新車試乗レポート
更新日:2020.10.12 / 掲載日:2020.10.12

新型レヴォーグ・実力解明編【1】プロトタイプ試乗

この記事の目次

すでに予約/商談も始まり、10月デビューに向けて期待が高まる新型レヴォーグ。前回のアイサイトX体験に続き、今月はサーキットでの試乗会でその走りに迫る。はたして新型の実力は期待を裏切らぬものだったのか。

※新型レヴォーグの写真はすべてプロトタイプ。各内容はプロトタイプのもので、数値は未確定(開発目標等)のものを含む。

  • 【10月15日発表予定】
    【税抜280万円台から】
    アイサイトは360度センシングに!!

新型レヴォーグ [プロトタイプ] 試乗インプレッション

新世代のシャシーとエンジンに 最新IT制御をプラスして新生!

走りの質感が向上した ツアラー向きの高性能

 レヴォーグはスバル4WDスポーツの看板車種として誕生した。もちろん、性能面の象徴としてはWRXが存在するのだが、以前よりも一般性を強めたとは言え好事家向けであることに変わりはなく、オンロード4WD普及の立役者と言えばやはりレガシィツーリングワゴン。その正統な後継車がレヴォーグなのである。

 従来車はスバル味の濃い走りが特徴だが、言い方を換えるならそれは癖でもある。そんなスバル味を残しながら、万人に受ける走りの質感の向上を図り、同時に運転支援などの時代に先行する技術を取り込んだのがFMCの要点。試乗印象もまったくその通りだった。

 剛性の向上による捻りや曲げ、車体変形の抑制等々は新型プラットフォームでは常套。シャシー関連の新機軸はSTIスポーツに採用された電子制御ダンパーくらいなのだが、標準サス仕様も含めて乗り味は大きく変わっていた。

 標準サスの設定は、電子制御サスのコンフォート寄りノーマル相当だが、従来車と比較するとストローク制御の「腰」が違っている。中立付近からの動き出しは抵抗感少なくスムーズ。しかし、すぐに程よく減衰が立ち上がり、ストローク速度は抑制され、深くストロークするほどに粘りが増す感じだ。当然、揺れ返しも少ない。ストローク速度の抑制は乗り心地に落ち着きのある安心感をもたらし、それが乗り味の質感を高める。試乗コースの関係で段差突き上げ等のチェックはできなかったが、重質な味わいとともに車格感が上がった印象を受けた。

 ロール等の抑制といったハンドリングに関わるストローク制御は乗り心地以上に変化が大きい。スポーツ性が売りのモデルということが余計にそう感じさせているのかも知れないが、追従と収束のバランスがとてもいい。操舵初期や増し切り時の回頭性(ヨー運動)を優先したハンドリング特性は相変わらずで、古典的ワインディングスポーツを思わせるが、ストローク速度の抑制と収束性が向上したことで接地感が格段に向上した。

 コーナリング時のコントロール性の向上はもちろんとして、その効果は高速直進安定性にも表れている。従来は左右前輪の接地バランスが変化しやすく、路面のうねりの影響を受けやすかったが、新型は前輪の据わりが格段によくなった。微妙な修正舵が減少するので、一般的なユーザーなら直進安定志向のほうがメリットは大きい。

 新型の進化のもうひとつの要点、新開発のパワートレーンだが、フットワークほど大きな変化は感じられない。これまでも実用性能と燃費とスポーティフィールを並び立てるべく改良を積み重ね、新型もその延長上にある。ひとことで言えば全方位向上型なのだ。

 巡航時は2000回転以下に抑えたシフト制御は昨今のクルマでは標準。緩加速への移行では無理に変速比を維持することなく、早めのダウンシフト。加速にもよるが2500回転くらいのギヤ比を用いる。急加速でも無闇に高回転を用いず、4000-5000回転でターボらしい伸びやかさを活かした加速を示す。実用型の滑らかなコントロール感と力感に高出力型の感覚を重ねたような特性だ。

 もし刺激的な加速感、あるいは乗りこなす醍醐味をもってスポーツ性とするなら、新しいパワートレーンは薄味である。たとえ全開で加速しても乗員を威圧するような加速度の変化も猛々しい排気音もない。上品なスポーツフィールと換言してもいいだろう。

 上品とも良質とも言い表せる走りの質感が新型の走りの見所。適性としてはワインディングスポーツよりもツーリングの側面を強化。それはスバルファンに止まらず一般的なワゴンユーザーのメリットにも繋がる。スポーツモデル好きよりも長距離ドライブ好きのための高性能なのだ。

電子制御ダンパーの効果も見所だ

icon 新型レヴォーグ GT-H <プロトタイプ>

GT-H ミニインプレ

 回頭が先行するような操縦感覚は従来車と似ているが、挙動の収束性が向上しているので安定感が向上し、乗り心地も落ち着いている。標準サス仕様ながら従来車よりも快適性や走りの質感が高く、高速長距離走行の機会が多いユーザーほど実感できる。

icon 新型レヴォーグ STIスポーツ <プロトタイプ>

STIスポーツ ミニインプレ

 電子制御ダンパーのスポーツモード時のハンドリングが同車の走りの見所。操舵初期から高い減衰力を発生するため回頭と横Gのタイムラグが少なく、ラインコントロール性を1ランクアップ。それでいて乗り心地に荒さがなく、良質なツアラーに仕上がっている。

●文:川島茂夫 ●写真:奥隅圭之、(株)SUBARU

提供元:月刊自家用車

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