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更新日:2019.01.27 / 掲載日:2017.11.29

これぞスバルの作りたかったBRZだったと納得!!

「強靱でしなやかな走り」の真髄、ここにあり!!

【本記事は2013年11月にベストカーに掲載された記事となります。】STIの提唱する「強靱でしなやかな走り」の真髄、ここにあり!!TRDに遠慮してたワケじゃないだろうけれど、デビューから1年半に渡り、STIはBRZとの関わりを自粛してきたように思う。ほかのスバル車なら豊富に揃うスポーツパーツも非常にかぎられていましたから。しかし「そろそろいいでしょう!」になったんだろう。STIのコンプリートカーである『tS』をリリースしてきた。事実上の解禁宣言であります。果たしていかに?

リアサスがすごい!

前置きは後回しにして試乗といきましょう! Dレンジをセレクトして走り出すと、クルマ全体の「しっかり感」が出ている。そもそもタイヤからしてまったく違う。BRZの標準装着タイヤ、スポーツグレードであってもご存じのとおりプリウスと同じ低転がり抵抗の215/45R17。トヨタの多田さんがグリップ性能を追求しなかった、ということは読者諸兄もご存じのとおりだと思う。tSときたらミシュランで最もスポーティという位置づけになる『パイロットスーパースポーツ』ときた。しかも225/40ZR18という200psのクルマからすれば超ハイパフォーマンスタイヤを履く。なんたって300ps級のポルシェとかに履かせることを意識して開発されたサイズですから。もはや走り出した瞬間からレールの上を走っているようなスタビリティを持つ。パワーオンでのスライドなど不可能。同時にサスペンションの取りつけ部も高性能タイヤに合わせて強化した。特にリアサスが凄い! 3つのアームのブッシュをピロボールにしている。遊びをなくし、路面からの大きな入力を受けた時も正確にアライメントを維持できるようになった。リアサスのスタビリティの高さはハンドルを握っていてハッキリわかるほど。後輪駆動ってリアサスが重要なのだけれど、STIは早くも見抜いた?リアサスだけガッシリ動かすと今度はフロントがグニャグニャしてしまう。そこでSTI自慢のフレキシブルタイプのタワーバーを上面に。ドロースティフナー(補剛材)を下面に加え、前後のバランス取りをしてます。ハンドルの微少入力に対しシッカリ反応させようという狙いで、これまたツボにはまっている。ベテランテストドライバーの渋谷真さんらしい正統派のクルマ作りだと思う。そのうえで専用チューンのダンパー+バネを前後にセット。フロントダンパーを見たら、筒長がノーマルより長いタイプ。剛性と容量の両立を狙ったものです。ちなみにショーワ製。高性能タイヤをキッチリ履きこなしており、ノーマルのBRZより乗り心地がいいほど。乗り心地のいいチューニングカーは、仕上がりレベルの高さの証明みたいなもの。路面からの入力が大きい足回りってアカンです。サーキット走っても速くない。

すばらしいライントレース性

理詰めのよさが光るハンドリング!!

理詰めのよさが光るハンドリング!!

乗った印象はどうか? ひと言で言うなら「クールな走り」。理詰めのよさ、と言い換えてもよかろう。ハンドルに微少舵角を与え、路面と対話しながら走る、というイメージ。ニュルブルクリンクで仕上げたというだけあり、すばらしいライントレース性を持つ。狙ったコースを5cmという精度で辿れちゃいます。また、超ハイグリップタイヤだからして、2速であってもパワーオンでリアタイヤを流すことなどできない。86とBRZを開発する際、スバルとトヨタの意見がずっと違っていたということはよく知られている。タイヤ性能を高くしたくないと主張し続けたトヨタに対し、スバルは終始もっとグリップのいいタイヤを履きたいと言い続けたという。tSのハンドルを握り、スバルが作りたかったのはこんなBRZだったんだろうなと納得した次第。これはこれでいいクルマだと思う。ただ国沢光宏の好みか、と聞かれたら「やや違います」。先日のこと。グラベルラリー仕様のBRZに試乗したら(舗装路面です)、楽しいのなんの! スパイクタイヤで氷上を走った時のようなすばらしいコントロール性を持つ。今の日本じゃ高性能タイヤ履いても楽しめる場所がサーキットしかない。tSの走りのよさを100%認めつつも、BRZの次のコンプリートカーはSTIの古いほうのDNAであるラリー車の方向を向いて欲しいな、と思った。BRZの可能性は大きい。どの方向に伸ばしても面白いんじゃなかろうか。tSを皮切りに、いろんなBRZを提案してくれたら嬉しい。国産のスポーツモデルは当面このクルマしかないですから。そうそう、60万円高の『GTパッケージ』は1脚30万円相当のサイドエアバッグつきレカロ製バケットシートと、同じく30万円相当のドライカーボン製リアウイングがつく。装備を考えたらお買い得です。

STIはBRZとWRXをどう棲み分けるのか

今後STIはBRZとWRXをどう棲み分けるのか!?今までSTIの人気コンプリートカーといえば、WRX STIをベースにしたモデルだった。最もスポーティな『Sシリーズ』の場合、エンジンまで大きく手を加えている。2代目インプレッサWRXをベースにした『S203』や『S204』のエンジンはノーマルより40ps高くなっているだけでなく、1基ずつSTIの三鷹工場でバランス取りしたうえで手組みされている。高回転域まで引っ張ると、グループNのラリー用エンジンのようなすばらしい回り方をします。最近の『S206』は手組みエンジンでこそないものの、320psにパワーアップ。また今年7月に発売した『WRX STI tSタイプRA』のように、WRカーと同じクイックなギアボックスを採用するなど激しく攻めたモデルもラインアップする。STIにとってみればカンバン車種だけあり、いろんな意味で過激さが売りになっている感じ。実際“ユルい”仕上げのWRXが出てきてもユーザーは興味を示さないんじゃなかろうか、ということをSTIだってキッチリ認識してる。いっぽう、今回のtSはエンジンにまったく手を加えていない。森さんに聞いてみたら「NAエンジンなので10psとか20ps上げても高回転まで回るようになるだけです。かといってターボやスーパーチャージャーを使うことも難しいです」。つまり、本格的に取り組まなければ面白くならないということ。逆に300psのエンジンを積むと、今度はWRXとの棲み分けが難しくなってしまう。以上の理由により、BRZは当面エンジンチューンを考えていないそうな。個人的には大いに納得できる。NAエンジンのチューニング、手がかかるわりに効果薄い。そもそもBRZのエンジンにターボをつけたら、耐久性や排気ガスまで見直さなければならず、STIというより本社の開発部門の仕事になっちゃう。今や環境の時代。むしろBRZはノーマルエンジンのまま楽しさを追求すべきだと思う。軽量化なんかも面白いテーマになりそう。1100kgくらいまで落とすことができたなら、性能だけでなく燃費までよくなりますから。

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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