車の歴史
更新日:2018.12.02 / 掲載日:2014.03.07

魅惑の歴代モデルたち

魅惑の歴代モデルたち

ユーザーが魅力を感じるクルマには、造り手の熱い想いが込められている。というよりも、その想いの深さが、クルマの個性となって現れる。今回はそんな造り手の想いも含め、魅力的なモデルを紹介していこう。

関連記事:【新型クラウン 最新情報】フルモデルチェンジした次期クラウン・気になるスペックは?

改めて開発者の想いを知れば、そのクルマはより魅力的な存在になるはず

どんな世界にも定番と言われるものが存在する。そのジャンルを考えたとき、まず最初に名前が浮かんできて評価が高く、多くの人が使っているもの、それが定番だ。当然、定番と称されるためには、そのジャンルでトップの性能を持っていなくてはいけないし、これがほしいと思わせる個性が必要となってくる。

その個性を演出しているのが、開発者の、その商品に対する想い。ユーザーが求めるものや時代が求めるものなど、さまざまな条件をクリアしつつ、しかしそれ以上にこのクルマはこうであるべきだ、という強い意志を持って造り上げていくことができてはじめて、凡庸なモデルとは一線を画したモノとなる。今回はクラウンとレガシィツーリングワゴン/レヴォーグの、開発責任者の強い想いをお伝えしつつ、その魅力に迫っていきたい。

12代目180系/14代目210系クラウン開発者 山本 卓氏が語る クラウンの魅力

  • 開発者インタビュー

    山本卓氏

  • 開発者インタビュー

    国産アッパーセダンのベンチマーク
    長きにわたってトヨタの、というよりも国産車のアッパーセダンを代表するクルマとして存在し続けているのがクラウン。現行型である210系の開発責任者が、エグゼクティブチーフエンジニアの山本卓氏だ。180系では主査を担当していた、トヨタでもっともクラウンを知る山本氏は、まさにミスタークラウンという存在だ。

icon トヨタ クラウン

  • 210系 クラウン

    210系 リボーンクラウン

  • 180系 クラウン

    180系 ゼロクラウン

「現時点で優れているだけではなく、モデル末期となっても先端であることが大事です」

1955年に誕生したクラウンというクルマは、トヨタが発売している数多くのモデルのなかの、アッパークラスと位置付けられている。これは完全に我が家だけの狭い見聞になるが、1970年代に子供がふたりいた我が家の父親は、カツカツで買った4速コラムシフトのカローラに乗りつつ「偉くなって生活に余裕ができたらクラウンを買いたいなぁ」などと思っていたそうだ。そんな憧れの対象であったクラウンは、余裕のあるオトナのクルマ、というイメージから、成功者のステータスとしての個人需要や、お客様をもてなす、という意味合いからの法人需要もあるという、幅広いユーザー層を満足させる必要があった。

そのためクラウンは、たんにラグジュアリー性を高めた、アッパークラスというものではない。このクルマはトヨタの技術の粋を実現した、山本氏がいうところのそのときにできることはすべてやる、「全部入れ」をつねに続けてきたものなのだ。つまりクラウンを知れば、トヨタがこれまでに実現してきた技術を知ることができ、さらにこの先、トヨタが目指していくものも見えてくる。そう、クラウンというクルマは、トヨタのベンチマークなのだ。

「180系の、いわゆるゼロクラウンは、現在副社長の加藤(編集部注※加藤光久氏)がチーフエンジニアをしていまして、わたくしはその下で主査をしていましたが、このモデルのコンセプトはグローバルブランドというものでした。当時クラウンの兄弟車であったアリストというクルマからレクサスGSに変更されており、ゼロクラウンと同じプラットフォームにすることが決まっていました。運動性能の面での性能向上ということがクラウンにも求められていたんです。そこで日本だけではなく、世界中どこで走った場合にも優れた性能を発揮できる実力を持った骨格が必要である、ということを考えて造りあげていったんです」

世界を見据えて走りを重視したのが180系

「そのためオーナーさん自身がドライブすることを考えているアスリートは、それまでのクラウン以上に運転することが楽しいクルマとなっていました。ただ、お客様や販売店さんからは、これはやりすぎだと、おしかりを受けることもありまして(笑)。そこで次のモデルとなる200系は、アスリートでも乗り心地のよさを感じられる方向に変えています。といっても骨格が弱い、ということではありません。骨格そのものは180系をベースに、さらに熟成を重ねたものとなっていまして、乗り味のマイルドさは味付けの部分でそう感じるようにしているんです。クラウンというクルマの軸は、あくまでロイヤルにありますので、その基本に立ち返った、ということですね。

またこの200系にはロイヤルとアスリートというそれまでのモデルに加えて、ハイブリッドが用意されています。これがじつはクラウンのクラウンらしいところ、と言えると思います。つまりクラウンというクルマは、つねにトヨタができることをすべて盛り込んだものなんです。動力面や安全性などといったわかりやすい部分だけではなく、骨格やサスペンションなどの一般的なユーザーさんには見えない部分にいたるまで、できることはすべて盛り込んでいます。さらにいえば、モデルイヤーのあいだ、トップであり続けることも必要です。そのための先進技術も積極的に取り込んでいます。クラウンというと保守的なイメージを持たれる方もいらっしゃいますが、じつはトヨタでもっとも先端をいっているのがこのクラウンというクルマなんです」そうやって進化してきたクラウンの、現行型となるのが210系だ。これについてもくわしくお話をうかがってみた。

「210系は180/200系のさらなる進化版、と捉えていただいていいと思います。ただし、現在はグローバルブランドとしてのレクサスがあり、そこにはLSというモデルがありますので、クラウンは現在販売をしている市場にベストマッチするように考えています。とはいっても技術的にLSに劣る、ということではありません。LSはターゲットは世界ですので、より幅広いユーザー層をねらって作っているわけですが、クラウンはそのユーザー層が絞り込めますから、そのぶんこうであってほしい、というところをねらい撃ちできるわけです。そこに技術を集中させることで、より充実したモノができるようになります。

これは逆にいうと、原点に立ち返った、クラウンのあるべき姿と言えるかもしれません。180系からはじまったグローバルブランドの流れがいい方向に進み、そこから逆にクラウンはこうである、という味付けをしているのがこの210系ですから。もちろん先進性という部分はこれまで以上のものがあります。たとえば動力面だと、200系のロイヤル/アスリート/ハイブリッドというものから、ロイヤルとアスリート、そしてロイヤルハイブリッドとアスリートハイブリッドに変更しています。つまりハイブリッドはすでに、トヨタにとってあたり前の動力源である、ということです。販売店さんからは、ハイブリッドは専用モデルのほうがいい、という声もありましたが、それでもなおかつこういうラインナップとしたのは、つまりはクラウンが、トヨタのベンチマークだからです」

  • 山本卓氏

  • 「アスリートを基本にすればもっとアグレッシブになるんですが、そうするとロイヤルらしくなくなってしまう。だから基本はロイヤルなんです」

マイナーチェンジはわずかな遅れを取り戻す作業

「また210系のハイブリッドは、それまでのV6エンジン+モーターから、2.5L 直4エンジン+モーターとしています。これはパワーや燃費など、総合的な観点から直列4気筒のほうがマッチする、という判断からの決定です。もちろんその他の技術に関しても先端のものを盛り込んでいます。たとえばインテリジェントクリアランスソナーや、誤発進を防止するドライブスタートコントロールといったものは、あえて付いていますよとはうたっていませんが、装備されています。そういう先端技術でこの210系に盛り込めなかったのは、ボディを製作する際のパネル接着技術だけですね。この210系は2009年に開発がスタートしたんですが、その段階ではまだ実用レベルになかったので採用を見送ることとしましたが、現在これはレクサスISで採用されています。クルマというのはどれもそうですが、とくにクラウンの場合には、デビュー後の技術の進歩を見越して造っていく、ということも大事になります。マイナーチェンジというチャンスを使い、そういった新たな技術を取り込んでいくことになると思います」

こういった開発陣の想いと努力があるからこそ、すでに2世代前のモデルとなった180系や先代の200系も、他モデルと比べるとまだまだトップクラスの実力を持ち続けることができているのだ。「クラウンに乗ること、それはトヨタのすべてを自分自身で感じることである」といったエライ人がいたが、今回の山本氏へのインタビューで感じたことはまさにそれだった。クラウンは決してオジサン向けのクルマではない。開発者の想いや先進技術のすばらしさを感じることができるような、感性が豊かな人のためのクルマだと言うことができるのではないだろうか。

  • PROFILE 山本卓氏

    山本卓氏

  • PROFILE 山本卓氏

    180系ゼロクラウンでは主査を担当し、210系クラウンでは開発責任者となる。現状はエグゼクティブチーフエンジニア。愛車は210系アスリートハイブリッド。

HISTORY OF CROWN

そのモデルを見れば当時の最先端がわかる
1955年にデビューしたクラウンは、現在の210系で14代目となる長い歴史を持つモデルだ。その時代に合わせたスタイリングと、最先端の技術を盛り込んだトヨタのトップモデルであり、かつベンチマークとなっている。基本となるのはロイヤルサルーン/ロイヤルだが、170系から登場したアスリートは、高級感に加えて走りの楽しさをより強く打ち出している。

  • 1955 初代(RS)

    1955
    初代(RS)

  • 1962 2代目(40系)

    1962
    2代目(40系)

  • 1967 3代目(50系)

    1967
    3代目(50系)

  • 1971 4代目(60/70系)

    1971
    4代目(60/70系)

  • 1974 5代目(80/90/100系)

    1974
    5代目(80/90/100系)

  • 1979 6代目(110系)

    1979
    6代目(110系)

  • 1983 7代目(120系)

    1983
    7代目(120系)

  • 1987 8代目(130系)

    1987
    8代目(130系)

  • 1991 9代目(140系)

    1991
    9代目(140系)

  • 1995 10代目(150系)

    1995
    10代目(150系)

  • 1999 11代目(170系)

    1999
    11代目(170系)

  • 2003 12代目(180系)

    2003
    12代目(180系)

  • 2008 13代目(200系)

    2008
    13代目(200系)

  • 2012 14代目(210系)

    2012
    14代目(210系)

クラウンの周辺モデルたち

icon レクサス LS(販売期間:2006年9月~)

グローバルブランドレクサスのトップモデル
初代の10型や20型、そして30型まではセルシオとして国内で販売されていたレクサスLSは、この40型からネーミングを統一。世界規模での販売をするため、メルセデス・ベンツ SクラスやBMW 7シリーズといったライバル車を超える走りや居住性、先進装備を持つものとなっている。

  • レクサス LS

    中古車平均相場 平成18年式LS460:265万円

  • SPECIFICATIONS
    2006年(平成18年式)LS460
    全長×全高×全幅:5030×1875×1465mm
    車両重量:1940kg
    エンジン:V8 DOHC
    総排気量:4608cc
    最高出力/最大トルク:385ps/51.0kg m
    10・15モード燃費:9.1km/L
    発売当時新車価格:770万円

  • レクサス LS

  • 2012年10月には大規模なマイナーチェンジを実施。スピンドルグリルを採用したほか、インテリアの質感や機能性などが大幅に向上している。

icon トヨタ アリスト(販売期間:1991年10月~2004年11月)

3Lツインターボは圧巻の走りを実現
2代目となる160系アリストは1997年のデビュー。2JZ型直列6気筒エンジンを搭載していて、NAのS300と、280psを発生するツインターボのV300をラインナップしていた。そのV300の走りは、スポーツカーをも凌ぐレベル。現在でも人気が高いクルマだ。

  • トヨタ アリスト

    中古車平均相場 平成18年式S300:71万円

  • SPECIFICATIONS
    2004年(平成16年式)S300
    全長×全高×全幅:4805×1800×1435mm
    車両重量:1610kg
    エンジン:直6DOHC
    総排気量:2997cc
    最高出力/最大トルク:230ps/31.0kg m
    10・15モード燃費:9.4km/L
    発売当時新車価格:384.3万円

OUTLINE OF “ZERO CROWN”

世界のどこでも通用する体幹の強さを持っているのがポイント
グローバルブランド・クラウンをコンセプトに開発されたのが180系ゼロクラウン。ラグジュアリー性の高いロイヤルと、走りを磨いたアスリートが存在していた。とくにアスリートの走りの鋭さは、デビュー当時プロドライバーからの評価も高く、クラウンはオジサンだけのものではないと言われ、販売台数も多く、現在でも数多く市場に出まわっている。200系にはハイブリッドもラインナップした。

icon 200系 クラウン(販売期間:2008年2月~2012年12月)

200系のアスリートにはレクサスGSと同じく3.5Lエンジンが搭載され、よりパワフルな走りが実現できるようになった。

  • 200系 クラウン

    中古車平均相場 平成20年式アスリートGパッケージ:225万円 平成20年式ロイヤルサルーンG:188万円 平成20年式ハイブリッド:298万円

  • PECIFICATIONS
    2008年(平成20年)アスリートGパッケージ
    全長×全高×全幅:4870×1795×1470mm
    車両重量:1660kg
    エンジン:V6 DOHC
    総排気量:3456cc
    最高出力/最大トルク:315ps/38.4kg m
    10・15モード燃費:10.0km/L
    発売当時新車価格:567万円

icon 180系 ゼロクラウン(販売期間:2003年12月~2008年2月)

ロイヤルはしっかりした骨格とゆったりとした乗り心地が特長。外観上でのアスリートとの違いはグリルやテールレンズのデザイン。

  • 180系 クラウン

    中古車平均相場 平成17年式ロイヤルサルーン:103万円 平成17年式アスリート:131万円

  • SPECIFICATIONS
    2005年(平成17年)3.0ロイヤルサルーン
    全長×全高×全幅:4840×1780×1470mm
    車両重量:1580kg
    エンジン:V6 DOHC
    総排気量:2994cc
    最高出力/最大トルク:256ps/32.0kg m
    10・15モード燃費:11.8km/L
    発売当時新車価格:434.7万円

  • OUTLINE OF “ZERO CROWN”

  • アスリートがデビューしたときのエンジンは3L V6。引き締まった足まわりの味付けとともに、走りの鋭さが話題となった。

  • OUTLINE OF “ZERO CROWN”

  • ロイヤルのインテリアはまさに高級車とはこういうものだ、と言えるもの。どこから見ても隙がなく、静かさと合わせてゆったりくつろげる。

OUTLINE OF “RE:BORN CROWN”

つねに先進を求めるクラウンの「らしさ」を魅せるモデル
より若い年齢層のユーザーにもアピールしたい、ということもねらって開発された210系は、180系クラウンのオーナーからの人気も高く、データ上では現在、その乗り換えユーザーが多い。ラインナップはロイヤルとアスリートの2本立てで、それぞれにガソリンエンジン搭載車とハイブリッドシステム搭載車が用意されている。エンジンはロイヤルが2.5L、アスリートが3.5LのV6、ハイブリッドは2.5L 直4+モーターとなっている。

icon 210系 アスリート

210系 アスリート

中古車平均相場 平成24年式アスリートG:466万円

SPECIFICATIONS
2012年(平成24年式)アスリートG
全長×全高×全幅:4895×1800×1450mm
車両重量:1590kg
エンジン:V6 DOHC
総排気量:2499cc
最高出力/最大トルク:203ps/24.8kg m
JC08モード燃費:11.4km/L
発売当時新車価格:490万円

  • 210系 アスリート

  • パネルの変更や内装表皮の変更などでスポーティさを演出。ルックスだけではなく走りの面でも、運転の楽しさを味わうことができる。

  • 210系 アスリート

  • 3.5Lエンジンは300psオーバーの実力。ハイブリッドアスリートでは、2.5Lに300Nm(30.6kg m)のトルクを持つモーターをセット。

icon 210系 ロイヤルサルーン

210系 ロイヤルサルーン

しなやかな足まわりと静粛性の高さを持つ、ショーファーカーとしても使えるモデル。デザインのベースとなっているのもこのロイヤルだ。

icon 210系 ハイブリッド

210系 ハイブリッド

写真はハイブリッドロイヤル。レギュラーガソリンを使うことができ、燃費もいいのが特長。ハイブリッドアスリートもラインナップする。

※すべての価格は参考価格です

魅惑の歴代モデルたち

BRレガシィツーリングワゴン/レヴォーグ開発者 熊谷泰典氏が語る レガシィツーリングワゴン そしてレヴォーグの魅力

  • 開発者インタビュー

    熊谷泰典氏

  • 開発者インタビュー

    国産屈指のGT系ワゴン
    たんなるユーティリティ性の高さだけではなく、走りの楽しさを実現することで、ワゴンの新たな魅力を知らしめたのがレガシィ。その正統な継承車たるレヴォーグの開発責任者が、プロジェクトゼネラルマネージャーの熊谷泰典氏だ。本年4月に発売が予定されているレヴォーグが、どんな想いで造られているのかを伺った。

  • BR系 レガシィツーリングワゴン

    BR系 レガシィツーリングワゴン

  • レヴォーグ プロトタイプ

    レヴォーグ プロトタイプ

レガシィとレヴォーグ。両車は名前こそ異なるが
スバルのツーリングワゴンとしての系譜を受け継いでいる

GTカーの走りを重視したという点でレヴォーグはレガシィの後継車

初代となるBF型からはじまり、BR型まで5代続いたレガシィツーリングワゴンは、次のモデルからレヴォーグへと進化することが発表されている。そのレヴォーグの発売は本年4月の予定。そんなレヴォーグについて、そしてレガシィツーリングワゴンについて、スバルのGT系ワゴンの系譜を語ってもらうべくレヴォーグのプロジェクトゼネラルマネージャーである熊谷氏にインタビューをお願いした。主題となるのはBR型レガシィツーリングワゴンとはいま振り返るとどういうクルマであったのか、そしてレヴォーグとはどんなクルマなのか、という部分だ。「このレヴォーグというクルマの開発をスタートさせたのは、BR型レガシィがC型となったころです。私はBRレガシィではプロジェクトマネージャーを担当していまして、完成後もユーザーさんや販売店さんなどでいろいろな声を聞いてレヴォーグのコンセプトを固めていきました。

そんないろいろな声のなかでもっとも多かったのは、BRレガシィは大きすぎる、というものと、BPレガシィの走りとBRレガシィの走りを比べるとBPのほうが楽しい、というモノでした。大きさに関してはたしかにBRレガシィのボディサイズは大きくなっています。これはいろいろな条件から設定したものです。ただ、乗っていただくとおわかりいただけるかと思いますが、走り出せばその大きさは感じられないはずです。また走りの楽しさという部分は、たしかにBRのほうがおだやかなモノとなっています。これはインプレッサとは違うレガシィ独自の、ホイールベースの長さからくるゆったりさ、グランドツーリングカーとしての快適な走り、という部分を強く打ち出したために、操作を好まれるユーザーさんからの評価が厳しいものとなっていました。

とはいえBRレガシィは、ワゴンボディを基本にして走りを磨いてきたレガシィの、ひとつのカタチです。ボディの大きさについても、デビュー当時より他車の大型化が進んでいることもあって、現在では指摘されることも少ないですし、実際自分でもBRレガシィのD型を普段の足として使っていますが、取りまわしのよさもあって、大きさで困るような場面はありません。そういう意味では、少しだけ時代より先に進んでいたのかな、ということが言えるのかもしれませんね」

そんなBRレガシィのあとを受け継ぐクルマとしてデビューするレヴォーグとは、いったいどんなクルマなのか。「レヴォーグはレガシィツーリングワゴンシリーズが造り上げてきた世界観を、名前こそ違いますがそのまま受け継いだクルマです。ワゴンボディの使い勝手のよさと走りの楽しさを、オーナーとなった方に味わっていただけるようにしています。

そこで大事にしたのが、骨の強さとサスペンションの仕事です。レヴォーグのシャーシはインプレッサをベースとしているんですが、パネルの貼り合わせるスポット溶接の数も違いますし、補強の入れ方なども変えることで、より剛性の高いモノとしています。そのしっかりしたボディが、サスペンションの動きを変えています」

日本のワゴンはこれだ、という造り込みを実現

「足まわりに関してはたとえばハブのPCDは今回、114.3としているのですが、これはハブ剛性を高めることでのドライビングプレジャーの向上を考えたものですし、ドライバーだけではなくパッセンジャーの快適性を高める、というねらいから、サイドガラスを厚くしたり、フロントウインドの中間膜の素材を変えることでの静粛性向上も実現しています。

これらのポイントはすべて、使い勝手がよくて長距離を走っても疲労が少なく、なおかつ走るのが楽しくなるワゴン、というもので、それはレガシィツーリングワゴンのコンセプトそのものです。

今回からレガシィはグローバルブランドになり、B4やアウトバックはこのレヴォーグと切り離されることとなりますので、レヴォーグは日本での使い勝手のよさや乗り味など、割り切った造りができるようになりました。さらにいうと、日本専用車ということでの造り込みの時間もかけられるようになったんです。そこで自分でBRレガシィに乗っていて感じたものや気づいたこと、ユーザーさんに聞いたモノなどをしっかりとレヴォーグに生かしています。CVTの制御の変更や回頭性のよさなどもそうですね。あえていうなら、グローバルモデルであったBRレガシィではできなかったことを実現するチャンスが、このレヴォーグにはあったということですね」

BPレガシィからより世界基準に近づいたのがBRレガシィで、そこにはBPまでのレガシィオーナーからするといきすぎ、という声があった。そのためにレヴォーグは国内専用車として生まれ変わっている。逆に言えば、BRレガシィのワゴン車として見た場合の完成度は、輸入車ワゴンに引けを取らないモノと言える。Gooの読者的な視点から言えば、バランスのよさを持ったシンメトリカルAWD、信頼性の高い国内生産、そして押し出しの強さと車格の高さを持ったBRレガシィは、レヴォーグのデビュー後も第一線で闘うことができるモデルと言えるのだろう。なによりそのボリューム感のあるボディとハイグレードな雰囲気は、いまだからこそ正統な評価がされていいモノと言えるのだ。

  • PROFILE 熊谷泰典氏

    熊谷泰典氏

  • PROFILE 熊谷泰典氏

    BR型レガシィでプロジェクトマネージャーを担当したのち、レヴォーグの開発責任者となるプロジェクトゼネラルマネージャーに就任。愛車はBRレガシィD型ツーリングワゴン。

レガシィツーリングワゴンの周辺モデルたち

icon スバル WRX STi(販売期間:1992年11月~)

走りに特化したスバルのスポーツモデル
熟成を重ねて進化し続けてきたEJ20ターボエンジンを搭載するWRX STiは、ラリーをはじめとするモータースポーツでの活躍からもわかるように、走りに特化したクルマ。低重心でバランスがいいという、スバルの強みを感じさせてくれる、一度は乗ってみたいクルマだ。

  • スバル WRX STi

    中古車平均相場 平成22年式WRX STi:283万円

  • SPECIFICATIONS
    2010年(平成22年式)WRX STi
    全長×全高×全幅:4415×1795×1470mm
    車両重量:1480kg
    エンジン:水平対向4気筒DOHCターボ
    総排気量:1994cc
    最高出力/最大トルク:308ps/43.0kg m
    10・15モード燃費:10.4km/L
    発売当時新車価格:368.55万円

OUTLINE OF “LEVORG”

コンパクトに見えるがじつは車幅の変更はなし
今年4月に販売が開始されるレヴォーグは、全長こそBRレガシィよりも約90mm短いものの、車幅は1780mmとまったく同じ。見比べてみるとわかるが、造形の絞り込みの強さでコンパクトさを感じさせているのが特長だ。

エンジンのラインナップはレギュラーガソリンを使用する1.6Lターボと、ハイオクとなる2Lターボの2本立て。開発のベースとなっているのは1.6Lターボのほうで、これでも十分以上に楽しく走る。とはいえ2Lターボのパワーは味わうと病みつきに。グレードはともにGTとGT-Sが用意されていて、GT-Sは装備充実のグレードとなっている。

icon レヴォーグ プロトタイプ

レヴォーグ プロトタイプ

SPECIFICATIONS
レヴォーグ1.6GT-S EyeSight
全長×全高×全幅:4690×1780×1485mm
車両重量:1520kg
エンジン:水平対向4気筒DOHC
総排気量:1599cc
最高出力/最大トルク:170ps/25.5kg m
JC08モード燃費:17.4km/L
発売当時新車価格:257万円

  • レヴォーグ プロトタイプ

  • センター上部にマルチモニターを装備。ナビをセットするとこのモニターとの連携が可能。ステアリングはDシェイプ形状を採用する。

  • レヴォーグ プロトタイプ

  • カーゴスペースの容量は、BRレガシィを超える522Lを確保。床下収納は深く、実用性が高い。リヤシートは6:4分割可倒式だ。

OUTLINE OF “BR REGACY TOURINGWAGON”

ツーリングワゴンの世界基準になるべく開発されたモデル
シリーズ最大のボディサイズを持つBRレガシィは、2009年の発売以来、北米での好調なセールスを記録しつづけている。エンジンは直噴のFB型2Lターボと、2.5Lエンジンを搭載。スバル独自のアイサイトは、アイサイトVer.2が、2010年5月に発売されたB型から採用されている。その後2011年には装備が変更されたC型、2012年には外装の小変更と、ブレーキオーバーライドなどを採用したD型を発売。

icon BR系 レガシィツーリングワゴン

BR系 レガシィツーリングワゴン

中古車平均相場 平成21年式レガシィツーリングワゴン2.5GT:165万円

SPECIFICATIONS
2009年(平成21年式)
レガシィツーリングワゴン2.5GT

全長×全高×全幅:4775×1780×1535mm
車両重量:1510kg
エンジン:水平対向4気筒DOHCターボ
総排気量:2457cc
最高出力/最大トルク:285ps/35.7kg m
10・15モード燃費:12.0km/L
発売当時新車価格:294万円

  • BR系 レガシィツーリングワゴン

  • 電動パーキングブレーキの採用などによって、すっきりとした高い質感を実現。ラグジュアリー性が増しているところもポイントだ。

  • BR系 レガシィツーリングワゴン

  • 容量的にはわずかにレヴォーグより小さいが、奥行きなどの数値的にはBRレガシィのほうが大きい。足もと空間などの広さも特長だ。

ジャーナリスト前澤義雄氏が振り返る国産名車

icon 三菱 パジェロ

三菱 パジェロ

国産SUV市場を代表する1台。かつてはパリダカをも席巻したワールドクラスの本格クロスカントリーだ。高級SUVとしての人気は根強い。

icon スズキ ジムニー

スズキ ジムニー

軽自動車の本格クロスカントリーとして長年多くのファンを魅了するジムニー。悪路走破性はもちろん、機能的かつキュートな外観も魅力。

icon マツダ ロードスター

マツダ ロードスター

3世代20年以上にわたりオープンカーの爽快感とライトウェイトスポーツの楽しさに磨きをかけてきた、世界的な大ヒットモデルだ。

icon ホンダ オデッセイ

ホンダ オデッセイ

ミニバンという存在に走りの楽しさを持ち込んだ革新的なヒットモデル。最新モデルは高級感とホスピタリティ性を大きく向上させてきた。

icon 日産 スカイライン

日産 スカイライン

日産を代表する伝統的なスポーティセダン/クーペ。時代の流れにそって、直6からV型、そしてハイブリッドへと動力源が変化している。

※すべての価格は参考価格です

魅惑の歴代モデルたち

元日産デザイナーの経歴を持つジャーナリスト前澤義雄氏が語る 国産名車歴代モデルの魅力

ここからは舌鋒鋭いジャーナリストの前澤氏が振り返る、各メーカーを代表する歴代モデルの魅力をお届けしよう。

  • PROFILE 前澤義雄氏

    前澤義雄氏

  • PROFILE 前澤義雄氏

    東京藝術大学を卒業後、プリンス自動車工業に入社。以降、1992年に日産自動車を退社するまでデザインに携わってきた経歴を持つ自動車ジャーナリスト。法政大学講師や日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員も務めた。

日産 スカイライン

icon V37 スカイライン

V37 スカイライン

2014年2月に発売された最新のスカイライン。ハイブリッド専用モデルとなっており、高い質感と16.8~18.4km/Lという燃費性能を両立。

icon V36 スカイライン(販売期間:2006年11月~)

キープコンセプトで各部が刷新されたV36は豊富なバリエーションが揃う。V37スカイラインのデビュー後も継続して販売されている。

  • V36 スカイライン

    中古車平均相場 平成18年式350GT typeSP:128万円

  • SPECIFICATIONS
    2006年(平成18年式)350GT typeSP
    全長×全高×全幅:4755×1770×1450mm
    車両重量:1600kg
    エンジン:V6 DOHC
    総排気量:3498cc
    最高出力/最大トルク:315ps/36.5kg m
    10・15モード燃費:9.2km/L
    発売当時新車価格:380.1万円

icon V35 スカイライン(販売期間:2001年6月~2007年10月)

スカイライン=スポーツという認識のあったユーザーに衝撃を与えた11代目となるスカイライン。市場はこなれており、かっこうのターゲット。

  • V35 スカイライン

    中古車平均相場 平成13年式250GT:38万円

  • SPECIFICATIONS
    2001年(平成13年式)250GT
    全長×全高×全幅:4675×1750×1470mm
    車両重量:1470kg
    エンジン:V6 DOHC
    総排気量:2495cc
    最高出力/最大トルク:215ps/27.5kg m
    10・15モード燃費:12.0km/L
    発売当時新車価格:280万円

前澤氏のコメント

V型エンジンと新プラットフォームで大人のセダン
2001年、日産の看板車種のひとつスカイラインが11代目(V35)として発売されたとき、少なからず”エッ!これが?”と。じつはこのモデルは1999年にコンセプトモデルとして「XVL」の名で発表されていたのだ。しかし長年の直列6気筒エンジンをV型エンジンに変更、またプラットフォームも新たなシリーズのFR-Lになり、新たな時代へのオトナのセダンをねらったようなルックスが、スポーツセダンとしてのスカイラインのイメージに多少のズレを感じさせたようだ。
また、国内のみならず北米へもインフィニティのブランドで投入、ほどよいサイズのセダンとして評価を高めている。そして2006年に12代目(V36)へと刷新。基本は踏襲しつつも、よりスポーティなデザインとされた。またエンジンも同じVQながらHRが付いた高性能版となり、また従来の2.5Lと3Lに、北米ではクーペやZに設定されていた3.7Lが加えられた。

ホンダ オデッセイ

icon RC1/2 オデッセイ

RC1/2オデッセイ

2013年11月にフルモデルチェンジをとげた現行モデル。全高が上がり、後席にはじつに広々としたおもてなしの空間が広がっている。

icon RB3/4 オデッセイ(販売期間:2008年10月~ 2013年11月)

RB1/2型よりもさらにスポーティかつスタイリッシュなフォルムを手に入れ、オデッセイ人気を完全に確立したモデル。中古車市場でも非常に高い人気を誇っている。

  • RB3/4 オデッセイ

    中古車平均相場 平成20年式M:144万円

  • SPECIFICATIONS
    2008年(平成20年式)M
    全長×全高×全幅:4800×1800×1545mm
    車両重量:1600kg
    エンジン:直4DOHC
    総排気量:2354cc
    最高出力/最大トルク:173ps/22.6kg m
    10・15モード燃費:13.2km/L
    発売当時新車価格:259万円

icon RB1/2 オデッセイ(販売期間:2003年10月~ 2008年10月)

それまでのファミリーカー然としたスタイルから、低床フォルムを手に入れて大ヒットとなったモデル。走りも楽しめる画期的な存在だった。

  • RB1/2 オデッセイ

    中古車平均相場 平成15年式アブソルート:53万円

  • SPECIFICATIONS
    2003年(平成15年式)アブソルート
    全長×全高×全幅:4765×1800×1550mm
    車両重量:1640kg
    エンジン:直4DOHC
    総排気量:2354cc
    最高出力/最大トルク:200ps/23.7kg m
    10・15モード燃費:11.0km/L
    発売当時新車価格:260万円

前澤氏のコメント

走りの楽しさを際立たせる低重心のボディ設計
日本にミニバンブームを大きく拡大したオデッセイだが、なかでも2003年刷新の3代目は明快な立体を感じさせるスポーティなデザインに加え、ハシリの楽しさを際立たせる低重心ボディ、そして居住スペースを損なわない低床技術などを魅力に多くの支持を集めたものである。エンジンは直4の2.4L 160psだがスポーティ仕様のアブソルートは200psで、4WD仕様と同じく5ATとの組合わせ。ハシリの重視はワインディングなどでも発揮され、安定したクイックな操縦性と快適な乗り心地を両立させたものとなっている。
そして2008年に4代目となったが、印象的なのは先代をベースにさまざまな改良が施されたことだ。パワーやハシリのよさはいっそうの磨きがかけられ、燃費や快適性も向上されている。印象的なのがAピラーの細さによる視界の向上で、安全性のみならず居住性も大きく向上した。一方、市場はハイルーフを含めたスペースの向上に向かっておりいかに対応するかが課題だろう。

三菱 パジェロ

icon 現行パジェロ(販売期間:2006年10月~)

高い走破性に加えてオンロードでの高速性能に磨きをかけた4代目となる現行パジェロ。世界170以上の国と地域で愛される人気モデル。

  • 現行パジェロ

    中古車平均相場 平成20年式ロングスーパーエクシード:273万円

  • SPECIFICATIONS
    2008年(平成20年式)
    ロングスーパーエクシード
    全長×全高×全幅:4900×1875×1870mm
    車両重量:2210kg
    エンジン:V6 SOHC
    総排気量:3827cc
    最高出力/最大トルク:252ps/34.5kg m
    10・15モード燃費:7.6km/L
    発売当時新車価格:444.15万円

icon 先代パジェロ(販売期間:1999年9月~2006年10月)

3代目パジェロは3Lと3.5Lのガソリンと3.2Lディーゼルターボがラインナップ。このモデルからビルトインフレームのセミモノコックボディを採用。

  • 先代パジェロ

    中古車平均相場 平成11年式ロングスーパーエクシード:82万円

  • SPECIFICATIONS
    2000年(平成12年式)ロングエクシードI
    全長×全高×全幅:4735×1875×1855mm
    車両重量:2020kg
    エンジン:V6 DOHC
    総排気量:3469cc
    最高出力/最大トルク:220ps/35.5kg m
    10・15モード燃費:8.7km/L
    発売当時新車価格:325万円

前澤氏のコメント

国内外で高い評価を得ているクロスカントリーの名門
パジェロは、日本のミドルクラスクロカンの代表的なひとつであり、国内外の市場で高い評価を得ている。その3代目は1999年発売の、ロングボディとショートボディともにすっきりとモダンなルックスで、市場の期待に応えた感じだ。エンジンはかつての三菱が社運を賭けて開発/発売したGDIの3.5Lに新開発直噴ディーゼルターボDIの3.2Lで、トランスミッションはスポーツモード付き5速と速に4ATがグレードによって組み合わされる。
だがディーゼルエンジンの公害問題が浮上し、その解決には2006年の4代目への刷新を待つことになった。この、現行へと続く4代目は多くの進化や改良がなされている。まずオンロード性能の重視に対し剛性の高いビルトインモノコック構造とし、ショートとロングのボディに対しモダンでクリーンなデザインを与え、また問題だったディーゼルエンジンには2010年に3.2Lのクリーンディーゼルを投入、名門クロカンの復活を果たしたのだ。

マツダ ロードスター

icon NC ロードスター(販売期間:2005年8月~)

車重は1100kg、排気量は2Lとなったが、軽快な走りは健在。手動のソフトトップとリトラクタブルハードトップ「RHT」がラインナップする。

  • NC ロードスター

    中古車平均相場 平成17年式ロードスターRS:115万円

  • SPECIFICATIONS
    2005年(平成17年式)ロードスターRS
    全長×全高×全幅:3995×1720×1245mm
    車両重量:1100kg
    エンジン:直4DOHC
    総排気量:1998cc
    最高出力/最大トルク:170ps/19.3kg m
    10・15モード燃費:13.0km/L
    発売当時新車価格:250万円

icon NB ロードスター(販売期間:1998年1月~2005年8月)

ロー&ワイドなイメージを手に入れた2代目NBロードスター。走りは軽快さに加えて安定感も手に入れ、より運動性能を向上することに成功している。

  • NB ロードスター

    中古車平均相場 平成14年式ロードスターRS:70万円

  • SPECIFICATIONS
    2002年(平成14年式)ロードスターRS
    全長×全高×全幅:3955×1680×1235mm
    車両重量:1030kg
    エンジン:直4DOHC
    総排気量:1839cc
    最高出力/最大トルク:145ps/16.6kg m
    10・15モード燃費:13.0km/L
    発売当時新車価格:229.5万円

前澤氏のコメント

代を追うごとに運動性能を高めてきた2シーターオープン
世界のクルマ市場に影響を与え、少なからぬメーカーからロードスター(2シータースポーツカー)が輩出されたさまは、かつての英国を中心としたライトウェイトスポーツカーブームの再来とも言えよう。この初代は、あたしから見ればスポーツカーではなく、言うなればシティコミューターであり、そのオシャレで気軽な移動機器の魅力が多くのユーザーに支持されたと見たのだが。このロードスターがスポーツカーの色彩を強めて刷新されたのが1998年の2代目で、デザインにはスポーティな抑揚が加わり、サスペンションはスタビリティが高められ、エンジンは直4の1.6Lと1.8Lとなる。さらにスポーツ性を増したのが2005年の3代目。スタイルは初代的なフラッシュサイドとなり、エンジンは欧州以外は2Lに5/6MTと6ATの組合わせ。重視されたのは俊敏なハシリであり、ボディの軽量化と高剛性、シャシー各部の最適化、そしてボディもソフトトップにリトラクタブルハードトップも加えられた。

スズキ ジムニー

icon JB23 ジムニー(販売期間:1998年10月~)

ラダーフレーム採用の本格クロカン。グレードは標準のXGと上級のXCのほか、ランドアドベンチャーやワイルドウィンドなどの特別仕様も。

  • JB23 ジムニー

    中古車平均相場 平成19年式ランドアドベンチャー:102万円

  • SPECIFICATIONS
    2007年(平成19年式)
    ランドアドベンチャー

    全長×全高×全幅:3395×1475×1715mm
    車両重量:990kg
    エンジン:直3DOHCターボ
    総排気量:658cc
    最高出力/最大トルク:64ps/10.5kg m
    10・15モード燃費:16.4km/L
    発売当時新車価格:149.31万円

icon JA11 ジムニー(販売期間:1990年3月~1998年10月)

15年以上前に終了した先代ジムニーだが、いまだ中古車市場では多くの物件が流通している。熱いファンが独特な市場を形成しているのだ。

  • JA11 ジムニー

    中古車平均相場 平成5年式バンHC:45万円

  • SPECIFICATIONS
    1993年(平成5年式)バンHC
    全長×全高×全幅:3295×1395×1680mm
    車両重量:850kg
    エンジン:直3DOHCターボ
    総排気量:657cc
    最高出力/最大トルク:55ps/8.7kg m
    10・15モード燃費:–km/L
    発売当時新車価格:115.3万円

前澤氏のコメント

軽自動車規格の改正に伴いメカニズムも進化してきた
軽自動車のクラスでは数少ない4WD車であるジムニーは、その本格的な4駆機構と軽量ボディによってオフロードや氷雪路を含めての高い走破性能で多くの支持者を持つモデルだ。前型は1990年の2代目後期型で、軽自動車の規格変更に対応したもの。またサスペンションもリーフからコイルとなり、車格も4ナンバー(商用車)だったものが5ナンバーが中心とされた。そして再度の軽自動車規格の改正に伴い1998年に刷新されて3代目となり、現在にいたっている。
そのボディはモダンさのあるデザインとなり、シャシーもオンロードの操縦安定性とオフロードでの走破性向上のために新設計された。また4WDシステムは、2WD/4WD/4WD-Lの選択可能なスイッチ操作となっている。搭載エンジンはターボ仕様のみだ。

まとめ

歴代の魅力的なモデルがターゲットとなり得る
開発者の想いがこめられた歴代モデルの数々、いま改めて振り返ってみていかがだったろうか。中古車探しの楽しいところは、こういった新車では買うことのできなくなったモデルもターゲットにしながらクルマ探しができる点だ。クルマの歴史やメーカーの思い入れも参考にしながら、より“深い”クルマ探しを楽しんでもらいたい。

※すべての価格は参考価格です

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
グーネットでは軽自動車から高級輸入車まで中古車購入に関する、おすすめの情報を幅広く掲載しておりますので、皆さまの中古車の選び方や購入に関する不安を長年の実績や知見で解消していきたいと考えております。

また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
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