新車試乗レポート
                    
          更新日:2018.11.08  /  掲載日:2015.04.16      
ポルシェ マカン 試乗レポート(2015.04.16)
 
                                                  走りにもルックスにもポルシェらしさは濃厚
 ポルシェのスポーツイメージを引っ張るのは、伝統の911をリーダーとするピュアスポーツたち。でも、ユーザー層を広げ、業績を大きく押し上げた立役者は、新たに投入したSUVやサルーン。カイエンの弟分のマカンをこのタイミングで投入したことは、ポルシェがさらなる成長を目指していることの証だ。
 なら、「ポルシェブランド」をより広く浸透させるという、大きな使命を背負ったマカンは、はたしてどんなモデルなのか?DセグメントのプレミアムSUVにカテゴライズされる存在だが、ポルシェだけに泥臭いイメージはまったくない。
 カイエンと比べて、低くスポーティにまとめられたスタイルからも明らかなように、目指すのはスポーツカーとSUVの融合体。十分なオフロード走破性を担保しつつ、オンロードにおいて「ポルシェらしい走り」を楽しめるモデルに仕立てられている。同クラスのSUVと比べて、性格はグッとスポーティなものだ。
 で、もうひとつの大きな話題は、ポルシェでは968以来となる4気筒ユニットの搭載。直噴ターボの採用により3~3.5Lに匹敵する237馬力/35.7kg mの性能を確保しつつ、4気筒ならではのリーズナブルな価格を実現した点に注目したい。
 しかも、1925mmの全幅を除けば、ボディは日常使いも苦にならないサイズ。それでいて、家族ユースもOKの実用性を備えるのだから、購入へのハードルは想像ほど高くはない。「ポルシェブランド」を、グッと身近にしたのがマカンなのだ。
 
                                                                 そこで気になるのは走りの実力。すでに知られているように、母体となったのはアウディQ5だが、4駆メカやサス設計からして独自のものなのだから、いわゆる兄弟車の表現はあてはまらない。加えて、4気筒ユニットの血筋はアウディだが、3Lと3.6Lを用意するV6ツインターボはポルシェのオリジナルだ。
 そんなマカンが、ポルシェのDNAを強く主張するのは、ハイペースでワインディングを駆け抜けるシーン。SUVでは珍しい前後異サイズのタイヤ設定は伊達ではなく、ハンドリングにはピュアスポーツのポルシェに通じる独特の味がある。
 印象的なのは、素直なターンインとしっかりしたリヤの踏ん張り感で、コーナリング姿勢もビシッと決まっている。そこで、「素」の4気筒モデルと、PASM(電制可変ダンパー)と20インチタイヤをオプション装着した3L・V6ターボの「S」の違いも報告すれば、「素」は軽めの車重を武器とするフットワークの軽快感が魅力。だが、連続するうねりは苦手なようで、フロントのピッチングモーションが少し気になった。
 対して、「S」の走り味はもっとスポーツカーライクなもの。コーナリング限界は「これがクロスオーバー?」と驚くほど高く、ハンドリングも正確そのものに仕上がっている。加速フィールの強烈さやサウンドの刺激性も、より色濃いポルシェテイストを感じさせるものだった。
 さすがはポルシェ入魂のモデルで、完成度はすこぶる高い。そこでひとつ注文をつけるとすれば、電動パワステのフィーリング。とくに「素」のモデルにクセを感じた。中立の人工的な締めつけ感が是正されれば、ポルシェ度がより高まるはずだ。
 とはいえ、トータルの仕上がりは期待どおり。走り味やルックスだけでなく、コクピットもポルシェムードを色濃く漂わせるものなのだから、大いに所有欲を刺激する。「S」や「ターボ」は「速さ」にこだわるひとにお薦めで、コスパ面では「素」のマカンの魅力が際立っている。
文●森野恭行 写真●内藤敬仁、北川 泉
問い合わせ ポルシェ カスタマーケアセンター TEL:0120-846-911
Detail Check
 
            - コックピット   
- コックピット - いまの「ポルシェの世界」を表現。シフトセレクターの左右にズラリとスイッチを並べた造形はおなじみのものだ。質感も高度な仕上がり。 
- インテリア   
- インテリア - DセグメントSUVとしてはスポーティなパッケージを特徴とする。だが、大柄な男性でも無理なく座れる後席空間を持ち、快適性も優れている。 
- ラゲッジスペース   
- ラゲッジスペース - 500~1500Lの大容量を誇る。フレキシブルさのカギは4対2対4分割可倒の後席だ。 
- エンジン   
- エンジン - マカンSの心臓は4.8L・V8との血縁を持つV6。これは直噴の3Lツインターボで340馬力/46.9kg mを発生する。ミッションは7速PDK。 
主要諸元:ポルシェ マカンS(7速AT・PDK)
| 全長×全幅×全高 | 4680×1925×1625mm | 
|---|---|
| ホイールベース | 2805mm | 
| トレッド前/後 | 1565/1550mm | 
| 車両重量 | 1865kg | 
| エンジン | V6DOHCターボ | 
| 総排気量 | 2997cc | 
| 最高出力 | 340ps/5500-6500rpm | 
| 最大トルク | 46.9kg m/1450-5000rpm | 
| サスペンション前/後 | 5アームウィッシュボーン/トラペゾイダル | 
| ブレーキ前後 | Vディスク | 
| タイヤサイズ前・後 | 235/60R18・255/55R18 | 
全国メーカー希望小売価格(発売 2014年4月22日)
| マカン(7速AT・PDK) | 616万円 | 
|---|---|
| マカンS(7速AT・PDK) | 719万円 | 
| マカンターボ(7速AT・PDK) | 997万円 | 
Body Color
| ■ブラック □ホワイト ■ジェットブラックメタリック ■ロジウムシルバーメタリック ■ダークブルーメタリック ■アゲートグレーメタリック ■マホガニーメタリック ※ほか3色。 | 
先進のAWDシステムの採用でダイナミックな走りを実現
  
- 搭載する4駆メカは、電制油圧多板クラッチを使い、前輪に伝達する駆動トルクをアクティブに制御するPTM(ポルシェ・トラクション・マネージメントシステム)。ブレーキLSDやトラコンを組み合わせて、いかなる場面でも高度なトラクション性能とハンドリング性能を引き出す高度なもの。 
 
		 
				 
			
			 
						
 
						 
						 
						 
						 
                                                 
						 
						 
						 
						 
						 
						 
						

 
               
          