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更新日:2023.09.13 / 掲載日:2023.03.02

車からキュルキュルと音がしてエンジンがかからないのはなぜ?その原因と対処法を解説

車のエンジンキーを回したり、スタートボタンを押して出発しようと思ったら、エンジンがかかってくれないという経験をしたことがある方もいるかもしれません。

車のエンジンは多数の部品・機構が正常に作動して初めてかかります。そのため、エンジンがかからない原因も様々です。

しかし、いつも通り「キュルキュル」とセルが回る音がするのにエンジンがかからない時もあれば、「カチカチ」と聞きなれない音がする時、全く音がしない時もあります。

この記事では、キュルキュル音がする時はもちろん、音の仕方で判別できるエンジンがかからない原因と対処法について詳しく解説していきます。

車からキュルキュル音はするがエンジンがかからない時に考えられる原因

まず、キーを回すといつも通りキュルキュルと音が鳴るのにエンジンが一向にかかってくれないというケースで考えられる主な原因を見ていきましょう。

キュルキュル音がする場合はセルモーターに異常なし

車のエンジンは、自分の力だけでは最初の燃焼に備えた吸気・圧縮運動を行えません。

セルモーターは、バッテリーの電力を使用しクランクシャフトを回転させることでエンジンでの最初の吸気・圧縮運動に必要な回転力を与えるパーツです。

エンジン起動のきっかけとなるセルモーターは、電動モーターとその回転に合わせて飛び出し、クランクシャフトの駆動ギアを回すピニオンギアで構成されています。キーを回した時のキュルキュル音は、この電動モーターの作動音です。

つまり、キュルキュル音がするということは、セルモーターまでの電気系統とセルモーターは至って元気で、それ以降に不具合があると絞り込めるわけです。

一方、キュルキュルではなく「ガリガリ」という音が聞こえる場合は、電動モーターの動きに合わせて飛び出し回転するピニオンギアと、クランクシャフト側のギアとのかみ合わせに不良が起きている可能性が高くなります。

スパークプラグをはじめとする点火系統の不具合

セルモーターで最初の回転力を得たエンジンは、燃焼のための吸気・圧縮運動を開始します。しかし、いくら吸気・圧縮ができても、それによって作られた混合気に火がつかなければ、次の行程である爆発が起きずエンジンはかかりません。

つまり、キュルキュル音がしてもエンジンがかからない場合は、点火が正常に行われていない可能性があると推測できます。

さらに、車種によって異なりますが、多くの自動車には点火系統であるスパークプラグとイグニッションコイルが、3~8本ついていることが一般的です。その中の1・2本に点火系統が不具合を起こしても、エンジンは不調ながらかかります。

そのため、エンジンが全くかからないということは、大半の点火系統が完全に故障している、もしくはそれに近い状況になっていると考えられます。

こうなってしまうと、修理工場などで点火系統を1本ずつ点検し不具合があるものを全て交換しなければ、エンジンは元通りにかかってはくれません。

インジェクターの詰まりや燃料系統の不具合

セルモーターの力を借りて吸い込まれた空気は、霧状に噴射された燃料と混ざって「混合気」になり、圧縮されて点火を待つことになります。

しかし、インジェクターの詰まりや燃料ポンプの作動不良などで燃焼室に燃料が正常に噴射されなかった場合、いくら点火しても爆発が起こらずエンジンはかかりません。

点火系統より頻度は低いものの、インジェクターはカーボン・スラッジといった燃焼で発生した燃えカスにより、針の穴のように細い噴射口が目詰まりしたり固着したりすることがあります。

また、燃料ポンプは経年使用やフィルターの目詰まり、ガス欠(モーターの空転)を繰り返したことによる負担増加などを原因として、モーターの故障が発生します。

インジェクター自体の寿命は10万km以上とされていますが、目詰まりはいつ発生するかわかりません。部品交換となるとその費用は安くても10万~15万円、車種によっては30万円近くかかることもあります。

ただし、目詰まりは噴射口に詰まった燃えカスを除去できれば症状は回復します。1,500円程度から市販されている洗浄系燃料添加剤を試してみるか、1本当たり5,000円程度が相場であるインジェクターの分解清掃を試してみるのも一つの方法です。

オーバーヒートの後遺症

異音がする、異臭がする、エアコンが効かない(ファンの停止)、水温計の上昇(警告灯の点灯)といった数多く表れる予兆に気が付かず走行を続けると、オーバーヒートを起こしてエンジンが停止する場合があります。

通常はオーバーヒートしてもエンジンが冷えれば再始動可能です。しかし、オーバーヒートの後遺症でエンジンに多大なダメージが及んでいる場合、セルが回ってキュルキュル音がしても、エンジンがかからないことがあります。

このような状況にまで至ってしまうと、エンジンの載せ替えやオーバーホールの分解や清掃など、高額な修理費用がかかってしまいます。そのため、オーバーヒートの予兆が起きているうちに走行をやめ、速やかに点検や修理をしてもらうことが大切です。

もしかしたら「ガソリンがは空っぽ」という可能性も…

ここまで解説してきた点火系・燃料系の故障や不具合を除くと、車のエンジンが急にかからなくなる大きな原因として考えられるのは「バッテリー上がり」または「ガス欠」です。

ただし、キュルキュル音がするということは、バッテリーにセルモーターを回す(エンジンをかける)だけの電気は残っていることになるので、ガソリンが入っているか念のため確認しておきましょう。

また、ガソリンをエンジンに送っている燃料ポンプは、ガソリンに含まれている油分を利用してモーターを潤滑・冷却しています。しかし、ガス欠すると利用するガソリンがない状態でモーターが空転するため、摩耗や過熱による故障を誘発しかねません。

さらに、いったんガス欠すると、その後ガソリンを補給してもパイプライン内に一定の「空白」ができてしまいます。そして、その空白が埋まるまで、セルモーターを繰り返し回さないとエンジンはかかりません。セルモーターやバッテリーにかかる負担が増し、寿命を縮めてしまう可能性があります。

カチカチ音はするがエンジンがかからない場合

次に、いつものようにキュルキュルではなく、カチカチと聞きなれない音がしてエンジンがかからないという場合に考えられる原因を見ていきましょう。

大半はバッテリー上がりが原因

エンジンに最初の回転力を与えるセルモーターは、バッテリーから電力を受けて作動しキュルキュルという作動音を出します。

一方、カチカチという軽い音は、セルモーターに「動け」という電気信号を伝えるリレースイッチの作動音です。

セルモーターが必要とする電力は、車の電装品の中で最も大きく平均で120A程度、瞬間最大時には300A前後だと言われています。そのため、バッテリーがかなり元気でないとしっかり回ってくれません。

一方、セルモーターのリレースイッチ自体は、バッテリーにわずかでも電気が残っていれば作動します。つまり、カチカチ音がするだけでエンジンがかからないと場合は、「バッテリー上がり」を起こしていて電力が足りず、リレースイッチだけしか動いていない可能性が高いです。

セルモーターorオルタネーターが故障している場合も

バッテリーからの電力が十分でもセルモーターが故障している場合、リレースイッチのカチカチ音がするだけでエンジンはかかりません。

セルモーターは、作動回数が限られていて耐久性も高いため、そう簡単には故障しないとされています。しかし、経年使用によるブラシの摩耗やコイルの断線でモーターが回らなくなることがあります。

また、発電装置であるオルタネーターが故障してバッテリーに電力をうまく貯められない時も、バッテリー上がりの時と同様にカチカチ音がしてエンジンがかからないことがあります。

ちなみに、エンジンがかかっている状態でバッテリーのマイナス端子を外し、問題なくエンジンがかかり続けていればバッテリー上がりです。一方、ストンとすぐにエンジンが止まるようならオルタネーターの故障だと判断できます。

何も音がせずにエンジンもかからない場合

最後に、キュルキュルやカチカチどころか、全く音がせずにエンジンもかからないという場合に考えられる原因について見ていきましょう。

まずエンジンをかける「準備」が整っているか確認しよう

一昔前までの車は、ハンドル横の鍵穴にキーを差して回すだけで、すぐにエンジンがかかりました。しかし、最近の車はエンジンを始動する際に安全や防犯を目的とした「準備」をしないとエンジンがかからないようになっています。

まずは、その準備が整っているか確認しましょう。

AT車の場合は、誤発進・急発進を防ぐため、シフトレバーがPまたはNの位置にあり、かつブレーキペダルを踏んでいないと、エンジンがかかりません。

MT車の場合は、クラッチペダルを底まで踏み込み完全に切れている(ギアに繋がっていない)状態でないとエンジンはかからない仕組みになっています。

いずれも車の構造的に強制的にエンジンをかけないようにするには、きっかけであるセルモーターへの電力供給を遮断するのが手っ取り早く確実です。そのため、うんともすんとも音がせずエンジンがかからない、という状況になります。

また、キーを差していない状態でハンドルを回すと、「カチッ」という音がしてハンドルロックがかかります。ハンドルロックは防犯のための機能なので解除しないとキーすら回すことができず、当然エンジンをかけることができません。

「準備」が整っているのにエンジンがかからない場合、考えられ原因は様々

前述したエンジンの始動準備が整っているのに、音もせずエンジンもかからない場合は、以下の原因が考えられます。

・スマートキーの電池切れ
・セルモーターに対応するヒューズやリレー切れ、配線の断絶
・バッテリー電力の完全な枯渇
・イグニッションスイッチの接触不良

いずれも電気的な不具合や故障になります。

スマートキーの電池切れに関しては、新品の電池を購入し交換すれば解決します。

一方、その他の不具合や故障は、どれもセルモーターに電気が供給されていないことが根本的な原因です。不具合個所を特定するにはテスターなどの測定器具が必要なため、修理工場やディーラーなどで点検を受けるようにしましょう。

エンジンがかからないという事態を避けるためにやっておきたいこと

ここまでキーを回した時にする音で判別できる、エンジンがかからない原因と対処法について解説してきました。

しかし、原因はなんにせよ「走行不能」という困った事態になることに違いありません。

そこでここからは、エンジンがかからないという事態を避けるためにやっておきたいことを整理していきましょう。

定期的な点検やメンテナンスの実施

エンジンは、様々な部品・要素が複雑に絡み合い、正常に作動・作用することで、初めて1トン以上の重さの車を動かすパワーを発揮します。

裏を返すと、それらの部品が1つでも故障や不具合を起こしていると、エンジンはかかってくれない可能性があります。

そのため、定期的な点検とメンテナンスを欠かさず、エンジン始動に関わる部品や要素を常に正常な状態に保っておくことが大切です。

特にバッテリーはエンジン始動に深く関わっています。弱ったバッテリーを使い続けているとその他の電気系統や点火系統に悪影響が及ぶかもしれません。

そのため、エンジンのかかり具合(セルの強さ・弱さなど)や電装品の稼働具合(ライトの明るさやパワーウィンドウの開閉速度など)をつぶさに観察しましょう。

もし違和感を感じたら、すぐに修理工場やガソリンスタンドなどでテスターを用いた点検を行い、弱ってる場合は新品へ交換してください。

JAFやロードサービスへの加入

エンジン始動に関わる部品は、使用年数とともに少しずつ劣化していきます。こまめに点検やメンテナンスを実施していても、エンジンがかからなくなるかもしれません。

そのため、エンジンがかからなくなった際に救援してくれるJAFやロードサービスのある任意保険に加入しておきましょう。

JAFや任意保険のロードサービスでは、レッカーサービスのほか、バッテリー上がり時のジャンピングやガス欠時の燃料補給など不意にエンジンがかからなくなった際の対処をユーザーの代わりに行ってくれます。

また、タイヤのパンク・バーストや脱輪、キーのとじ込みなどといったトラブルにも対応してくれるので、加入しておくと安心です。

ブースターケーブルや三角停止版の準備

JAFやロードサービスに救援を依頼するにしても、エンジンがかからなくなった場所・時間帯によっては救援が到着するまで数時間を要することもあります。(JAFの平均到着時間は1時間と言われています)

山間地によく出かける方や夜間運転する方などは、そんな事態に備えてブースターケーブルや三角停止版などの緊急用品を愛車に積んでおくと安心です。

ブースターケーブルがあれば、他車の協力を仰いでジャンピングを行えるのでエンジンをかけて走行できる可能性があります。また、三角停止版があれば、救援を待つ間の安全確保や二次災害防止に役立つでしょう。

ブースターケーブルや三角停止版は、カー用品店やホームセンター、ネット通販でも販売されています。安価なものならいずれも2,000円~3,000円程度で購入できます。

全てのケースで共通するエンジンがかからない時の対処法

最後に、キーを回す時に聞こえる音やその他の症状に関わらず、「エンジンがかからない」という状況に共通する対処法について見ていきましょう。

まずは自分と周囲の安全を確保すること

症状に関わらずエンジンがかからなくなったということは、その車が「自走不能になった」ということです。そして、道路上で自走不能になった車は他の交通にとって「大きな鉄の障害物」以外の何物でもありません。

そのため、ハザードランプや三角停止版・発煙筒を用い、停車車両の存在を周囲の交通に知らせる措置を取る必要があります。

その上で、同乗者とともに歩道や空き地など、車から離れたところに避難してください。この時、心配だからと車の中や周囲に残りたいと思うかもしれませんが、後続車が追突すると巻き込まれる可能性があるため、車からは離れるようにしましょう。

無理せず専門家に救援を依頼したほうが安心

バッテリー上がりだけが問題である場合、ブースターケーブルを積んでいればジャンピングができますし、MT車なら押しがけも可能です。

しかし、それ以外の原因でエンジンがかからない場合、その場で素人が対処することは難しいことが多いです。

そのため、先ほど述べた自分と周囲の安全を確保する行動をとった上で、無理せず修理業者やディーラー、JAFやロードサービスなどに連絡しましょう。指示に従いつつ救援を待ったほうが安心です。

修理するよりも買い替えを視野に入れたほうが良い場合も

エンジンの始動不良に関するトラブルは、単体で修理費用がかさむケースもある上、再発することも多い傾向にあります。

例えば、頻繁にガス欠すると燃料系が故障しやすくなりますし、バッテリーが頻繁に上がるということは、オルタネーターの寿命が近づいていると考えられます。

特に年式が古かったり、走行距離が10万km以上まで伸びていたりする場合は、修理や部品交換をしてエンジンがかかる状態にしても、次から次に不具合個所が出てくる可能性もあります。

エンジンがかからない、またはかかりにくい状態が何度も続くようであれば、修理ではなく買い替えも視野に入れるべきかもしれません。

まとめ

  • ①エンジンがかからなくなる時の音で、故障個所を絞り込むことができる
  • ②キュルキュルと音が鳴る場合、セルモーターは正常であると考えられる
  • ③キュルキュル鳴るのにエンジンがかからない場合の多くは、点火系統もしくは燃料系統の故障が原因
  • ④カチカチ音がするのにエンジンがかからない場合、その原因の多くはバッテリー上がりだが、セルモーター・オルタネーターが故障していることも考えられる
  • ⑤何も音がせずにエンジンもかからない場合は、まずエンジンをかける準備が整っているかを確認する
  • ⑥エンジンがかからないという事態を避けるためには、定期的な点検とメンテナンスをしよう
  • ⑦万が一に備え、JAFやロードサービスに加入したり、ブースターケーブルや三角停止版を車内に常備したりしておくと安心
  • ⑧エンジンがかからない時は、まず安全を確保し、その後専門家に救援を依頼するのが基本
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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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