車の最新技術
更新日:2022.03.28 / 掲載日:2022.03.28

メルセデス電動戦略の現在地【石井昌道の自動車テクノロジー最前線】

文●石井昌道 写真●メルセデス・ベンツ

 メルセデス・ベンツはEQを電動化のサブブランドとしている。BEVのほかPHEVもEQブランドとなる。2019年に発表したAmbition2039(環境対応および電動化の戦略)では、2039年から販売する新車はカーボン・ニュートラルにすること、2022年には全セグメントに電動化モデルを導入するとともに早ければ全世界の工場でカーボンニュートラルを実現、2025年には新車の25%をBEV、2030年には新車の半数をBEVかPHEVにすると表明。さらに、国や地域のエネルギー事情や状況が許せば、2030年に100%の電動化を成し遂げると、以前よりも野心的になってきている。その背景には、プレミアムカーのユーザーはエンジン車よりもBEVのほうが性能的に上であり、優れているという認識が拡がってきている、つまり需要があると説明。厳しいCO2排出量規制に対応するために仕方なく電動化へ舵を切ったのではないということだ。

2022年内の導入が予告されているEQS

 日本市場では2019年にEQC、2021年にEQAを発売し、2021年には両車合わせて1100台ほどを販売したというから、予想以上に売れてきていると言えるが、2022年はいよいよEQSが導入される。既存の2車はエンジン車とプラットフォームを共有するモデルだが、EQSはエレクトロニック・ビークル・アーキテクチャ(EVA)と呼ばれるBEV専用プラットフォームの初出となるから楽しみだ。その後はEQS SUV、EQE、EQE SUVなどのデビューも控えている。

EQSと名付けられているからにはSクラス相当、つまりBEVのフラッグシップ・モデルと言ってよく、ボディサイズは全長5216×全幅1926×全高1512mm。Sクラスとほぼ同等だが全長は37mm、ホイールベースは106mm長くなっている。エンジン車よりもホイールベースを長くとりやすいのがBEVの美点でもあり、それを存分にいかしたかっこうだ。Sクラスのように伝統的なサルーンではなく、ルーフラインは弓形でクーペ風スタイルであることも目をひく。いかにも空力性能が優れていそうだと見た目で直感するが、Cd値はなんと0.20。Cd値は空気抵抗係数のことで、形状によって異なってくる。航続距離に課題のあるBEVではこれを低減するのが命題であり、以前から日本のハイブリッドカーなども強く意識されてきた。最新のトヨタ・プリウスをみても、居住性やパッケージよりも空力性能を優先していることがわかるが、それでもCd値は0.24だ(数字が低いほど優れている)。

 メルセデスはこれまでもCd値にはこだわっていて、CLAも0.23となっている。実際の空力性能はこのCd値に前方投影面積AをかけたCd×Aで決まるが、EQSは背の低いサルーンなので有利だろう。車両重量は2500kgほどあるが、107.8kWhのバッテリーを搭載して一充電走行距離はRWDのEQS450+で 770km、4WDのEQS580 4MATIC+で675km(日本のWLTCモードよりも辛いWLTPモード)。SUVタイプで4WDのEQC400 4MATICは車両重量2470kg、バッテリー容量80kWhで400km(WLTCモード)。モードとパワートレーンも違うので純粋な比較ではないが、4WD同士ではEQSのほうが25%以上は電費が優れているということになる。

 ちょっとしたニュースとしては、日本仕様はV2H(給電システム)を搭載していること。日本のPHEVやBEVでは当たり前になってきているV2Hは輸入車ではヒョンデIONIC5のみだったが、欧州勢としてはEQSが初となりそうだ。

 フラッグシップだからこれまでとは次元が違う乗り味をみせるだろうことも楽しみだ。

メルセデスによれば、ヴィジョン EQXXは電気自動車の航続距離と効率を新しいレベルに引き上げるという

 さらに、2022年1月にワールドプレミアとなったコンセプトカーのヴィジョンEQXXが凄い。

 まずCd値は驚異の0.17。サイドから見たスタイリングはルーフピークが前よりにあって後方がなだらかに伸びていく。鯨や魚類などに似た、いかにも空気抵抗が少ないフォルムであり、前面投影面積はCLAよりも小さいそうなので空力性能はとてつもなく良さそうだ。

ヴィジョン EQXXは、数々の技術によりCd値0.17という優れた空力性能を実現している

 100kWhのバッテリーを搭載して一充電走行距離は1000kmを達成するという。つまり100Wh/km。現在販売されているBEVはバッテリー容量が少なく軽量なモデルでも130Wh/km程度、大容量バッテリーのモデルは200Wh/km以上が当たり前なので、驚異的な電費性能と言えるだろう。

 バッテリーは最新のEQS用よりもさらにエネルギー密度を進化させて約400Wh/リットル。EQS用の107.8kWhに対して容積は半分程度になるそうだ。

コンパクト〜ミッドサイズの4ドアクーペで大人4人がきちんと座れる室内を持っている。

 EQXXはコンセプトカーだから夢のような性能を誇っているわけではない。市販化を前提としており2025年あたりにはデビューすることになりそうだ。しかも、車両価格も現実的だとのこと。3年も経てば性能が大いにかわるのがいまのBEVといったところだろうか。買い時がわからなくなりそうだが、劇的な進化の課程を同時代に体験できるのが嬉しくてたまらないのだ。

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石井昌道(いしい まさみち)

ライタープロフィール

石井昌道(いしい まさみち)

自動車専門誌の編集部員を経てモータージャーナリストへ。国産車、輸入車、それぞれをメインとする雑誌の編集に携わってきたため知識は幅広く、現在もジャンルを問わない執筆活動を展開。また、ワンメイク・レース等への参戦も豊富。ドライビング・テクニックとともに、クルマの楽しさを学んできた。最近ではメディアの仕事のかたわら、エコドライブの研究、および一般ドライバーへ広く普及させるため精力的に活動中。

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自動車専門誌の編集部員を経てモータージャーナリストへ。国産車、輸入車、それぞれをメインとする雑誌の編集に携わってきたため知識は幅広く、現在もジャンルを問わない執筆活動を展開。また、ワンメイク・レース等への参戦も豊富。ドライビング・テクニックとともに、クルマの楽しさを学んできた。最近ではメディアの仕事のかたわら、エコドライブの研究、および一般ドライバーへ広く普及させるため精力的に活動中。

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