カー!といえばグーネットピット

無料整備工場検索&予約アプリ

グーネットピットアプリ

中古車購入チェックポイント
更新日:2022.11.27 / 掲載日:2022.11.27

車のハンドルが重いのはパワステの故障?その原因と対処法について解説

近年、車にはパワーステアリング、通称「パワステ」と呼ばれるハンドル操作を補助する機構がついているのが当たり前となりました。

各メーカーでも、ステアリング径はパワステを装備することを前提に設計されています。そのため、なんらかの理由でパワステが故障した時は、ハンドルを回すことが困難になります。

この記事では、パワステが故障する原因とその対処法について詳しく説明していきます。また、修理にかかるコストについても紹介します。

パワステとは?

パワステは、ハンドルを操作する時に力を入れなくても回せるよう補助するための機構です。

しかし、パワステという言葉は知っていても実際にどのような役割を果たしているのかが、よく分からないという方も多いです。中には、パワステの機能について知らない方もいるかもしれません。

ここからは、パワステとは車にとってどのような役割を果たしているのか、構造や種類について見ていきます。

パワステの構造

最初のパワステは、アメリカ合衆国で1876年に装備されたという説があります。しかし、その実態は詳しくは分かっていません。

1870年代、ガソリンエンジンを搭載した車の発明はまだされておらず、普及していた自走可能な車は牽引用に低速走行する蒸気トラクターでした。そのため、人力で操縦するには負担が大きい蒸気トラクターに装備したものが最初のパワステだと推定されます。

本格的な操舵のパワーアシスト機能として十分な機能を持つパワステが出現したのは、ガソリン自動車の時代になってからです。アメリカのピアース・アローで商用車部門に所属していた技術者フランシス・W・デイビスが、1926年に最初の実用的なパワーステアリングシステムを考案したとされています。

では、現在のパワステの構造がどうなっているのか見ていきましょう。

車は、走行し始めるとタイヤの摩擦抵抗が停車時に比べて軽くなります。その結果、ハンドルに力を入れることなく回せるようになります。

パワステは、主に低速時の摩擦でハンドルが重くなる現象を緩和するために、油圧の力や電気モーターの力を使ってアシストする機能です。パワステの構造は、大きく分けて2つあります。

・ラック&ピニオン式
ステアリングシャフトの先端に、ピニオンギヤと呼ばれるギアを取り付けます。これをシャフトに刻まれたラック(歯)と噛み合わせて、ピニオンギヤの動きを横方向に変換させています。

・ポールナット式
ステアリングシャフトがステアリングと繋がっているため、ステアリングを回すとステアリングシャフトが回ります。シャフトが回るとボールナットが動き、セクターギヤが揺動しハンドルが切れる仕組みです。

現在では、ラック&ピニオン式が主流となっています。

パワステの役割

車の重量は1,000~2,000kg、トラックなどは3,000kg近くになります。それに加えて、これだけの重たさがある車体の進行方向を変えるための操舵を担う車両の前方には、エンジンなど重量物が搭載されています。

昔の車のようにパワステがないものは、低速での切り返しの操作を行う際、タイヤと地面との摩擦による抵抗が加わっていました。それにより、とてもハンドルが重く、女性が運転を嫌う一因にもなっていました。

車は走行を始めるとタイヤの摩擦抵抗が停車時に比べて軽くなり、ハンドルに力を入れることなく回せるようになります。パワステは、主に低速時の摩擦でハンドルが重くなる現象を緩和するために、油圧の力や電気モーターの力を使ってアシストする機能です。

現在販売されている車には、パワステがあるのが当たり前となっていますが、中にはパワステがついていないものもあります。

パワステがついていないのは、前軸荷重が軽かったり、タイヤが細いため接地面の摩擦係数が少なかったりする車、特にパワーアシストしてまで軽くする必要はない車です。

このような面から、パワステが必要とされる理由として挙げられるのは、タイヤそのもののグリップが高くなったこと、車全体の性能向上が高いグリップを求めた結果と言えます。

パワステの種類

パワステは車のハンドルをよりスムーズに回せるよう力を補助してくれる役割があります。安全走行を行うために必要な装置です。

そして、パワステには以下の2種類の方式があります。

・電動式パワーステアリングシステム
・油圧式パワーステアリングシステム

パワステが車に搭載された当初は、油圧式パワーステアリングシステムが主流でした。しかし、現在では電動式パワーステアリングシステムが主流となっています。

その最大の理由は、ガソリン消費によるコストです。油圧式は技術が確立されコストは安価ですが、劣化によるオイル漏れやポンプを稼働させるためガソリンを消費します。

その結果、燃費が悪くなり乗用車には不向きという点から、電動式へと移行するメーカーが増えました。

車は、仮にパワステが故障しても最低限ハンドルが操作できるよう設計されてはいます。しかし、アシストをしてくれるパワーがなくなると、ハンドルが極端に重くなるため安全な運転ができなくなる恐れもあります。

パワステが故障した時の症状とは?

パワステは、車を快適に走行させるために欠かすことができません。しかし、様々な要因が重なり、突然故障することがあります。

パワステが故障した場合、どのようなことが原因となり症状が現れるのでしょう?

パワステの故障を判断するには、ハンドルの異音や重さが重要なポイントとなります。

それでは、油圧式と電動式、それぞれが故障した場合の症状や故障場所について見ていきます。

油圧式パワステの異音

油圧式パワステは、簡単に言うとエンジンからの動力で油圧を発生させて、その油圧の力を生かしハンドル操作を楽にしている機構です。

ポンプ、リターンホース、リザーバータンク、サクションホース、ポンププーリー、プレッシャーホース、ラック&ピニオン式油圧パワーステアリングギア、ステアリングコラム、インミディエイトシャフトという細かな部品が合わさり、ハンドルを軽く和ませるようにしています。

そのため、これらの部品に異常が発生すると以下のような異音が発生します。

・「ウォーン」「ウィーン」:オイル不足
・「ガクガク」「カクカク」:ステアリングジョイントの故障など
・「キーキー」「キュルキュル」:ベルトの故障など

これらの異常は、オイル不足が原因となっていることもあるため、オイルを補充すれば改善されることもあります。

電動式パワステの異音

油圧式パワステはエンジン消費が激しく、燃費の悪さに繋がるため最近の乗用車は電動式パワステが主流です。

そんな電動式のパワステも、油圧式と同様に異音が発生します。一言に異音と言っても音の種類は様々です。

・「ガラガラ」といった金属音:ステアリングギアの不具合
・「ウィーン」「シュー」:ポンプやホース系の不具合

上記のように金属音がする場合は、部品に不具合が生じている可能性があります。

また、電動式パワステでも油圧式とのハイブリッド方式を採用している車もあり、その場合はパワステオイルを補充すれば改善されるケースが多いです。

油圧式パワステのハンドルが重い

油圧式パワステのハンドルが重くなる原因は、パワステの機構から様々な部分での不具合が考えられます。

それでは、どのような不具合が生じるとハンドルが重くなるのか確認していきましょう。

・オイルの不具合
油圧式パワステは専用のオイルを使い、油圧を調整しています。調整することでパワステを制御していますが、このオイルが漏れてしまうとオイルが不足してハンドルが重くなります。
また、オイルが劣化すると油圧の調整がされにくくなり、ハンドルが重くなってしまう場合もあります。

・ポンプの不具合
油圧を発生させるポンプに不具合が生じると、ハンドルに送るパワーが不足します。その結果、ハンドルが重くなってしまう原因となります。

・ベルトの不具合
油圧式パワステにはベルトがかけられています。ゴムのベルトは年数が経過すると劣化したり、ひどくなると切れたりします。そうなるとハンドルに力を伝えることができなくなり、ハンドルが重くなってしまいます。

電動式パワステのハンドルが重い

電動式パワステは、油圧式のようにオイルやポンプではなく、モーターやセンサーなど電子系統の不具合がハンドルを重くする原因となります。

どのような不具合がハンドルを重くするのか、症状を確認していきましょう。

・ エンジンコントロールの不具合
電動式パワステはモーターで動き、エンジンコントロールによって制御されています。エンジンコントロールに不具合が生じてしまうと制御が効かなくなり、ハンドルが重くなってしまいます。

・センサーの不具合
電動式パワステはセンサーによって作動しています。このセンサーが誤作動を起こしてパワステがうまく動かなくなることでハンドルが重くなります。

・モーターの不具合
電動式パワステは、センサーに加えてモーターでも動く仕組みです。このモーターに不具合が生じることも、ハンドルが重くなる一因です。

パワステを修理しないと車検は受けられない?

車検とは、車が保安基準を満たしているかを検査する制度のことです。つまり「車検に合格しない=保安基準に適合していない」ということになり、車を安全に走行することができないと判断されます。

車種によってはパワステが装備されていない車もあります。そのような車はパワステがなくても車検に合格するので「ステアリングの重さは車検に関係ないのでは?」と思うかもしれません。

しかし、保安基準では「その車に備わっているものは機能しなければならない」というのが安全走行するための基準となっています。そのため、パワステのついた車は、パワステの機能が正常であることが必須条件となるのです。

現在、パワステがついている車は当たり前であり、タイヤのサイズや車両重量など車にかかる負荷を考えるとパワステなしでハンドル操作は難しいものもあります。

油圧式でも電動式でもパワステの故障を放置した状態では車検を受けることはできません。その上、車検とパワステ修理の費用を合わせると高額な費用がかかる恐れもあります。

パワステの修理費用はいくらかかる?

車が不調となれば修理を依頼しますが、費用がどのくらいかかるのか気になりなるところでしょう。

修理箇所によって費用には差があり、パワステの修理も種類や症状によって金額は変わってきます。請求書を見て高額な費用に驚かないためにも、どのような修理をして必要な部品はどのようなものなのか把握しておくことが重要です。

それでは、油圧式、電動式それぞれの修理方法や費用の目安について見ていきます。

油圧パワーステアリングの修理費用

油圧式パワステの故障の原因は、オイルポンプやパワステホースの不具合やオイル漏れです。

オイルがにじむ程度なら漏れ止め剤を使うと改善され、費用も10,000円以下で済みます。

しかし、部品の交換となれば高額な費用がかかります。

・パワステポンプの部品代
30,000~80,000円程度(新品)
20,000~80,000円程度(リビルト品)

・パワステホースの部品代
20,000~50,000円程度

・ステアリングラックの部品代
35,000円~70,000円程度(新品)
35,000円程度(リビルト品)

これらの部品代に工賃が追加されますが、業者によって工賃にも差があります。パワステ修理の工賃平均相場は30,000円程度かかり、パワステオイルなどを追加すると、11万円程度と高額請求となることがあります。

電動パワーステアリングの修理費用

電動式パワステの修理は、油圧式パワステと違い単体での部品交換ができません。その理由は、ほとんどがユニット化されているからです。そのため、パワステのシステム全部の交換となります。

車種により価格に差がありますが、モーターを交換する場合の費用相場は20~30万円、コンピューターを交換する場合の費用相場は10万円程度です。

ハンドルがおかしいと感じた時の対処法とは?

車を運転している時に「ハンドルが重い」「いつもと違う感覚がする」など違和感を感じたまま走行したことがある方もいるかもしれません。

その原因がドライバー自身に疲れが溜まっていたり、気のせいだったりすることもあります。このような場合は、車を一度停車して休息をとれば改善されるでしょう。

しかし、体調の異変もなく、明らかにハンドルが重くなってしまっているようであれば、車が異常な事態となっていることは間違いありません。

実際にハンドルが重くなり、安全な走行ができなくなった時にはどのように対処したら良いのでしょう?

ハンドルの異常が起こった場合にとるべき対処法を紹介していきます。

安全な場所に停車する

運転をしている時に突然ハンドルが重くなった場合には、焦らないことが大切です。落ち着いて、ハザードをつけ後方に車の異常を知らせてください。

その上で、路肩や安全な場所に停車しましょう。近くに停車する場所がない場合は、ぎりぎりまで道幅に寄せて後続車の安全を確保します。

停車後、後方車両にも分かりやすいように発煙筒などで停車していることを知らせることも忘れないでください。車から出る際には、後続車に巻き込まれないよう細心の注意を払って出るようにしましょう。

発煙筒を置くなどの処置が完了したら速やかに車内に戻り、焦らず自分の加入している自動車保険が提供しているロードサービスへ連絡をして指示を待ちます。

高速道路の場合は車内に留まらず、ガードレールの外側に避難してください。万が一、追突されてしまった場合に備えられます。

ディーラーや整備工場に連絡をする

急にハンドルが重くなり、車が思うように操作できなくなれば、焦ってしまうでしょう。しかし、走行した状態で業者に連絡するのは大変危険です。必ず、停車してから業者に連絡をして症状を話してください。

ハンドルは車を運転する上で大事な部分です。ハンドルに不具合が発生したり、違和感を感じたりした時は、整備士のいるディーラーや車用品店に現在の状態を伝えることで、事故が回避できます。

仮に、停車せずに自己判断で走り続けると大事故を起こすかもしれません。事故が起きてしまってからでは取り返しがつかないので、早急に不具合をチェックしてもらってください。

そして、ハンドルが重いだけではなく、変な音がするといった場合には、修理を依頼しましょう。「ハンドルは重いけれど今は動いているから大丈夫」という考えは危険な結果を招くことにも繋がります。

出来るだけすぐにディーラーや最寄りの整備工場などへ持って行き、状態を見てもらってください。

パワステの故障以外でハンドルが重くなる原因はある?

急にハンドルが重くなったからといって、パワステの故障だけが原因とは限りません。

ハンドルは車を走行させるための舵であり、パワステ以外にも重くなる原因があります。

・タイヤの空気圧が少ない
タイヤには常に一定量の空気圧が必要です。
タイヤの空気圧が不足すると地面とタイヤとの接地率が上がり、タイヤが転がる時の抵抗が増します。そのため、ハンドルを切る時にズシッと重さを感じるようになります。

・タイヤがパンクしている
走行中に釘や異物を踏んでしまった場合、徐々にタイヤの空気が抜けてパンクしてしまいます。
特に、前輪のタイヤがパンクするとハンドルはいつもより重たく感じます。走行中、ハンドルが重くなったり、ハンドルがガタガタと震えて手元に違和感があったりする場合には、前輪のタイヤがパンクしている可能性があるため、すぐに確認をしましょう。

まとめ

①パワステはハンドル操作の軸である

②パワステには油圧式と電動式がある

③パワステが故障すると異音がしたり、ハンドルが重くなる

④パワステが故障したら早急に修理が必要

⑤ハンドルが重くなる原因はパワステの故障以外にも、タイヤの空気圧やパンクなどがある

この記事の画像を見る

この記事はいかがでしたか?

気に入らない気に入った

グーネットマガジン編集部

ライタープロフィール

グーネットマガジン編集部

1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
グーネットでは軽自動車から高級輸入車まで中古車購入に関する、おすすめの情報を幅広く掲載しておりますので、皆さまの中古車の選び方や購入に関する不安を長年の実績や知見で解消していきたいと考えております。

また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
誌面が主の時代から培った、豊富な中古車情報や中古車購入の知識・車そのものの知見を活かして、皆さまの快適なカーライフをサポートさせて頂きます。

この人の記事を読む

1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
グーネットでは軽自動車から高級輸入車まで中古車購入に関する、おすすめの情報を幅広く掲載しておりますので、皆さまの中古車の選び方や購入に関する不安を長年の実績や知見で解消していきたいと考えております。

また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
誌面が主の時代から培った、豊富な中古車情報や中古車購入の知識・車そのものの知見を活かして、皆さまの快適なカーライフをサポートさせて頂きます。

この人の記事を読む

img_backTop ページトップに戻る

ȥURL򥳥ԡޤ