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更新日:2025.03.22 / 掲載日:2025.03.21

おしゃれなだけではない新型ベルランゴの魅力【シトロエン】【工藤貴宏】

文●工藤貴宏 写真●澤田和久

 突然ですが、「ルノー・カングー」の日本における存在感って凄いと思いません?

 輸入車といえば一般的に「高級感」もしくは「独特の雰囲気」や「マニアック」という“流派”があって幅を利かせているもの(ちょっと偏見)。でもカングーはそのどれでもない。高級なわけでもなく、独特と声高に言うほど特別感があるわけでも、マニアックなわけでもなく、「ほのぼのしている」というか「なんともユルい感じ」というか。こう言っちゃなんだけど、公園においてある遊具くらいの存在感だ。でもそれがたまらない。

 そんなカングーの功績って、本当に大きいと思う。いうなれば「輸入車生活を気取るのではなく、オシャレな生活のパートナー」といったところでしょうか。

 そして、カングーの人気が高まるとフォロワーも登場するという流れになるのは当然のこと。たとえば今回紹介する「シトロエン・ベルランゴ」もその1台だ。

マイナーチェンジでデザインも機能も変化した

シトロエン ベルランゴ MAX

 ベルランゴは「プジョー・リフター」や「フィアット・ドブロ」といった車体や基本メカニズムを共用する兄弟がいるわけですが、面白いのは顔つきだけじゃなくサスペンションなど走りのセッティングも違うこと。現在はいずれもステランティスグループ内ではあるものの、単なるバッジエンジニアリングに留まらず、「シトロエン」「プジョー」そして「フィアット」とそれぞれのブランドのもとで独自の味付けをしている兄弟車というわけだ。

 というわけでベルランゴ。ルーツはカングーと同じフランスの商用車で、日本向けは快適装備を充実させた乗用仕様。日本へは2019年の秋に発表されその冬から導入されていて、2024年秋にマイナーチェンジ。スタイルも機能も進化している。

 まずエクステリアデザインから変化ポイントを見ていくと、顔つきは次世代のシトロエンのデザインを先取りして大胆に変更。シトロエン創業時のロゴをオマージュした新しいエンブレムを添えた顔つきはヘッドライトがシトロエンらしい上下分割から“普通のタイプ”になったこともあって従来モデルオーナーのなかでも「洗練された」という声と「個性がなくなった」という意見が飛び交っているようだけど、筆者的にはアリ。“新しくなった感”がしっかりあっていいんじゃないかな。

シトロエン ベルランゴ MAX

改めて感じるのが秀逸なパッケージング

シトロエン ベルランゴ MAX

 インテリアでは、まずダッシュボードがブラック色で統一され、ドアハンドル周辺にグレーをコーディネートするなど落ち着いた印象へ。そのうえで、センターディスプレイがこれまでの8インチから10インチへ拡大したほか、アナログだったメーターをフルデジタルに変更。ダイヤルだった個性的なシフトセレクターはスイッチ式となり、クルーズコントロールスイッチも位置移動(ステアリングコラムのレバーからハンドルのセンター部分へ)するなど、操作系が細かく変わっているのが面白いところだ。

 そんなベルランゴに久々に乗って改めて感じたのは、秀逸なパッケージング。全長わずか4.4mと“コンパクトカー+α程度”しかないにもかかわらず、快適に大人が座れるだけの後席スペースがあり、さらに約597Lという広いラゲッジルームがあるのだから凄い。

 ベビーカーをはじめ何かと荷物が増えがちな小さい子供のいるファミリーにちょうどいいし、キャンプやウインタースポーツといったアクティブな趣味を楽しむ人とのマッチングも抜群なのは間違いない。

 でも、ベルランゴのいいところはそんな実用面だけで終わらない。走りがいいのだ。

といってもメチャメチャ速いとか、究極のドライビングプレジャーを感じさせる……といったことではない。いうなれば「心地よくて疲れない」のですよ。

長距離ドライブに出かけたくなる秀逸な乗り心地

シトロエン ベルランゴ MAX

 まず動力性能。搭載するエンジンは1.5Lのディーゼルターボでわずか130㎰。1.6トンもある車体を考えると「非力なんじゃないの?」と心配する気持ちはもちろん分かります。だけど、300Nm(ガソリン自然吸気エンジンでいえば排気量3.0Lくらいに相当)もあるトルクが縁の下の力持ちとなってくれるからぜんぜん不満がない。

 本当はもっと排気量があるのに騙されているんじゃないかと思うくらい良く走る。太いトルクのおかげで航続巡航の中間加速でもストレスがなく、そのうえ燃費だってWLTCモードで約18キロと良好。改めてい、ディーゼルエンジンは素晴らしいですね。

 そしてハンドリング。これが実に奥深い。開発陣は「商用車だからそんなのどうでもいいでしょう?」なんて割り切るつもりは微塵もなかったであろうことがひしひしと伝わってくる。むしろ「荷物を運ぶために長距離移動することもあるかもしれないから、乗り心地も安定感もしっかりやらなきゃ!」という強い決意を感じられるくらいだ。

 乗り心地がいいし、抜群の安定性のおかげで400キロくらい運転しても全然疲れない。本当に疲れないんです。これがベルランゴにおけるいちばんのびっくりポイントかも。

 それでいてコーナリングも、ジワジワ粘ってしっかりと曲がる感覚が、地味だけど奥深い。玄人好みの味っていうのは、こういうことを言うんでしょうね。長距離移動する人にもオススメできるクルマってわけです。

 ところでそんなベルランゴには、(現時点での日本仕様の)カングーにはない武器がああったりもします。「ベルランゴロング」と呼ぶロングボディの3列モデル(今回の試乗車である2列の通常ボディでそれより長い)で、魅力はなんといっても、荷室が広いことと、3列目があってミニバン的に使えること。

シトロエン ベルランゴ MAX

 荷室の広さは、2列の標準ボディでも広いのにロングボディともなれば引っ越しにも活躍しそうなほど。もともと荷物運搬車だけに当然といえば当然だけど、3列目を取り外して2列目を畳めば、大人2人が楽に寝てもまだまだ前後方向に余裕があるフラットな床ができるのがいいですね。

 3列目は取り外し式で、取り外して2列目を畳んだ状態の荷室の使い勝手はまさに商用車。一般的な国産ミニバンのような、乗用車として設計されたミニバンでは絶対にかなわない実用性があるのです。

 たしかに電動スライドドアがないとか、床に段差があって3列目へのアクセス性があまりよくないとか、3列目の着座感は国産ミニバンの様にゆったりというわけではないとか、国産ミニバンのような使い勝手を期待するとすれ違いを感じる部分もある。それは否定しない。3列目はコンパクトに格納できず、荷室を有効活用したいときには外す必要があるのだって気になるかも。

 でも3列目を人が座る場所としては期待せず、荷室空間を広げるためのロングボディと考えて使う人とならマッチングは抜群。そういう人のためのクルマだと感がえれば、かなり魅力です。

個性と特性を理解すればよい相棒になる

 というわけでベルランゴ。スライドドア付きの背の高いワゴンと考えたときは、カングーと並んできわめて魅力的な選択肢なのは間違いないところ。国産ミニバンと同じような感覚で買うと「おや?」と思うかもしれないけれど、特性を知り理解したうえで買うのであればいい相棒になってくれるはずだ。

 個人的には、天井に飛行機の頭上収納をイメージさせるような“棚”があることが好きだったりして。そういった、国産車とは違う雰囲気もまたいいんだよね、やっぱり。

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工藤貴宏(くどう たかひろ)

ライタープロフィール

工藤貴宏(くどう たかひろ)

学生時代のアルバイトから数えると、自動車メディア歴が四半世紀を超えるスポーツカー好きの自動車ライター。2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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学生時代のアルバイトから数えると、自動車メディア歴が四半世紀を超えるスポーツカー好きの自動車ライター。2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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