モータースポーツ
更新日:2022.05.27 / 掲載日:2022.05.21

e:HEVでレースに出る意味と意義【石井昌道の自動車テクノロジー最前線】

文●石井昌道

 何度か当コラムでレポートしてきたフィットe:HEVによる「もてぎEnjoy耐久レース(通称Joy耐)」への参戦。これは2020〜2022年の3カ年計画のプロジェクトで今年は最終年を迎えている。Joy耐は夏の7時間耐久レースとミニJoy耐と呼ばれる冬の2時間耐久レースがあり、3年で計6レースに出る予定だったが、2020年夏はCOVID19の影響で中止となったので5レースとなった。最終年となる今年の7時間耐久レースは、例年よりも早い5月9日開催になり、プロジェクトとしてはラス前となるレースに参戦してきた。

 このプロジェクトの目的は、既存のエンジン車がメインのレースに、ハイブリッドカーなど次世代パワートレーンで出ることにある。Joy耐はスタート時のガソリン搭載量が30L、一回当たりの給油量も30L、しかも給油時は10分程度とまらなくてはならない(クラスによってハンディとして停止時間はかわる)などのルールがあり、速さだけではなく燃費が良ければそれだけ有利になるから、上手くいけば次世代パワートレーンが活躍できる場でもある。フィットe:HEVはエンジンが発電し、モーターで駆動するタイプのハイブリッドカーなので、今後は乗用車の主流になると見られるBEVにも繋がる技術であり、モーター駆動によるモータースポーツのスタディになるはず。モータージャーナリストの仲間で結成した我々のチーム、Tokyo Next Speedはそういった学びを求めてレースにJoy耐に出ているのだ。

 これまではシビック・ハイブリッド、インサイト、CR-Zなどのハイブリッドカーでの参戦実績があるものの、しばらくはエンジン車のフィットRS(3代目)で参戦が続いていたが、2020年に4代目フィットが登場したときにベース車両を手に入れることができたとともに、縁あってフィットの開発チームとコラボすることが決まった。それまで存在していたスポーティグレードのRSが4代目ではなくなってしまい、それをモデルサイクル中に復活させたいという想いが開発チームにあったからだ。そういった経緯で、ビッグマイナーチェンジに向けた開発スタディという目的も加わるプロジェクトとなった。ハイブリッドカーでレースをするには、バッテリーやモーター、制御系の熱対策などが不可欠であり、またチューニングするにしても複雑なので開発チームが関わってくれることはたいへんに心強いものだった。

 フィットe:HEVをレーシングカーに改造して初めて走らせたときのラップタイムは2分40分程度だったが、2020年冬に2分33秒、2021年夏に2分32秒、2021年冬に2分27秒とかなり速くなってきた。当初は安全装備を追加した以外は、サスペンションとタイヤをレース用にしたぐらいでパワートレーンは熱対策等を施した以外はノーマルだったが、エンジンとモーターのパワーアップ、バッテリーの電力利用の制御などを行った。市販車に比べると駆動モーターは80kW(109PS)から96kW(131PS)、発電用モーターは70kW(95PS)から78.8kW(107PS)、エンジンは72kW(98PS)から78kW(106PS)へとそれぞれパワーアップしている。

 エンジンが発電してモーターで駆動するシリーズ・ハイブリッド・モードがe:HEVの基本であり、レース中はこのモードしか使わない。一般道では高速・低負荷の領域でエンジンが直接駆動するエンジン・ドライブ・モードを使うこともあるが、レースでは常に高負荷なので有効に使えないからだ。

 駆動モーターの最高出力に対してエンジンの最高出力のほうが低くなっているが、アクセル全開にしてもエンジンだけでは106PS分しか駆動モーターを回せない。131PSを発揮させるには残りの25PS分はバッテリーから電力を持ち出すことになる。一般道を走るときにはそこまで最高出力を発揮させ続けることは稀なので問題ないが、サーキットで全開走行を続けるとバッテリーの電力が足りなくなってエンジン分の106PSで走り続けることになる。それでもブレーキングの回生で電力を取り戻して、少しでも131PSを発揮できる時間を長くして、速く走り続けられるようにするのが、e:HEVのレース仕様では肝心だ。そこで回生能力をなるべく高め、バッテリーのSOC(充電状態)が低くてもアシスト(バッテリーからの電力の持ち出し)が出来るように仕様変更していくことで速さを獲得していった。

 もう一つ、面白いのはハイギアード化によって速さを増したことだ。エンジン車ではローギアード化することで加速力を強めて速くするが、モーター駆動では逆なのだ。というのもモーター駆動は低回転から大トルクを発揮するので1ギアで済み、低・中速域の加速が得意だが、高速域はエンジン車に比べると不得意という特性がある。フィットe:HEVも0−100km/h程度までは市販コンパクトカーとしてはかなり速いが、モビリティリゾートもてぎのサーキットはもっとも速度が遅いところでも50〜60km/h程度で、100km/h以上の加速力が強くないとラップタイムは伸びない。そこでハイギアード化して得意な速度域を少しでもあげようと試みたところ成功したのだ。

 シャシーもかなりチューニングが進んだ。とくに効いたのがリア・サスペンションのダンパーを伸び側・縮み側の減衰力を別個にセッティングできるようにしたことで、リアタイヤの接地性を上げたこと、LSDの採用などだ。またピロボール化やサスペンション周りの剛性強化などでサスペンションがスムーズに動くようになり、正確性が高まるとともに乗り味が上質になったことも見逃せない。クルマを速くしていくと、質感が高まるという好例だ。

 こうして2021年冬には2分27秒台に達したわけだが、2022年夏に向けてのアップデートはLSDのカム角を変更して効きを強くしたぐらいしかなく、大きなタイムアップには繋がらなかった。予選は雨がらみとなったため、2分28秒台にとどまった。

 とはいえ、細かなファインチューンなどもあって乗りやすくなり、決勝レースは順調に周回をこなしていった。興味深かったのは、練習走行中に見つけた走り方。いつもよりもコーナーに対してアクセルオフを早めにしてブレーキングゾーンを長くとると、回生量が増えて立ち上がりが速くなり、ラップタイムはほとんどかわらないことだ。燃費が良くなり、タイヤやブレーキにも優しくなるのだ。ただし、給油回数を減らせるほどではないので、レースで有利になるほどではないのが残念だが、ルール次第ではハイブリッドの強みを生かせる可能性が見えたのだ。レース終盤にサスペンション周りのトラブルが発生して目標の周回数に届かなかったが、途中まではフィットe:HEVの実力を引き出すことが出来ていた。

 2022年冬のミニJoy耐が、ラストレースになる予定。最後のアップデートはバッテリーの大容量化だ。決勝レースのペースはほとんどかわらないと思われるが、SOC100%にして1周だけ速く走ることが可能になるので予選のラップタイム向上が期待できる。気温の低さも有利なはず。プロジェクトの集大成に相応しいラップタイムと結果を出すことを目標に準備していくつもりだ。

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石井昌道(いしい まさみち)

ライタープロフィール

石井昌道(いしい まさみち)

自動車専門誌の編集部員を経てモータージャーナリストへ。国産車、輸入車、それぞれをメインとする雑誌の編集に携わってきたため知識は幅広く、現在もジャンルを問わない執筆活動を展開。また、ワンメイク・レース等への参戦も豊富。ドライビング・テクニックとともに、クルマの楽しさを学んできた。最近ではメディアの仕事のかたわら、エコドライブの研究、および一般ドライバーへ広く普及させるため精力的に活動中。

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自動車専門誌の編集部員を経てモータージャーナリストへ。国産車、輸入車、それぞれをメインとする雑誌の編集に携わってきたため知識は幅広く、現在もジャンルを問わない執筆活動を展開。また、ワンメイク・レース等への参戦も豊富。ドライビング・テクニックとともに、クルマの楽しさを学んできた。最近ではメディアの仕事のかたわら、エコドライブの研究、および一般ドライバーへ広く普及させるため精力的に活動中。

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