カーライフ
更新日:2021.09.10 / 掲載日:2021.09.10
永福ランプのマニアック車パトロール隊 -三菱 FTO-
【今回のマニアック車】三菱 FTO

FTOの2.0LV6エンジンは、当初170馬力で登場した。しかし私が試乗させてもらった広報車は、300馬力のフェラーリ348より速く感じた!
最大のライバル車だから!
三菱FTOは、忘れ難いクルマだ。FTOが登場した94年当時、私は人生初めてのフェラーリ(348)を買ったばかりだった。そして、箱根でのFTOの取材に、自らのフェラーリで出撃した思い出があるからだ!
その時レポーターを務めたのは、レーサーの中谷明彦氏。中谷氏は私のフェラーリとFTOを乗り比べて、「FTOのほうが全然速い」と言い放った! ショック!
実際乗り比べると、たしかにFTOは速かった! 信じられないくらい! その時のFTOは2・0LV6エンジンとマニュアルモード付4速ATを組み合わせたモデル。当時はまだAT車はMT車より遅いというのが当たり前だったから、余計にショックだった。
その頃の三菱自動車は、広報車をチューニングして速く仕上げる、いわゆる“広報チューン”が得意だったから、今思えば、あのFTOも多分ソレだったのだろうが、とにかく私は、人生を捨ててまで買った自分のフェラーリが、三菱のコンパクトFFスポーツより遅いという残酷な事実に直面することになった。だから私にとってFTOは、永遠のライバルなのである。
そのFTOも、登場から四半世紀が過ぎた。最近はもう滅多に見かけないが、先日とある場所で、駐車場にFTOが置かれているのを発見し、胸が熱くなった。なにしろ、かつてライバルと目したクルマなのだから。
グーネットを検索すると、FTOの流通台数は11台。価格は38万円から199万円と幅広い。走行距離の少ないMTモデルは、どれも軽く100万円オーバーだが、10万kmを超えたAT車なら50万円以下という、両極端な相場になっている。
私としては、FTOのAT車こそ最大のライバルなので、ATにこだわりたいが、やっぱりこういったネオクラシックスポーツは、断然MT車の人気が高いんですね。
経歴
1994年 デビューしてCOTYを獲得
かつての名車の名称を復活させる形でデビューする。エンジンは1.8L直4と2.0LV6を設定。同年、日本カー・オブ・ザ・イヤーも獲得している。
1996年 一部改良、グレード追加
運転席エアバッグを標準装備化するなど一部改良。同時に、GPとGRスポーツパッケージというMIVECエンジンを搭載する新グレードが追加された。
1997年 大型リアスポを装備
マイチェンでスポーツ走行性能を強化。2.0L車の出力を向上し、エアロを装着したGPバージョンRエアロシリーズなどが追加された。
1998年 電気自動車が開発される
市販車ではないが、「FTO-EV」と呼ばれるFTOベースの電気自動車が試作される。当時、公道走行が可能な電気自動車では最速だった。
2000年 GTOとともに生産終了
カテゴリー全体の衰退もあってか、販売が低迷。同じ三菱のフラッグシップスポーツカーGTOとともに、同年での生産終了が発表された。
マニアック指数 75点

グーネット掲載車価格帯 30万から190万円
近年、スカイラインGT-RやRX-7といった国産ネオクラシックスポーツカーの中古車相場が暴騰しているが、FTOはそれほど高くはなっていない。しかし、2.0LV6エンジンのFFスポーツは非常に希少なのである。
ピピーッ! 取り締まります
ピピーッ! 取り締まります
自動車評論家 永福ランプ
かつて(今も)清水草一、以前はMJブロンディ、そして現在は永福ランプと名乗る。カーマニアを自称し、街中を走るマニアック車を見つけ出すことに老後の楽しみを見つけた。
(掲載されている内容はグー本誌2021年10月号の内容です)※中古車価格はグーネット 2021年8月調べ。記事中の価格は参考であり、中古車価格を保証するものではありません。