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更新日:2023.08.19 / 掲載日:2023.08.19
三菱トライトンが楽しみな理由【自動車ジャーナリスト九島辰也が解説】

文●九島辰也 写真●三菱
三菱がユニークなモデルを発表しました。ピックアップトラックのトライトンです。懐かしいと思われたマニアも多いかと。2011年まで国内販売していましたから、フツーに乗られていた方もいらっしゃることでしょう。
発表の場となったのはタイのバンコクです。三菱はもう長い間タイでかなりのモデルを生産してきました。彼の地に行くと感じますが、もはやこのブランドはすっかりタイに根付いています。なので、タイでお披露目したのはとても自然な流れと言えます。このクルマは来年初頭日本でも販売されますが、生産はタイなので逆輸入車って感じになることでしょう。

トライトンに着目したのは、個人的にピックアップトラックが大好物だからです。学生時代は日産のダットサントラック720型に乗っていました。エキストラキャブのロングベッドです。思い起こせば人生最初のL型エンジンとなります。
当時はこのダットサントラック(620型と720型)の他に、サニトラ、RN36型ハイラックスあたりが人気で、その以外にも、イスズ・ファスター、三菱フォルテ、マツダBシリーズがラインナップされていました。70年代から80年代くらいの話です。知ってますか? イスズ・ファスターはシボレーLUV(ラブ)、三菱フォルテはダッジ・ラム50、マツダBシリーズはフォードブランドで売られていたのを。90年代になって当時のモデルを取材させてもらったことがありますが、すべていい感じでした。“自由な乗り物”といった雰囲気です。
話をトライトンに戻しますが、新型はかなりワイルドでカッコ良く仕上がっています。フロントマスクはアウトランダーやD-5に通じる印象を残しながら新しくまとめました。長年ピックアップをつくり続けているので、サイドビューやベッドエリアにも違和感はありません。「BEAST MODE」というデザインコンセプトらしく、勇ましさいっぱいです。

キャビンはシングルキャブ、ダブルキャブ、それとその中間のクラブキャブが用意されますが、日本に入ってくるのはダブルキャブだそうです。実用面からすればそうなりますかね。大人5人が乗れます。となると、ハイラックスとガチンコ対決。ヤバいですね。考えただけでワクワクします。とはいえ、個人的にはクラブキャブが欲しいかと。人数は制限されますが、リクライニングはできるし全長も少し短くなります。ソロキャンプもそうですし、波乗りに行くのはほとんど一人乗りですからね。十分です。
フレームは当然ラダーで、サスペンションはフロントにダブルウィッシュボーン式が、リアにリーフスプリングが採用されます。多くの方が忘れていますが、リーフリジッド式は構造がシンプルで修理がしやすいなどメリットはたくさんあるんです。トーションビームとともに永遠ですね。

気になるエンジンは、2.4リッター直4ターボディーゼル。一つのユニットで110kW、135kW、150kWの3種類の最高出力を発揮します。ギアボックスは6速MTと6速ATがあり、駆動方式も2WDと4WDが選べます。新開発のクリーンディーゼルってのがグッド。過去を振り返っても三菱のこの手のモデルはターボディーゼルに限ります。きっと力強い走りを見せてくれることでしょう。ちなみに、国内で販売されるハイラックスもエンジンは2.4リッター直4ターボディーゼル一択。最高出力は110kWのみとなります。これは偶然ですかね? マーケットがざわつきます。

といったプロファイリングのクルマですが、その他にも三菱らしい装備がたくさん付きます。スーパーセレクト系4WDシステムや運転支援システムなどです。要するに日常からアウトドアの非日常の空間まで誘ってくれます。あとはベッドに何を積むかだけ。きっと発売の頃にはディーラーオプションやサードパーティでトノカバーはテント地やFRP製などが揃うことでしょう。よってセキュリティもご心配なく。
ということで、来春が楽しみになりました。現在アウトランダーPHEVをロングタームテストしていますが、次はこいつですかね。その場合、もちろんノーマルでは乗りません。ピックアップトラックをノーマルで乗るほどもったいない話はありませんから。カスタムの妄想が膨らみます。