新車試乗レポート
更新日:2026.09.28 / 掲載日:2026.09.28
シビック e:HEV RS・走りの魅力

『e:HEV RS』の魅力解明 “ターボ+MTとどう違う?”
ホンダのスポーツツーリンググレードとして存在感が高まる「RS」。今回シビックに追加されたe:HEV RSはプレリュードが初採用した「S+シフト」を搭載することも注目ポイントのひとつ。公道試乗の機会を得て、その魅力を探った。
●文:川島茂夫 ●写真:澤田和久
※本記事の内容は月刊自家用車2026年10月号制作時点(2026年8月中旬)のものです。

S+シフトがドライビングの新たな楽しさを予感させる
選べる2つの「RS」はシビックならではの強み「タイプR」は理解しやすい。タイムの短縮が進化の度合いで、半ばレーシングカーのようなものだ。ただし、公道走行に必要な機能や装備を備えているとはいえ、マニア以外には遠い存在だろう。
一方、「RS」はタイプRほどハード志向ではない。初代シビックで登場して以来、ツーリング&スポーティの路線を崩していない。
現在、RSグレードはシビック以外にもN‐ONE、フィット、ヴェゼル、CR‐Vに用意されているが、車種のキャラに応じたスポーツ性やファントゥドライブへのこだわりが特徴だ。各車各様でありつつ、長距離ハイアベレージ走行での心理的&肉体的ストレスの低減など、走りの方向性は共通しているのが興味深い。
そんなRS軍団の中で複数のパワーユニットを展開するのはシビックのみ。e:HEVを加えて2系統となり、ターボかHEVか、操作系で見るならMTかATか、となった。ターボ+MTの方がマニアックではあるが、実用性と燃費、時代性を考えればe:HEVを選ぶのが一般的だろう。ただし、一般的な回答だけで以上終了、とはならないのがシビックRSだ。
挙動ではなく情動がS+シフトのターゲット
e:HEV RSのファントゥドライブあるいはドライブフィールやクルマとの対話感へのこだわりは並々ならぬものがある。その象徴が「S+シフト」だ。
これはシリーズ式HEVとして発電稼働中のエンジン回転数を車速やアクセルの踏み込み応じて制御し、あたかもミッションによるステップ変速の如くに振る舞わせるというもの。システム作動中は室内スピーカーから疑似エンジン音が発せられ、伸びやかな加速感や切れのいいダウンシフトを楽しめる。しかも、その音は軽快で雑味が無く、変速時の加減速の途切れはほとんどない。超軽量フライホイールでもこうはいかないだろうし、6速MTのターボと比較するとパワートレーン周りの反応に優れているのが明白。コンピューターのプログラムで制御されているのだから、慣性等々の物理法則の制限も受けないから当然だ。
だからといってターボRSが劣るなどど言う気はまったくない。車のクセを知って乗りこなす楽しみならターボ車だ。あくまでも個人的な評価だが、クルマを乗りこなしながら理解するという楽しみ方で順位を付けるなら、タイプR、ターボRS、e:HEV RSの順になる。ただし、一台所有を前提で選べといわれたら、迷わずe:HEV RSになる。
現行のRSラインナップの中で、最も落ち着きと車格感を感じさせるモデルがシビックe:HEV RSである。車重はターボRSよりも120㎏重く、ヴェゼルe:HEV RS(FF)よりも90㎏重い。車重だけの効果ではないだろうが、重みを感じさせるしっとりした収まりが走りの車格感を高めている。タイトターンでは身の重さを感じさせる部分もあるが、加減速操作を交えれば思い通りのラインを維持するのは容易。タイトターン重視の切れ味に拘泥しないのも、e:HEV RSの大人味の部分だ。
ターボRSは約450万円。そしてe:HEV RSが約470万円。ターボ車との価格差は20万円を切っている。ターボ車はエンジンやミッションというリアルな機械との対話を楽しめる。対するe:HEV車はというと、S+シフトがクルマとの対話感を演出してくれ、実際の走りの味わいはターボ車よりちょっと上質。S+シフトはギミックかもしれないが、こうしたクルマの楽しみ方がこれからの主流になるのかもしれない。

HONDA シビック e:HEV RS
●価格:465万9600円 ●発表日:’26年6月4日
ホンダ自慢の機構を搭載する2ペダルの「RS」
ホンダの「RS」の由来はレーシングスポーツではなく、ロードセーリング。帆船のように滑らかに疾走する高速ツアラーが身上だ。走り重視のグレードのため一部の車種でMTが設定され、シビック RSも1.5ℓターボ+6速MTでデビュー。今回加わったe:HEVモデルはS+シフトを採用するパワートレーンのほか、専用の足回り&ステアリング設定が施されている。峠攻め志向とは異なる、快適な長距離ツアラーというRSらしさとの相性に期待大だ。











