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更新日:2021.08.06 / 掲載日:2021.08.06

フェアレディZストーリー【自動車ジャーナリスト九島辰也が解説】

文●九島辰也 写真●日産

 昨年9月のオンラインによる新型フェアレディZプロトタイプの発表会はとても印象的でした。国産スポーツカー低迷の中“いかにも”なスタイリングはクルマ好きの心を躍らせます。スポットライトを浴びて光り輝くイエローボディに「早く乗ってみたい!」という衝動に駆られたのは私だけではないでしょう。いったいいつ市販かされるのか? 興味津々です。

フェアレディZの歴史を振り返る

フェアレディZ プロトタイプ

フェアレディZ プロトタイプ

 クルマの詳細はまだですが、その時わかったスペックにボディサイズがありました。全長4382×全幅1850×全高1310mmがアナウンスされたものです。現行型が全長4260×全幅1845×全高1315mmですから全長だけ伸びたのがわかります。というか、FRスポーツカーとしていい感じのサイズですね。全幅がこのくらいにキープされたのは個人的には嬉しい限りです。

 あれから一年弱の日々が流れました。7月中旬に行われたシカゴオートショー2021ではその時と同じプロトタイプが展示されたそうです。そして、ついに8月16日(現地時間)、ニューヨークオートショーで市販車型が発表されます。ようやくその時が来たって感じですよね。コロナの影響ですかね、ずいぶん引っ張られました。

 そんなフェアレディZの初代が誕生したのは1969年のことです。それまであった2シーターライトウェイトロードスターのダットサンフェアレディの後継として誕生しました。“SP”とか“SR”とか型式で呼ばれるアレです。日本はもちろん、アメリカで大ヒットしました。ヨーロピアン2シーターロードスターと同じタイミングですね。しかも、国内では昨今の国産旧車ブームで脚光を浴びています。齢五十路以上の方にはかなりササッている模様。

 かくいう私もその一人で、1969年型のダットサンフェアレディを所有しています。左ハンドルなのでSRL311と呼ばれるものです。U20型エンジンですね。軽量ボディに2000ccユニットですから速さに不満はありません。以前乗っていたトライアンフとは比べ物にならないほど速い。同年代の英国車やイタリア車は1300ccとか1500ccでしたから。おかげで高速移動も疲れません。

 それはともかく、初代フェアレディZはS30と呼ばれます。ロングノーズ&ショートデッキのスタイリングは日本だけでなくアメリカでもすぐに大人気となりました。ダットサン240Zという名称で。日本仕様は240Z、240Z-L、240ZGというラインナップでした。240ZGの“Gノーズ”は話題となりました。そういえば、Z432という限定車を覚えていますか? 直6つインカムエンジンを搭載したハイパワーモデルです。LSDやマグネシウムホイールを標準装備していたのだから別物です。432という名前は、4バルブ、3キャブレター、2本のカムシャフトを意味します。それにしても現在のZ432の取り引き価格がとんでもないことになっていますよね。時を超え、どうやらそこに新たな価値が加わったようです。恐ろし。

 2世代目にモデルチェンジしたのは1978年。型式はS130です。エンジンは2800ccに排気量アップしました。また、ボディは大きくなり、2シーターと“2by2(ツーバイツー)”と呼ばれる4シーターが選べるようになります。スタイリングはS30からの正常進化といったところ。全体的には丸みを帯びたボディが少し角張った印象になります。

 Z31と呼ばれる3世代目は1983年登場。直6ユニットはこのタイミングでV6となります。でもってターボ付きもラインナップしました。個人的に好きなのはこの後期型で、かつて購入手前まで行きました。あの薄目を開けたようなリトラクタブルヘッドライトがたまりません。日本ではあまり人気なかったようですが、アメリカでの人気は高かったと記憶しています。

 バブル景気絶頂の1989年にリリースされたのがZ32です。それまでのロングノーズ&ショートデッキのシンプルなフォルムから一変、ラグジュアリーな大人のスポーツカーといった装いになりました。サスペンションも4輪マルチリンク式を採用するなどお金がかかっています。しかもエンジンは3000cc V6ツインターボで280psという国内最高峰となります。いやぁ、今考えるとバブルの雰囲気プンプンですね。

 Z33は2002年です。Z32が2000年に生産を終了するとZ復活待望論が現れ、それに応えるようにコンセプトカーが登場し、市販化に辿り着きました。エンジンは3500ccにまでアップされます。

 そして2009年に現行型にバトンタッチ、今日に至ります。そのパフォーマンスは言わずもがな、運動性能は歴代Zの中で一番となります。

 というのが簡単なZの流れ。一台一台味のあるモデルに仕上がっているのは確かです。さて、新型Z35はいかがなもんでしょう。その詳細までカウントダウンは始まっています。

執筆者プロフィール:九島辰也(くしま たつや)

自動車ジャーナリストの九島辰也氏

自動車ジャーナリストの九島辰也氏

外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの”サーフ&ターフ”。 東京・自由が丘出身。

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グーネットマガジン編集部

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