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更新日:2018.11.14 / 掲載日:2017.07.12

ラグジュアリーコンパクト、レンジローバー ヴェラール登場

文●工藤貴宏 写真●川崎泰輝

 「レンジローバー」といえば「英国王室御用達」だったり「砂漠のロールスロイス」だったりと、表現や説明の定番的な言葉が存在する伝統的なブランド。2017年7月11日、そんなレンジローバーに4番目のファミリーとして新たに加わるモデルが日本でお披露目され、同日から受注がはじまった(顧客への納車は今年秋からの予定)。それが「VELAR(ヴェラール)」だ。

新型 レンジローバー ヴェラール

 ところで「レンジローバー」とは、英国のジャガー&ランドローバー社のSUVシリーズである「ランドローバー」における上級モデルのブランド。かつてはランドローバー社の最上級モデルに与えられた称号だったが、現在はレンジローバー(ブランド名でもあり車名でもあるのでちょっとわかりにくい)をフラッグシップに「レンジローバースポーツ」、「イヴォーク」が存在し、そして今後は新たに加わった「ヴェラール」の4モデルでラインナップを構成していくことになる。
 そんなヴェラールのポジショニングは「『イヴォーク』以上『レンジローバースポーツ』未満」。同ブランドの中でこれまで空白だったポジションを埋めるモデルなのだ。
 そんな立ち位置を明確に反映しているのが価格。ボトムモデルの価格は699万円からと、イヴォークの502万円よりも高く、レンジローバースポーツの860万円よりはリーズナブル。とはいえ最上級モデルは1526万円とレンジローバースポーツどころか(車種である)レンジローバーのボトムグレードの1377万円を超えてしまうので、上級グレードを買うのであればランドローバーファミリー内での車種選びに悩みそうだ。

会場に展示されていた「レンジローバースポーツ(左)」「イヴォーク(中)」「レンジローバー(右)」。

 とはいえ、キャラクターは(車種としての)レンジローバーとは全く違う。
 レンジローバーは最新モデルになってデザインもメカニズムも大幅に現代流のアレンジがされているとはいえ、やはり伝統的なSUVの特徴を色濃く残す。ボディは天井が高くてボリューミーであり、高い着座位置に座ると驚くほど視界が広くてオフローダーを実感するのだ。伝統美の結晶ともいえる。
 対してヴェラールは新しいSUVの感覚で作られている。レンジローバー(車種)に比べるとルーフが大幅に低く、真横から見るとガラスの天地高がとても薄い。この感覚はレンジローバースポーツやイヴォークに近いもので、軽快で都会的なスタイリングを身に着けている。
 デザインに関して、発表会でスピーチしたエクステリア担当デザイナーのジェレミー・ウォーターマン氏は「レンジローバーファミリーであるひと目でわかるデザインであり、直感的に欲しいと思えるエモーショナルなものだ。(レンジローバーとして)新しいお客さんのために作った新しいデザインである」とコメント。ちなみヴェラールでの彼のお気に入りは「美しく作りこまれたリヤエンドと大きなガラスルーフ」だという。細部にわたってモダンで、都会にもよく似合う雰囲気だ。

 いっぽうでインテリアは、エクステリア以上に先進的。贅を尽くしたラグジュアリーな内装と水平ラインを強調したシンプルなT字型ダッシュボードはレンジローバーファミリーに共通する要素だが、ナビ+統合コントロール用の液晶ディスプレイに加え、操作系にもナビとは完全に独立した液晶ディスプレイを組み込んだデザインは、従来のレンジローバーにはなかった未来への第一歩である。なかでも、ひとつのダイヤルが空調の温度調整や走行モードの切り替えなど、操作内容によって役割が変化するのが新鮮だ。また、エンジン停止時など液晶に何も映っていないときは液晶ディスプレイであることを感じさせないブラックパネルになるのもこれまでにない演出で衝撃的。これはかならず実際に自分の目で見てその未来感を感じて欲しい部分だ。そして先進性に満ち溢れて前衛的なこのインパネ周辺の斬新さが、今後のランドローバーの未来を先取りしているのは間違いないだろう。
 シートは全車とも2列で、乗車定員は5人となっている。

 メカニズムは、素材の80%以上をアルミニウムとしたモノコックボディに縦置きでエンジンを搭載。電子制御のマルチプレートクラッチにより前後50:50を基本に0:100~100:0にコントロールするほか、後輪左右のトルク配分も切り替えをおこないオンロードでの操縦性を高めている。もちろんアプローチアングル28.89度、デパーチャー・アングル29.5度、そして最大渡河水深650mmという「レンジローバー」の名にふさわしい悪路性能を備えているのはいうまでもないだろう。
 合計で4タイプが選べるエンジンも興味深い。ジャガー&ランドローバー社の日本向けモデルとしてはじめて、「INGENIUM(インジニウム)」と呼ぶ新世代のガソリンエンジンを搭載(ジャガー&ランドローバーが設計してこのエンジンのために新設した工場で生産している)。排気量2.0Lのガソリンターボはベーシック版が250馬力/37.2kgm、高出力版が300馬力/40.8kgmを発生する。そのほかにも3.0Lのスーパーチャージャー付きV6ガソリンエンジン(380馬力/45.9kgm)、そしてディーゼルとしてターボ付き直列4気筒2.0L(180馬力/43.8kgm)と幅広い選択肢なのだ。

 幅広い選択肢といえば、合計33ものグレードが用意されているのにも驚かされる。13色のボディカラーや8パターンのインテリアトリム、合計46タイプのインテリア素材×カラーの組み合わせなど、驚くほどの選択肢でユーザーの好みに合わせたコーディネートができるのもプレミアムブランドらしい部分である。

  • はじめに登壇して挨拶をする、代表取締役 マグナス・ハンソン氏。

  • デザインの説明をする、エクステリア担当チーフデザイナー ジェレミー ウォーターマン氏。

 ところで、そんな「ヴェラール」のライバルに相当するのはポルシェ・マカンだろう。いずれもメイングレードがアンダー1000万円であり、ボディサイズは若干異なるが、ヴェラールが「SUVメーカーの作ったスポーツカーライクなSUV」なのに対し、マカンは「スポーツカーメーカーの作ったスポーティSUV」とブランド内で従来モデルとは違う立ち位置というのも共通だ。
 またBMWのX5や思い切ってX6あたりもライバルとして気になる存在である。
 ただ、ヴェラールはいずれのどのモデルよりも先進的な内外装と雰囲気を持っていることは断言できる。



【レンジローバー ヴェラール R-DYNAMIC HSE (CVT)】
全長         4803mm
全幅         2032mm
全高         1665mm
ホイールベース    2874mm
重量         1884kg
エンジン       V型6気筒DOHCターボ
総排気量       2995cc
最高出力       380ps/6500rpm
最大トルク       45.9kgm/3500rpm
販売価格       699万円~1526万円(全グレード)

レンジローバー ヴェラールの取り扱いディーラーはこちら

  • マーケティング・広報部ディレクターの若林敬市氏。

  • ファッションデザイナーの藤原ヒロシ氏。

  • レンジローバースポーツ

  • イヴォーク

  • レンジローバー

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グーネットマガジン編集部

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