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故障・修理
更新日:2019.09.10 / 掲載日:2019.09.10

大人の電子工作入門PART3-1 市販の電子工作キットを組み上げる

キット製作は細かな作業にはなるもののハンダ付け箇所が多く、必然的に数をこなすことになる。このため、ハンダ付けの練習にも最適なのだ!

 ハンダ付けは「習う」より「慣れろ」の体で覚える技術。上手くなるためには数をこなすしかないからだ。

 そこで、おすすめしたいのが「電子工作キット」の製作。細かな作業にはなるもののハンダ付け箇所が多く、必然的に数をこなすことになるからでハンダ付けの練習に最適。完成させるという目的があるため飽きることなく取り組むことができ、完成したならカーライフの役にも立って一石二鳥なのだ。 

 とはいえ、「ハンダ付けそのものが不慣れなのに電子工作なんて無理!」という考えが頭をかすめた人も多いことと思う。部品点数が少なかったり単純な回路構成の初心者向けキットなら、ビギナーでもそれほど難しくはないので、臆することなく一歩を踏み出したい。

 さて、電子パーツを基板にハンダ付けする時は背の低い物から付けていくのが原則。そして、パーツのリード線は取り付け穴の間隔に合わせて曲げ加工してから基盤上に組み付けておいて、ハンダを溶かし込む。が、電子パーツは熱に弱いため、ハンダ付け作業は手際よく進めることが肝心! 熱しすぎると破損してしまうことがあるので要注意だ。

★マイコンキットドットコム 
MK-610 矢印アニメーションキット
価格:1,380円(税込)

21個のLEDで表現する矢印が順番に点灯する矢印アニメーションキット。部品点数は若干多いが回路はシンプル。電子工作の初心者や練習にも便利なキットとなっている。

【練習に最適な大量のLEDを使用するキット】流れる矢印キットをウインカーに仕立てる!

同じ作業を繰り返すがゆえにハンダ付け作業に没頭できる

 大量のLEDを使用する電子工作キットはハンダ付けの練習にうってつけ! 組み付け方向の確認は必要なものの、いちいち型番確認をすることなく同じ作業を黙々と繰り返すがゆえに、ハンダ付け作業に没頭できるからだ。

 さて、この矢印を見た時まっ先に頭に浮かんだのが「補助ウインカー」。ハイマウントの左右端に、ウインカーに連動して流れる矢印が表示されれば、後続車からの視認性が格段に向上するはず。

 そこで、左右にセットすることを前提に矢印アニメーションキットを2セット用意。とりあえず取り扱い説明書通りに組み上げ、動作確認後に補助ウインカーに仕立てていくことにした。

部品がすべて揃っているか確認する

パーツをすべて取り出し、パーツリストに照らし合わせて揃っているか確認する。

まず、同じパーツごとに仕分けする。

数が揃っているるか個別に確認しながら、リストの該当箇所にチェック。すべて揃っていることが確認できたところで、組み立て作業を開始する。

取り付け穴の幅の合わせてはめ込む

まず、数の少ないダイオードを片づける。組み付け位置と組み付け方向を確認。

取り付け穴の間隔に合わせて足を曲げる。

み付け穴にピッタリはまるようコの字形に曲げるのだ。

プリント基板に密着するまで、取り付け穴位置にまっすぐ、奥まで確実にはめこむ。

軽く抜け止めしてハンダ付けする

基板裏に飛び出した足を軽くハの字に曲げて裏返す。

コテ先を基盤のランド(銅箔面)とリード線の両者に接触させて3~4秒ほど加熱。

糸ハンダを押し当てランド全体に広がるまで溶かし込む。

富士山状に盛り上がったら糸ハンダを外し、コテ先を離して完成。

同様にダイオードを3個取り付ける

基板から飛び出している余分なリード線をハンダの山の頂点でカットして一段落。

ハンダがランド全体に広がりつつなだらかに盛り上がり、ハンダ表面に艶がある。このように仕上がればOK! 

様にして残りのダイオードをハンダ付けする。

念のためテスターで確認する

カラーコードの近似色は見間違いやすい。たとえば1KΩの「茶/黒/赤/金」と10KΩの「茶/黒/橙/金」の橙と赤はパッと見、ほぼ同じ。要注意だ。このため、テスターで抵抗値を必ず確認する。

横に寝かせて取り付ける場合、ダイオードと同じく組み付け穴の幅に合致するようコの字形に曲げる。

取り付け穴位置にまっすぐはめる。

基板に密着させ、落下しないよう裏に飛び出した足を軽くハの字に曲げておく。

同じカラーコードを残らず組み付ける

容量違いが複数あるパーツは、とりあえず数の少ない物から組み付けていく。

本キットの場合、1KΩで、ダイオード取り付けの要領でハンダ付けする。

同様にして基板表面の組み付け位置に表記されている抵抗値を確認しつつ、赤で示した3箇所に取り付ける。

よくある失敗とその原因!
リード線にのみハンダが付いて盛り上がってしまった状態。ランドへの密着が弱く、剥がれ導通不良の原因にもなる。

ハンダの量が少なかったり加熱しすぎで裏に漏れ出ている。導通不良の原因となる。

リード線にハンダが付いていない状態。これでは電気が流れない。

コード表記の配列を揃えて組み付ける

次に10KΩを組み付ける。なお、抵抗には極性はないが、完成後のチェックで判別しやすいよう1方向から見た時のカラーコードの並び順が同じになるよう組み付ける。

失敗ハンダとならないよう、1か所ずつ確実にハンダ付けする。

そして合計5個、組み付ける。

残りの抵抗をキッチリ組み付ける

本キットには抵抗がもう1種類、使用されている。抵抗値は390Ωで、他の抵抗と同様の手順で基板に組み付け、キッチリハンダ付けする。

この390ΩはLEDの電源制限抵抗で、直列接続されているLED3個に1個ずつの合計7個。LED配列の中央に1列に組み付ける。

取り付け穴に合わせて足を曲げてはめる

本キットで抵抗の次に低いパーツはトランジスター。これには組み付け方向があるので注意! 平らな面が基板の形状表示と合致するよう組み付ける。

中央の足を後方に軽く折り、取り付け穴形状に合わせてはめ込む。

ハンダ付けの要領は他と同じ。

赤丸位置の合計5個、取り付ける。

極性に注意して組み付ける

次に電解コンデンサーを組み付ける。これには+/-の極性があるので注意。リードの長い側を基板に表示されている+側の取り付け穴に合致するようはめ込む。

基板に密着するまでキッチリ押し込み、浮き上がらないよう押さえ込みつつハンダ付け。

そして計3個、組み付ける。

足が長い側を+側に合わせて組み付ける

最後に本命のLEDを取り付ける。コレにも極性があるので注意! 基板に表示されているダイオード表記の矢印方向に電気は流がれるため、矢印の手前側にリード線の長い側がくるようはめ込む。

はめ込み量はリード付け根の突起面までに留めることで、コンデンサーとほぼ同じ高さに合わせた。

ハンダ付けの要領は、やはり他のパーツ同様。

そして、合計21個、とにかく組み付け方向に注意して組み付ける。

1個組み付け方向を間違えると3個単位で光らなくなる!

 複数個のLEDを同時点灯させる場合、直列接続した3~4個を1セットとして点灯制御する。

 右図のように本キットも3個1組が直列接続されており、1個でも組み付け方向を間違えると3個単位で光らなくなる。このため、複数点かなかったとしても慌てないように。たいてい数個の組み替えで解決するので、内部を透かし見て端子の向きが逆になっている物がないか端からチェック。見つけたらハンダ吸い取り線を利用して取り外し、組み替える。

間違ったLEDを外して逆向きに組み替える

み間違ったLEDのハンダ付け面にハンダ吸い取り線を重ね、コテ先で押さえ付けて加熱する。

溶けたハンダを吸い取りきれなくなったら外してカット。

残っているハンダを再度、同様に吸い取る。

リード線がフリーになったところでLEDを抜き取る。

組み替えたら通電して動作確認!

LEDを引き抜いたら180度回転させてはめ込み、念のため本体内部を透かし見て端子の向きを確認。方向が合っていることを確認したところで、元通りハンダ付けする。そして、通電して再度、動作確認を行う。

なお、矢印アニメーションは3×4個の長方形面と9個で形成した三角面の順に点灯して消灯、という動作になる。

車両ウインカーに連動して点灯させてみたところ……

 道路交通法におけるウインカーに関する規定は取り付け高と灯色、レンズの面積くらいで、数量は特に決められていない。

 このため、タクシーのBピラー上部のルーフには後付けのウインカーが装着されている。つまり、取り付け高や灯色に注意すれば補助ウインカーもありなはず(往々にして検査官によって見解は異なるため車検を通るかどうかは現時点では分からない)。というわけで、車両ウインカーに連動して点灯させてみることにした。

 その結果だが、アニメーション動作はムラがあるため改造が必要。灯色と電圧変動への対処も必須となるが、これらに関しては比較的容易に対応できた。

透明ケースに仮組みする

ウインカーの補助ランプとし使えるか確認するため、リヤウインドウに仮付けしてみることにした。0.5sqの平行線を電源端子にハンダ付けする。

ガラス内面に固定できるよう、LED面がピッタリはまり込む透明ケースを用意し、組み付けてガムテープで仮留めする。

同じ物をもう1個、製作してケースに組み付けて準備完了。

リヤゲートの上端に仮止め

リヤウインドウ上端の左右端に、矢印が外を向くよう両面テープを利用して透明ケース面を貼り付ける。

反対側も同様に仮留めし、車両のウインカー配線の+線主線を分岐して電源線を接続。アース線をボディアースする。

点灯タイミングが合わない。色もNG

矢印のアニメーションはコンデンサーへの充電・放電を利用したもの。点灯サイクルにはムラがあり、矢印を表示しきったと思ったら次は途中で終わったりと、車両のウインカーの点滅タイミングとズレがある。

また、灯色は赤のため、このままでは道交法の規定をクリアできない。

同時点灯させたらバラバラ!

点灯サイクルにはムラがあるばかりか個々の基板で異なるため、ハザードで同時点灯させてみると左右でバラバラ。

ウインカーの補助として利用するためにはアニメーション動作を早めたり、いっそのこと矢印点灯のみとするなどの対策が必要だ。

とりあえず橙のLEDに組み替える

とりあえず、すぐに対処できる灯色を変更することにした。

ハンダ吸い取り線を利用してハンダ付けのハンダを吸い取って21個全てのLEDを取り外す。

用意した橙色の高輝度LEDを、LED取り付け面に順次、組み付けていく。

タイミングは合わないままだが灯色はOK!

リヤウインドウに仮付けてして点灯させてみる。点滅サイクルはズレるものの矢印アニメーションは問題なく動作。光量も十分だが、本キットの動作電圧は9~12V。

クルマで使うなら安定化電源が必要となる。

電圧変動に対処するため9V電源を製作

クルマの12V電源は走行時、14.5Vまで上昇する。この電圧変動に対処するため、9Vの3端子レギュレーターを利用して安定化回路を組む。

3端子レギュレーターの足を細くなった位置から直角に曲げる。

電解コンデンサーのリードも直角に曲げ、適当なサイズにカットしたユニバーサル基板に、ピッタリ密着するよう組み付ける。

3端子レギュレーターの出力端子を上方に曲げ、そこに電解コンデンサーの+リードを曲げ加工して繋げる。

出力端子面からはみ出すリード端をカットする。

折り曲げた足をランドにハンダ付けする

3端子レギュレーターと電解コンデンサーの+リード、そして両者の接続面をハンダ付けして固定する。

3端子レギュレーターのGND端子を下方に、出力端子を上方に曲げ、3端子レギュレーターの入力端子の横にセラミックコンデンサーをはめ込む。

セラミックコンデンサーの一端を入力端子側に曲げてはみ出し面をカットし、ハンダ付けで接続。

残り一端を真横に曲げてGND端子と電解コンデンサーの-リードと繋げ、ハンダ付けする。

これで完成!

配線を取り付けて動作確認。OKだ!

矢印アニメーションユニットの+電源線を3端子レギュレーターの出力端子にハンダ付けする。

0.5sq平行線を用意し、入力端子に赤線、GND端子に黒線をハンダ付けする。

これで9Vの安定化電源は完成!

これで9Vの安定化電源は完成!

安定化電源の電源線を12Vバッテリーに接続して動作確認する。問題なし。これなら車両に搭載しても壊れることなく動作する。

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グーネットピット編集部

ライタープロフィール

グーネットピット編集部

車検・点検、オイル交換、修理・塗装・板金、パーツ持ち込み取り付けなどのメンテナンス記事を制作している、
自動車整備に関するプロ集団です。愛車の整備の仕方にお困りの方々の手助けになれればと考えています。

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