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更新日:2022.03.30 / 掲載日:2021.11.08
【マツダ CX-5】絶対に知りたい!マイナーチェンジ3つのトピック【新グレード追加】

文●工藤貴宏 写真●ユニット・コンパス
マツダのミドルサイズSUV「CX-5」がマイナーチェンジを受けました。
2代目となる現行世代のデビューは2016年12月(12月15日に発表され翌2017年2月に発売)。登場から約5年を迎えてのマイナーチェンジとなります。
今回の変更におけるメニューの大きなポイントのひとつがエクステリアのリフレッシュ。何を隠そう、現行世代のCX-5にとって、エクステリアの変更を受けるのははじめてのこと。ちょっと意外ですね。
5年間もデザインを変えずに販売するのは国産車でも珍しいパターンですが、とはいえ従来モデルでもまったく古さを感じなかったのはマツダのデザインがいかに優れているかの証と言えるかもしれません。CX-5のデザインは「引き算の美学」に基づいたもので、できるだけシンプルに美しさを表現。シンプルゆえに、デビューから時間がたってもそれを感じさせなかったと言っていいでしょう。
トピック1:デザインの変更点

そんなデザインにおいて新型の識別点となるのは、フロント、テールランプ、そしてアルミホイールの3点です。
フロントは、ラジエターグリルとフロントバンパーを新意匠とし、またヘッドライトも淡く光る発光シグネチャーを丸から2つの楕円へとイメージチェンジ。そんなライトの光り方と、開口部が左右へ延びて広がったバンパー下部がわかりやすい変更点ですね。大きく変わったというよりはさりげなくブラッシュアップされたという印象です。
形状が変更されて従来よりも横長になったテールランプは、光り方も変化。ひらがなの「ひ」のような発光から、2つの楕円に変わりました。ヘッドライトと共通のイメージです。マツダ車のテールランプの光り方はどのクルマも同じイメージですが、新型CX-5の発光パターンはマツダとしてもはじめて。つまり、今後は他のマツダ車にも波及していくのかもしれません。
またアルミホイールも、「Black Tone Edition(ブラックトーンエディション)」を除き、デザインが刷新されています。

トピック2:世界観ごとに3つに整理されたラインナップ
新型の大きなトピックのふたつめは、新たな世界観を示す特別仕様車の登場。「Field Journey(フィールドジャーニー)」と「Sports Appearance(スポーツアピアランス)」が追加されました。
アウトドアテイストの「Field Journey」はホイールも専用サイズの17インチ

何を隠そう、どちらも個性的。「Field Journey」はアウトドアテイストを強調する、つまりは都会的イメージを訴求していたこれまでのCX-5とは大きくベクトルを変えた仕様だということがニュースです。下部の一部をシルバー塗装としたエクステリアやライムグリーンをアクセントに添えたインテリアは、アウトドアグッズのようにアクティブな雰囲気。「Mi-DRIVE(ミードライブ)」と呼ぶドライブモードセレクターにオフロードモードを組み込むなど、走行機能面においても他グレードにはないアイテムを用意しているのは、注目すべき部分でしょう。
注目といえば、「Field Journey」のもうひとつの驚きは足元。未舗装路に加えてちょっとした積雪なら対応できるオールシーズンタイヤを標準装備しているのです。




「Sports Appearance」は人気グレードになりそうな予感

いっぽう「Sports Appearance」は、スポーティさを引き立てた仕立て。スタイリングは、これまでは無塗装の黒だった車体下部やタイヤを覆う樹脂製部品が光沢ブラックで塗装され、またフロントグリルやドアミラーも光沢ブラックとしてひときわ精悍な印象としているのが新しいところ。フロントグリルの差し色は赤ですが、これはなんと初代「ロードスター」のイメージカラーだったクラシックレッドというのも嬉しい演出ですね。
インテリアはレザーシートと赤いステッチをコーディネート。内外装ともに、スポーティなCX-5を望む人にピッタリの仕立てです。




さらに上質になった「Exclusive Mode」

また、従来から展開している最上級仕様「Exclusive Mode」も今回のマイナーチェンジでさらに特別感を強調。エクステリアは車体下部やフェンダーのタイヤ周囲などこれまで無塗装樹脂で黒だった部分がボディ同色塗装となり、他のグレードとは明らかに異なる特別な上級感を手に入れました。これまでのCX-5とは雰囲気が全く違う、新しい世界観です。
インテリアも同様に上質感を引き立てる演出として、ナッパレザーや本杢といったプレミアムな素材をコーディネート。とにかく上級を求める人にとって最適の選択肢と言えるでしょう。





「アクティブ」、「スポーティ」、「ラグジュアリー」といった3つの世界観を用意

新しいCX-5のグレード構成を見て感じるのは、世界が広がったということ。これまでは装備の充実度だけでグレードを分けていた印象が強かったのですが、新型では「アクティブ」「スポーティ」そして「ラグジュアリー」と方向の違う仕様を用意することで、ユーザーがクルマにどんなキャラクターを求めるかに応じて選べる構成になったことを強く感じます。
トピック3:使い勝手を大きく高めたラゲッジルーム

3つめのトピックは、ラゲッジルームの実用性の向上です。まずはフロア。なんと今回のマイナーチェンジから床面の高さを上下2段に調整できるようになりました。マイナーチェンジでそれを採用するのは他ではちょっと聞いたことがないのですが、それは商品力を高めるためには前例のない改良にだって踏み込むという志の高さの証明と言っていいかもしれませんね。
従来のフロアの高さを「下段」とし、追加された「上段」は下段よりも指三本分ほど高い位置。床上の荷室容量を最大とするなら下段が最適ですが、上段にすれば開口部から倒したリヤシート部分まで段差のないフラットな床になるので大きな荷物を積む際や、車中泊の際にメリットを実感できることでしょう。
しかし、荷室の改良はそれだけにとどまりません。床下がより便利になりました。レイアウトの変更により床下収納スペースが拡大したのです。その容量は従来の30Lに対して新型は50L。なんと1.6倍以上に広がったのです。素晴らしい。





フルモデルチェンジのタイミングはいつ?

もちろん新型は、クルマの基本となるダイナミクス性能や運転環境にもしっかり手が入っています。単にサスペンションのブラッシュアップに留まらず、車体フレームに減衰構造を採用、シートは骨盤をしっかり支えて姿勢を安定させる構造へと設計変更したうえで車体とシートフレームの取り付け剛性を向上、またロードノイズを低減させるなど快適性もアップ。走行モード切り替えは従来の「ドライブセレクション」から変更範囲を拡大した「Mi-DRIVE(MAZDA INTELLIGENT DRIVE SELECT)」へと進化させ、先進安全機能としてはステアリングアシストを従来の「車線キープ」から「センタートレース」へとバージョンアップしたのもニュースです。
ところで、フルモデルチェンジから5年といえば、一般的には次のフルモデルチェンジが気になってくるタイミング。CX-5はどうなのでしょうか?
結論からいえば、フルモデルチェンジはしばらくないでしょう。なぜなら、ここでエクステリアや機能に大きく手を入れたということは、当面はこのモデルを売り続けることを意味しているからです。
先日、マツダは「2022年以降のクロスオーバーSUV商品群の拡充計画」という発表をしましたが、そこには「CX-60」や「CX-80」のデビューが明かされるいっぽうでCX-5に関しては「今後も大切に育てていく」という表現に留まっていました。いずれにせよ、最新のCX-5の魅力は高く、デビューから5年が経過したとはいえ迷いなくおススメできるモデルだということは間違いありません。
執筆者プロフィール:工藤貴宏(くどう たかひろ)
学生時代のアルバイトから数えると、自動車メディア歴が四半世紀を超えるスポーツカー好きの自動車ライター。2020-2021日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。