車のニュース
更新日:2021.05.20 / 掲載日:2021.05.20
米国のトヨタ研究所、大学との共同研究に3600万ドルを拠出 新材料の商業化を促進へ
米国を拠点とする研究所、トヨタ・リサーチ・インスティテュート(TRI)は、今後4年間にわたり、大学との共同研究プログラム「アクセラレート マテリアル デザイン アンド ディスカバリー(AMDD)」にさらに3,600万ドルを投入することを5月18日に発表した。
2017年初頭、TRIはAMDDの設立を発表し、AIを用いてエミッションフリーモビリティのための新素材を発見することを目的としてプログラムを開始した。初期投資の総額は、複数の大学のパートナーと4年間で3,500万ドルだった。その初期投資に基づいて、今回の投資でプログラムパートナーとのより緊密な協力関係を構築している。
「当社の研究プログラムの特徴は、コラボレーションにある」TRIのAMDDプログラムのディレクターであるブライアン・ストーリィは語る。「TRIは資金提供だけではなく、研究者と深い協力関係を築き、共同論文を発表したり、オープンソースのデータやソフトウェアを共同開発してきた。バッテリーや燃料電池車用の新材料の開発を加速するためには、このような協力的なアプローチが不可欠であり、単独では不可能だからだ」
TRIのAMDDプログラムは、過去4年間で150以上の学術論文を発表し、カーボンニュートラルな未来を実現するために不可欠なバッテリー・燃料電池材料について理解を深めてきた。このプログラムの主な研究テーマには、バッテリーの寿命試験の迅速化、AIによる新しい燃料電池材料の発見方法の開発、バッテリー用の新しいポリマー配合を迅速に設計するための新しいロボットプラットフォームの構築、人間が介在しないシミュレーションで材料を発見できる自律型システムの立ち上げなどがある。 出版物に加えて、この研究プログラムは、複数のオープンソースソフトウェアパッケージと、バッテリーに関する最大級のオープンデータセットをもたらした。
TRIは今後4年間で、これらの先端材料の商業化を促進するための新しい研究ツール、方法論、能力の開発にさらに力を入れていくという。参加機関は以下の通り。
カリフォルニア工科大学
カーネギーメロン大学
コーネル大学
フラウンホーファー太陽エネルギーシステム研究所
ジョージア工科大学
ローレンス・バークレー国立研究所
マサチューセッツ工科大学(MIT)
ノースウェスタン大学
SLAC国立加速器研究所
スタンフォード大学
ミシガン大学
MITのヤン・シャオホーン教授は次のように述べた。「私たちはTRIと協力して、ポリマー合成、迅速なロボット実験、分子シミュレーション、AIを組み合わせて、ポリマーの新しい設計ルールを確立している。TRIとの協働で、次世代電池の材料設計という共通の使命のために、MIT内の複数の異なる分野をまとめることができた」
ノースウェスタン大学のチャド・マーキン教授は、研究に対する期待と興奮を語った。「私たちは、世界トップクラスのTRIチームと協力して、触媒開発に関連する材料ゲノムを探索するため、高品質なビッグデータセットに機械学習をどのように活用できるかを探りたいと思っている。私たちは、何か大きなできごとの始まりに立っているんだ!」
トヨタ・リサーチ・インスティテュートについて
2015年に設立。米国を拠点とし、カリフォルニア州ロスアルトス、マサチューセッツ州ケンブリッジ、ミシガン州アナーバーにオフィスを構えている。車両の安全性や自動運転技術、ロボット工学などの技術の開発を目指している。