新車値引き情報
更新日:2021.03.02 / 掲載日:2021.02.26

【新車購入】X氏の値引きにチャレンジ大作戦

カローラツーリングから39.8万円引き!

愛読歴32年“交渉のプロ”見参! 高等テク&関西のノリで大暴れ!! 怒涛の速攻、実質50万円引き!!!

【プロローグ】 ミライース(令和元年式)に乗っている息子(社会人1年目)が、「どうしてもロードバイクを載せて出かけたい! だからクルマを買い替えたいんやけど……」と相談をもちかけてきました。
息子「ネットで検索したら、シエンタに自転車を積んでいる画像を見つけた。で、中古のシエンタを検索したら5年落ちが148万円で出ていたんやけど、これ、どうやろう?」
「ちょっと待て! 5年落ちの中古車に150万円だと!? もったいない! 新車を買ったほうがずっと割安だ」
息子「だけど、新車は高いからなあ~」
「おれを誰だと思っているんや? 値引き交渉のプロやぞ、ま、自称やけど……」(笑)
息子「じゃ、まかせた!」
 まずは「ロードバイクが載らないと、どうしようもない」ので、事前にディーラーをまわって実際に試してみた結果、別記の候補があがってきました。
 対象グレードは目的が目的なので、豪華な装備はいらない。付加価値を取り除いたベースグレードで十分です。
 付属品もフロアマットのみ。ETCは汎用品をもち込んで取り付けてもらうつもりだし、ドラレコはミライースから移設。ボディコーティングとガソリン満タンは無料サービスを狙う……要するに徹底的に出費削減でいく作戦です。
 年末に銀婚式で数十万円のネックレスをへそくりから出したばかりなので、親父の給付金には限界があります(笑)。したがって、これまでの経験をフルに生かして、ウルトラCクラスの値引き条件を獲得しなければなりません。

【交渉1日目(日)】 年末の商談はだらだら長引かせるのは無駄。短期決戦でいくことにする。
 息子と一緒にディーラーまわりへレッツゴー!
 トップバッターは嫁のクルマを購入したトヨタA店。狙いはライズとカローラツーリング。アンパンマン風のセールスさんは学生時代からの付き合いで、いまや店長に昇格。早速、見積もりを出してもらうと、付属品はフロアマットのみで、納車費用もカットしてある。私のことをよくわかっている。しかし、値引き額は10万円。
「ははは、まさか、これで買う人はいませんよね。で、ほんまはいくらになりますか?」
店長「ライズもカローラも25万円引きは大丈夫です」
「見積もりではOSS(ワンポイントアドバイス参照)として登録と車庫証明手続き費用がコミになっていますが、車庫証明手続きはこちらでやるのでカットできますか?」
店長「まったく問題ないです」
 これで支払い総額が1万3000円ほど下がった。OSS崩しに成功! ミライースの下取り額は50万円。
「来週には決めますので、上乗せ、よろしく!」
 次はホンダへ。
「息子がロードバイクを載せたいとのことで、シャトルかインプレッサスポーツ、カロツーを考えています。来週には決めるので一発勝負でお願いします」
「わかりました」
 いったん奥に引っ込んで、しばらくして戻ってきた。どや顔なので期待をしたが……シャトルの値引きは10万円。
「では、別のホンダにも行ってみます」
「競合ですか……わかりましたちょっと待ってください」
 5分ほどで戻ってきた。値引きは18万円にUP。車庫証明と納車費用ももちろんカット。
「付属品なしの“素”の状態では正直、厳しいです」
「これがMAXですか?」
(チラッと営業所の奥に目線をやりながら)「決めてもらえるなら、値引き20で、フロアマットをサービスにします」
 値引きはトータル22万円ほど。下取り額は48万円。
「是非、来週また来てください。もう少し何とかします」
 3件目はスバルA店。セールス氏はレクサス店にいそうなジェントルマン。提示してきた見積もりには頼みもしない付属品をたっぷり計上。なのに、インプレッサの値引きはたったの8万8000円。下取りは51万円。こちらが付属品と諸費用のカットを申し出ると「いらないものは引いてもかまいません」とのこと。さらに、値引きの話はそっちのけで、アイサイトの優秀性をしゃべりだした。
 私が「これが最終条件ですか?」と突っ込むと、スバルの技術力の高さを理由に「だから安売りできないんです」。
 もう、うんざり!

「来週決めるで。一発頼むわ」秘儀「遠方はるばる作戦」が炸裂

 本日の最後は40分ほどクルマを走らせてトヨタB店へ。応対してくれたセールス氏は整備士あがりとのこと。経験上、このタイプは工賃関係が無料になる可能性がある。ドラレコやETCなどの移設/取付けがゼロになる確率が高い。
「地元ではなかなか予算内に収まらなくてダメもとではるばるやってきました。一発やってもらえますか?」(得意技「遠方からはるばる作戦」です)
(表情を変えて)「いつ頃、決められますか? ご予算は?」
 よし、術中にはまった(笑)。
「予算さえ合えばすぐに決めますよ。息子が社会人1年目なので親がある程度出してやらないといけないのですが、下にあと二人いるので、かなり家計が厳しいです」
「ライズもお考えとのことですが、カローラツーリングは特別仕様車が出ているので絶対にこちらがお勧めです」
 値引きは10万円。しかも、付属品/諸費用はフルに計上。
「え~マジですか? これで売れると思います?」(笑)
「売れないですよね」(笑)
「地元では正直、25万円は出ています。わざわざ遠方からこちらに来た意味をご理解していただきたいですね」
「ほかにどんな候補車をお考えですか?」
「シャトルやインプレッサがあがってるけど、決め手は予算やな。カロツーは有力候補やけど、支払い条件が高過ぎると嫁の許可が出ません」
「なるほど」
「なるべく出費を抑えるために、付属品はフロアマットのみにするわ。それに車庫証明/納車費用は自分でやるからカットしてくれる?」
「すいません。車庫証明費用のカットはご容赦ください」
「わかりました。じゃあ、25万円以上の値引きが欲しいですね。セールスさんとは今日、初めてお会いしましたが、話しやすいし、気も合いそうやから条件しだいで、こちらで買ってもいいんやけど?」
「Xさん、痛いところを突いてきますね……いいでしょう!
ここまで来ていただいて手ぶらで返すわけにはいきません」
 奥に引っ込んで、10分ほどで戻ってきた。マスクをしているので表情が読みにくいが、身体全体から自信が感じられる。
「これでどうでしょう?」
 値引きは22万円。
X「これじゃ、ここまで来た意味がないですよね」
「これ、店長の決裁をもらった数字だと思いますか?」
「ということは、もらっていませんね」(笑)
「はい、本日、店長はお休みですが、副店長からは『26万円はOK』といわれました」
「下取りの査定額は?」
「見積もり上は49万円ですが52万円は可能だと思います」
 作戦会議の際、松本さんから「下取り車は状態がいいので60万円くらいはいけそう」とのアドバイスをもらっていたので、少し不満そうな顔をすると、
「査定UPも店長の許可が必要なので少し待ってください」
 本日はこれにて終了。

【交渉2日目(月)】 スバルは昨日の時点で脱落と思っていたが、息子はインプレッサに未練があるとのこと。そこで、昨日のスバルA店とは経営の異なるスバルB店に出向いた。
 相手は誠実そうな中年セールス氏。息子がカロツーやシャトルよりインプレッサに魅かれていることを伝えるが、
「値引きは10万円が限度です。諸費用をカットして、付属品はフロアマットだけとなると、これ以上の上乗せは厳しいです。下取りは49万円です」
「今週末に決めるんやけど、これが最終条件なん?」
「相談してきます」
 しばらくして、
「決めていただけるなら値引き15万円、下取り55万円にします」
 値引きは平凡だが、下取りはなかなかだ。
 早速、各店に「スバルで55万円が付きました。それ以上にならないと、ボツになる可能性がありますよ」と伝える。
 次はトヨタC店でシエンタの見積もりを出してもらった。値引きはありきたりの10万円。そこで、これまでの状況を説明して「今週末には決めるつもりだが、これではとても買えない。限界をお願いする」とズバリと攻めた。店長さんと相談した結果、値引き25万円、下取り52万円を提示してきた。
 息子は下宿先に戻っているので、これまでの経過から私なりに絞り込みをしてみた。
 シエンタは独身の若い男が乗るクルマじゃない。シャトルはモデルが古く、魅力に欠ける。ライズはロードバイクを載せるのに手間がかかる。インプレッサも思ったより荷台が小さくて、やはり使い勝手に難あり。
 当初は無印だったカロツーが本命に浮上。20代前半の男にはよく似合うし、ロードバイクが載せやすく、使い勝手もいい。しかも10月に一部改良したばかりなのに、値引きが大きい。買い得感は抜群だ。
 息子に勧めると本人も納得。そこでカロツーに狙いを絞ってトヨタ同士の争いにもち込む作戦を採ることにした。

全店扱いでトヨタ同士が骨肉の争い、野生の勘で元整備士に白羽の矢

【交渉3日目(火)】 近所のトヨタD店へ。この店からは過去に3台の新車を購入している。相手は旧知のセールス氏。トヨタB店の値引き26万円、下取り52万円を伝えると、
「えっ、そんなに出ているのですか! う~ん……店長に相談してきます」
 すぐ戻ってきて即座にギブ。
 続いてトヨタE店。ここでは父が3台を買っている。応対してくれたのは女性の新人さんで、PCの扱いがぎこちない。
 提示してきたカロツーの値引きは20万円、下取りは45万円。他店の条件を伝えて、
「正直、予算が厳しいんです。値引きと下取り額を差し引いた支払い総額が140万円を切らないと購入できません」
「わかりました。あとでうちの最終条件をお知らせします」
 数時間後、電話で「なんとか140は切りますので、よろしくお願いします!」と連絡してきた。逆算すると、値引きは30万円を超えている。

【交渉4日目(水)】 トヨタB店の「整備士あがり」氏から連絡が入る。事前にメールで「支払い総額140万円を切ってもらいたい」と伝えていたが、
「店長と相談をした結果、142万7000円になりましたが、7000円をカットして142万円にします」
 トヨタE店より2万円高いが、セールス氏の雰囲気からすると、突っ込めば、さらに上乗せが取れそうな気がする。野生の勘というヤツです(笑)。
 さらにトヨタA店にこれまでの経過を伝えると「うちも頑張ります!」とやる気満々だ。

【交渉5日目(土)】 昨夜、トヨタB店にメールで「スマートエントリー(2万6400円)を追加して140万円を切れるかどうか、返事をください」と送っておいた。すると、午前中「スマートエントリー付きで142万円が限界」との返信あり。
 トヨタE店にも同様の要求をすると「140万円は切れない」とのこと。つまり、決めるといえば140万円にはできるということだ。この時点で、トヨタE店が一歩リード。
 トヨタA店に乗り込む。
「本社の許可を取ってスマートエントリー付きで139万円にします。ただし本日中に決めていただくのが条件です」。
 売る気満々だ! 経験上「もっといける!」と感じる。
 しかし、上乗せを迫ってもセールス氏はのらりくらりとして最終条件を提示してこない。しまいには「この金額なら買うといってください」と指値を要求してきた。一気に決着をつけてもいいが、私としては得意技の「遠方からはるばる作戦」を活かしてトヨタB店に勝負をかけたい。金額だけでなく、B店の整備士あがり氏なら諸々の取り付け/移設工賃のサービスが取れそうだ。そこで「息子と相談する」と態度を保留。
 これまでの経験から夕方に交渉すると決裁が下りやすいので、16時が過ぎるのを待ってトヨタB店へ出向いた。
「嫁を説得させるためにいろいろ考えてきました。フロアマットはネット通販で買うわ。だから、これは要らんわ。希望は支払い総額135万円です。あと、ドラレコの移設とETCの取付け/セットアップ、タッチアップペンも無料サービスでお願いします。これなら嫁も納得すると思うけど」
「ご希望の条件をすべて呑むことはたいへん厳しいと思いますが、少しお待ちください」
 しばらくして戻ってきた。
「135万8250円にします。納車費用(8250円)が計上されていますが、クルマを取りに来ていただければ、当日、返金します」
「移設や取り付けのサービスはOKですか?」
「本来なら4~5万円の費用がかかりますが、私は整備士だったのでなんとかしますよ」
「憧れの新車が納車された直後、ガソリンスタンドに直行では息子がかわいそうなんで、満タンというのは……」
「あっ、ここまできたら満タンにしますよ!」
「他社をあきらめるために最後にもうひとつお願いしてもいいですか?」
「えっ、この時点で、他社よりも断然安いですよ!」
「遠方からはるばる来ているのでお土産を持たせてください。ボディコーティングを無料でお願いしたいのですが……」
「う~ん……確認してきます」
 奥に引っ込んだっきり、なかなか戻ってこない。少し無理をいい過ぎたかなぁと不安に思っていたら笑顔でやってきた。
「おっしゃる通り、わざわざ遠方から来ていただいているので、お土産なしでお帰りいただくわけにはいきませんよね。ここまできたらやりますよ! ボディコーティング、サービスです」
 これで決まり。注文書に署名・捺印しようと思ったら、今はタブレットにサインするとのことで、印鑑は必要なし。時代の流れを感じた。
 最終的な条件は車両本体とメーカーオプション(5万2800円)から31万8650円引き。付属品(エントリーナビキット/ナンバーフレーム)の合計7万5900円からは4万9610円引きだが、さらにキャンペーン中のエントリーナビサポート3万円がマイナス計上されたため、付属品の値引き合計は7万9610円となり、注文書には付属品マイナス3710円と記載されていた。
 下取り額は60万7140円。納期は2か月程度かかるとのことだが、下取り額は納車まで確約してくれる。ちなみに、複数の大手買い取り専門店に見せたが、年内の引き渡しで買い取り額は58~62万円だった。
 なお、セールス氏の勧めでトヨタカードに入会。車両代全額をカードで支払うことによって6000ポイントのキャッシュバックを獲得できた。



購入データ
From兵庫県
TOYOTA カローラツーリング
G-Xプラス
トータル値引き 39.8万円

値引き採点 5
車両本体とメーカーオプション5万2800円から31万8650円引き、付属品7万5900円から7万9610円引き。値引き率は18.2%。“超”のつくウルトラCクラスと考えていい。下取り額も高い。


提供元:月刊自家用車

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