オイル交換
更新日:2025.12.11 / 掲載日:2020.07.31
フラッシングオイルとは?効果や使い方、注意点などを網羅して解説

エンジンを良好なコンディションで保つ方法のひとつに「エンジンフラッシング」があります。専用のフラッシングオイルや添加剤、専用機械を用いて内部にたまった汚れを洗浄する作業で、燃費の改善やエンジンのトラブル予防などにつながります。
ただし、すべての車に必要なものではありません。オイル交換を長く怠っていた車や走行距離の多い車では効果を期待できますが、やり方を誤るとトラブルにつながる可能性もあるため注意が必要です。
この記事では、エンジンフラッシングの種類や効果、フラッシングオイルの使い方までを整理しました。さらに、注意点や費用相場も解説していますので、ぜひ最後までご覧いただけると幸いです。
1. フラッシングオイルとは
フラッシングオイルとは、エンジン内部に溜まった汚れを洗浄するために使う専用オイルです。通常のオイル交換では取り切れない汚れをすすぎ落とすことで、エンジンが持つ本来の性能を引き出す役割があります。
ここでは、エンジンフラッシングと、専用のフラッシングオイル以外を使う方法について解説します。
(1) そもそもエンジンフラッシングとは
エンジンフラッシングとは、エンジン内部のスラッジやカーボンなどの汚れを洗浄する作業のことです。
必須のメンテナンスではありませんが、エンジンをより良い状態に保ちたい人や、長く乗り続けたい人にはおすすめです。
(2) エンジンフラッシングの種類
エンジンフラッシングには、フラッシングオイルを使う以外に主にふたつの方法があります。状況や目的によって適した方法を選ぶことが大切です。
| 方法 | 特徴 | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|
| フラッシングオイルを使う | 洗浄成分を含んだ専用オイルを一時的に注入 | 通常のオイル交換より洗浄力が高い | オイル交換を2回するため手間がかかる |
| エンジンオイル添加剤を使う | オイルに添加剤を加えて走行しながら汚れを落とす | 手軽に実施でき、費用も安価 | 効果は穏やかで即効性に欠ける |
| 機械式フラッシングを使う | 専用機械で強力に洗浄液を循環させる | 短時間で高い洗浄力を得られる | 費用が高く、対応店舗も限られる |
① フラッシングオイルを使う方法
フラッシングオイルとは、エンジンオイルを一度すべて抜き、洗浄成分を含んだ専用オイルを一時的に注入して内部をすすぐように洗浄する方法です。通常のオイル交換よりも一手間かかり、オイル交換作業を2回する必要がありますが、その分しつこい汚れまで落としやすいのが特徴です。
エンジン内部をしっかりリフレッシュしたい人や、長期間オイル交換を怠ってきた車に向いています。詳しい方法は後述いたします。
② エンジンオイル添加剤を使う方法
使用中のエンジンオイルに専用の添加剤を混ぜ、走行しながら少しずつ汚れを溶かして落とす方法です。添加剤を注入するだけなので、手軽に始めやすい点がメリットです。さらに、コストも比較的安く抑えられます。
一方で、効果はゆるやかで即効性には欠けるため、軽度の汚れを取り除きたい人や、まずは試しにフラッシングをやってみたい人に適しています。
③ 機械式エンジンフラッシングを使う方法
専用のフラッシング機械を接続し、強力に洗浄液を循環させる方法です。短時間で高い清浄力が期待できるため、重度の汚れがある車や、不調が出始めた車にも対応できます。
プロによる作業で安心感はありますが、費用は高く、機械を備えた店舗に限られる点がデメリットです。本格的なリフレッシュをしたい場合の選択肢となります。
2. エンジン内部が汚れる理由

エンジンは長期間使用することで、内部に汚れが少しずつ蓄積します。この汚れが原因となり、燃費の悪化や加速性能の低下、始動不良につながることもあるため注意が必要です。
主な原因は次のとおりです。
燃料を燃焼した際のススやカーボン
ガソリンや軽油が燃えるとススやカーボンが発生し、燃焼室やオイルラインに付着します。時間が経つほど汚れが蓄積されます。
金属の摩耗による微細な粉
ピストンなど高速で動く金属部品の摩擦により、目に見えない金属粉が発生します。オイルやフィルターで取り切れない金属粉がエンジン内部に汚れとして残ります。
エンジンオイルの劣化
オイルは潤滑や洗浄の役割を担っていますが、長期間交換しないと酸化して性能が落ちます。その結果、汚れを取り除けず内部に汚れがこびりつく原因となります。
オイルフィルターの目詰まり
フィルターが汚れるとろ過能力が低下し、細かい不純物を取り除けなくなります。不純物が循環し続けることで、さらに汚れが蓄積されます。
3. エンジンフラッシングの効果
エンジン内部の汚れは定期的なオイル交換である程度は防げます。しかし、過走行車や長くメンテナンスを怠った車では通常の交換だけでは汚れを取り切れません。
「エンジンフラッシングは意味がない」と言われることもありますが、こうした車にフラッシングすると、エンジンの性能を回復させ、本来の力を引き出す効果が期待できます。
(1) 燃費改善
フラッシングでスラッジやカーボンを取り除くと、オイルの流れがスムーズになり摩擦抵抗が減少します。その結果、燃焼効率が高まり、燃費の改善が期待できます。とくに過走行車やオイル交換を長く怠っていた車では、効果を体感しやすいでしょう。
(2) エンジン保護
エンジン内部がきれいになることで、エンジンオイルが潤滑・冷却・清浄といった本来の役割を十分に果たせます。その結果、部品の摩耗が抑えられ、エンジン寿命の延長につながります。加えて、アイドリングの安定や、走行中のノイズの軽減にも効果が期待できるでしょう。
4. フラッシングオイルの選び方とやり方
フラッシングオイルの選び方とエンジンフラッシングの方法をご紹介します。
(1) フラッシングオイルの選び方
市場にはさまざまなフラッシングオイルがありますが、基本的には普段使っているエンジンオイルと同じメーカーのものを選ぶと安心です。同じメーカーであれば成分の相性が良く、添加物によるトラブルも起こりにくくなります。
どれを選べばいいか迷ったときは、整備工場やカー用品店に相談するのがおすすめです。車の状態や走行距離に合わせて提案してもらえるため、自分に合った製品を見つけられるでしょう。
(2) フラッシングオイルの使い方
フラッシングオイルの使用方法はシンプルですが、手順を誤るとエンジンに負担をかける恐れがあります。以下の流れで実施すると効果的です。
1. 古いエンジンオイルを完全に抜く
2. フラッシングオイルをレベルゲージのMAXまで注入
3. 数分間アイドリング、または短距離を走行して洗浄成分を循環させる
4. フラッシングオイルを排出
5. 新しいエンジンオイルを注入して完了
くわしくは、利用するフラッシングオイルの取扱説明書をよく確認し、記載されている指示に従って作業しましょう。
5. フラッシングオイルを使う際の注意点
フラッシングオイルはエンジン内部を洗浄できる便利な方法ですが、同時にリスクもある作業です。注意点を理解しておくことでトラブルを防ぎ、安心して実施しやすくなります。ここでは代表的な4つのポイントを解説します。
(1) フラッシングオイルが残る
フラッシングオイルはドレンボルトを外して排出しても完全には抜けません。少量がどうしても残り、新しいオイルと混ざります。
混ざったからといって故障に直結するわけではありませんが、オイル本来の性能がわずかに落ちる恐れがあります。そのため、必要以上にフラッシングを繰り返さず、適切なタイミングですることが大切です。
(2) 落とした汚れが詰まる
長期間オイル交換を怠った車では、浮いた汚れがオイルラインに詰まり、かえって故障を招く恐れがあります。定期的にオイル交換していれば防げるため、フラッシングはあくまで補助的な手段と考え、日頃のメンテナンスをしっかりすることが大切です。
(3) オイルにじみが発生する
古い車や多走行車では、シーリングやパッキンが劣化している場合があります。フラッシングによって汚れが落ちると、これまで隙間を塞いでいた汚れも一緒に流れ出し、オイルにじみが発生する場合があります。そのため、作業前に状態を確認し、不安がある場合は業者に相談するのが安心です。
(4) オイルフィルターの交換が必須
フラッシングで浮いた汚れは、最終的にオイルフィルターに溜まります。ただし、そのままにしておくと目詰まりの原因になるため、フラッシング後は必ずオイルフィルターを交換しましょう。
6. エンジンフラッシングを業者に依頼する際の費用相場
エンジンは非常にデリケートな部品です。そのため、DIYに不安がある人や、より確実な作業を求める場合は、プロに依頼するのが安心です。
業者に依頼する場合の費用相場は以下のとおりです。
| 方法 | 費用相場 | 作業時間の目安 |
|---|---|---|
| フラッシングオイル(簡易フラッシング) | 約2,000〜5,000円 | 30〜60分 |
| エンジンオイル添加剤(走行式エンジン内部洗浄) | 約2,000〜5,000円 | 30〜60分 |
| 機械式フラッシング(機械式洗浄) | 約5,000〜10,000円 | 約60分 |
依頼する業者によって、費用や作業時間が異なるため、事前に複数の業者に見積もりを取り、サービス内容や費用を比較検討することをおすすめします。あわせて、オイル交換やオイルフィルター交換にかかる費用や時間も確認しましょう。
7. まずは定期的にオイル交換しよう

フラッシングオイルはエンジン内部を洗浄する有効な手段です。しかし、根本的な対策は汚れをためないことで、定期的なオイル交換を欠かせません。
そもそもエンジンオイルは潤滑だけでなく、冷却や洗浄の役割も担っていますが、使用し続けるうちに劣化が進み、少しずつ本来の性能を失っていきます。そのまま劣化したオイルを使い続けると、スラッジやカーボンが溜まり、燃費の悪化やエンジン不調を招いてしまうのです。
さらに、渋滞路を走る機会が多い人や短距離走行を繰り返す人、雪道をよく走る人はとくに注意が必要です。いわゆるシビアコンディションに当てはまるので、オイルの劣化が早くなります。そのため、メーカー推奨よりも早めの交換を意識すると安心です。
より具体的な交換目安や費用相場を知りたい場合は、以下の記事をご覧ください。
8. エンジンフラッシングはグーネットピットにお任せください
エンジンフラッシングは、内部に溜まった汚れを落とし、エンジンの本来の性能を取り戻す手段です。ただし、すべての車に必須ではありません。定期的にオイル交換している車なら大きな問題は起こりにくく、フラッシングの必要性も低いでしょう。
しかし、長期間オイル交換を怠った車や、走行距離の多い車では、汚れが原因で燃費悪化やエンジントラブルが起こりやすくなります。そのような場合には、フラッシングを取り入れることで燃費改善やトラブル予防が期待できます。
とはいえ、方法を誤るとオイルにじみや詰まりなどのリスクもあるため、実施前にプロへ相談することが大切です。気になる症状が出ているなら、まず専門家の意見を聞いてみましょう。
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