輸入車
更新日:2025.06.07 / 掲載日:2025.06.05

アウディが示すBEV進化のフロンティア 「SQ8 e-tron」に見る電動化の可能性

「乗ればわかるアウディ BEVの凄さ!」

[注目のニューモデル|BEV MODEL]まだまだ広がる電動化の可能性

文●石井昌道 写真●内藤敬仁、澤田和久、ユニット・コンパス ※ナンバープレートは、すべてはめ込み合成です。
(掲載されている内容はグーワールド本誌2025年7号「新型モデル続々上陸![アウディの未来]」記事の内容です)

「BEVにまだ懐疑的な人は、いちどステアリングを握るべきだ」と、ジャーナリストの石井氏は言う。同じボディタイプで乗り比べることができれば、その違いは思いのほか明確なのだ。

[アウディ SQ8 スポーツバック e-tron]プラットフォームからデジタルまで全方位進化

 欧州プレミアム・ブランドのなかでもBEVシフトに積極的に取り組んできたアウディ。2018年に世界デビューを果たした最初のBEVであるe-tronは、大幅改良を機にQ8 e-tronへ改名しているが、それはBEVラインアップの拡充に向けてのことだろう。Q8はSUVのフラッグシップであるからアウディBEVの頂点でもある。
 ベースのQ8自体が洗練されたモデルだけあって、そのBEVが悪いはずがない。床下にバッテリーを搭載することによるフロアの剛性アップや、低重心化は運動性能や快適な乗り心地を大いに進化させている。車両重量増のデメリットを覆してしまうほどだ。大幅改良では静粛性がさらに高まるとともに、ハンドリング性能も熟成された。ステアリング操作に対する反応が機敏になり、路面状況を手のひらに伝えるインフォメーション性も濃厚になったのだ。
 バリエーションはいくつか存在するが、なかでもハイパフォーマンスモデルのSQ8 e-tronは電動クワトロの可能性を大いに飛躍させた。Q8 e-tronが前後にモーターを持つクワトロなのに対してSQ8 e-tronは、フロントに1基、リア左右に2基、合計3基のモーターを持つクワトロ。システム出力でも100馬力ほど上乗せで500馬力の大台を超えたほか、電動トルクベクタリングによってハンドリング性能を大いに進化させた。エンジン車では到達し得ないレベルと言っていいだろう。
 日本のプレミアムBEV販売台数でナンバー1のQ4 e-tronは、フォルクスワーゲンが開発したMEBプラットフォームを採用。比較的にコンパクトなサイズながらBEV専用プラットフォームならではの利点をいかして室内空間は驚くほど広い。さらに、ポルシェ開発のJ1プラットフォームによるe-tron GTをラインアップ、そしてポルシェと共同開発したPPE(プレミアム・プラットフォーム・エレクトリック)を初採用するQ6 e-tronが日本導入を果たした。アウディの年間販売台数は170万台程度だが、BEVのプラットフォームを4つも持っているのは驚き。それだけBEVシフトへの準備を周到に行っているというわけだ。
 Q6 e-tronはBEV専用プラットフォームだけあってロングホイールベース・ショートオーバーハングが特徴の一つ。ダイナミックなフォルムと広々とした室内空間を両立させている。バッテリーは新開発で一充電走行距離を伸長させる。A6 e-tronなどPPE採用車も続々と投入される予定で、PPCとの両輪で新車攻勢がかけられるようだ。

アウディ SQ8 スポーツバック e-tron ●全長×全幅×全高:4915×1975×1615mm ●ホイールベース:2930mm ●車両重量:2720kg ●総電力量:114kWh ●一充電走行距離(WLTC):482km ●モーター最高出力:370kW ●モーター最大トルク:99.2kgm ●新車価格:1492万円(SQ8 スポーツバック e-tron)

Profile:モータージャーナリスト 石井昌道
レース経験もあるモータージャーナリスト。国産、輸入車それぞれをメインとする雑誌の編集に携わってきたため知識は幅広く、現在もジャンルを問わない執筆活動を展開する。

アウディBEVのフラッグシップモデルだけあって、空間的余裕も含め居心地のよさは抜群だ。また、運転席はバーチャルコックピットプラスが備わり、さまざまな機能をセレクトすることができる。
見るからに使いやすそうなラゲッジルームは標準状態で528ℓを実現。写真のように後席を倒せば広大な空間を生む。もちろん、開閉は電動式となる。
フロントボンネットには60ℓの収納スペースがあり、充電ケーブルや洗車道具などの収納が可能となっている。
[Q6]BEVの進化系 新型アウディ Q6

 こちらが本文で紹介したPPEを初採用したQ6 e-tron(写真はSQ6 e-tron)。いかにもよく走りそうなデザインに加え、その質感の高さはさすがアウディといった雰囲気だ。インテリアもデジタライズされた最新世代の機能が盛り込まれている。

この記事の画像を見る

この記事はいかがでしたか?

気に入らない気に入った

石井昌道(いしい まさみち)

ライタープロフィール

石井昌道(いしい まさみち)

自動車専門誌の編集部員を経てモータージャーナリストへ。国産車、輸入車、それぞれをメインとする雑誌の編集に携わってきたため知識は幅広く、現在もジャンルを問わない執筆活動を展開。また、ワンメイク・レース等への参戦も豊富。ドライビング・テクニックとともに、クルマの楽しさを学んできた。最近ではメディアの仕事のかたわら、エコドライブの研究、および一般ドライバーへ広く普及させるため精力的に活動中。

この人の記事を読む

自動車専門誌の編集部員を経てモータージャーナリストへ。国産車、輸入車、それぞれをメインとする雑誌の編集に携わってきたため知識は幅広く、現在もジャンルを問わない執筆活動を展開。また、ワンメイク・レース等への参戦も豊富。ドライビング・テクニックとともに、クルマの楽しさを学んできた。最近ではメディアの仕事のかたわら、エコドライブの研究、および一般ドライバーへ広く普及させるため精力的に活動中。

この人の記事を読む

img_backTop ページトップに戻る

ȥURL򥳥ԡޤ