インタビュー
更新日:2026.06.23 / 掲載日:2026.06.23

安心してカーライフを楽しめる時代へ、官民で進める整備業界の信頼構築|業界人インタビュー

「安さ」から「信頼」の時代へ。

私たちが安心してカーライフを楽しめる理由

自動車産業が「100年に1度」の大変革期を迎える中、中古車選びや愛車の整備を取り巻く環境も大きく変わりつつあります。

最近のニュースを見て、「本当にこのお店を信じていいのかな?」と不安を感じたことがある方も少なくないはずです。

今回は、国(国土交通省)で自動車整備の未来を考える多田課長と、クルマの情報メディアを運営するプロトコーポレーションの白木社長が、

一般ユーザーの目線に立って「これからの安心なクルマ社会」について語り合いました。

① 今、私たちが感じている「クルマ選びの不安」

―― 最近、中古車や整備をめぐるニュースが多く、お店選びに迷ってしまう消費者が増えています。

白木:多くの情報をお届けするメディアの立場からも、みなさんの視線の変化を肌で感じています。かつては「どんな憧れの車に乗ろうか!」という純粋なワクワク感が中心でした。

しかし今は、車が高額で大切な買い物だからこそ、「この情報やお店は本当に信じられるの?」という不安が先に来てしまっているのが現状です。

だからこそ、嘘偽りのない「情報の透明さ」がこれまで以上に求められています。

多田:本当におっしゃる通りです。一部の悪質な事例のせいで、毎日真面目にお客様と向き合っている多くの事業者様まで疑われてしまうのは、非常に悲しいことです。

国としても2024年に、真面目な事業者様がしっかり報われ、職場の風通しが良くなるような新しいガイドラインを作りました。

業界全体が今直視すべき一番の課題は、失ってしまったみなさんからの「信頼」をどうやって取り戻すか、という点に尽きます。

② 外見では分からない「見えない価値」をデータで見る

―― 予防安全機能(自動ブレーキなど)がついたハイブリッド車やEVが増え、中身が複雑になっています。素人には良し悪しが分かりませんが、どう見極めればいいでしょうか?

多田:今のクルマはまさに「走るコンピューター」です。最新の安全技術に対応するためには、お店側も新しい設備や知識のアップデートが欠かせず、特に街の小さなお店にとっては大変な努力が必要です。

しかし、みなさんが「整備難民」にならないためにも、ここは避けて通れません。

白木:そこで重要になるのが、私たちメディアの役割です。

外見からは絶対に分からないバッテリーの劣化具合や、コンピューターの目に見えない不具合を、「OBDツール(故障診断機)」という専用の機械を使って客観的なデータとしてしっかり開示していく。

この「見えない価値」を共通のモノサシで見えるようにすることが、みなさんの不安を根本から解消する鍵になると考えています。

多田:大賛成です。これまではメカニックの「勘と経験」という、外からは見えにくい職人技に頼っていた部分がありました。

それをデータとしてしっかり可視化し、みなさんに正確にお伝えする。このステップこそが、これからの時代の「車の安心」を支えるお守りになります。

③ 「安いお店」よりも「安心をくれる優良店」が選ばれる理由

―― 私たち消費者は、つい「費用の安さ」でお店を選びがちですが、意識を変えた方が良いのでしょうか?

白木:お店選びの基準が変わることは、決してユーザーに負担を強いる「規制の強化」ではなく、お互いにとってハッピーな「成長」に繋がります。

良いお店が正当に評価される環境になれば、サービスの質はどんどん上がっていくからです。

多田:これからは「安さ」だけで選ぶのではなく、「安心・信頼」という新しい価値でお店を選ぶ時代です。

例えば、最新の機械を使った精密な診断には、相応のコストや高度な技術が必要です。

お店側も「なぜこの整備が必要なのか」をみなさんに丁寧に説明し、納得していただいた上で、正当な診断料をしっかりいただく。

そうして整備業界が「しっかり稼げる魅力的な仕事」として社会に認められることが、巡り巡って、みなさんの安全を守る質の高いサービスとして還元されていきます。

白木:ただ直すだけでなく、「どんな修理をしたか」というプロセスを透明にして共有してくれるお店こそが良いお店です。

私たちメディアも、そうやって見えない部分にコストとプロの技術をかけている優良店が、みなさんから一目で選ばれるような仕組みを全力で作っていきます。

(掲載されている内容は「プロト総研 / カーライフ」2026年5月掲載記事【中古車市場の活性化と業界の健全化を目指して/対談企画③】を転載したものです)

 

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ライタープロフィール

家本浩太(イエモトコウタ)

地方新聞社で記者としてキャリアをスタートし、自動車産業やモータースポーツ関連の原稿を多く手掛けた。その後、自動車分野を専門とする制作会社では雑誌やムック本、ディーラーの機関紙などの取材・編集などを担当。自動車ニュースサイトでデスクを務めるなどし、現在はグーネットマガジン編集部に。自動車関連で最も多く取材をした分野はキャンピングカー。

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地方新聞社で記者としてキャリアをスタートし、自動車産業やモータースポーツ関連の原稿を多く手掛けた。その後、自動車分野を専門とする制作会社では雑誌やムック本、ディーラーの機関紙などの取材・編集などを担当。自動車ニュースサイトでデスクを務めるなどし、現在はグーネットマガジン編集部に。自動車関連で最も多く取材をした分野はキャンピングカー。

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