カーライフ
更新日:2021.04.10 / 掲載日:2021.04.10
【グー連載コラム】永福ランプのマニアック車パトロール隊(2021年4月)
【今回のマニアック車】 ダイハツ ネイキッド

このむき出しの素材感はまるで軍用車! 中古車市場には、ハマー風やジープ風にドレスアップされたネイキッドが高値で流通しているが、ノーマルでも十分ミリタリー風だ。
挑戦が早すぎたから!
近所の駐車場に、シルバーのネイキッドが止まっていた。それほどめずらしくはないが私はネイキッドに深い尊敬の念を抱いているので、つい目が釘付けになった。
思えばネイキッドは、敗れ去ったチャレンジャーである。
93年に登場したスズキ・ワゴンRは、まさにチャレンジャー。ワゴンRの大ヒットによって、軽自動車の世界には革命がもたらされた。見た目の速そう感やゴージャス感よりも、質素でも室内が広い機能的なモデルが売れる! ということになった。
ダイハツは2年後にムーヴでワゴンRを追撃し、03年にはタントでついに逆転に成功したが、その間にリリースした意欲作が、99年発売のネイキッドなのである。
ネイキッドは、車名の通り「裸」のクルマだ。あえて外板のボルトやドアヒンジをむき出しにし、ボディパネルはただの鉄板風。その姿は機能性を超え、軍用車のコスプレっぽい。ミリタリーファンの私は一も二もなくひと目ぼれし、「ダイハツ、グッジョブ!」と絶賛した。
だが、案に相違してネイキッドは売れなかった。ほとんど惨敗に近かった。なぜなのか?
素材感の強さが「商用車みたい」と言われたとか、あるいは「軍用車っぽくて怖い」と女性に嫌われたとか、いろいろな説があるが、結局のところ、自己主張が強すぎたことが原因ではないか。端的に言って、カッコよすぎたのだろう。
当時の軽自動車はまだ、カッコよすぎてはいけなかった。三菱iが売れなかったのも、カッコよすぎたからだ。地方ではまだ、目立つことは悪だったのである。
そんなネイキッドだが、中古車市場では非常に元気だ。執筆時点の流通台数は250台ほど。中心価格帯は20万円台と、十分こなれている。
似たようなコンセプトのタフトがヒットしている今、ネイキッドは、早すぎたチャレンジャーとして、再評価されるべきだろう。
経歴
1997年 モーターショーに出展
同年の東京モーターショーにプロトタイプが展示されると、またたく間に注目の的に。アウトドアなど趣味のクルマとして使えるモデルだった。
1999年 要望に応えて発売開始
モーターショーの反響を受けて見事に市販化される。デザインはコンセプトカーほぼそのまま。設定はNAとターボ、FFと4WDの組み合わせ。
2000年 一部改良
この年だけで、計4回の改良や装備・グレード追加などが行われた。特に10月の一部改良では衝突安全性が見直されるなど大きく進化した。
2002年 マイナーチェンジ
丸型ランプに飽きたユーザーのために、角型ヘッドランプを搭載するFシリーズなどを追加。グレード、装備内容なども見直されてリフレッシュ。
2004年 販売終了
特異なボディスタイルは、主に軽自動車を使用する一般的なユーザーの心を揺さぶらなかったのか、後継車もないまま、生産終了となった。
マニアック指数 65点

グーネット掲載車価格帯 1万から100万円
不振にあえいだとはいえ、4年半にわたって販売されていた軽自動車だけに、決してそれほどレアではない。またメカニズムはミラそのものなので、これといった特徴もない。ネイキッドはひたすらこのルックスがすべてである。
ピピーッ! 取り締まります
ピピーッ! 取り締まります
自動車評論家 永福ランプ
かつて(今も)清水草一、以前はMJブロンディ、そして現在は永福ランプと名乗る。カーマニアを自称し、街中を走るマニアック車を見つけ出すことに老後の楽しみを見つけた。
(掲載されている内容はグー本誌2021年5月号の内容です)※中古車価格はグーネット 2021年3月調べ。記事中の価格は参考であり、中古車価格を保証するものではありません。