中古車購入チェックポイント
更新日:2018.11.06 / 掲載日:2009.03.18
三菱 eKワゴン 中古車購入チェックポイント
三菱 eKワゴン 中古車購入チェックポイント
■全体のチェックポイント
パーソナルカーとして実用的に使われることが多いが、扱いや整備に無頓着な乗りっぱなしの車両もあるし、営業車として酷使された車両もある。車体まわりのチェックと同時に車内を念入りにチェックしながら、使用状態を推察してみよう。年式のわりに走行距離が伸びている場合は、車体に疲労が出ている可能性もある。エンジンや走行機能系は、記録簿の内容をチェックして、点検整備の時期と内容を探ってみよう。
1.全体の雰囲気から異常を感じ取る
車両からやや離れて、車体に映る周囲の景色を見てみよう。歪みや凹み、あるいは波打っているのを見つけることもある。車体表面の色艶などでも、修復の形跡がわかる。一部だけくすんでいたり艶が違って見えたら、修理したことも考えられる。また、細部にも目を向けよう。ナンバープレートは曲がっていないか? 左右のヘッドライトの色は同じか? バンパーは車体とずれていないか? 車体の切れ目の隙間(チリ)は均一か? 見る角度を変えてみると異常を見つけやすい。「何となく変な感じ」がする部分があれば、近寄って念入りに観察しよう。遠目からの雰囲気も、目利きチェックのポイントだ。
2.エンジンルーム内を観察する
2.エンジンルーム内を観察する
エンジンルーム内の各部の塗装の状態を見てみよう。車体内部と左右のフェンダー、ラジエターを支えているラジエターサポートなど、各部の色を見比べながら色の違いを探ってみる。一部だけ色合いが異なっていたり、周囲と比べて不自然にきれいな部分があれば、そこは修理した後で再塗装した可能性がある。さらに細部に目を向けて、ゴムホースやベルトの劣化など、消耗部品を中心にエンジン関係の部品をチェック。オイルのにじみや汚れにも注意しよう。
3.ボンネットの交換は理由を探る
3.ボンネットの交換は理由を探る
事故などでボンネットにダメージを負うと、新しいボンネットと交換することも少なくない。ボンネットを支えている金具(ヒンジ)を固定しているネジを見て、脱着した形跡があれば、ボンネットを交換した可能性が高い。まれにエンジンの修理などのためにボンネットを外すこともあるが、その場合は整備記録簿に記録が残っているはずだ。
4.車体前部の修復を推測する
4.車体前部の修復を推測する
フェンダーを固定しているネジの頭の塗装に傷あるなど、工具を使ってネジを脱着した跡があれば、フェンダーを交換した可能性がある。フェンダーを交換していても事故車(修復歴車)とはいわないが、車体の前部を広範囲にわたって修理したかもしれない。交換していなければ、大きな事故を起こしていないといえる。
5.前部をぶつけると証拠が残る
5.前部をぶつけると証拠が残る
フロントグリルの後ろにあるラジエターサポートと呼ぶ鉄板を観察してみよう。車体前部をぶつけると、ラジエターサポートを修正あるいは交換する確率が高い。歪みや手を加えた痕跡がないか、念入りにチェックしよう。周囲と色が違っていたら、交換した証拠と思っていい。左右フェンダーとの接合部も、不自然なところはないか点検しよう。
6.側面のダメージを推測する
車体側面のドア部分に大きな損傷を受けると、ドア自体を交換してしまうことも多い。交換する際は、ドアを支えている金具(ヒンジ)を固定しているネジを脱着するので、ネジの状態をチェックしよう。前後左右のドアを見比べて、特定のヒンジだけネジの頭に傷が付いていれば、工具を使ったと考えられる。ただし、新車の組み立て時やドアの立て付けを調整するためにネジを回すこともあるので、ネジを脱着したように見えても、必ずしもドアを交換しているとはいえない。
7.支え金具と周辺を観察する
7.支え金具と周辺を観察する
リアゲートを支えている金具(ヒンジ)と周辺をチェックしよう。まずは、ドアがしっかり閉まるかどうか、確かめてみる。ずれているせいで、スムーズにロックできないこともある。そして、ヒンジを固定しているネジを脱着した形跡がないか、探ってみよう。ネジの脱着が修理や交換したかどうかの目安となる。また、ヒンジが接している周辺の鉄板が歪んでいる場合は、ダメージが大きかったと推測できる。
8.溶接部をチェックする
8.溶接部をチェックする
開口部は左右両側共に鉄板が横から回り込んで、溶接で固定されている。追突をはじめ、後部が変形するようなダメージを受けて修理した車両は、溶接部分が不自然に見える。特にスポット溶接(丸い窪みが点状に並んでいる)が乱れていたり大きさが違うなどの異常は、車体の左右を見比べるとわかりやすい。同型式の車両が複数ある場合は、比較して見るとさらに確認しやすい。また、板金塗装をしていれば、周囲と色の雰囲気が違って見えることもある。
9.給油口の蓋もチェック
9.給油口の蓋もチェック
車体後部にある意外なチェックポイントが、フューエルリッド(給油口の蓋)。リアフェンダーを板金修理するために外すことがある。ネジを脱着した形跡がないか点検してみよう。フューエルリッドを交換していれば、塗装表面の艶が周囲と違って見えることがある。その場合も、リアフェンダー周辺を修理していることが疑える。また、フューエルリッドの塗色を参考にして塗料を調合するために外すもある。取り外した形跡があれば、再塗装するなど、他の部分を修理したり補修していることも考えられる。
10.スペアタイヤの下を見る
10.スペアタイヤの下を見る
ラゲッジスペースの床に収納されているスペアタイヤを外してみよう。車体に大きなダメージを受けてできた歪みなどが床部に残っている(走行に支障がない部分は修理しない)のを見つけることもある。塗装が周囲と違っていたり、防音防振材(床部や車体内部に貼っているマット)が剥がれていたり波打っているなどの異常があれば、車体後部を修理しているかもしれない。また、スペアタイヤを外したついでに、タイヤ自体の状態(空気圧や傷の有無など)もチェックしよう。
11.塗装表面に段差ができる
11.塗装表面に段差ができる
リアドアの開口部分などに、塗装作業時にマスキング(塗装スプレーが他の部分に広がらないようにするカバーを留めるために粘着テープを貼る)した跡が残っている場合は、リアフェンダー周辺の車体にダメージを受けて修理したと考えられる。塗装表面を指や爪で撫でるように滑らせて、引っかかるような段差があれば、新しく塗装している可能性が高い。段差が直線状になっていれば間違いなくマスキングテープを貼った跡なので、板金修理あるいは傷の補修など、何らかの理由で塗装したことがわかる。車体の左右同じ場所を見比べると、判断しやすい。
12.車体の床下もチェック
床下も覗いてみよう。鉄板部の歪みや部分的な変形、マフラーなどの床下の部品類に傷や凹み、交換した形跡はないだろうか。サイドシル(左右ドア下部を通っている車体の梁の部分)もチェックしよう。下部を覗くと、スポット溶接(丸い窪みが並んでいる)で鉄板を接合しているのが見える。溶接部がきれいなら、手を加えていないと判断していい。乱れているようなら、何らかの修理をして再溶接している。また、他の部分でも、外観はきれいに修理しても走行に影響がない見えない床下などは、そのまま手を付けていないことがあるので、事故などで受けたダメージを発見することがある。
■点検整備記録に目を通す
点検記録簿(整備手帳など)の内容を、車両をチェックする前に確認しておこう。過去にどのような整備を受けてきたのがわかり、車両各部の状態を探る参考になる。定期点検時の走行距離とも突き合わせてチェックしよう。詳細な記録が残っている車両は、走行距離が伸びていてもコンディションがよく、機能部分には大きな問題を抱えていないと推測できる。
eKワゴンのコンディションはここで見極める!
1.シートを見てもわかる
ファブリック(布製)シートは、汚れは目立ちにくいが、座面は意外に汚れている。シミなどもたいていはカーケア用品などで目立たなくすることもできるが、傷やタバコの焼けこげなどが気になれば補修やシートの交換を考える必要があるかもない。また、汚れや傷、隙間のゴミなど、インテリアの手入れの状態からも、クルマの扱い方が想像できる。
2.エンジンをかけて調子をみる
2.エンジンをかけて調子をみる
エンジンをかけてみよう。キーを捻って、モーターの回転が弱かったり始動がもたつく場合は、バッテリーが弱っていたり、エンジンの調整が必要かもしれない。実際に走ってみるのが望ましいが、エンジンが暖まってからアクセルペダルを軽く煽ってみて、スムーズに回転が上下するかどうかも試してみよう。
3.トランスミッションの異常を探る
3.トランスミッションの異常を探る
できるだけ試走して、異音が発生していないか、確実に切り替えができるかどうか試してみよう。オートマチックは、NからDへ、NからRへなど、各ポジションにセレクトレバーを動かして、作動の具合を試してみる。ギヤが切り替わる時のショックが激しくないかも確かめてみよう。
4.装備類を操作してみる
4.装備類を操作してみる
まず、ターンシグナル(ウインカー)やライト類、ワイパーなど、保安関係の作動をチェック。さらに、エアコンやオーディオシステムなどの装備機器も、必ず操作して正常に機能しているかをチェックしよう。純正、社外製品を問わず、オーディオ類やカーナビなどは、取扱説明書が揃っていることも確認しよう。
■今回の車両のプロフィール
三菱がダイムラー・クライスラー・グループとなって2001年10月から販売されている新型軽自動車。背高で広い室内空間を確保しているが、1.55mの全高は、ほとんどの立体駐車場に入る。660ccエンジンとコラムシフト3速オートマチックトランスミッションの組み合わせをベースに、仕様グレードは4タイプ。「M」を基本に、FF(前輪駆動)と4WD(4輪駆動)、それぞれにアルミホイールやルーフスポイラーなどを装備したXパッケージを設定。車体色は、9色。02年9月に、特別仕様車に設定されていたブラックインテリアエディションが加わり、ターボエンジン仕様の「eKスポーツ」もラインアップ。03年8月に、トランスミッションの改良などと同時に仕様グレードは整理され、以降は「M」と「G」の2タイプになっている。その後、04年12月に一部改良が行われている。