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故障・修理
更新日:2019.03.05 / 掲載日:2019.03.05

AA63セリカラリー車製作プロジェクトVol.2

80年代に存在した過激なラリーカテゴリーとして大人気を誇ったグループB。そのベース車両ともなったA60セリカをラリー仕様に仕立て上げ、GAZOOラリーチャレンジに出場しようというのがこの企画。しかしベースとして用意された車両は、土に返る寸前のサビサビボディ。果たしてこんな車両がラリーカーに仕上がるのか!?

●文と撮影:坪内英樹

 GAZOOラリーチャレンジに参戦するという壮大な(?)目標を掲げ、前号よりレポートを始めさせてもらったこのページ。A60型セリカという、今や完全なる旧車がベースとなるだけでも、過酷なラリーを走ることのできる車両に仕上げるには大変そうだが、それ以前にベース車が錆だらけで、普通に考えるとレストアベースにさえふさわしくないコンディションと前途は多難そう。とはいえこのページにてレポートを進めるわけで、進めていくしかないのだ。 というワケで今回は錆たボディの中でもとりわけ状態が酷いことになっているトランクまわりの作業をレポートする。トランクリッドの袋の部分がサビているなんていうのであればかわいいもので、このセリカはフロアパネルの四隅のうち三方が錆てパネルの端部が欠損してしまっているような状態。モノコックボディなので、トランク内のフロアもボディ強度を保つ上で重要なパネルとなるだけに、FRPなどを貼り付けるようなごまかしの修復というわけにはいかない。
 そこで錆た部分にしっかりと鉄板を溶接して切り貼りしていくのだが、それを行うための準備段階、つまり作業の邪魔となる部品を外すだけでも、かなりの作業時間を要する。クルマいじりに詳しい本誌読者の皆さんなら想像できると思うが、錆や固着が障害となり、部品を外すことさえやすやすとは作業が進まない。今回作業した大物でいくとガソリンタンクやマフラー、バンパーなど一般的な車両であればレースメカニックの海老名さんにかかれば1時間もかからず外せるものが、このセリカだと外すだけで丸1日近い時間を要したのだ。
 ラリー車製作と銘打っているが、ラリー車製作感(?)が出てくるのは、申し訳ないが、当分先のことになりそう。必ずやラリーチャレンジには出場するので温かい目で見守ってくださいませ。

ガレージを訪れる人たちは……ニヤニヤしながらサビサビのボディを眺めていきます

ロゴスに立ち寄ったお客さんが、ガレージで「おっ、懐かしいセリカ!」みたいな感じでセリカに近づいてきてくれます。そしてサビサビのボディの状態に気付くと、反応がふたつに分かれる。ひとつは「解体して部品取り?」というもの。それから「またスゴいの直しているね」というもの。ラリー車を作っていると海老名メカが説明すると、皆さんニヤニヤしながらクルマを眺めていきます。

1 ガソリンタンクを取り外しました

トランクの下にはガソリンタンクが吊るされている。床の修復をするのにタンクが邪魔なので、まずはこのタンクを取り外します。競技車両を作る際にタンクを降ろすこともよくあるため、海老名メカは手慣れた感じで作業を進めるはずだったんですが、錆や固着が酷く、たとえば給油口へのパイプを外すだけでも、ホースとパイプがなかなか外れず難航……。降ろすまでに結構な時間が。

2 マフラーを外そうとしたら……

マフラーも取り外します。錆びているボルトには予めラスペネをしっかり塗布してから作業開始。フランジ部のボルトナットはその効果もあり、あっさりと外れてくれたのですが、マフラーを吊っているゴムが掛かるブラケットを外そうとしていた海老名メカが固定ボルトの1本を回そうとするとイヤな感触……。上からボルトが掛かっている部分を見ると、サビサビ。外すには外せますが、この部分も再生する必要があるようです。

マフラーを吊るブラケットはここにボルトどめ

3 4本のボルトでフレーム部に固定されているバンパーを取り外す

バックパネルの切開手術を行うので、リヤバンパーも邪魔なので外します。そこでフレーム部にバンパーを固定する、4本のボルトをゆるめはじめたのだが、ここも錆の影響で難航することに……。4本のボルトのうち、1本のボルトの頭が錆により痩せてしまっていたので、本来のサイズのソケットレンチではトルクが掛けられなかったのです。結局ボルトの頭をサンダーで削り落とし、どうにかバンパーを外すことができた。

左側(助手席側)は錆びてはいたものの、ラスペネを塗布しておいたので、何とかボルトを抜き取ることができたのだが……。

錆によってボルトの頭が完璧に痩せている

ボルトを緩めるのを断念し、力ずくで痩せた頭の部分を除去することに。まずはタガネとハンマーで叩き切ってしまおうと試みるが、表面がサビサビでもさすがはボルトだけに、全く歯が立たなかった。

ディスクサンダーを用いてボルトの頭を削り落とす作戦に変更。奥まった位置にあるので、小型のディスクサンダーを用いる。作業スペースが狭くなかなかサクッと削り取れないのだが、何とかボルトの頭を除去。

たった4本のボルトを外せば取り外せるバンパーながら、1本のボルトトラブルでえらい時間を要した。まだ本題の前準備段階なので先が思いやられます。

レインホースも見事なまでにサビサビ(汗)

バンパーの中の骨格部となるレインホースも鉄製なのでサビサビ(汗)。最近アルミ溶接用の半自動溶接機を海老名メカが仕入れたので、これをアルミで作り直してくれるかも?

4 プラズマカッターで錆びた部分をカット!!

ここでようやく今回の作業の本題となるトランクルームの抜け落ちる寸前となったフロア部分の補修作業開始です。錆びてなくなってしまった部分に新たに鉄板を貼り付け床として復元していくのですが、錆びている部分に新たに作った鉄板を溶接することはできないので、まずはフロアの錆びた部分を削除します。とはいえ広範囲を切り落としてしまうと、元の形状が分かりづらくなり、新たにパネルを復元するのが面倒。錆びた部分を最低限の範囲で切り落としますが。そんな時に便利、ということで海老名メカが出してきたのがプラズマカッター。錆びた端部をサクサクッと切り落とします。

秘密兵器!! プラズマカッター登場!

プラズマカッターなので、サクサクッと鉄板が切れるかと思いきや、錆により通電しない部分があるのか、ほぼ切断できているのだが微妙にくっついた状態で、切り取るはずの錆た部分がパネル側に残ってしまった。

これ以上プラズマカッターを当てても変化がないので、力技で切断部を元のパネルから切り離していく。部分的に繋がりが強固な部分も残っているが、ミシン線の入った紙を切る感じで、切断部の鉄板を切り離していく。

元形状が分かる ように切り残して 錆びた部分を切除

錆びているからと大胆にカットしてしまうと、復元するのに手間がかかるので、カットする範囲はできるだけ少なく、そしてある程度直線的に。またそれぞれのパネルの元の位置が判明できる範囲でカットしている。

マフラーを吊るためのブラケットが装着されていた部分。複雑な形状なのでできれば再使用したいところだが錆が酷すぎるので、除去することとなった。果たしてどう再現するのか?

ひと通りの患部摘出が完了した状態。フレームのミミ(溶接代)は錆びているが、強度的には十分なので、こちらは切り貼り作業なしで錆を落としてから床パネルと接合していく。その作業の模様はまた次回!

錆でグサグサな部分はカット完了 消失部分をどう作るのかは次号にてレポートするのでお楽しみに!

「錆落ちて欠損した部分は想像で作る!」と前号で途中まで作ったテールランプまわりは?

前号で作業の途中までをレポートした、左側(助手席側)テールランプユニットまわりのボディの修復。複雑な形状となる部分ながら、錆により見事に欠損してしまっていたのだが、海老名メカの手により、ほぼ機能的には問題のない復元パネルが出来上がっていた。ちなみに下の完成写真で見てもらうと分かるように、間をつなぎ合わせた溶接跡があるが、これは出来上がってトランクリッドを装着してみたところ、チリが後方にいくにつれ狭くなっていることが判明し、切り目を入れて広げた跡なんだそうだ。このようにすべて現物合わせで作業は進んでいく。

前号でお見せしたように、テールランプユニットを外すと、その枠となるボディパネルが見事に錆びて欠損してしまっていた。

原形のないパネルを切り貼りするために、元のカタチが残っていた右側から型を取り、それを反転させながらパネルを製作していく。

仕掛人はこのお二人

A63セリカをGAZOO ラリーチャレンジに出場させたら面白い!と企画を立てたのが東京・あきる野市にあるレーシングサービスロゴス。代表の久保さんとメカニックの海老名さんがこのサビサビセリカをラリー車に仕上げる。

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グーネットピット編集部

ライタープロフィール

グーネットピット編集部

車検・点検、オイル交換、修理・塗装・板金、パーツ持ち込み取り付けなどのメンテナンス記事を制作している、
自動車整備に関するプロ集団です。愛車の整備の仕方にお困りの方々の手助けになれればと考えています。

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