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更新日:2022.10.29 / 掲載日:2022.10.29

車の故障が原因で事故を起こしたらどうすればいい?責任の所在について解説

車の故障が原因で事故を起こした場合、ほとんどの場合は車の持ち主やドライバーが責任を負います。その場合、刑事罰や行政処分、被害者への損害賠償などのペナルティを課せられることになるでしょう。

しかし、車両の管理や整備について落ち度があったと認められれば、車の管理者の責任が追及されることもあります。会社で使っていた車などが、分かりやすい例です。

この記事では、こうした場合の責任の所在やその根拠法などを説明します。

車の故障による事故は誰が責任を負う?

車が故障や不具合を起こすと、最悪の場合それが原因で事故が発生してしまうこともあります。事故の加害者は刑事責任、行政上の責任、賠償責任を負うことになり、それぞれの責任に応じたペナルティを課されるでしょう。

以下では、事故の責任を根拠づける法律にはどんなものがあるのか、それらの法的責任と保険の世界の「過失」の概念はどういう関係があるのかを見ていきます。

また、やや特殊なパターンの事故の場合、責任は誰が負うことになるのかも説明します。

自動車事故における責任

はじめに、自動車による交通事故を起こした場合に加害者が負うことになる3つの責任について説明していきます。

その3つとは、刑事罰を受けることになる「刑事責任」、ペナルティとしての「行政処分」、被害者が受けた損害の「賠償責任」になります。

刑事責任

自動車事故を起こすと、加害者は刑事責任を負います。事故の内容によりますが、刑法に定める「過失運転致死傷罪」や「危険運転致死傷罪」などの罪に問われれば、懲役刑や禁固刑に処せられることもあるでしょう。

また、刑法とは別に道路交通法などでも刑罰が定められています。速度超過や一時停止をしなかったことによる懲役や、罰金などが挙げられます。

このように、刑法以外で罰則規定が設けられている法律が特別刑法です。

行政責任

自動車事故を起こすと、刑事罰とは別に行政上のペナルティも課せられます。

まず行政処分として、公安委員会が一定の基準に基づいて運転免許の停止・取り消し・反則金などの措置を取ることになるでしょう。

また、いわゆる点数制度もこうした行政上のペナルティのひとつです。事故を起こした運転者の過去3年間の事故・違反行為に点数をつけ、その合計点数によって運転免許の停止や取り消しなどの処分が行われます。

賠償責任

自動車事故を起こした加害者は、刑事罰と行政処分以外にも民事上の責任として賠償責任も負うことになります。

そのため、事故の被害者が受けた損害を金銭で賠償することになります。これについては保険によってカバーすることが可能です。

賠償責任は民法や自動車損害賠償法によって規定されており、定められた基準と手続きに従って賠償金の支払いなどを行うことになります。

自賠責保険や自動車保険は、こうした場合に加害者の民事上の責任を肩代わりするものです。

過失割合について

ここまでで、自動車で交通事故を起こした場合に生じる3つの責任について説明してきました。

次に、保険会社を通して損害賠償金の金額を決定する際、特に重要な役割を果たす「過失割合」の概念について解説していきます。

過失割合とは?

過失割合は、保険金の支払額に関係してくる事故の加害者・被害者の過失(責任)の割合を数値で表したものです。あくまでも保険業界で使われる数値で、前述した刑事・行政・民事それぞれの責任の重さとは関係ありません。

過失割合は10対0(100対0)、9対1(90対10)という形で表されます。例えば、事故の被害者が加害者から損害賠償金として100万円受け取れるはずだったとします。しかし、被害者にも1割の過失割合が認められれば、1割分が差し引かれることになるため実際の支払額は90万円です。

過失割合の認定は、前方不注意などの加害者側のミスに加えて「事故発生時に車が動いていたかどうか」も基準になります。単純な追突事故であれば普通は追突した側に100%の責任があるように感じられますが、過失割合の考え方では、追突された車が少しでも動いていれば何%かの過失割合は負わされることになるでしょう。

こういったことから、加害者・被害者間で争いになることもあります。保険の損害賠償額の支払額を決めるにあたり、この過失割合を加害者・被害者でどう割り振るか折り合いがつかなくなるケースは珍しくありません。

過失割合はどう決まるのか

過失割合は、現場の状況などを踏まえて被害者・加害者双方の合意によって決まります。しかし、実際に双方が直接相談をして決めることはほとんどなく、間に保険会社が入って示談交渉を行うことになるでしょう。

流れとしては、過去の判例などを参考にしながら加害者側から過失割合の数値を示して、保険会社を通して被害者側と交渉を行います。交渉によっては折り合いがつかず、示談が終了するまで何年もかかることもあります。

過失割合は変更できるのか

過失割合は前述したような経緯を辿って決定するので、途中で変更されることも珍しくありません。

最初は加害者側に100%責任があったと思われていたが、後に被害者側にも何割かの過失があったと認定されるパターンもあります。こうした変動をもたらす要素が「修正要素」です。

例えば、冬季の豪雪地帯でノーマルタイヤを装着して走行していれば、それが過失として認定されることもあるでしょう。こうした要素を踏まえながら、最終的な割合が決まっていくことになります。

自動車事故の責任に関する法律

ここまでで、自動車事故の加害者が負う責任と過失責任と過失割合について説明してきました。

次に、事故の加害者が責任を負うことについて、根拠となる法律にはどんなものがあるのかを見ていきましょう。

道路交通法

道路交通法は、道路上での危険を防止して歩行者や車の安全を守るために作られた法律です。自動車事故が発生した場合、まずは道路交通法に基づいて、加害者の責任が追及されることになります。

この法律では、事故が発生した時の加害者の義務についても定めています。いわゆる救護義務や事故発生直後の周辺の安全確保、および警察への通報を行う義務などは全てこの法律の定めによるものです。

また、道路交通法には罰則も設けられています。通常、人を罰する際に適用されるのは刑法です。しかし、道路交通法は刑法以外にも罰則が設けられている法律である「特別刑法」の一種と位置付けられています。そのため、上述の義務に対する違反が認められた場合などは、道路交通法に定められた罰則が科されるでしょう。

例えば、いわゆる「ひき逃げ」の加害者は5年以下の懲役または50万円以下の罰金です。無免許運転をすれば3年以下の懲役または30万円以下の罰金が科されますが、これらは全て道路交通法上の規定となっています。

民法

交通事故にまつわる法律で、特に損害賠償について関係してくるのが民法です。民法は一般市民同士の間の紛争を処理・解決するための法律で、交通事故の加害者は民法の規定に従って損害賠償金を支払う義務を負うことになります。

民法上、交通事故は故意または過失によって他人の権利や利益を違法に侵害する「不法行為」にあたります。この不法行為を行った人は、被害者に対して損害賠償をしなければならないと定められているのです。

自動車損害賠償保障法

交通事故の被害者を救済するための法律として、自動車損害賠償保障法、通称「自賠法」もあります。これには強制保険である自賠責保険に関する規定が記載されており、民法よりも優先して適用されるという点が特徴的です。

なぜ民法よりも優先されるのかというと、交通事故の被害者が加害者の不法行為を立証するのは難しいという事情があります。加害者に過失がないことや被害者に落ち度があったことがはっきり証明されない限り、交通事故の被害者はこの法律に定める範囲内で救済措置を受けられることになっています。

PL法(製造物責任法)

PL法(製造物責任法)という法律を聞いたことがある方は少ないかもしれません。この法律は、ある製造物について欠陥が認められた場合の製造者の責任を規定したものです。

車について言えば、製造段階から存在していた欠陥が原因で事故が発生した場合は、この規定に基づき責任追及が可能です。その結果、製造者の責任が認定されればPL法が適用され、製造者の損害賠償責任を問うことが可能になります。

ただし、事故とそれによる損害が発生した原因が車に製造時点から存在していた欠陥にあることを証明する必要があります。こうした因果関係を素人が自力で証明するのは簡単ではありません。

近年、技術革新によって車の内部構造は複雑化が進んでいるので、車の構造や法律に詳しい専門家の力を借りる必要があります。そのため、事故の原因が車の欠陥にある疑いがあれば、まずリコール情報を確認しましょう。あわせて、自動車製造物責任相談センターなどに相談することをおすすめします。

刑法・その他

刑法上の交通事故に対する罰則規定は年々重くなっています。悲惨な事故が起きたことによる社会的要請を受けて、法律が改正されていったからです。

例えば、以前は「自動車運転過失致死傷罪」「危険運転致死傷罪」は刑法上の規定でしたが、現在は自動車運転死傷処罰法という独立した法律に移っています。この移行により危険運転致死傷罪を適用するための要件が緩和され、それまでは同罪に該当しなかったケースも処罰可能となりました。

悪質な運転に対する厳罰化は今後も進んでいくことでしょう。

運転者以外の責任が問題になるケース

ここまでは、自動車による交通事故を起こした際に加害者が負う責任や法律について見てきましたが、ここからは、運転手以外の人の責任が問題になるケースにはどんなものがあるかを見ていきましょう。

製造時点で欠陥があった

車が製造された段階ですでに欠陥があり、その欠陥が理由で事故が発生した場合は、前述したPL法(製造物責任法)に基づいて製造者の損害賠償責任を追及することが可能です。

ただし、損害賠償を受けるには欠陥と事故との因果関係を証明しなければなりません。注意しなければならないのは、欠陥があるだけの場合です。欠陥によってただ故障しただけだと、PL法は適用されません。

その場合は、リコールが適用されることもありますので、まずは車を購入した販売店やメーカーディーラーに相談しましょう。

メンテナンス不足による事故

車のメンテナンス不足によって交通事故が発生した場合、個人の所有車であれば持ち主が罪に問われます。しかし、会社組織などで管理している車で運転する人と整備する人が別々だった場合は、双方が処罰されることもあるでしょう。

トラックから外れたタイヤが後続車にぶつかって怪我人が出た事故では、トラックの整備担当者が業務上過失致傷容疑、運転手と社長が過失運転致傷と道路交通違反でそれぞれ書類送検されています。

自分が乗る車でなくとも、車両の管理・整備にはこのような責任が伴います。

事故に巻き込まれた

巻き込まれる形で事故に遭遇した場合とは、例えば被害者の車が完全に停止しているところに追突されたなど、争う余地がない場合は問題ありませんが、玉突き事故のようなケースでは、被害者の責任も問われることがあります。

もちろんこの場合でも、原則的には先頭の車両には責任はありませんし、最初に追突した車両の過失が100%となるのが一般的です。

ただ先述した通り、追突された側の車が少しでも速度を出して動いていたと見なされれば、保険金の支払いに関しては何割かの過失割合が認められるでしょう。

また、賠償のために使われる保険と支払い・支払われる関係がややこしくなるのも難しいところです。通常は被害者の人的被害は加害者の人身傷害補償保険と搭乗者傷害保険を使います。車の損傷には対物賠償保険を使い、過失割合によって減額された分は被害者自身の車両保険を使って…というような流れです。

しかし、玉突き事故の場合は被害者・加害者が複数人関係することになります。そのため、損害賠償の手続きも複雑になることが多いです。

車を貸したら事故を起こされた

車を友人・知人に貸して事故が発生した場合、被害者は車の持ち主に対して損害賠償を請求することになります。こうした場合「運行供用者」として、車を貸した持ち主と借りた友人・知人は双方共に責任を負うことが自動車損害賠償保障法によって規定されています。

民法上の用語で説明すると、車を貸した時点で貸主と借主の間には貸借が成立していると言えます。貸主もまた、貸した車に対して運行支配・運行利益を留保していることになるのです。そのため、損害賠償に際しては車の貸主が契約している自賠責保険・自動車保険を使うことになるでしょう。

ただし、これは事故を起こした友人・知人の保険を利用することも可能ですし、双方が連帯して賠償責任を引き受けることもできます。また、貸主がいったん損害賠償を済ませれば、それは実際に事故を起こした友人・知人が払うべき損害を「立て替えた」ということになります。貸主は借主の友人・知人に、その分を請求することも可能です。

盗難に遭って事故を起こされた

車を盗まれてその車で事故を起こされた場合は、盗んで運転していた人物が責任を負うのが原則です。ただし、車の管理について問題があったと見なされれば、車の持ち主が責任を問われるケースもあります。

例えば、駐車場で動かせばすぐに他の車両に接触するような場所に駐車していて、キーをつけっ放しでいつ盗まれてもおかしくない状態だった場合は、車の持ち主も損害賠償責任を負うことがあります。

社用車による事故

会社が所有している社用車で従業員が事故を起こした場合は、責任の所在は少し複雑になります。その事故が業務時間内に発生したものだったのか、またその車が純粋に「社用」だったのかどうかによって、判断が異なります。

まず、事故が起きたのが「業務中」か「業務時間外」かの区別は、純粋に業務中の事故であれば従業員本人の責任と、会社側の使用者責任ならびに運行供用者責任が発生します。業務時間外に社用車を私用で使ったのであれば、発生するのは従業員本人の責任だけです。

次に自動車の名義の問題ですが、従業員の自家用車を会社の業務で使っている場合も業務中の事故であれば従業員本人の責任ならびに会社側の使用者責任・運行供用者責任が生じます。また、業務時間外なら従業員本人の責任しか生じない点も同様です。

グレーゾーンなのが通勤中・退勤中に起こした事故が業務中の事故と言えるかどうかという点です。この場合、純粋に通勤・退勤ルートに沿った中での事故なら業務中と見なされますが、寄り道などで通勤ルートから大幅に外れていると会社の責任ではないと言えます。

レンタカーの事故

借りていたレンタカーによって事故を起こしたり、事故に遭遇した場合、責任の所在はどうなるのでしょう?

まず、基本的に刑事責任と行政責任は車を運転していたドライバーが負うことになります。一方、民事上の賠償責任については、レンタカー会社であらかじめ加入している自賠責保険と自動車保険が使われることになります。

もともとレンタカーは営業にあたり自動車保険による最低限の補償を備えていなければならないため、その保険によって補償がされるでしょう。

ただし、レンタカー会社が対人・対物共に無制限で補償できるとは限りません。また、免責金額が設定されていれば補償し切れない分は事故を起こしたドライバーの自己負担となります。レンタカーの修理費をカバーする車両保険についても同様です。

レンタカーを借りる際、追加料金を払えば保障が無制限となり、免責金額や休業損害にかかる賠償分の支払いもゼロとなるオプションもあります。車のレンタル時にこちらを利用しておけば、いざという時に安心です。

まとめ

①自動車事故の加害者は、大まかに刑事責任・行政責任・賠償責任の3つを負うことになる

②保険金の支払いには「過失割合」もある

③自動車事故の加害者の責任を規定した法律で、代表的なのは道路交通法

④賠償に関するルールは民法で規定されている

⑤事故発生時に運転者以外の人の責任を問う法律として、PL法(製造物責任法)がある

⑥車を貸して事故を起こされたケースなど、直接の持ち主以外の人に責任が追及されることもある

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
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