パーツ取付・交換
更新日:2025.12.18 / 掲載日:2018.08.29
ホイール塗装で塗ってはいけない箇所は?DIYの注意点や塗り方を解説

ホイール塗装は愛車の印象を大きく変えられる一方で、塗ってはいけない部分まで塗装すると走行の安全性に影響します。とくにナット座面やハブ接地面などは注意が必要で、誤って塗装すると締付トルクが狂ったり、塗装が剥がれやすくなったりする恐れがあります。
この記事では、塗装してはいけない箇所や理由、DIYで失敗しないための手順などを整備士の視点で解説します。
1. ホイール塗装で塗ってはいけない箇所
ホイールは見た目を変えやすいパーツですが、どこでも自由に塗装してよいわけではありません。とくに車体と接触する部分は、安全性に悪影響を及ぼす可能性があります。
ホイールをきれいに塗装しつつ、安全性を損なわないために、まずは塗装してはいけない部分を具体的に確認しておきましょう。
(1) ナット座面
ナットの座面を塗装すると、ナットとホイールが正しく密着せず、締付トルクが均一にかからなくなります。
ナット座面の塗膜が剥がれるだけでも、わずかな隙間が生じて走行中に徐々にナットが緩む原因となります。とくに高速道路や段差を越える場面では影響が大きく、最悪の場合ホイール脱落の危険性があるため注意が必要です。
(2) ハブ接地面
ホイールと車体ハブの接触面に塗膜が付くと、金属同士の密着力が弱まり、ガタつきや異音の発生原因になります。無理に締め付ければ部品が変形し、走行にも悪影響を及ぼす恐れがあります。そのため、塗料が入り込まないよう丁寧にマスキングし、接触面は塗装せず金属のまま残すことが大切です。
(3) ブレーキ付近
ホイール内側はブレーキローターやキャリパーに近く、熱が集中する部分です。この部分に塗装すると、熱で塗膜が劣化・剥離しやすくなり、剥がれた塗料片がブレーキに入り込む危険があります。
結果として制動力が落ちたり、異音が発生したりする恐れがあります。
(4) エアバルブ周辺
タイヤに空気を入れるエアバルブの付け根部分まで塗装すると、シール面が正しく機能せず空気漏れを起こす可能性があります。空気圧が不足すると燃費悪化だけでなく、操縦安定性の低下や最悪の場合バーストにつながるため注意が必要です。
(5) 刻印部
ホイールにはシリアルナンバーやサイズ、JWLといった強度基準の刻印があります。これは「このホイールは安全基準を満たしています」という証明で、車検や整備の際に確認される重要な情報です。もし塗装で刻印が隠れてしまうと、確認できずに車検に通らなかったり、買取査定でも評価が下がったりします。一度塗ってしまうと削り落とさない限り元に戻せないため、刻印部分は塗装せず残しておくことが大切です。
2. DIYでホイール塗装する方法

ホイール塗装は、専門的な技術がなくても正しい手順を守ればDIYで挑戦できます。ただし、仕上がりに大きく影響する重要なポイントがいくつかあるため、注意が必要です。ここでは、DIYに必要な道具の準備から仕上げまでの塗装の流れを解説します。
(1) ホイール塗装に必要な道具
DIYでホイール塗装する際に必要な道具は以下のとおりです。
・スポンジやブラシ
・カーシャンプー
・ホイールクリーナー
・耐水ペーパー(#600〜#1500目安)
・脱脂剤(シリコンオフ、パーツクリーナーなど)
・マスキングシート、マスキングテープ
・プラサフ用缶スプレー(サフェーサー)
・カラースプレー(ホイール専用スプレー推奨)
・クリアスプレー
・コンパウンド(仕上げ用)
(2) 洗車して汚れを落とす
ホイール表面にブレーキダストや油分が残っていると、塗料が密着せず塗装剥がれの原因になります。専用クリーナーとブラシを使い、細部までていねいに洗浄してください。作業後は水分をしっかり拭き取り、完全に乾かすことが大切です。
(3) 下地処理(足付け)する
耐水ペーパーでホイール表面を磨き、細かな凹凸をつける「足付け処理」をします。これによって塗料の密着性が高まり、仕上がりと耐久性が向上します。処理後は表面に残った削り粉を洗い流し、水分をしっかり拭き取って完全に乾燥させましょう。
(4) 養生・マスキングする
塗装してはいけない部分は、あらかじめマスキングで保護しておきましょう。とくにナット座面、ハブ接地面、エアバルブ周辺は安全性に関わるため、必ずマスキングしてください。
マスキングが済んだら、シリコンオフを使ってホイール全体を脱脂します。表面に油分や汚れが残っていると塗料が弾かれてしまうので、丁寧に拭き取り完全に除去しておきましょう。
(5) サフェーサーを塗布する
下地を整えたら、サフェーサーを薄く均一に吹き付けます。これにより発色が安定し、塗料の密着性も高まります。1回で厚塗りせず、数回に分けて重ねるのがポイントです。乾燥後に耐水ペーパーで軽く磨けば、より滑らかな下地に仕上がります。なお、アルミホイールなど塗料がのりにくい素材は、サフェーサーを吹く前に「ミッチャクロン」などの密着プライマーを併用すると、さらに効果的です。
(6) カラー塗装する
DIYの場合、カラー塗装にはスプレー缶を使うのが一般的です。缶をよく振り、一定の距離を保ちながら薄く重ね塗りを繰り返しましょう。
一度に厚く吹き付けるとムラや塗料垂れの原因となるため注意しましょう。最近ではホイール塗装用のスプレーやラバースプレーといった専用塗料もあり、初心者でも扱いやすくなっています。
(7) クリア塗装で仕上げる
カラー塗装の後は、透明なクリア塗料を重ねて表面を保護します。紫外線や飛び石から塗装を守り、ツヤを与えて仕上がりを美しくする効果もあります。薄く数回に分けて吹き付け、しっかり乾燥させることがポイントです。
(8) 乾燥させコンパウンドで仕上げる
最後に十分な乾燥時間を取り、塗装が完全に硬化してからコンパウンドで磨き上げます。磨くことでツヤが出て、より完成度が高まります。最後まで焦らず丁寧に仕上げることが、ホイールを美しく塗装するのに大切です。
3. DIYでホイール塗装する際の注意点
ホイール塗装の作業自体はシンプルに見えますが、注意点を守らなければ仕上がりが悪くなるだけでなく、安全性にも影響します。
DIYで美しい仕上がりと安全性を両立させるためには、正しい知識と丁寧な作業が欠かせません。ここでは、DIYでホイール塗装する際におさえておくべき注意点を解説します。
(1) 下地処理を怠らない
ホイール塗装を長持ちさせるには、下地処理が重要です。ヤスリがけをせずにそのまま塗料を吹き付けると、すぐに塗装が剥がれてしまいます。とくにアルミホイールは表面がツルツルしていて塗料が定着しにくいため、研磨で表面に細かな傷をつけて密着力を高める必要があります。その後脱脂をしたうえでプライマー(ミッチャクロンなど)を塗布すると、仕上がりがきれいになり耐久性も高まります。
(2) 乾燥を待たずに使用しない
塗装後に十分に乾燥させずに走行すると、塗膜が傷ついたり剥がれやすくなったりします。とくに気温が低い日や湿度が高い日は乾燥に時間がかかり、触れるだけで指の跡が残ることもあります。
最低でも24時間は置き、完全に塗装が硬化してからタイヤを組み付けることが重要です。
(3) 環境や塗料の選択を誤らない
作業環境が適切でないと仕上がりに大きく影響します。湿度が高いと塗装が白く濁り、気温が高すぎると乾燥が早すぎて表面がザラつく原因になります。
さらに、木材用やプラスチック用の塗料では金属面に合わず、すぐに劣化します。必ずホイール専用や耐熱性のある塗料を選び、春や秋など安定した気候の日に施工すると失敗を防ぎやすいでしょう。
4. ホイール塗装を業者に依頼する場合

ホイール塗装はDIYでも可能ですが、仕上がりや耐久性を重視するなら業者に依頼することをおすすめします。専門設備とプロの技術によって美しく仕上がり、塗装も長持ちするため、きれいな状態を長く保てます。
ここでは依頼した場合の費用相場と、業者を選ぶときのチェックポイントを解説します。
(1) 業者に依頼する場合の費用相場
ホイールの塗装を業者に依頼すると、料金はホイール1本あたりおおよそ5,000〜20,000円が目安です。たとえばスプレー仕上げなら比較的安価ですが、焼き付け塗装やパウダーコートを選ぶと耐久性が高くなる分、費用は上がります。
DIYより高額にはなりますが、仕上がりの美しさと耐久性を両立させたい人には最適な方法です。
(2) 依頼する業者を選ぶポイント3つ
業者を比較する際は、費用だけでなく仕上がりやアフターサポートまで確認することが大切です。ここではおさえておきたいポイントをご紹介します。
① 塗装方法と仕上がりの違い
業者によって塗装方法はさまざまです。たとえば、焼き付け塗装は塗膜が硬く、紫外線や飛び石に強いため長持ちしやすいのが特徴です。
一方、スプレー塗装は費用が抑えられる反面、耐久性はやや劣ります。依頼前に自分の希望に合った方法を扱っているかを確認しましょう。
② 料金体系と見積もりの明確さ
依頼前には必ず見積もり内容を確認しましょう。料金が1本ごとの設定か、4本セットでの割引があるか、さらにオプションによる追加料金の有無などで総額は大きく変わります。料金の内訳が明確な業者なら、予想外の出費を防ぎやすく安心です。
③ 保証やアフターサービスの有無
塗装後に剥がれや色あせが起きた場合に備え、保証や補修対応があるか事前に確認しておくと安心です。保証がある業者なら、万が一のトラブルにも対応してもらえるため安心でき、結果的に長期的なコスト削減にもつながります。
5. ホイール塗装はグーネットピットにお任せください
ホイール塗装は見た目を変えるだけでなく、安全性にも関わる作業です。DIYなら費用を抑えられますが、下地処理やマスキングを怠ると仕上がりが悪くなり、塗装が剥がれやすくなったり、安全性にも影響が出たりする恐れがあります。
一方で、専門業者に依頼すれば専用設備と技術で仕上がりの完成度が高まり、DIYのような失敗の心配もありません。費用はかかりますが、安心して長く使える仕上がりが期待できるでしょう。
グーネットピットには、信頼できるプロの整備工場が多数登録されています。ホイール塗装の実績が豊富な工場も探しやすく、ご希望の仕上がりや予算に合った最適な工場を見つけられます。
愛車のホイールを美しく、安全に仕上げるために、ぜひグーネットピットをご活用ください。