故障・修理
更新日:2022.01.01 / 掲載日:2022.01.01

DIY“俺”バイク製作記【VOL29】

自分だけのオリジナルバイクを作ってみたい!そんな思いからスタートしたオートメカニック誌の長期連載企画。さまざまな困難を乗り越えて完成を目指す!
 タンクとシートが定位置に収まったことで、ようやく乗車時のシートポジションを決める環境が整った。そこで、ハンドルとステップを製作することにしたが、エイプのフロントフォークが余っているという連絡が。迷わず、移植することにした。

●文:オートメカニック編集部(鈴木伸一) ●写真:飛澤 慎
04 ステップを製作する
座面下部位置にステップを新設する
「バックステップ」と聞くと、パイプフレームにネジ留めするアルミ製の固定ブラケットにステップやペダルを取り付ける、そんなイメージが浮かぶ。サードパティの後付けパーツでは定番の仕様だからだ。
 しかし、フレームから手作りしている「俺バイク」、ステップの固定フレームをパイプで組んで本体フレームに溶接と、元からそこにあったがごとくの仕様でいくという。仕上がりが楽しみだ。
ステップの固定フレームはパイプで組むが、ステップ自体はアルミ製のタンデムステップを流用する。なお、大型スクーターのパーツと思われるが、車種は不明だ
大まかな位置を決めて横パイプを切り出す
シートにまたがってハンドルに手を添えた状態で、足の置き場を大まかに決める。側面から眺めて、その位置にどのようにパイプフレームを組むか検討する。まずロアフレーム前方から後方に向かって、検討したステップ位置までパイプ(横パイプ)を配置する。曲げ幅も考慮してφ22㎜パイプを長めにカット。前方側を40度の角度に曲げる。ロアフレームにあてがって接続角度を決め、その角度にカットする。
横パイプと交差する縦パイプを切り出す
ステップのほぼ真上位置のロアフレーム後半から、ステップ位置に向かって縦方向にパイプ(縦パイプ)を配置する。φ22㎜パイプを長めにカット。パイプベンダーにセットして上端側を40度の角度に曲げ加工する。ロアフレームにあてがって接続角度を決め、カット線を記入する。ディスクグラインダーにカット刃を組み付け、縦パイプに記入したカット線に沿ってカットする。
右サイドのパイプを切り出す
横パイプと縦パイプを選定した位置・角度に配置しつつ組み合わせてみる。縦パイプ下端に、横パイプ上面と交差する位置を記入。その交差線に沿ってディスクグラインダーで斜めにカットする。これで縦パイプの加工は完了。その完成品をベースに、曲げ方向をそっくり反転させた右ステップ用の縦パイプを製作する。横パイプを左ステップ用と同じ長さに切り出し、一端を曲げ加工する。左ステップ用の横パイプに重ねて前端部のカット位置を記入。ディスクグラインダーで斜めにカットする。
点付けで仮組み後一旦外し、本溶接する

横パイプを選定した位置・角度にあてがい、前端のロアフレームとの接続面を点付けで仮固定する。縦パイプを配置して上端のロアフレームとの接続面を点付け。下端と横パイプとの接続位置を微調整し、点付けで仮接続する。ロアフレームへの点付けを剥がしてそっくり取り外し、縦パイプと横パイプの接続面を本溶接する。


パイプ末端の穴をキッチリ塞ぐ
テンプレートを利用して鉄板にφ22㎜の円を記入。記入した線に沿って金切りハサミで丸く切り出す。これはパイプ末端を塞ぐ蓋で、横パイプ末端に溶接する。縦パイプ後方の横パイプとの接続面からはみ出す部分をカット。その切断面に切り出した円板を重ねる。鉄板がズレないようドライバーのグリップを利用して押さえ付けつつ点付けで仮固定する。ドライバーを外し、円板の外周をグルッと一周、本溶接する。これで左フレームは完成。
ロアフレームに溶接する
完成した左フレームを仮組みした位置に点付けし、収まり具合を確認。問題ないことを確認したところで本溶接してロアフレームにガッチリ固定する。左フレームの横パイプと縦パイプをロアフレームに仮付けし、横パイプ末端が左フレームと同じ高さおよび前後位置にくるよう調整後、縦/横の接続面を点付け。一旦取り外して本溶接し、横パイプのはみ出しをカットして切断面に蓋をする。完成した右フレームをロアフレームに溶接する。
ステップのホルダー部を製作する
用意したステップの回転軸部にはまっているコの字金具はテンションプレートで、強度がないためステップフレームに取り付けるためのホルダーにはなり得ない。このため、Lアングル材でホルダーを製作する。テンションプレートの横幅に合致する長さにLアングル材をカット。切り出したLアングル材をテンションプレートに重ね合わせ、回転軸の中心位置をポンチで印す。軸穴の内径を計測する。計測値は6㎜。φ6㎜のドリル刃をボール盤にセットし、Lアングル材に印した回転軸中心位置に軸穴を開ける。
押さえを切り出して溶接し、穴を開ける
軸穴を開けたLアングル材に板材をあてがい、現物合わせで軸受け面の高さを印す。その線に沿って切り出す。切り出したプレートをLアングル材の軸受け面に重ね合わせ、現物合わせではみ出し面のカット線を記入する。ステップを間に挟んでLアングル材とプレートを組み合わせ、クリップを利用して仮固定。Lアングル材とプレートの接続面を溶接する。万力に固定してはみ出している面をカット。Lアングル材側の軸穴を上に向けてバイス固定。その軸穴を通してプレート側にφ6㎜の軸穴を開けてホルダーの完成。同じ手順でホルダーをもう1つ製作する。
ステップフレームにホルダーを溶接する
完成したホルダーにステップを仮組みし、ステップフレームにあてがって取り付け位置や角度を検討する。確定位置に押さえつけた状態でハイトゲージを当て、測定面をホルダー上面に合わせて固定。これを取り付け高の基準とし、作業中の確認や逆側のホルダーの位置合わせをする。仮付けしたステップを持って確定位置にホルダーをあてがい、点付けでステップフレームに仮固定。ステップを外して本溶接する。同様の手順で右ステップのホルダーもステップフレームにガッチリ固定。左右のステップを組み付けてバックステップの完成だ。

ポジションは決まったものの新たな問題が……

セパハン&バックステップだと窮屈かなとも考えていたが、意外にいい感じに仕上がった。ただし、フロントフークが長くなったことでフレームが前上がりに⁉ 次回はこれを修正するべくリヤまわりに手を入れる。具体的にはスイングアームを延長する予定だ。
取材で毎回お世話になっているのが「表現工房」さんだ
表現工房 八王子作業所・事務所


モノ作り教室を開催している「表現工房」の本拠地は東京都八王子市の「八王子作業所」で、幹線道路に面した路地の突き当たりにある。


〒193-0813
東京都八王子市四谷町604ー3
●URL/http://hyougenkoubou.jp/
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ライタープロフィール

内外出版/オートメカニック
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