の蓋)を開けてみよう。
給油口の周囲にマスキングの跡や修理跡などがないか、チェック。
フューエルリッドの取り付け状態も、調べよう。リアフェンダーを板金修理するために外すこともあり、損傷を受けていれば交換する。
通常は気にとめない部分にも、ヒントが隠れている。
12.車体後部の異常を調べる
12.車体後部の異常を調べる
トランクリッド(トランクの蓋)の状態をチェックしよう。
閉めた時の立て付けを見て、全体に狂っていれば、トランクリッドがずれているか、車体に歪みがあると疑える。
右または左の、片方だけに隙間の狂いがあれば、その側の車体部を修理していると判断して間違いないだろう。
また、開閉してみて、スムーズにロックできない場合は、ずれているか、あるいは車体が歪んでいることも、考えられる。
13.溶接部を詳細に観察する
13.溶接部を詳細に観察する
トランクルームの開口部を見ると、左右両側共にリアフェンダーが横から回り込んで、内側の鉄板に接合されている。
溶接やシーラー、塗装の状態などを手がかりに、修理している様子はないか、チェックしよう。コンビネーションランプ付近を、特に念入りに観察しよう。ランプの交換も、修理の目安になる。
後部からの大きな衝撃は、他の部位に波及しやすい。修理跡があれば、周辺や関連部分に異常はないか、確かめよう。
14.交換の手がかりを探る
14.交換の手がかりを探る
トランクリッドは、裏側に修理跡がないかも、チェック。
さらに、ヒンジ(支えている金具)や固定ネジなど、取り付け部分周辺に手を加えた痕跡がないか、調べる。車体側のヒンジ取り付け部に異常がないかも、確かめよう。
後部に大きなダメージを負うと、トランクリッドを交換することがある。
15.隠れた部分も確かめる
15.隠れた部分も確かめる
スペアタイヤハウス(収納部)も、後部のチェックポイント。
歪みや波打ち、板金修理跡、交換跡などはないか、チェック。周辺はもとより、スペアタイヤを外して、底の鉄板部も、調べよう。
各所に貼ってある防振材(柔らかいシート状の部材)も、見てみよう。切り接ぎや張り替えた形跡が、修理を推察する目安になる。剥がれや亀裂などで、ダメージを見つけることもある。
16.床下を覗いてチェック
16.床下を覗いてチェック
変形や凹み、支え金具類の歪み、修理した痕跡など、鉄板部に異常はないか、探ってみよう。意外なところにダメージを受けているのを発見することがある。
車体側面では、サイドシル(ドアの下にある車体前後方向に通っている梁の部分)がポイント。特に、下端の外側と床側との接合部の状態に気を付けよう。マークIIは外側にカバーがあるが、大きな衝撃がサイドシルに達すると、溶接を剥がして修理したり、交換することもある。
17.部品の状態にも注意
17.部品の状態にも注意
床下は、マフラーなどの部品類に傷や凹み、交換した形跡がないかどうかも、チェック。
サスペンションやブレーキなど、走行に関わる部品類に問題がないか、見極めることも必要だ。大きな傷や歪みなどはないか、しっかりチェックしよう。
錆を見かけることも多いが、浮き錆程度なら気にしなくてもいい。ただし、鉄板の接合部は、修理や交換で再溶接した部分に錆が発生することがあるので、場所から判断する必要がある。
18.エンジンをかけてみる
18.エンジンをかけてみる
かかり具合、アイドリング、異音、回転の上下、排気ガスの色をチェック。実際に走ってみるのが望ましいが、エンジンが暖まってからアクセルペダルを軽く煽ってみて、スムーズに回転が上下するかどうかも、試してみよう。
容易にエンジンがかからない場合は、バッテリーが弱っていたり、エンジンの調整が必要かもしれない。異音や大きな振動が出ているようなら、トラブルを抱えている可能性がある。
19.調整機能を操作してみる
ウインカー、ホーン、ヘッドライト、ブレーキやバックランプなど、保安関係の作動状態を確認。
さらに、電装機器や電動機構などは、正常に機能しているか、確かめよう。エアコンをはじめ、オーディオ、カーナビなどは、スイッチを入れるだけでなく、調整機能を操作してみる。
ハザードランプ、パワーウインドウの開閉、後部座席ランプの点灯、運転席のシート調整なども、忘れずにチェックしよう。
また、シートは、汚れや傷などをチェックするだけでなく、クッションの劣化も、調べてみよう。運転席のドア側サポート部(盛り上がっている部分)がヘタっていることもある。
20.オートマチックをチェック
20.オートマチックをチェック
エンジンをかけて、ブレーキを踏んだまま、PからDへ、NからRへなど、各ポジションにレバーを動かして、引っかかりやゆるみ(ぐらつき)などはないか、切り替え時にショックがあるなどの異常がないか、試してみよう。
できれば試走して、ギヤが切り替わる時のショックが激しくないか、繋がるタイミングが長すぎないかも、チェックしたい。
21.タイヤチェックのポイント
21.タイヤチェックのポイント
減り具合(溝の深さ)を、まず点検。スリップサインにまで達していないことを確かめよう。
外側が減って内側は残っている、あるいはその逆など、減り方にも注意。外周の接地面を見て、一部が極端に減っている偏摩耗を見つけたら、アライメント(ホイールの取り付け角度)が狂っているだけなのか、あるいはダメージを受けて車体が歪んでいるのかを確かめる必要がある。
■車両の情報を確かめる

車両だけでなく、オーディオなどの取扱説明書が揃っていることを、確認しよう。カーナビは、地図情報の発行時期も調べよう。
点検整備記録(メンテナンスノートなど)は、車体をチェックする前に、記載内容に目を通しておく。定期点検や消耗部品交換などの実施時期と、その時の走行距離を把握しておくと、車両各部の状態を探る参考になる。
車両チェックの勘どころ
塗装
●部分的に色調や艶が違う場合には、周辺の状態もチェック。
●タイヤハウス(フェンダーのタイヤを覆っている部分)内に外装塗料が付着しているとか、メッキやゴム部品などに塗料の飛沫が付いているなどの場合も、周辺を詳しく確かめる必要がある。
●ドアの開口部などにマスキング(塗装スプレーが他の部分に広がらないようにするカバーを留める粘着テープを貼る)跡が残っていることがある。塗装表面を指や爪で撫でるように滑らせて、引っかかるような直線状の段差があれば、何らかの理由で塗装していることがわかる。
取り付けネジ
●ネジ止め(ボルトやナットで固定)している車体まわりの部品を交換する時には工具を使う。ネジの頭の塗装が剥がれていたり、角がくずれているのは、ネジを回している証拠だ。
●普通はネジの頭は塗装されているので、傷は比較的容易に確認できる。無塗装の場合は判断しにくいので、車体の左右を見比べるといい。
溶接とシーラー
●車体を構成する部品が溶接で固定されている部分は、シーラー(接合部の隙間を埋める充填材)が塗布されている。修理や交換で再溶接すると塗り直すので、不自然になっている。
●疑わしい場合は、爪で押してみよう。表面が硬くても内部が柔らかい(プチッと表面が割れる)ようなら、修理後に新しいシーラーを盛っている。
●シーラーは、盛り上がっていたり、窪んでいたり、横方向にヒダがあるなど、鉄板の接合状態やシーラーを塗布する方法によって形状が違っている。不自然に見える部分を見つけたら、車体の左右同じ場所を見比べて判断しよう。
●車体各部はスポット溶接されている(鉄板の接合部に小さな丸い窪みが並んでいる)部位も多いが、修理工場でスポットを打ち直している場合は、直径が5mm以下(新車時は5mm以上が普通)、窪みが深い、2度打ちしたずれなど、新車組み立て時の状態とは異なる特徴がある。
●電気スポット溶接の電極が入らない奥まった部分などは、炭酸ガスアーク溶接に代えることがあるので、スポット溶接の窪みがなくなっていることもある。
立て付け
●外板パネルなどを修理すると、組み付ける際に誤差が出ることがあり、それは、隣り合うパネルの隙間(チリ)を見ればわかる。隙間の幅が均等になっていなければ、修理している可能性が高い。
●バンパーなどは、押されてずれることがある。たとえ修理していなくても、隙間が合っていなければ、なんらかのダメージを受けている。
●モール類(フェンダーからドアにかけて線状に繋がっている飾りなど)やプレスライン(外板が折れ曲がっている角の線)がずれていることからも、立て付けに異常があることがわかる。
■今回の車両のプロフィール
●1968年発売以来の歴代モデルも人気の上級クラスセダンだが、参考車両は、2000年10月にフルモデルチェンジした9代目。その後、マークXに受け継いだので、マークIIとしては最後のモデルとなる。
エンジンは、2.0と2.5リッターがあり、2.5にはターボ付きもある。駆動方式は、FR(後輪駆動)が基本で、4WD(Fourと呼ぶ)もある。
仕様グレード構成は、2.0には、ベーシックな「グランデ」と、装備をシンプルにした廉価版の「Sパッケージ」。2.5には、ベーシックなグランデに対して、装備を追加した「グランデG」「グランデG-tb」、スポーツ仕様の「グランデiR-S」、ターボエンジンを搭載している「グランデiR-V」が設定されている。
2001年8月に、特別仕様車「グランデ レガリア」「グランデ レガリア ナビパッケージ」を追加発売。
2002年10月のマイナーチェンジで、外観やエンジンを変更している。
■参考車両と同時期の仕様グレード設定
2.5 (2491cc)
グレード | 型式 | シフト | 駆動 |
グランデ iR-V | GH-JZX110 | 4AT | FR |
グランデ G-tb | GH-JZX110 | 4AT | FR |
グランデ G-Four | TA-JZX115 | 4AT | 4WD |
グランデ | TA-JZX110 | 4AT | FR |
グランデ G | TA-JZX110 | 5AT | FR |
グランデ iR-S | TA-JZX110 | 5AT | FR |
グランデ iR-V | GH-JZX110 | 5MT | FR |
2.0 (1988cc)
グレード | 型式 | シフト | 駆動 |
グランデ Four | TA-GX115 | 4AT | 4WD |
グランデ Four Sパッケージ | TA-GX115 | 4AT | 4WD |
グランデ | TA-GX110 | 4AT | FR |