新車試乗レポート
更新日:2018.11.26 / 掲載日:2015.05.21

テスラ モデルS 試乗レポート

テスラ モデルS

従来の電気自動車に対する懸念を払拭する、500kmもの航続距離を実現した4ドアセダン型EV。注目するべきは走行可能距離だけでなく、走りの性能や17インチのタッチスクリーンに代表される新発想だ。

クルマの常識を覆す斬新な技術を満載したEV

 「シリコンバレーにいるにはわけがある・・・」。そんな言葉を聞いたのは、サンノゼの近くフリーモントにあるテスラのファクトリーを訪れたときだ。元グーグルという経歴を持つ案内人に生産過程の話をうかがうと、そんな言葉が返ってきた。

 工場はそもそもGMが建てたものだ。その後80年代にトヨタとの合弁になり、北米向け大衆車を組み立てていた。だがそれも21世紀に入り役目を終えた。そんな折り、ここシリコンバレーに意味を感じたテスラが生まれたのである。

 ここで紹介するモデルSはテスラモータースの第二弾となる。前回はロータスエリーゼのボディを借りたので、今回はまったくの純正だ。ただご覧のようにデザインで奇をてらってはいない。「行き過ぎたデザインにひとはついて来られない」という発想から、適度な未来感にとどめている。そのせいか、4ドアセダンでありながらスーパーカー的なテイストもあり、かなりかっこいい。このクルマがEV(電気自動車)でなくとも十分ひとを惹き付ける魅力を持ち合わせている。

 いわずもがな、こいつは純粋なEVで航続距離はかなり長い。日産リーフの228kmの倍以上となる500kmという航続距離を稼ぐ。東京~京都くらいだったら少し寄り道しても無充電で行けることになる。それを可能にしているのはパナソニックとの共同開発によるバッテリーパック。コンパクトかつ大容量のパックをフロア一面に敷き詰めている。しかもこれがクルマ自体の低重心化にも役立っているからすごい。実際に走らせるとわかるが、かなりスムーズで気持ちいい。ワインディングも得意な範疇で、コーナーを駆けるのに不具合はない。というか、思いのほか楽しい。第一弾のエリーゼベースより正直軽快だ。

 もちろん、それでいてEVのセールスポイントとなる加速はとんでもなく力強い。どこまでも続くトルクフルな走りに、ドライバーはひたすらワクワクするだけだ。

 モデルSにはふたつのグレードがある。70kW/hバッテリーを積むモデルS70Dと85kW/hバッテリーの同85だ。前述した航続距離500kmオーバー(欧州値)は後者であり、前者は442km(欧州値)となる。

テスラ モデルS

 そしてモデルS 85に今年、新たなバリエーションが追加された。年初のデトロイトモーターショーで発表されたモデルS P85Dだ。こいつはこれまでリヤモーターでリヤタイヤのみを駆動させていたのに対し、フロントにもモーターを配し、4WDとして走らせる。“D”はデュアルモーターを表す。合わせて従来の85でもD仕様を選べるようになった。

 しかも、リヤ駆動のリヤモーターよりも小さくしたので、前後の重量配分を壊すことはない。この辺はハンドリングに対するこだわりだろう。結果、4つのホイールを動かすデュアルモーターで0ー100km/h加速はなんと3.3秒を記録。調べてみていただきたい。もはや世界トップレベルのスーパーカーの領域である。

 といった先進性満載のモデルSだが、インテリアにもそれは見られる。ダッシュパネルに埋め込まれた17インチのタッチスクリーンだ。iPad2個分?のそれは未来的。こんなクルマ見たことないというのが第一印象だ。もちろん、その内容も驚きの連続。各メディアやエアコン関係は当然のこと、グーグルマップもそのまま使える。なるほどこれがシリコンバレーでテスラがつくられる理由のひとつかも。とにもかくにも、既存の概念を払拭する技術がてんこ盛りである。

文●九島辰也 写真●内藤敬仁、北川 泉
問い合わせ トールフリー TEL:0120-982-428

Detail Check

  • コックピット

    テスラ モデルS(コックピット)

  • コックピット

    これがモデルSのダッシュパネル。この画面でほぼほぼすべての操作ができてしまう。外部メディアとの接続もそうだし、車高を変えたり、ガラスルーフを開閉したり、ステアリングのフィールまでも変えられる。

  • インテリア

    テスラ モデルS(インテリア)

  • インテリア

    キャビンは思いのほか広い。とくにフロアが低いのと、センタートンネルがないので足下に余裕を感じる。これまでとは違う世界観だ。

  • ナビゲーション

    テスラ モデルS(ナビゲーション)

  • ナビゲーション

    ナビゲーションはグーグルマップ、グーグルアースがそのまま使える。なので、ソレ用の使い方を覚えなくていいのが嬉しい。

  • ボンネット下

    テスラ モデルS(ボンネット下)

  • ボンネット下

    これがフロントのボンネット下。エンジンがないのでここにも荷物が積み込める。深さがあるので意外に実用性は高そうだ。

  • カーゴルーム

    テスラ モデルS(カーゴルーム)

  • カーゴルーム

    こちらはカーゴルーム。セダンではあるが、カーゴはハッチバックのように開く。フロア下には後ろ向きの2名掛けシートが隠される。

  • 基本骨格

    テスラ モデルS(基本骨格)

  • 基本骨格

    これがモデルSの基本骨格。フレームのフロアには一面のバッテリーパックが並ぶ。低重心であることは一目瞭然だ。

主要諸元:テスラ モデルS 85(無段階変速)

全長×全幅×全高4970×1964×1435mm
ホイールベース2960mm
トレッド前/後1662/1700mm
車両重量2108kg
モーターシングルモーター
最高出力362ps

全国メーカー希望小売価格(発売 2014年2月12日)

モデルS 70D(無段階変速)937万円
モデルS 85(無段階変速)1001万円
モデルS 85D(無段階変速)1059万8000円
モデルS P85D(無段階変速)1295万2000円

Body Color

 ブラック ソリッド □ホワイト ソリッド シルバー メタリック ブルー メタリック
 グレー メタリック □パールホワイト レッド マルチコート
 ※ほか3色。

真ん中にあるべきものがこのクルマには存在しない!

  • テスラ モデルS

  •  これは前後に駆動用モーターを置いたAWD仕様のP85D。前後の車輪を動かすのにプロペラシャフトがないのが特徴。よってセンタートンネルもない。EVならではのパッケージングがテスラの長所となる。既存の概念にとらわれないアイデアである。

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
誌面が主の時代から培った、豊富な中古車情報や中古車購入の知識・車そのものの知見を活かして、皆さまの快適なカーライフをサポートさせて頂きます。

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