新車試乗レポート
更新日:2025.09.22 / 掲載日:2025.09.22
クロストレック乗るならストロング!? 長距離試乗でe-BOXERの魅力に迫る!

文と写真●ユニット・コンパス
38万5000円。これは、クロストレックのグレード、「Premium S:HEV」と「Limited」を比較した時の価格差です。細かい加飾の違いはおいておいて、ほぼ装備差はなし。おもにパワートレインの違い、つまりマイルドハイブリッドとストロングハイブリッドの違いということになります。車両価格に対しておよそ1割近い差額に相応しい価値がストロングハイブリッドにあるかどうか。そこがポイントになるでしょう。
2種類のハイブリッド、どっちがいいの?

スバルのクロストレックは、インプレッサをベースにオフロード対応性を高めたクロスオーバーSUV。アウトドアテイストのあるスタイルが魅力的なスバルの人気モデルです。
クロストレックには2種類のe-BOXER搭載モデルがあって、試乗したのはストロングハイブリッドモデルとなる「Premium S:HEV」。その名のとおり、モーターの支援領域が広く、EV走行が可能。スバルがこれまで培ってきたAWD技術を継承しながら、電動化を実現させた力作です。
今回は、スバルの本社がある恵比寿から、取材の目的地である大阪スバル 城東店まで、往復約1000km弱のロングドライブでテストすることができました。街中から高速道路まで、多様なシーンを経験したのですが、運転のしやすさ、楽しさ、そして疲れにくさが際立ったクルマでした。
街中で早くも真価を発揮!

恵比寿駅周辺から東名高速の入口である東京インターまでの区間は、頻繁にストップアンドゴーが繰り返される市街地。周囲を走るクルマも多く、借りたばかりのクルマだと少々緊張するものなのですが、視界の良さと車両感覚の掴みやすさが心強かった。これはスバル車に共通する美点で、周囲がよく見えるから運転が怖くありません。
さらに光るのがe-BOXER(ストロングハイブリッド)によるスムーズな加減速です。発進時はモーターだけでスムーズに動き出し、力強く静か。スピードが上下するなかでモーターとエンジンの切り替えが頻繁に行われますが、ほとんど気づかないほどシームレスです。結果、スムーズな加速と力強い発進が得られただけでなく、燃費も大幅に向上します。WLTC市街地モードのカタログ値は15.4km/Lですが、短期間の走行ではあるものの16km/Lとそれを上まわる数値となりました。

高速道路で実感する快適さ

東名から新東名、伊勢湾岸自動車道、新名神、名神、そして第二京阪と一般的なルートを選択した高速道路区間では、パワートレインの力強さと快適さが際立ちました。とくに感じたのが2.5Lという排気量からくる余裕。巡航ペースではエンジンはほんとうに静かですし、追い越しをかける際にもスッと車速が乗るので速度管理がラクなのです。
また、クロストレックはコンパクトボディながら、どっしりとした接地感で、横風や路面ジョイント、他の車とのすれ違いといったシーンでも安定していて、不安を感じません。まるでひとまわり大きいクルマのような安心感があります。試乗車にはファルケンのオールシーズンタイヤが装着されていました。雪道も走れる多用途性がウリですが、ドライ路面でのグリップとハンドリングについてもスポイルされていないのが秀逸でした。ノイズも少なく、晴天の高速道路でもサマータイヤのように快適に走行できました。
シートも良かったですね。見た目は普通のシートなのですが、腰のすわりがよく、しっかりと身体を支えてくれるので身体が痛くなるようなこともありませんでした。



おかげですっかりリラックスできて、巡航中の多くの時間をアイサイトのサポートを受けながら走り切ることができました。広角ステレオカメラと超広角単眼カメラを組み合わせるクロストレックのアイサイトであれば、今回のようなルートは、ほとんどペダル操作を行わず走れてしまいます。それは運転による疲労を軽減するだけでなく、燃料消費の低減にも貢献。全行程を走り切っての燃費は17.2km/L。カタログデータが18.9km/Lですから、高速区間が多かったとしても優秀といっていいでしょう。
多様なシーンで頼もしい相棒に

長い距離をクロストレックと共にして、改めて魅力的なクルマであると再認識しました。最低地上高200mmを確保するクロスオーバーSUVでありながら、高速シーンでも不満なし。アイサイトの支援は心強いですし、AWDとオールシーズンタイヤの組み合わせは、天候や季節を問わず安全で快適な移動に期待できます。
従来のスバル車は優れた動力性能と安全性の高さは評価されていましたが、燃費面でライバルに劣る点がありました。燃費という弱点がe-BOXER(ストロングハイブリッド)で払拭され、より幅広いユーザーに訴求できる内容になったのではないでしょうか。さらに燃費がいいというだけでなく、2.5Lエンジンと車体とのバランスが絶妙なのでしょう、走らせてかなり気持ちがよかった。
結論としては、マイルドハイブリッドとの価格差どうこうというよりも、ストロングハイブリッド仕様には400万円近い価格のクルマとして納得できる魅力がありました。一方で、街中メインでコスパ重視というユーザーならマイルドハイブリッド仕様がオススメ。
クロストレックは、従来のスバルファンはもちろん、むしろこれまでスバル未体験だったひとにこそオススメできる1台です。
クロストレックとインプレッサの特別仕様車を紹介!

大阪を目的地にした理由は、大阪スバル 城南店に今年発売されたクロストレックとインプレッサの特別仕様車の実車が展示されているから。こちらは関西に初めて作られたブランド体験型の販売店となっている。
スバル クロストレック Limited Style Edition

2025年7月に設定された特別仕様車「Limited Style Edition」を設定。テーマは大人の遊び心で、イエロー塗装加飾付きのLEDフロントフォグランプやシート表皮、シフトブーツやステアリングホイールのステッチなどにイエローのアクセントを施している。



クロストレックは、2025年7月の一部改良でボディーカラー展開を見直し、「サンドデューン・パール」と「シトロンイエロー・パール」を新たに設定。また、ドライバーのわき見や居眠りが長時間続いた場合にドライバー異常時対応システムが作動するようになった。

インプレッサの改良モデルにも特別仕様車と新色を設定

同じタイミングでインプレッサにも改良が施された。2025年7月の改良では、ボディーカラー展開を見直し、「シトロンイエロー・パール」を新設定。運転支援機能も改良され、「緊急時プリクラッシュステアリング」、「スバルリヤビークルディテクション(後側方警戒支援システム)」、「エマージェンシーレーンキープアシスト」を全グレードに標準装備しています。
そして、「ST」、「ST-H」をベースとした特別仕様車「ST Style Edition」および「ST-H Style Edition」を設定。これは赤と黒の組み合わせでスポーティなイメージをねらったもの。内外装をブラック基調にするとともに、シート表皮やステアリングのステッチなどにレッドアクセントを施しています。



