車とお金
更新日:2018.11.27 / 掲載日:2014.06.13
お金にまつわる気になる話
春といえば、中古車業界にとっては、大きな需要期として盛り上がる季節。しかし、今年に関しては、消費税の5%から8%への増税の話題ばかり。でも、ちょっとした知識と行動で、中古車購入はもっとお得に楽しくなります!
消費税増税時代を賢く暮らすための知識を!
4月1日からの消費税8%への増税によって、何かとお金に関する話題がにぎやかな昨今。クルマ購入に関しても、家の次に大きな買い物ということで、増税が及ぼす影響が心配されている。
しかし、増税!増税!と叫んでいるだけでは何も始まらない。そこで今回は、賢い消費者になるために必要なお金にまつわる話を特集する。
まず、クルマにまつわる税金についてのおさらいから、増税が中古車市場にどのような影響を与えたかを実際のデータを使って検証。そして、増税に打ち勝つ中古車購入のアイデア、さらに中古車店にも取材を行うなど多角的に取り上げている。
賢く立ちまわることで、思わぬ節約が可能になるかもしれないし、いい中古車との出会いがあるかも。とにかく情報収集と行動あるのみ!
消費税8%になって何が変わった?
エコカー減税はどうなった?
「平成26年度税制改正大綱」によると、消費税増税と同時に自動車取得税は5%から3%に(軽自動車は3%から2%)、さらにエコカー減税も拡充された。さらに、消費税10%に上がるタイミングで取得税は廃止となる。しかし、環境負荷の大きい旧型車については、逆に税金が引き上げられることとなった。新車登録から11年以上が経過したクルマは0.5トンあたり1000円の増税となる。
■ 平成26年度からのお金の話
| 対象・用件等 | 燃費性能/排ガス性能 | 達成度 | 控除額 |
|---|---|---|---|
| 電気自動車/プラグインハイブリッド自動車/クリーンディーゼル乗用車 | – | – | 取得価格から45万円控除 |
| ガソリン車(ハイブリッド車を含む) | 平成17年排ガス規制 75%低減(☆☆☆☆) | 達成 | 取得価額から15万円控除 |
| 平成17年排ガス規制 75%低減(☆☆☆☆) | +10%超過 | 取得価額から30万円控除 | |
| 平成17年排ガス規制 75%低減(☆☆☆☆) | +20%超過 | 取得価額から45万円控除 |
データのプロに聞いた増税の影響データ提供:プロトコーポレーション ITソリューション部
報道などによると、駆け込み需要はかなりあったような印象だったが、数字で検証するとどうだったのか。ここに掲載したグラフは、自販連が発表した新車の販売台数とGoo-netの中古車問い合わせについて。新車では、主に軽自動車に駆け込み需要と思わしき動きが見受けられたが、中古車については、「全体感として、駆け込み需要の傾向は見られない」という意外な結果が出た。
お金にまつわる4つのウワサを検証
ウワサ1減税措置では消費税増税分をカバーしきれていない
減税が強化されたエコカーの新車については取得税免除の恩恵が大きい
いわゆるエコカー減税が平成26年度からさらに拡充したため、新車のエコカーについては、増税前よりもむしろ買い得度がアップしている。たとえば、燃費性能「+20%超過」の車両については、重量税が購入時だけでなく、2回目の車検時にも免税となる。一方で中古車については、エコカー減税対象車の取得税がそれぞれ控除となるものの、実質的にはあまりメリットは大きくない。とくに非エコカー減税対象車については、単純に増税となっている。
ウワサ2クルマにかける予算が減った人が多い
可処分所得が減ったため理屈ではそうだが実態的にはそうとは言い切れない
今回の消費税増税で家計に与える影響について、第一生命研究所が発表した試算によれば、2014年度の家計負担は13年度に比べて平均で9万円の増加になるという。この数字からも、確かに大きな負担であることがわかるが、これですなわちクルマの予算が減ると単純に考えるのも危険だ。現在、クルマの保有年数は平均で8年と言われている。長く所有し、使うものだけに、「安物買いの銭失い」とならないように、見た目の値段に惑わされないことが重要だ。
ウワサ3増税前の駆け込み需要で中古車相場が変化した
中古車に対する駆け込み需要の影響はじつはそれほど大きくなかった
前ページにてデータの話があったとおり、中古車の駆け込み需要はそれほど発生しなかった。中古車の価格については、需要と供給によって上げ下げが発生するが、全体的に値上がりするような変化は起きていない。しかし、3月までに新車が多数販売されたということは、今後多数の下取り車が市場に出回ってくることも予想される。そうなると、需要以上の供給が起こった場合には、むしろ全般的に相場が下がって買いやすくなることがあるかもしれない。
ウワサ4じつは消費税増税前よりお得になったものがある
中古車の価格は市場に左右される 人気がないクルマは大幅値下げも期待!
ウワサ3で述べたとおり、中古車は市場の反応によって値段が上下する。そして、今回の消費税増税によってもたらされた変化とは、ずばり低燃費車のさらなる人気だった。燃料代が抑えられて、なおかつ減税も受けられるということもあって、新車でも中古車でもエコカー人気はすごい。だが、それ故に、非エコカーの大排気量モデルについては、お買い得な価格を付けているクルマが増えているという情報もある。中古車だからこそできる冒険として大いにアリだ。
相場がわかれば買い時もバッチリ!ジャンル別 人気中古車の相場チェック
ワゴンスバル レガシィ アウトバック(先代モデル)
人気性能ともに備えた実力車が買い時を迎えた
日本の道路事情にマッチする絶妙なボディサイズと高い実力を持つクロスオーバー。中古車でも人気車ではあるが、順調に相場が下がっているため、いまが買い時と言えるだろう。
コンパクトスズキ スイフト(先代モデル)
順調に下落と思いきや需要増で相場アップ
モデルチェンジは2010年。人気が高く、スイフトは中古車がなかなか値下がりしにくい車種のひとつだ。今年1月に相場が100万円を切ったものの、再び上昇傾向となっている。
スポーツ日産 フェアレディZ(先代モデル)
充実した物件数と魅力的な市場相場
先代フェアレディZは、登場から10年以上が経過し、相場も現在ほぼ底値となっている。物件数も多く、ねらいやすい中古車と言えよう。改造車が多いので、選ぶ時に注意したい。
セダン日産 スカイライン(先代モデル)
モデルチェンジで注目度が高いスカイライン
今年フルモデルチェンジを行い、先代モデルの相場が下降傾向にある。Goo-netで調べると、650台を超える豊富な物件が存在しており、注目度は抜群。走りも大満足な1台である。
※すべての価格は参考価格です
現 消費税8% – 前 消費税5%=3%分は燃費でかせぐ! 増税に負けないためのセルフディフェンス術
確かに増税によって出費はアップだけど、現在のクルマを乗り続けることが、果たして節約になるかというと、じつは逆効果なことも!
中古車を買う事で家計が助かるとは!?
増税=家計圧迫という発想から考えると、ついつい現在のクルマを長く乗るという発想になりがち。
しかし、何事もイメージだけで判断してしまうのは危険。なぜなら、間違えた判断をしてしまった場合は、ずっと損をし続けてしまうからだ。
たとえば、クルマを買い替える、買い替えないについても、数字にして比べてみる事で、損得がはっきりするということを主張したい。左の表を見てもらうとわかるとおり、一般的なクルマの燃費とハイブリッドカーの燃費の差は非常に大きい。しかも、現在のようにガソリン価格が高ければ、その差はけっして無視できないものであることがわかるはず。
とくにクルマを週末のレジャーだけではなく、通勤や買い物にと頻繁に使うのならば、ぜひ自分の現在の愛車と比較してみるといいだろう。
なお、エコカーには燃料費のメリット以外にも、税制上の優遇も加わる。新車に比べて通常のガソリン車とハイブリッドカーの価格差は少なく、その旨味は新車に比べてかなり大きいと言えるだろう。
せっかくクルマが手元にあるのに、ガソリン代が気になって楽しめないようでは意味が無い。だからこそエコカーの中古車に注目したい。
■ たとえば「年間走行距離:10,000km ガソリン代:165円/L」で比べると
| ガソリン車A | プリウス | |
|---|---|---|
| 燃費性能 ※JC08モード | 15km/L | 32.6km/L |
| 年間消費ガソリン | 667L | 307L |
| ガソリン代 | 11万55円 | 5万655円 |
| 差額 | 年間5万9400円 | |
■ 増税分3%で計算すると・・・
プリウスの中古車価格150万円 平成22年式 走行3.5万km
1年で生じた差額は14400円。しかも、2年目以降は5万9400円がまるまるとくになるわけだから、買わない理由はない!
150万円×3%=4万5000円
1年間のガソリン代の差額で増税分よりもさらにお得!
3%の差を燃費で稼いでくれる エコカーおすすめ中古車
三菱 ミラージュ 27.2km/L 燃費性能(JC08モード/H24年/G)
カジュアルに乗れるエコ・コンパクトカー
かつての名車がエコなコンパクトカーになって復活。軽量設計の部品を用いたほか、空力性能にすぐれたデザイン、アイドリングストップなどの最新装備を採用することで、ガソリンエンジン車ながら27.2km/Lという低燃費を実現する(GまたはMグレード)。
トヨタ プリウスα 26.2km/L 燃費性能(JC08モード/H23年/G)
名前のとおりプリウス+αのユーティリティが魅力
大人5人がフル乗車するとプリウスは少し狭いかも・・・・そんなニーズに応えて登場したのがプリウスα。5名乗車のほか3列シートを備えた7名乗車仕様も設定。持ち前の燃費性能に“広さ”が加わり、ファミリーカーとしての魅力を大幅に増したモデル。
トヨタ カローラハイブリッド 33.0km/L 燃費性能(JC08モード/H23年/G)
ハイブリッドカーはプリウスだけじゃない
現行型カローラには、ハイブリッドモデルが設定されるのはご存知だろうか。プリウスと同じく、1.5Lエンジンにニッケル水素電池を組み合わせて33.0km/Lという驚異的な燃費を実現している。ただし、中古車はまだ流通量が少ない。今後の動向に注目したい。
トヨタ ポルテ 19.0km/L 燃費性能(JC08モード/H24年/G 2WD)
低床シャシーとスライドドアで楽々の乗降が可能
スライドドアを採用したハイトなコンパクトワゴンがポルテ。ハイブリッドカーに比べるとさすがに燃費面ではやや不利なものの、圧倒的な広さの室内を一度体感すると、いかに便利で使いやすいクルマか理解できるはず。中古車物件も豊富で、相場もリーズナブル。
トヨタ アクア 35.4km/L 燃費性能(JC08モード/H23年/G)
コンパクト×ハイブリッドの組み合わせの燃費スペシャル車
プリウスよりもひとまわり小型のボディにハイブリッドシステムを組み合わせたのがアクア。燃費はプリウスを凌ぐ35.4~37.0km/Lという値を誇る。ヨーロピアンテイストあふれるデザインと、初心者にもやさしい取り回し性能も心強い。中古車数も非常に豊富。
マツダ CX-5 18.6km/L 燃費性能(JC08モード/H24年/XD)
※すべての価格は参考価格です
中古車市場の実態をお店に取材!消費税増税で変わったこと 変わらなかったこと
消費税アップで生活が苦しくなったという報道もあるが、中古車の世界にはどんな影響があったのか実際にお店に聞いてしまうのが間違いない。経済の現場では、いったいどのような状況なのだろうか?
去年と比べて来客は減 しかし高額車両が人気
「例年のGWから比べると、少しお客様の数は少なかったかもしれません。でも、大型連休開けの需要を見込んで並べていた大型ミニバンはすべて売れてしまいましたから。やはりお客様にとっては、増税は関係なく、必要なもの、ほしいものは購入して頂けると思っています」。
増税による影響についての取材に協力してれたTSC千葉流山インター店の林店長はこのように語った。
TSCは、グループ会社にホンダ正規ディーラーがあり、その下取り車を仕入れとすることで、中間マージンのカットと品質を両立させているところが特徴。林店長は、この千葉流山インター店を立ち上げから手がけ、現在の人気店に育てた人物だ。
そんな林さんから見て、今回の消費税増税で変わったと感じたのが、繁忙期の来客が例年より少なかったということだった。
一方で、変わらなかったことと言えばユーザーのニーズ。増税があったから車種を変更したという話はなかったようだ。むしろ、同店では大型連休明けには、大型のミニバンを買い求めるユーザーが多く、用意していた中古車は、すべて売れてしまったという。また、増税前に動かなかった2.5Lや3Lといった大排気量車は、増税前よりもむしろ売れていると教えてくれた。
なお、同店では商品車両が入庫すると、その日のうちに写真を撮ってGoo-netにアップすることを心がけているとか。さらに、写真はなるべく多くの枚数を撮影して、ユーザーがどんなクルマかよくわかるようにしているという。
「キズやクルマの状態は隠すことなくお客さんに伝えています。ただ安いだけではなく、お客さんに納得してもらうことが大切だからです」
増税をはねのけ、多くのユーザーから支持される理由は、きっとその誠実さにあるに違いない。
取材協力
取材協力
TSC 千葉流山インター店
千葉県流山市三輪野山2-1-33
TEL 04-7178-6333
林店長
ディーラーのメカニック出身でセールスを経験した後、TSC千葉流山インター店の立ち上げに携わる。開店から6年、地域からの信頼も厚い繁盛店に成長させた。
お店の人がこっそり教える中古車店の裏事情
中古車のプロとして、日々中古車を売買しお店を作っている中古車店の店長が教えてくれた中古車業界の裏事情をこっそり公開。あなたの中古車選びがちょっと変わるかも!?
価格が安すぎて売れないことも
価格が安すぎて売れないことも
新車と違ってメカニズムのコンディションが千差万別な中古車の場合、あまりに安い価格をつけても売れないのだとか。なぜその値段なのか、店員に聞いて確かめてみよう。
中間マージンのカットが低価格の秘密
中間マージンのカットが低価格の秘密
競争力のある価格を実現するために、各社様々な努力を行っているが、点検や整備を自社で行えば、やはりその分の中間マージンがカットできる。店選びの参考になる要素だ。
目立つところに展示するのは売れ筋人気車
目立つところに展示するのは売れ筋人気車
通行人の視線を集めやすい交差点の角などには、お店が自信を持ってオススメするクルマが並ぶ。だが、目立つということは競争相手も多いため早めの判断が求められる。
大型連休の後はミニバンが売れる!?
大型連休の後はミニバンが売れる!?
人間の心理というのは面白いもので、自分が納得すれば高価なクルマでも進んで購入する。たとえば大型連休の後は、居住性に優れるミニバンに人気が集まるのだとか。
プロにも消費者にも人気の鑑定サービス
プロにも消費者にも人気の鑑定サービス
現在、中古車の業界で注目されているのが、第三者機関による鑑定サービス。お店としても、内容のよさを客観的に示すことができる方法として人気。ぜひチェックしたい。
お店でみつけた気になる中古車たち
新車と違って1台1台の価格と内容が異なる中古車はまるで宝探しみたいで見ているだけでもワクワクしてくる
憧れの輸入車でも中古車ならば軽自動車の新車より断然安く手に入ってしまうから嬉しい。
軽自動車と比べてコンパクトカーの中古車は値落ち幅が大きく狙い目。内容充実しているため満足度も高い。
ロータリーエンジン搭載車として人気だったRX-8。新車からの値崩れが大きく、スポーティかつ実用的な中古車として狙い目。
コンパクトカーとして高い実力を持ちながら、いまいち知名度のないノートは価格が安く、内容に対してお買い得。
CONCLUSION まとめ
日頃からの情報収集が大きな差になる!
買い物をするたびに増税を実感してしまう消費税のアップ。だが、今回の取材を通じて改めてわかったのが、「どうして自分はクルマがほしいのか」という本質を考えている人にとっては、あまり影響はないということ。もちろん場合によっては100万円以上の高額な買い物になる中古車購入にとって、3%の差は小さくないが、それでも購入を止める理由にはならないのだ。
それよりも、同じクルマが2台とない中古車の場合、自分の理想に近い1台と巡り会い、それを適価で手に入れることの方が重要だ。自分がほしいと思うクルマは、他人だってほしいもの。だからこそ、いい条件の物件を即決断できるように日頃からのチェックが欠かせないのだ。