新車試乗レポート
更新日:2025.08.16 / 掲載日:2025.08.16
北海道の大地を走って感じた確かな実力【スバル】【九島辰也】

文●九島辰也 写真●スバル
スバル レヴォーグで北海道を走った。場所は釧路。太平洋に面した漁業の街である。
釧路の雰囲気はスウェーデンやノルウェイ、デンマークに通じるものがあり、海へとつながる釧路フィッシャーマンズワーフMOOに係留されている漁船を眺めていると北欧を思い出す。ストックホルムやイエテボリ、コペンハーゲンというよりも、そこから少し行った小さな街。郷愁の念を抱かせるような空気が流れる。
レヴォーグ レイバックの新CMが撮影された釧路の地をドライブ

なぜ釧路を走ったのかと言うと、レイバックの新CMのロケ地だったからだ。そこをスバル車でドライブすることで、このブランドの世界観を体感しようという企画である。すでに放映しているCMなので目にした方は多いと思う。なかなか走りがいのあるエリアだ。まぁ、北海道は大方そうであるとも言えるだろうが。
「コンフォート」に着目したレヴォーグの足まわりを高く評価

ステアリングを握ったのはレヴォーグSTIスポーツだった。デビュー時に話題となったモデルだ。第41回2020-2021日本カー・オブ・ザ・イヤーで大賞を獲っていることでも知られている。個人的にも高く評価させていただいた。
評価したのはスタイリングやパッケージング、パワーソースもそうだが、メインは足まわりのセッティング。STIスポーツに搭載されるZF製電子制御ダンパーがじつに秀逸である。ドライブモードの変更で異なる顔を見せるのだが、その乗り心地の変化はまるでドイツ車の高級セダン系クラス。特に注目したいのは“コンフォート”モードで、その味付けが素晴らしい。“スポーツ”で引き締まるのは当たり前で、開発メンバーがそこに注力するのは目に浮かぶが、このクルマの場合“コンフォート”のフラット感がたまらない。キャビンは常に安定してドライバーの身体を揺らすことを最小限にとどめてくれる。

もちろんこれはサスペンションの取り付け部分の剛性を高めるとか、ロングストロークの取れる設計をはじめからするなどの結果だろう。スバルに求める快適さが追求され、それを見事に具現化した。ただ、コンフォートの味付けに着目するこのクラスの国産車が少ないことを鑑みると、すごいことだと思う。これからもスバルには“スポーツ”同様“コンフォート”にも力を入れ続けてほしい。試乗したクルマにはエコタイヤが装着されていたが、通常のサマータイヤであればもっと気持ちよくなるはずだ。
ドライブはたんちょう釧路空港からスタートし、釧路の街中を探索してから東へ向かうルートをとった。CMのロケ地となったのは涙岬。海沿いの切り立った崖が壮大な自然を感じさせる。

ドライブも楽しいが、途中に立ち寄ったランチスポットも印象的だった。見つけたのは厚岸駅の目の前にある一福という食堂。そこでの「かきラーメン」が思いのほか美味しかった。旅先で美味しいものにありつけたりすると得した気分になるが、まさにそれである。地元感の強い店だったが、勇気を持って暖簾をくぐったのは正解であった。
そんなレヴォーグのパワーソースは現在2種類。1.8リッター直噴ターボと2.4リッター直噴ターボで、最高出力はそれぞれ177馬力と275馬力となる。言わずもがなどちらも水平対向4気筒エンジン。ともに日常的には申し分のないパワーなので好みで選べばいいだろう。ロングドライブが主体ならよりハイパワーの方が楽になるが、そちらはプレミアムガソリンになるからご注意。
お買い得な特別仕様車にも注目!

現在レヴォーグには特別仕様車がたくさんラインナップされる。発売から年月が経ったので、少し目新しさが必要なのだろう。装備を充実させたり、ボディカラーに専用色を用いたりしてそれを行う。装備の充実ぶりからすると、この辺はお買い得な気がする。
それにしてもこうしてあらためてレヴォーグに乗ってみると、クオリティの高さをつくづく感じる。ひとつひとつの剛性の高さからも開発陣のこだわりは強い。昨今のスバルの話題はSUV然となった新型フォレスターだが、やはりレヴォーグを忘れてはならない。レガシィからの系統を鑑みると、このクルマが本流であることは間違いない、と思う。
