中古車購入チェックポイント
更新日:2018.11.20 / 掲載日:2009.03.18

トヨタ ハリアー 中古車購入チェックポイント(2009年03月)

  • トヨタ ハリアー 中古車購入チェックポイント

    トヨタ ハリアー

    参考車両 : ハリアー 300G アルカンターラバージョン
    初年度登録2004年10月

  • トヨタ ハリアー

■全体のチェックポイント

上級グレードは高級指向で、アルカンターラバージョンは特にその傾向強く、丁寧に扱われている車両が多いといえる。整備状態が良好な車両も比較的多いが、点検整備記録を調べると同時に、整備箇所を目で見て確かめよう。車体まわりのチェックは、特に後部にダメージを受けていないかを探ることがポイントだ。

  • 1.車両の雰囲気から掴む

    トヨタ ハリアー (正面)

  • 1.車両の雰囲気から掴む

     少し離れた位置から全体を観察してみよう。車両の傾き、立て付け、塗装面の光沢など、パネルの立て付けなど、外観に異常があれば、ダメージを受けていたり、修理している可能性がある。
     前面は、バンパー/ボンネット/ヘッドライト。後部も、テールゲート/バンパー/テールランプ。それぞれの横線が揃っているか、左右対称になっているか、確認。
     ヘッドライトやテールランプは、右左を見比べて、片方だけ新しい場合は、その側の車体部を修理していることも考えられる。

  • 2.角度を変えて見る

    角度を変えて見る

  • 2.角度を変えて見る

     車体表面は、正面からだけでなく、斜めから透かして見る。そうすれば、気付きにくい浅くて広い凹みや「えくぼ」と呼ばれる小さな凹み、あるいは波打ち(しわ)なども見つけやすい。
     部分的に色艶が違っていたり、ざらついている箇所があれば、補修している可能性が高い。また、波打って見える部分は、板金修理跡と思えば間違いない。
     側面を見る時には、プレスラインの流れ、例えば前後フェンダーとドアの線などにずれがないかもチェックしよう。

  • 3.内側の鉄板をチェック

    トヨタ ハリアー (ラジエターコアサポート)

  • 3.内側の鉄板をチェック

     エンジンルーム内を見る時は、鉄板部分(インナーパネル)の状態を確かめよう。
     不自然な塗装や溶接跡、シーラーの異常などがあれば、車体内部にまで及ぶ大きなダメージを受けて修理している。
     また、エンジンルームのいちばん前に設置されて左右に繋がっているラジエターコアサポートは、修理や交換の形跡が残りやすい。左右の接続部も含めて、異常がないか、チェックしよう。

4.整備状態を確かめる

 ゴムホースやベルトの劣化など、消耗部品類を中心にエンジンと周辺の部品をチェック。
 できれば、冷却水やオイルの量および汚れ、ブレーキやウォシャーの液量なども点検。オイルのにじみや汚れにも注意しよう。
 周囲と比べて新しく見える部品は、交換している疑いがある。故障や不良で交換したのか、それとも車体部のダメージの影響を受けて交換したのか。点検整備記録と合わせて探る必要がある。

  • 5.裏側の様子も探ってみる

    トヨタ ハリアー (ボンネット)

  • 5.裏側の様子も探ってみる

     ボンネットは、外観表面の傷や凹みの他に、裏側に修理跡などがないかもチェック。縁のシーラーにヒントがある。
     ダメージを負うと、交換することも少なくない。ヒンジ(支えている金具)部の固定ネジをチェック。ボンネット交換の疑いがある場合は、車体前部を修理している可能性がある。隣接する周辺をさらに詳しく調べてみよう。

  • 6.交換の形跡は周辺も探る

    トヨタ ハリアー (フロントフェンダー)

  • 6.交換の形跡は周辺も探る

     フロントフェンダーは、エンジンルーム内をチェックする時に、固定ネジの様子を見てみよう。脱着した形跡があれば、修理のためにフェンダーを外したり、交換している可能性もある。
     傷や凹みを補修したり、交換していても、きれいに直していれば事故車(修復歴車)の扱いにはならないが、フェンダーに手を加えていれば、車体前部を広範囲に修理していることも考えられる。インナーパネルをはじめ、周辺も詳しく探ってみよう。

  • 7.パネルの隙間と色調に鍵

    パネルの隙間と色調に鍵

  • 7.パネルの隙間と色調に鍵

     立て付けのチェックでは、例えば車体前部から側面にかけては、フェンダー、ドア、ピラー(フロントガラスを挟んでいる左右の柱)、ボンネットなどが隣接している。
     それぞれの隙間の幅が均等になっていなければ、ダメージを受けてパネルがずれているか、あるいは修理している疑いがある。
     また、パネルの隙間を境に、隣り合う塗装の色調も比べてみよう。色艶が違って見える場合は、傷や凹みを補修している程度とも考えられるが、修理や交換している可能性もある。

8.車体側面のチェックポイント

 ドアに損傷を受けると、外して修理したり、交換してしまうこともある。支えている金具(ヒンジ)の固定ネジを脱着した様子はないか、チェックしよう。前後左右ドアの取り付け状態を比べてみるのもいいだろう。
 ただし、立て付け調整などでネジを回すこともある。ネジ脱着の痕跡だけでは、ドア交換とは断定できない。
 ドアを交換している疑いがあれば、板金修理などでドアを外しただけか、車体側面に衝撃を受けていないか、周辺も調べてみよう。

  • トヨタ ハリアー (ドアヒンジ1)

  • トヨタ ハリアー (ドアヒンジ2)

  • 9.減り方の異常を調べる

    トヨタ ハリアー (タイヤ)

  • 9.減り方の異常を調べる

     タイヤは、減り具合(残り溝の深さ)をまず点検。
     さらに、接地面の摩耗状態も、必ずチェック。
     一部だけ異常に減っている片減り(偏摩耗)を見つけたら、アライメント(タイヤの取り付け角度)が狂っているだけなのか、あるいは車体が歪んでいるのか、確かめる必要がある。
     偏摩耗は、車体前部にダメージを受けたり、修理するなどの理由によってインナーパネルが変形して生じることもある。

10.車体後部のチェック

 テールゲートは、閉めた時の立て付けを見て、全体に狂っていれば、ゲートのずれか、車体の歪みが疑える。右左の片方だけに異常があれば、その側の車体部を修理していると判断できる。
 また、開閉してみて、スムーズにロックできない場合も、ゲートがずれているか、あるいは車体が歪んでいることも考えられる。
 ナンバープレートにも、注意。封印を外した傷があれば、テールゲートを修理、あるいは交換している可能性が大きい。

  • トヨタ ハリアー (後部1)

  • トヨタ ハリアー (後部2)

11.鉄板の接合部を観察する

 後部に大きな損傷を負うと、テールゲートを交換することもある。支えている金具(ヒンジ)やネジの脱着、周辺に手を加えた痕跡がないか、見てみよう。
 開口部を見ると、左右両側共に鉄板が横から回り込んで、接合されている。左右を見比べながら溶接やシーラー、塗装の状態などに異常(修理跡)はないか、念入りに観察しよう。
 左右コンビネーションランプ(テールランプ)の取り付け状態にも注意しよう。

  • 12.床下を覗いてチェック

    トヨタ ハリアー (床下1)

  • 12.床下を覗いてチェック

     フレーム(骨格部)やメンバー(補強部材)など、鉄板部分に変形や歪みはないか。修理の痕跡などはないか、探ってみよう。
     サイドシル(ドア下の車体前後方向に通っている梁の部分)の下部に、凹みや傷、修理跡、交換跡などがないかも、確かめよう。左右を見比べると、異常を判断しやすい。
     バンパーも、外観の立て付けと表面の傷などをチェックしたら、下から覗いて、裏側も探ってみる。取り付け状態に異常がないか、確かめよう。
     他に、各部支え金具類などに曲がりや交換跡はないか、床下全体をチェックしよう。

13.部品の状態も探る

 マフラーなど、床下の部品類に傷や凹み、交換した形跡がないかどうかも、チェック。
 外観はきれいに修理しても、走行に影響がない見えない部分は補修や交換修理などをしないことがあるので、意外なところにダメージを受けているのを発見することがある。
 参考車両のように、マフラーやサスペンション周辺などに錆があるのを見つけることも多い。表面に浮いている程度なら、それほど気にする必要はないが、錆の進行状態を把握しておこう。
 床下を見る時は、冷却水やオイルなど、液体や油脂類の漏れにも、注意しよう。

  • トヨタ ハリアー (床下2)

  • トヨタ ハリアー (床下3)

14.調整機能を試してみる

 まず、保安機器類(ヘッドライト、テールランプ、ブレーキ、バック、ウインカーなど)は、正常に作動しているか、確かめよう。
 さらに、エアコンやオーディオなども、チェック。
 電装機器や電動機構などはスイッチを入れるだけでなく、調整機構を備えているものは、操作して、機能を確かめる。
 運転席周辺のチェックに終始してしまうことが多い。前後パワーウインドウの開閉や後部座席ランプの点灯なども、忘れずに調べよう。
 また、オーディオやカーナビなどは、取扱説明書が揃っていることも、確認しよう。

  • トヨタ ハリアー (調整機能1)

  • トヨタ ハリアー (調整機能2)

  • トヨタ ハリアー (調整機能3)

  • 15.トラブルを察知する

    エンジンをかけてみる

  • 15.トラブルを察知する

     エンジンをかけてみよう。
     始動状態、回転時の様子、排気ガスの色などをチェック。
     実際に走ってみるのが望ましいが、エンジンが暖まってから、アクセルペダルを軽く煽ってみて、スムーズに回転が上下するかどうかも試してみよう。異音が聞こえたり、大きな振動が出ているようなら、トラブルを抱えている可能性がある。

  • 16.AT不良の症状に注意

    AT不良の症状に注意

  • 16.AT不良の症状に注意

     PからDへ、NからRへなど、エンジンをかけて、各ポジションにセレクトレバーを動かしてみよう。
     できれば試走して、異音が発生していないかも確かめたい。
     ギヤが切り替わる時のショックが大きいとか、アクセルを踏むと滑っている感じがする場合は、不具合の前兆か、程度によってはすでにトラブルの症状が出ているので、要注意。

  • 17.染みや傷から判断する

    トヨタ ハリアー (室内1)

  • 17.染みや傷から判断する

     インテリアは、前席だけでなく、後席まわりやラゲッジスペースまで、必ずチェックしよう。
     特に、特別装備のアルカンターラに汚れや傷などがあれば、雰囲気が台なしになる。
     シートなどに染みや傷、破れなどを見つけたら、クリーニングや簡単な補修で直すことができるかどうか、あるいは張り替える必要があるか。欠損の程度を見定めることも必要だ。

18.小さな部品も見逃さない

 車内各部には、プラスチック部品が多く使われている。表面の傷などをチェックすると同時に、可動部分の動きや固定状態も確かめよう。
 プラスチック部品は、無理な力を加えると破損することもある。部品が折れたり、欠落していないかどうかにも気を付けよう。
 また、フックなどの小さな部品も、不具合や異常を見逃さないようにチェックしよう。

  • トヨタ ハリアー (室内2)

  • トヨタ ハリアー (室内3)

■記録簿の内容を確かめる

  • 書類

     車両をチェックする前に、定期点検整備記録簿(メンテナンスノートなど)の記載内容を確認しておこう。
     過去にどのような整備を受けてきたか、定期点検や消耗部品交換などの実施時期と、その時の走行距離を把握しておくと、車両各部の状態を探る参考になる。
     定期点検整備以外の記録内容には、特に注意しよう。故障箇所や修理の経緯などもわかるはずだ。

  • 書類

車両チェックの勘どころ

塗装
●部分的に色調や艶が違う場合には、周辺の状態もチェック。
●タイヤハウス(フェンダーのタイヤを覆っている部分)内に外装塗料が付着しているとか、メッキやゴム部品などに塗料の飛沫が付いているなどの場合も、周辺を詳しく確かめる必要がある。
●ドアの開口部などにマスキング(塗装スプレーが他の部分に広がらないようにするカバーを留める粘着テープを貼る)跡が残っていることがある。塗装表面を指や爪で撫でるように滑らせて、引っかかるような直線状の段差があれば、何らかの理由で塗装していることがわかる。

取り付けネジ
●ネジ止め(ボルトやナットで固定)している車体まわりの部品を交換する時には工具を使う。ネジの頭の塗装が剥がれていたり、角がくずれているのは、ネジを回している証拠だ。
●普通はネジの頭は塗装されているので、傷は比較的容易に確認できる。無塗装の場合は判断しにくいので、車体の左右を見比べるといい。

溶接とシーラー
●車体を構成する部品が溶接で固定されている部分は、シーラー(接合部の隙間を埋める充填材)が塗布されている。修理や交換で再溶接すると塗り直すので、不自然になっている。
●疑わしい場合は、爪で押してみよう。表面が硬くても内部が柔らかい(プチッと表面が割れる)ようなら、修理後に新しいシーラーを盛っている。
●シーラーは、盛り上がっていたり、窪んでいたり、横方向にヒダがあるなど、鉄板の接合状態やシーラーを塗布する方法によって形状が違っている。不自然に見える部分を見つけたら、車体の左右同じ場所を見比べて判断しよう。
●車体各部はスポット溶接されている(鉄板の接合部に小さな丸い窪みが並んでいる)部位も多いが、修理工場でスポットを打ち直している場合は、直径が5mm以下(新車時は5mm以上が普通)、窪みが深い、2度打ちしたずれなど、新車組み立て時の状態とは異なる特徴がある。
●電気スポット溶接の電極が入らない奥まった部分などは、炭酸ガスアーク溶接に代えることがあるので、スポット溶接の窪みがなくなっていることもある。

立て付け
●外板パネルなどを修理すると、組み付ける際に誤差が出ることがあり、それは、隣り合うパネルの隙間(チリ)を見ればわかる。隙間の幅が均等になっていなければ、修理している可能性が高い。
●バンパーなどは、押されてずれることがある。たとえ修理していなくても、隙間が合っていなければ、なんらかのダメージを受けている。
●モール類(フェンダーからドアにかけて線状に繋がっている飾りなど)やプレスライン(外板が折れ曲がっている角の線)がずれていることからも、立て付けに異常があることがわかる。

■今回の車両のプロフィール

●2003年2月から販売されている2代目。2004年1月に一部改良があり、特別仕様車240G/300Gアルカンターラバージョンも発売された。参考車両は、その後の2004年7月に一部改良が行われた同時期のモデル。
 エンジンは、2.4と3.0リッターの2種で、それぞれにFFとフルタイム4WDの組み合わせがある。2.4は4速AT、3.0には5速ATのトランスミッション。ともにシーケンシャルシフトマチックを採用。
 仕様グレードは、「G」をベースに、ディスチャージヘッドランプやMD付オーディオを備えた「Lパッケージ」と、18インチアルミホイールや木目調トリムを装備した「プレミアムLパッケージ」がある。
 「AIRS」は、シートヒーター付本革シートなど、高級装備の充実と共に、安全機構などを追加装備している。
 特別仕様車「アルカンターラバージョン」は、240G/300Gをベースに、シートやドアトリム表皮にアルカンターラ(スエード調の人工皮革)を採用し、DVDボイスナビゲーション付エレクトロマルチビジョンや、パワーバックドア(挟み込み防止機構)、オートレベリング機能付ヘッドランプなど装備をしている。

■参考車両と同時期の仕様グレード設定

240 (2362cc)

グレード型式シフト駆動
240GCBA-ACU30W4ATFF
CBA-ACU35W4AT4WD
240G LパッケージCBA-ACU30W4ATFF
CBA-ACU35W4AT4WD
240G プレミアムLパッケージCBA-ACU30W4ATFF
CBA-ACU35W4AT4WD

300 (2994cc)

300GCBA-MCU30W5ATFF
CBA-MCU35W5AT4WD
300G LパッケージCBA-MCU30W5ATFF
CBA-MCU35W5AT4WD
300G プレミアムLパッケージCBA-MCU30W5ATFF
CBA-MCU35W5AT4WD
AIRSCBA-MCU31W5ATFF
CBA-MCU36W5AT4WD

特別仕様車

240G アルカンターラバージョンCBA-ACU30W4ATFF
CBA-ACU35W4AT4WD
300G アルカンターラバージョンCBA-MCU30W5ATFF
CBA-MCU35W5AT4WD

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