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更新日:2017.12.14 / 掲載日:2017.11.29

5代目オデッセイ目指したのは美×力 走りよし! 広さ充分!! 初代以来の衝撃波!!

第一印象は普通のミニバン

【本記事は2013年12月にベストカーに掲載された記事となります。】ホンダオデッセイがフルモデルチェンジ。背が高くなりスライドドア採用とフツーのミニバンっぽくなったけど、乗ってみると重心が低くて乗降性がいい。もちろん走りもいいが、伝統の乗用車ライクにミニバンらしさも加わった感じ。5代目にして器量が広がったな、オデッセイ!’94年に初代オデッセイが登場して以来、ホンダは「低さ」にこだわってきた。初代の全高が1645mmだったのは、当時の狭山工場の生産ラインの制約からだったといわれているけど、それが結果的に「これまでになかった乗用車ライクなミニバン」というヒットにつながる。これが、オデッセイにおける「成功体験」となったんじゃないかと思う。で、キープコンセプトの2代目を経て、3代目、4代目は立駐OKの1550mm以下と、その“低さ”を貫いてきた。クルマを走りの面から捉えれば重心の低さというのは絶対的な“善”で、どんな小細工をしても重心の高いクルマは低いクルマに勝てない。レース好きのホンダの人たちは、心情的に重心の高い箱形のミニバンは作りたくなかったのかもしれない。ところが、ホンダのこういうコダワリとは裏腹に、市場トレンドは「ミニバンは低さより大きなスペースだよね~」という方向に流れてゆく。軽からラージクラスにいたるまで、ミニバンはとにかく室内空間が広くて使い勝手のいいクルマが受ける。電動スライドドアなんか、今やあって当然の基本装備だ。このへんが、オデッセイ低迷の原因となった。乗用車ライクということでスイングドアにこだわってきたことも裏目に出て、ピークで年間12万台以上だったオデッセイの販売台数は、直近では1万台を切るところまでダウン。ついに、ホンダも重い腰を上げざるを得なくなったというわけだ。低重心にこだわり走りにこだわっただから、5代目となる新型オデッセイは、一見してオーソドックスなミニバンに生まれ変わった。1695mmの全高はエスティマより50mmほど低いものの標準的なミニバンプロポーションだし、左右スライドドアやラウンジ風の2列目シート採用など、居住性/使い勝手についても素直に業界トレンドを踏襲している。かなり個性的だった先代と比べると余計にそう思うのかもしれないが、「ものすごく普通のミニバンになったねー」というのが第一印象だ。ただし、このへんがいかにもホンダらしくて面白いところなのだが、乗ってみるとこの新型オデッセイ、そんなに平凡なクルマじゃなかった。ポイントは、一見普通のミニバンっぽい衣をまとってはいるが、ホンダは依然として低重心にこだわっていることだ。ルーフ高は従来比150mmも高くなったが、燃料タンクや排気系を薄型設計とすることでステップ高で300mm、フロア高で370mmという低床パッケージを実現。左右のスライドドアを開けて真横から見るとよくわかるんだけど、フロアがとにかく低くて薄いことにビックリする。また、前ストラット/後トーションビームのサスペンションも新設計で、フロントにアルミ鍛造ロアアームを使うなど高品質。さらに、電動パワステはZF製を採用するし、ダンパーはザックスの振幅感応型が使われるなど、随所に走りへのこだわりを見せている。走りの味つけも、従来までのオデッセイの路線からひとひねりある。

小排気量ディーゼルかハイブリッドがほしい

これまでのホンダだと、重心の低さや高品質の足といった“武器”をもらうと、それをすぐ“スポーティな走り”の実現に投入しがちだったが、今度のオデッセイは「ミニバンとしての走りのクォリティとは何か?」をしっかり考えている。たとえば、操舵フィールは自然だけれどやや遅めで、舵角に応じてプログレッシブにロールするハンドリングは、キビキビ感を前面に出していた従来モデルとはかなり路線が違う。ただし、そのかわりそのロール感覚には低重心/低ロールセンターならではの安心感があって、操舵ですぐヨーが立ち上がるタイプの足より、2列目、3列目パッセンジャーのストレスがずっと少ない。また、路面からの入力についても、標準モデルではもちろん、10mmローダウンサスに18インチを履くアブソルートEXでも、しなやかと表現したい上質なもの。※ザックスのダンパーや入力分離マウントなどが、「なるほどこのへんで効いてるのね」と納得できる乗り味なのだ。小排気量ディーゼルかハイブリッドがほしいミニバンユーザーにとって最大の関心事である居住性やユーティリティについては、カタログを見たりディーラーで実車を触ったりすればだいたいのことはわかるが、こういう走りの“味つけ”については、実際に乗ってみないとなかなか想像できない。そういう意味では、初代以来の「低重心がもたらす乗用車ライクな走り」というオデッセイスピリッツは、一見すると“転向”しちゃったかに見えるこのニューモデルにも脈々と息づいているといえる。いっぽう、個人的に物足りないと感じたのは、パワートレーンのラインナップだ。新型オデッセイのエンジンは2.4Lガソリンで、標準がポート噴射で175ps/23.0kgm、アブソルートが直噴で190ps/24.2kgmというスペック。ミッションは全車CVT(アブソルートはマニュアルモード付き)と組み合わされる。JC08燃費は前者が13.8km/L、後者が14.0km/Lで、アブソルートEXの2WDモデルのみ免税、他は75%減税対象となる。このパワートレーン、ドライバビリティも燃費もよくバランスが取れていてどこといって不満はないのだが、ご存じのとおりこのパワーユニットは北米アコード用。より燃費コンシャスな日本市場ではインパクトが弱い。たとえば、先日デビューしたばかりのアコードハイブリッドは30.0km/Lという驚異的な燃費性能を誇るし、流行のダウンサイジングターボならVWシャランはほぼ同サイズのボディを1.4Lで走らせている(JC08燃費13.5km/L)。あれもこれもと要求するのは酷かもしれないが、アコードが長年の低迷を脱するには、フラッグシップモデルだけでもいいからそのくらいの起爆剤が欲しいと思うのだがいかがだろう。安全装備に関しても、いまホットなテーマだけにもうちょっと踏み込みが欲しい。衝突軽減ブレーキ(CMBS)はEXモデルのみのOP、その簡易版であるシティブレーキアクティブシステムはEXなど上級モデルに標準、ブラインドスポットインフォメーションはEXのみ、自動パーキングシステムもOPといったラインナップ。国産ライバルに負けてはいないけれど、ブッチぎっているわけでもない。

2つの個性あり新型オデッセイ研究

新型アコードの中心価格帯は300万円だが、価格的にはVWゴルフやボルボV40との競合も充分に有り得る。これら輸入車の安全装備の充実ぶりを見ていると、国産ミニバンだけをコンペテイターと見ていては不十分と思わざるを得ない。この新型アコードの目標月販台数は4000台だが、それはつまりエスティマに匹敵する台数を売りたいということ。クルマの基本的な素性はすごくいいと思うのだが、ハイブリッドなどの“飛び道具”なしにこの目標を達成するのは、そんなに簡単ではない。出たばっかりの新車でこんなコトを言うのもなんですが、アコードのハイブリッドユニットや、フランクフルトショーにでた1.6Lディーゼルなど、“目玉”があったら大ブレイクするクルマ。そんな風に思いました。2つの個性あり新型オデッセイ研究5代目オデッセイには、シリーズ初の8人乗りが設定され、同じく初めてスライドドアが採用された。さすがのオデッセイも、今の市場が求めるミニバン像に近づいたというわけだ。スライドドアについて、伊東社長は「重くなりコストもかかるが、お客様からの要望が強く、走行性能に影響ないと判断して採用に踏み切った」と語り、走り重視の姿勢をみせた。グレード展開は、ワイド&ローのフォルムでスポーティなアブソルート、スタンダードボディで充実装備のG、ベーシックのBの3タイプ。これに、豪華装備のEX、7/8人乗り、FF/4WDが組み合わされる。エンジンは3代目から引き続き、直4、2.4LK24A型を搭載。ただ、同じエンジンでも燃費重視のセッティングに変更、前モデルに比べ燃費は格段によくなっている。最高出力はGとBが175ps、直噴型のアブソルートは190psとなった。アブソルートは前モデルよりパワーを落としている。7人乗りの2列目には、背もたれの角度に座面の高さが連動する機能やオットマンを装備したプレミアムクレードルシートが標準装備だ。乗員をやさしく包み込みファーストクラスの気分が味わえるという。これでは、運転するよりもクレードルシートに座りたくなる。前ページでも紹介しているように、新型オデッセイは前モデルに比べ全高をアップするいっぽう、薄型ガソリンタンクやマフラー配管の工夫により、超低床ボディを実現している。背は高くなったが、重心位置を前モデルとほぼ同じというから、開発陣は頑張ったんだと思う。さて、話題の衝突軽減ブレーにもふれておこう。レーザーを使った簡易型のシティブレーキアクティブシステムは、サイドエアカーテンとセットで、上級グレードに標準装備。そのほかの一部のグレードにオプション設定され価格は7万円。さらに、レーダーによる衝突軽減ブレーキCMBSはEXにオプション設定となる。ガチンコのライバルはエスティマ、プレマシーあたりだが、走りのよさはピカイチで、背の高いミニバンもうかうかしていられない存在になりそうだ。

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グーネットマガジン編集部

ライタープロフィール

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
グーネットでは軽自動車から高級輸入車まで中古車購入に関する、おすすめの情報を幅広く掲載しておりますので、皆さまの中古車の選び方や購入に関する不安を長年の実績や知見で解消していきたいと考えております。

また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
誌面が主の時代から培った、豊富な中古車情報や中古車購入の知識・車そのものの知見を活かして、皆さまの快適なカーライフをサポートさせて頂きます。

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