タイヤ交換
更新日:2026.05.20 / 掲載日:2021.11.05
タイヤのスリップサインがギリギリでも走行できる?リスクや交換時期

車のタイヤのスリップサインに気付いたものの「まだ走れる?」「あと何kmくらい大丈夫なのだろう?」と疑問に思う人も多いのではないでしょうか。この記事では、スリップサインの意味や見方、出現後の走行可能距離の目安、放置した場合のリスクを解説します。
1.タイヤのスリップサインとは?
スリップサインとは、タイヤの溝の摩耗状態を示す目印です。この章ではタイヤのスリップサインの定義や役割、見方について解説します。
(1)タイヤのスリップサインの定義と役割
スリップサインとは、法律で定められた基準値である残り溝1.6mmに達すると、タイヤの溝の中に現れる突起物のことです。
スリップサインが出ているタイヤは、道路交通法違反で罰せられます(参照:道路運送車両の保安基準の細目を定める告示 第89条4項二|国土交通省)。
また、スリップサインが出現したタイヤは、スリップ事故のリスクが高まります。そのため、この印を目安に適切なタイミングでタイヤ交換するようにしましょう。
(2)スリップサインの位置や見方

スリップサインの位置や見え方はタイヤの種類やメーカーによって異なります。夏用タイヤは、タイヤ側面の「△マーク」がスリップサインの位置を示しています。

この△マークの延長線上にある溝を確認すると、摩耗が進んだタイヤは溝の底から突起が見えます。複数箇所のうち1箇所でもスリップサインが出ていれば、タイヤ交換が必要です。
一方、スタッドレスタイヤには、冬用性能の限界を示す「プラットフォーム」という別の印があります。プラットフォームは、スタッドレスタイヤ専用の摩耗指標で、冬用タイヤとしての性能限界を示すサインです。スリップサインとは別に設けられており、新品時の溝深さの50%まで摩耗したことを知らせます。

プラットフォームが露出した状態は、法律上は夏用タイヤとして使用できますが、冬用タイヤとしての性能は大幅に低下しています。雪道や凍結路面でのグリップ力が不十分となり、スリップ事故のリスクが高まるでしょう。
2.スリップサインが出た後、あと何km走れる?
スリップサインが出た時点で、法律上はすぐに交換が必要です。ただし、どうしてもすぐに交換できない場合もあるでしょう。
例えば、スリップサインが出ていると指摘されたが、タイヤの在庫がなく当日中に交換予約が取れない場合や、最寄りのタイヤ販売店まで移動する必要がある場合などです。
このようなケースでは数km~数十km程度、やむを得ずスリップサインが出た状態で走行することになります。しかし、あくまで緊急避難的な措置であり、法律上は違反となることを理解しておきましょう。
また、この距離はあくまで「物理的に走れる」というだけで、安全性は大幅に低下しています。特に雨の日は、残り溝1.6mmでは排水性能がほとんど機能せず、ハイドロプレーニング現象のリスクが急増します。
緊急時以外はできるだけ長距離運転を控えて、早急にタイヤ交換を行いましょう。
3.タイヤのスリップサインを放置するリスク
スリップサインが出ているタイヤで走行を続けると、事故や車検不適合、法的罰則など、深刻なリスクが生じます。
(1)事故やバーストの危険がある
スリップサインが出た状態のタイヤは溝が1.6mmしかなく、路面との接地力が著しく低下しています。この状態で走行すると、以下のような危険が発生します。
| 主なリスク | 発生する状況 |
|---|---|
| スリップ事故 | カーブや急ブレーキ時にグリップ力不足で滑る |
| バースト | 摩耗した薄いゴムが高速走行や熱で破裂する |
| 追突事故 | 制動距離が伸びて前車に衝突する |
特に高速道路でのバーストは、車両のコントロールを失い、多重事故につながる可能性があります。また、雨天時はわずかな水たまりでもグリップを失い、予期せぬスリップ事故を引き起こします。
(2)車検に受からない
スリップサインが出ているタイヤは、車検の保安基準を満たさないため不合格になります。前述した通り、道路運送車両法ではタイヤの溝の深さが1.6mm未満の状態での走行を禁止しているためです。
車検時のタイヤチェック項目は以下の通りです。
| チェック項目 | 基準値 |
|---|---|
| 残り溝の深さ | 1.6mm以上 |
| スリップサインの有無 | 1箇所でも出現していれば不合格 |
| タイヤの亀裂・破損 | コード層に達する損傷は不可 |
車検前にスリップサインを発見した場合は、事前にタイヤ交換を済ませましょう。車検場でタイヤが不合格となると、再検査の手間や追加費用が発生します。
(3)罰則が科せられる
スリップサインが出ているタイヤで公道を走行すると、道路交通法違反となり、罰則の対象になります。整備不良車両として警察の取り締まりを受けた場合、以下のような処分が科せられます。
| 整備不良制動装置等違反 | 内容 |
|---|---|
| 違反点数 | 2点 |
| 反則金(普通車) | 9,000円 |
| 反則金(大型車) | 12,000円 |
また、スリップサインが出た状態で事故を起こした場合、整備不良が事故原因と判断されると、自動車保険の補償が制限される可能性もあります。
(4)雨天時の制動距離が長くなる
スリップサインが出たタイヤは、雨天時の制動距離が正常のタイヤと比べて大幅に伸びます。溝が1.6mmまで減ると排水性能が低下し、路面との摩擦力が著しく弱まるためです。
雨天時は正常なタイヤでも制動距離が伸びますが、摩耗したタイヤではさらに10〜15m以上長くなります。
特に雨の日に「止まれない」と感じたら、すでに危険な状態です。
(5)ハイドロプレーニング現象が起こる
スリップサインが出たタイヤは、雨天時にハイドロプレーニング現象を起こしやすくなります。溝が浅いため路面の水を十分に排出できず、タイヤと路面の間に水の膜ができてしまうためです。
この現象が発生すると、以下のような状態になります。
| 影響箇所 | 状態 |
|---|---|
| ハンドル | 操舵が効かなくなる |
| ブレーキ | 制動力が失われる |
| 車両全体 | 水の上を滑走する |
時速80km以上の高速走行時や、深い水たまりを通過する際に特に発生しやすく、一度起こると車のコントロールを完全に失います。
正常な溝深さ(4mm以上)があれば水を効率的に排出できますが、1.6mmまで摩耗したタイヤでは、わずかな水量でも危険な状態に陥るでしょう。
4.スリップサインの出現を防ぐメンテナンス方法
タイヤの摩耗を遅らせ、寿命を延ばすには日常的なメンテナンスが重要です。以下の方法を実践することで、スリップサインの出現を遅らせることができます。
(1)急ブレーキや急ハンドルを避ける
急ブレーキや急ハンドルは、タイヤの特定部分に過度な負担をかけ、偏摩耗を引き起こします。特にカーブでの急ハンドルは、タイヤの外側だけが異常に摩耗する「片減り」の原因となります。
運転する際は早めのブレーキで速度を落としたり、発進時はアクセルを徐々に踏んだり、カーブ前に減速したりするなど、丁寧な運転を心がけましょう。
(2)スピードの出し過ぎに注意する
高速走行はタイヤへの負担を大きくし、摩耗を早める原因となります。速度が上がるほどタイヤの発熱量が増加し、ゴムの劣化が進みやすくなるためです。
高速道路だけでなく、一般道でもスピードを出し過ぎるとタイヤが劣化しやすくなります。
(3)日常的なタイヤメンテナンスを行う
タイヤを長持ちさせるには、定期的なメンテナンスが欠かせません。以下の3つのポイントを習慣化しましょう。
①空気圧チェック
月に1度はガソリンスタンドなどで空気圧を測定し、メーカー指定値に調整してください。空気圧不足は燃費悪化や偏摩耗の原因となります。
②タイヤローテーション
約5,000〜10,000kmごとに前後のタイヤを入れ替えることで、摩耗を均一化できます。
③清掃
溝に挟まった小石や異物は、パンクやゴム劣化の原因になります。洗車時に溝をチェックしましょう。
(4)荷物を均等に積む
重い荷物を常に同じ場所に置くと、その部分のタイヤだけが極端に摩耗する「偏摩耗」の原因となります。必要のない荷物は降ろし、積む際は左右のバランスを考えましょう。
定期的に荷物の配置を見直すことで、タイヤの寿命を延ばし、スリップサインの出現を遅らせることができます。
5.スリップサイン以外のタイヤ交換のタイミング
スリップサインが出ていなくても、タイヤの状態を日々確認したうえで、タイヤ交換を検討しましょう。
タイヤのゴムは紫外線や熱で経年劣化します。製造から5年以上経過したタイヤは、溝が残っていても交換を推奨します。またタイヤの走行距離は一般的に約3万〜5万kmが交換の目安です。
以下のようなタイヤは早めに交換しましょう。
| タイヤの状態 | 内容 |
|---|---|
| ひび割れ | 側面に細かい亀裂が入っている |
| 偏摩耗 | タイヤの内側や外側だけが極端に減っている |
| ゴムの硬化 | 弾力がなくなり、表面がカチカチになっている |
| えぐれ | タイヤに傷がある |
| パンク修理をしたタイヤ | パンク後に修理している |
これらの症状は、スリップサインよりも早く現れることがあります。定期点検で早めに発見しましょう。
6.タイヤのスリップサインに関するよくある質問
(1)スリップサインが現れたらあと何キロ走れる?
法律上はスリップサインが1箇所でも出た時点で使用禁止です。「まだ走れる」と判断して走行すると、事故のリスクが高まります。スリップサインを発見したら、距離に関係なく速やかにタイヤ交換を行いましょう。
(2)タイヤの溝が4mmあるとどうなりますか?
タイヤの溝が4mmの状態は法的には問題ありませんが、早めの交換を検討すべきタイミングです。特にスタッドレスタイヤの場合、新品時の50%まで摩耗したことを示すプラットフォームが現れる目安が4mmとなります。
スタッドレスタイヤの場合は、4mmまで減ると冬用性能が著しく低下するため、冬季使用前には必ず交換しましょう。
(3)スリップサインが出たらタイヤの交換時期ですか?
スリップサインが1箇所でも確認できたら、それは「すぐに交換すべきタイミング」です。法律で定められた残り溝1.6mmに達しているため、これ以上の使用は違法となります。
7.タイヤのスリップサインに関する疑問はグーネットピットをご活用ください
タイヤのスリップサインは、残り溝1.6mmに達したことを示す重要な交換サインです。「まだ走れる」という判断は、雨天時のスリップ事故やバーストなど重大な危険につながります。スリップサインを発見したら速やかにタイヤ交換を行いましょう。
グーネットピットでは、タイヤ交換を行える整備工場を地域や口コミから簡単に検索できます。近くの整備工場をみつけて、スムーズにタイヤ交換を行いましょう。
