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更新日:2025.08.19 / 掲載日:2025.08.19

三菱ディスティネーターにパジェロ復活の夢を見る【九島辰也】

文●九島辰也 写真●三菱

 今、巷のヨンク好きの間ではパジェロ復活の期待が高まっています。これだけSUVの中でもクロカン色の濃いモデルが売れているのですから、メーカーがそう考えているのではと勘繰るのは不思議ではありません。

 もちろん、そこには根拠があります。2024年10月に彼らがフィリピン国際モーターショーで発表したモデルがそれにあたるのではという憶測があります。モデル名は“DSTコンセプト”。3列シートのミッドサイズSUVです。

 フィリピンでお披露目された後は今年6月にベトナムで現地法人が一般公開しました。そして7月にインドネシアにて正式デビュー。名前はディスティネーターとして発表されています。

 現在アセアン市場において三菱自動車はミッドサイズSUVのモンテロスポーツ(一部地域ではパジェロスポーツ名)、コンパクトSUVのエクスフォース、クロスオーバーMPVのエクスパンダー&エクスパンダークロスをラインナップしています。7人乗りの3列シートというのが今回のキモになるようです。7人乗りは三菱自動車の「チャレンジ2025」という事業計画に入っています。

 そしてデザインは新世代。アウトランダーに通じる「威風堂々」な雰囲気を醸し出しながら新しさをアピールします。デザインコンセプトが「GRAVITAS & DYNAMISM」ですからまさにそう。「GRAVITAS」は「威厳」とか「重々しい」と言った意味合いです。その辺はすでにアウトランダーで高い評価を得ているので、問題ありません。LEDの進化に伴い、新たなシグネチャーライトが備わりました。

 フィリピンでお披露目された後は今年6月にベトナムで現地法人が一般公開しました。しかも現地では年内に発売開始するとアナウンスしたとかしないとか。昨今の国産メーカーはアセアンスタートで日本へ逆輸入するのがトレンドですから、その後日本上陸はあり得るかもしれません。トライトンがそうですし、スズキフロンクスやホンダWR-Vもそうでした。知っていますか、トライトンが三菱のラインナップの中で一番販売される国と地域が多く、台数もトップであることを。つまり、彼らの屋台骨になっているのはトライトンなんです。日本での三菱自動車は軽自動車をはじめとするコンパクトカーのイメージが強く、ピックアップトラックのトライトンは異端児に見えますが、じつは逆。トライトンあっての三菱自動車ですから、信頼性は高いと言えます。

三菱 トライトン

 それはともかく、もしパジェロの名前でディスティネーターが日本で発売されたらかなり話題になることでしょう。その先にはパジェロスポーツがあって、さらにパジェロジュニアやパジェロミニが復活されるかもしれません。どれも今なら売れそうですね。三菱はいつも時代を先取りし過ぎている気がします。GDIもそうでした。ガソリンの直噴エンジンは今日デフォルトです。

 今回パジェロにスポットを当てたのは、ある雑誌の企画でSUV史を振り返ってほしいと依頼されたからです。当時はSUVという言葉ではなく、クロカンや四駆、フォーバイフォーでした。80年代後半、SJ30型ジムニーに乗って4×4マガジンという四駆専門誌でアルバイトしていましたから、当時を振り返るのは朝飯前です。

 頭に浮かぶのは、パジェロやランクルシリーズ、それとサファリ、ビッグホーン、ジムニーです。そして90年代に入るとイスズウィザードやミューが話題となりました。知っていますか? パジェロやビッグホーンの影響を受けてランドローバー社がディスカバリーを生産したことを。日本のヨンクが世界を席巻していたんです。

 ということで、個人的にもパジェロ復活を強く望みます。日産もアメリカで売っているアルマーダを他の国ではパトロールとして売っているのだから、日本ではサファリの名前で販売すればいいのに。まぁ、こちらは完全なラグジュアリーSUVですけどね。そんなのもありでしょう。企業体力がちょっと心配ですが。後はスズキエスクードかな。日本ではヴィターラよりもエスクードでしょう。3ドアが嬉しいけど無理かな。

 いずれにせよ、クロカン系SUVはウェルカム。おしゃれな2ドアクーペとクロカンを並べるのが、憧れのガレージライフです。

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九島辰也(くしま たつや)

ライタープロフィール

九島辰也(くしま たつや)

外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの”サーフ&ターフ”。 東京・自由が丘出身。

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外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの”サーフ&ターフ”。 東京・自由が丘出身。

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