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更新日:2026.05.14 / 掲載日:2018.08.29
ロービーム車検の基準が変更!新基準の詳細や不合格を防ぐ対策

2024年8月1日より、車検時のヘッドライト検査が、従来のハイビームからロービームへと大きく変更されました。新基準では光量・光軸・色味の3項目がより厳格にチェックされるため、「自分の車は車検に通るのだろうか?」と不安を感じている人もいるのではないでしょうか?この記事では、ロービーム検査の新基準の詳細や不合格を防ぐ対策を解説します。
1.2024年からロービームの車検基準が変更
2024年8月1日から、車検時のヘッドライト検査方法が大きく変わりました。この変更は、夜間走行時の安全性向上を目的としたものです。
(1)従来のハイビーム検査との違い

これまでの車検では、ヘッドライトの検査は主にハイビーム(走行用前照灯)を用いて行われていました。しかし、実際の夜間走行においては、対向車や先行車がいる状況ではハイビームの使用は控えられ、大半の時間はロービーム(すれ違い用前照灯)が使用されています。
この実態を踏まえ、より実用的かつ効果的な安全性を確保するため、実際の使用状況に即したロービームでの検査へと変更されました。
新基準では、光量・光軸・色味の3項目がより厳格にチェックされます。
(2)一部地域では新基準の対応が2026年8月1日に延期
| 移行時期 | 地域 |
|---|---|
| 2024年8月から完全移行 | 北海道・東北・北陸信越・中国 |
| 2026年8月から完全移行 | 関東・中部・近畿・四国・九州・沖縄 |
現在、全国の検査場は新基準への対応において「完全移行済みの地域」と「延期されている地域」に分かれています。
完全移行済みの地域では、すでにロービーム検査のみが実施されており、ハイビームの検査はできません。一度不合格となった場合、再検査時も必ずロービームで基準を満たす必要があります。
一方、延期されている地域では、2026年7月までの間、ロービーム検査で不合格となった場合でも、再検査時にハイビームでの検査に切り替えることが認められています。
また2026年8月以降は、全国すべての検査場でロービーム検査に完全移行します。どの地域でも、一度ロービーム検査で不合格となった車両は、再検査時も必ずロービームで基準を満たす必要があります。
新基準の対象車種は1998年9月1日以降に製作された車両です。ただし、1998年8月31日以前に製作された車両は、引き続きハイビーム検査で対応されます。これは、古い年式の車両がロービーム検査の基準を満たしていない可能性があるためです。
(3)新基準が延期されている理由
完全移行が延期されている理由は、ロービーム検査を実施するための専用測定機器(テスター)や検査ラインの改修に時間を要している検査場があるためです。
全国の検査場で同時に設備投資を行うことは予算や工期の面で現実的ではなく、地域ごとに準備状況にばらつきが生じています。
また、この基準変更の周知期間が十分に確保できなかった点も延期の一因です。
2.ロービーム車検の3つの基準
ロービーム車検の検査では、以下の3つの項目がチェックされます。
(1)光度の基準
ロービーム検査における光度(明るさ)の基準は、6,400カンデラ以上です。これは従来のハイビーム検査の基準値15,000カンデラと比較すると、大幅に低い数値にみえます。実際の合格ハードルが高い理由は、光の照射特性と測定方法の違いにあります。
| ハイビームの特徴 | ・遠方を集中的に照らすための設計 ・光が一点に集中するため、測定時の光度が高くなる |
|---|---|
| ロービームの特徴 | ・路面を広範囲に照らすための設計 ・光が分散するため、測定時の光度は相対的に低くなる |
ハイビームは遠方を集中的に照らすため、光が一点に集まり、測定時の光度が高くなります。一方、ロービームは路面を広範囲に照らすため、光が分散し、中心部の測定値は相対的に低くなります。つまり、同じバルブでもロービームで測定すると数値が下がるのです。
また、ロービームは日常的に使用する頻度が高く、バルブの劣化が進みやすい傾向があります。レンズの黄ばみや曇りの影響を受けやすく、広範囲照射のため、わずかな劣化でも基準値ギリギリになりやすいのが特徴です。
(2)光軸(カットライン)の基準
光軸とは、ヘッドライトの光が照らす方向のことです。ロービーム検査では、光の境界線(カットライン)が基準範囲内にあるかを厳格にチェックします。
| 検査方法 | 上下の許容範囲 | 左右の許容範囲 |
|---|---|---|
| ハイビーム検査 | 上 10cm以下 下 取り付け高さの五分の一以内 例)取り付け高さが60cmの場合 上…10cm、下…12cm | – |
| ロービーム検査 | ロービームの中心が地面から1m以内 上下2cm~15cm下 ロービームの中心が地面から1mを超える 上下7cm~20cm下 | 左右±27cm以内 |
測定は車両前方10m地点での照射位置で判定されます。カットラインが上にズレすぎると対向車を視界を妨げる恐れがあり、下にズレすぎると路面照射が不十分となります。
従来のハイビーム検査と比較して、ロービーム検査では光軸のズレに対する基準がより厳格になっています。そのため、わずかなズレでも不合格となるケースが増えています。
(3)色味の基準
ロービーム検査では、ヘッドライトの色が「白色」であることが求められます。基準を満たす色温度の目安は約3,000K~7,000Kです。
純正のハロゲンバルブであれば問題なく合格します。一方、社外品やLEDバルブは色温度が高く、青白い光になりやすいため注意が必要です。
色味の判定は検査員による目視確認が基本です。明らかに青色や紫色がかっている場合は不合格となります。車検前には点灯状態を確認し、白色の範囲内であるか確認しましょう。
3.ロービームの車検で不合格になるケースと原因
ロービーム検査で不合格となる主な原因は、以下の4つに分類されます。
(1)光量不足
ロービーム検査で不合格になりやすいのが、光量不足の問題です。基準値の6,400カンデラを下回ると不合格となります。
光量不足になる主な原因は以下の通りです。
| 原因 | 具体的な症状 |
|---|---|
| ヘッドライトレンズの黄ばみ | 経年劣化による透明度の低下 |
| バルブの劣化 | 使用時間の経過による光量低下 |
| レンズ内部の曇り | 水分侵入による光の拡散 |
| 配線の劣化 | 電圧不足による発光不良 |
特に10年以上経過した車両は、レンズの黄ばみとバルブの劣化が同時に進行していることが多く、基準値を大きく下回るケースが目立ちます。
(2)光軸のズレ
光軸のズレとは、ヘッドライトの照射方向が基準範囲から外れている状態を指します。ロービーム検査では、カットラインの位置が厳格にチェックされるため、わずかなズレでも不合格となります。
光軸がズレる主な原因は以下の通りです。
| 原因 | 具体的な症状 |
|---|---|
| 車高変更 | 車高調やローダウンによる照射角度の変化 |
| 経年劣化 | ヘッドライト取り付け部の緩みや変形 |
| オートレベライザーの故障 | 自動補正機能の不具合 |
特に純正状態から車高が変わると、光軸も連動してズレるため、再調整が必要です。また、オートレベライザー装着車は、センサーやアクチュエーターの故障により光軸が正常に制御されないケースがあります。
(3)色味の問題
ロービーム検査では、ヘッドライトの色が「白色」であることが求められます。青白い光や黄色すぎる光は不合格となります。
特に注意が必要なのは、以下のケースです。
| 原因 | 具体的な症状 |
|---|---|
| 社外品・LEDバルブ | 色温度7,000K超の青白い光 |
| カスタムパーツ | カラーフィルムやカバーの装着 |
| 純正でない交換品 | 車検対応表示がない製品 |
特に色温度が8,000K以上になると明らかに青色が強くなります。また、ファッション性を重視したブルーバルブやカラーフィルムを装着している場合も、色味の基準を満たさないため車検には通りません。
(4)輸入車やカスタム車の場合
ロービーム検査の不合格リスクは、車種によって傾向が異なります。特に注意が必要なのは以下のケースです。
| 車両の特徴 | 不合格のリスク |
|---|---|
| 10年以上経過した車両 | レンズの黄ばみ・バルブ劣化の進行 |
| 輸入車 | 日本の基準と異なる光軸設定 |
| カスタム車両 | 社外パーツによる光量・色味の変化 |
10年以上経過した車両では、レンズの黄ばみやバルブの劣化が進行しやすく、ロービーム検査で重視される「光量」が基準値(6,400カンデラ以上)を下回る可能性が高まります。
輸入車は、欧州基準で設計されていることが多く、ヘッドライトの光軸が日本の基準と合わない場合があります。これにより、ロービーム検査で求められる「光軸」の基準から外れ、不合格となるケースがあります。
4.車検で不合格になるとどうなる?
ロービーム検査で不合格となった場合、その場で車検証の交付を受けることはできません。不合格の項目を整備・修理した上で、再検査を受ける必要があります。
【不合格後の流れ】
①不合格項目の通知を受ける
②整備工場やディーラーで修理・調整を実施
③再検査を受ける
④合格後に車検証交付
再検査になった場合、「限定自動車検査証」の交付を受けて再検査を行います。この際、修理費用とは別に数千円程度の手数料がかかります。
予期せぬ出費や手間を避けるためにも、車検前の事前点検が重要です。
5.ロービームの車検前にできる対策
車検でロービーム検査をクリアするには、事前の準備が重要です。
(1)ヘッドライトを清掃する
ヘッドライトのレンズの黄ばみや曇りは、光量不足の主な原因です。まずは自分でできる清掃から始めましょう。
【ヘッドライトの清掃方法】
①市販のヘッドライトクリーナーを用意する
②レンズ表面の汚れを水洗いする
③クリーナーを塗布し磨く
④仕上げにコーティング剤を塗布する
軽度の黄ばみであれば、カー用品店で購入できる研磨剤入りクリーナー(1,000円〜2,000円程度)で改善できます。
(2)ヘッドライトのバルブを交換する

バルブの劣化は光量不足の原因です。
【交換が必要なバルブの症状】
・点灯時に暗く感じる
・左右で明るさが異なる
・使用開始から3年以上経過
・フィラメントが黒ずんでいる
交換する際は、純正バルブまたは車検対応品を選びましょう。社外品を選ぶ場合、色温度が3,000K~7,000Kの範囲内か、愛車に適合するか、などを確認しましょう。
業者にバルブ交換を依頼する場合の費用は以下の通りです。
| バルブの種類 | 費用(工賃込み) |
|---|---|
| ハロゲン | 約2,000円〜5,000円 |
| HID | 約10,000~20,000円 |
| LED | 約20,000~40,000円 |
自分で交換する場合は、取扱説明書を確認し正しい手順で行いましょう。
(3)レンズ研磨やレンズ交換する
ヘッドライトの黄ばみや曇りがひどく、市販のクリーナーでは改善がみられない場合は、専門業者によるレンズ研磨やレンズ交換が有効な対策となります。
| 作業内容 | 費用(工賃込み) | 対応内容 |
|---|---|---|
| レンズ研磨 | 約5,000円~10,000円 | 劣化した表面を削り、透明度を回復させる |
| レンズ交換 | 約20,000~50,000円 | ヘッドライトユニットごと新品に交換する |
レンズ研磨で改善がみられない場合や、レンズ内部の曇り、ひび割れなどが進行している場合は、ヘッドライトユニットごと交換が必要です。
最近の車はヘッドライトをコンピュータ制御で作動させているため、レンズ交換を自分で行うとエラーコードが出る可能性があります。そのため、レンズ交換の際は整備工場などの専門業者に依頼することをおすすめします。
6.ロービームの車検に関するよくある質問
(1)2026年以降、ヘッドライトの車検はどうなりますか?
2026年8月1日以降は、全国すべての検査場でロービーム検査へ完全移行する予定です。現在、完全移行が延期されている地域(関東・中部・近畿・四国・九州・沖縄)も、この時期を目途にロービーム検査のみとなります。
(2)車検のロービームの基準は?
ロービーム検査では、光度・光軸・色味の3項目がチェックされます。従来のハイビーム検査(15,000カンデラ以上)と比べると光度の基準値は低く見えますが、ロービームは光が広範囲に分散するため、実際には合格のハードルが高くなっています。
特にレンズの黄ばみやバルブの劣化がある車両は、光度不足で不合格となるリスクが高まります。
(3)車検に通るためのロービームの光量は?
車検でロービーム検査に合格するには、6,400カンデラ以上の光度が必要です。この数値は左右両方のヘッドライトで測定され、どちらか一方でも基準値を下回ると不合格となります。
7.ロービームの車検に関する疑問はグーネットピットをご活用ください
2024年8月からヘッドライトの車検はロービーム検査へ移行し、光度・光軸・色味の3項目すべてを満たす必要があります。従来のハイビーム検査より厳格になったため、不合格リスクが高まっています。
ロービーム車検に合格するには、日頃からヘッドライトの清掃や部品交換を行うことが重要です。
車検前にロービームの部品交換や点検を実施するなら、グーネットピットをご活用ください。グーネットピットでは、車検に合格するためのロービームの点検や部品交換ができる整備工場を簡単に検索できます。
早めの対策で、予期せぬ追加費用や再検査の手間を回避し、安心して車検を迎えましょう。