徹底分析中古車相場
更新日:2020.10.27 / 掲載日:2020.10.27
【Gs/GR特集】トヨタの新興スポーティブランド、今買いやすいのはどのモデル?
今年(2020年)の1月に開催された東京オートサロンで、GRヤリスが公開されたのは記憶に新しい。WRC参戦に向けたホモロゲーションモデルということで、やや特殊な存在ではあるものの、その話題性は非常に大きいものとなった。トヨタにはG’sというスポーティブランドが存在したが、2017年にはGRシリーズという名称に再編成され、以降もさまざまなモデルを展開している。GRヤリスの登場は、GRブランドの認知を後押しするのに一役買ったはずで、今後はWRCの活躍にも期待が寄せられている。
そのような事情もあってG’s/GRブランドに注目が集まるなか、これらの中古車が豊富に流通していることはご存知だろうか。今回は、注目すべきG’s/GRモデルをピックアップし、モデルごとに中古車相場を掘り下げていこうと思う。
※本記事のタイトルおよび見出しは、システム上「’」表記が使用できないため、「G’s」を「Gs」と表記しています。ご了承下さい。
Gs/GRってどんなクルマ?
トヨタのレーシングチームであるGAZOO Racing(ガズーレーシング)でのノウハウを、市販車にフィードバックしたスポーツブランドが「GR」である。発足当初は「G’s(ジーズ)」と呼ばれ、2010年にヴォクシーとノアのスポーツグレードとして設定されたのが始まり。その後、ヴィッツ、プリウス、マークXなどと設定車種を拡大していった。
その一方、GAZOO Racingが手がける限定車として、GRMN(GAZOO Racing tuned by MNの略)が2009年のトヨタiQを起点に展開されている。G’sよりも一足早く登場したGRMNは、パワーユニットにも手が入ったコンプリートカーという扱いだ。しかし、2017年にはこれらのブランドが再編成され、一部が整理された。具体的にはGRMNを頂点に置き、量産スポーツモデルの「GR」、スポーティな装備を与えた「GRスポーツ」、チューニングパーツの「GRパーツ」というピラミッド構造となっている。「GRスポーツ」と同格の「G’s」は、これを機にネーミングが消滅している。
さらに2019年には、GRをブランド名とする「GRスープラ」、「GRコペン」、翌年には「GRヤリス」が登場。また、発売日は未定とされているハイブリッドのハイパースポーツカー「GRスーパースポーツ(仮称)」もスタンバイしており、その力の入り具合はトヨタ史上でもかつてないほど。そのほか、GRではトヨタ2000GT、従来のスープラ(A70/A80)のヘリテージパーツ復刻のプロジェクトも始動している。
プラスアルファの個性を強調するならハリアーGs
まず注目したいのは、ハリアーG’s/GRスポーツだ。2015年2月、先代ハリアーに設定されたモデルで、ベースモデルは「エレガンス」となる。これに35mmローダウンした専用スポーツサスペンション、床下剛性アップパーツ、スポット溶接打点の追加に加え、G’s専用ブレーキを採用して走りの性能を高めたモデルとなっている。
外観は、専用フロントバンパーやラジエターグリルが装着され、オリジナルから大幅にイメージチェンジ。社外チューニングカーを思わせる見た目となったのが見どころだ。室内はダークメッキ調塗装や専用シートでスポーティに演出されている。2017年からはG’sの廃止に代えてGRスポーツへと改称された。中古車平均価格は以下のとおりだ。
モデル | 中古車平均価格 |
ハリアーG’s/GRスポーツ | 279万円 |
物件豊富で探しやすいのが魅力
上品なキャラクターのハリアーにスポーツモデルと聞くとミスマッチに思う人がいるかもしれないが、販売はそれなりに好調だったようで、物件数は豊富。ただしその人気は中古車相場にも反映され、そこまで値落ちしていないのが現状だ。走行距離5万km以上でも、最低200万円の予算は確保したいところ。低走行車ならば300万円近いプライスとなり、デビュー当時の新車価格が329万1055円~348万5455円だったことを考えると、新型ハリアーベースのGRスポーツが登場し、値下がりするまで待つのも手だろう。
ハイブリッドカーがベースのGsにも注目!
トヨタ アクア Gs
トヨタ プリウスα Gs
スポーティな走りも大事だけど、日常使いなら燃費も気になる……そんな人には、ハイブリッドがベースのG’s/GRスポーツに注目。ここではアクアとプリウスαをピックアップしてみたい。アクアG’sが登場したのは2013年12月のこと。上級グレード「G」をベースに、25mmローダウンした専用サスペンション、ボディ剛性強化、専用17インチホイールなどで走りをグレードアップ。また、ひと目でG’sとわかる専用フロントフェイスも特徴となっている。2017年9月にはGRスポーツとなり、デザインが一新された。2013年デビュー当時の新車価格は222万円。
一方、2015年2月に発売されたプリウスα G’sも燃費重視のユーザーにオススメしたい1台。仕立てはすでに紹介したハリアーやアクアと同様で、ローダウンした専用サスペンション(プリウスαは15mmダウン)、床下剛性アップ、専用フロントグリルなどが奢られる。シートはスエード調+合成皮革が採用され、上質感も高めている。新車時価格は329万2037円~349万7237円。
モデル | 中古車平均価格 |
アクア G’s/GRスポーツ | 144万円 |
プリウスα G’s/GRスポーツ | 225万円 |
リーズナブルに買えるアクアが狙い目
両者を比べて物件数が多いのはアクア。スポーツグレードとは言え、グーネットで検索すると500台近くがヒットするから驚きだ。物件が多いため価格帯も広く、下は80万円、上は240万円と新車価格に近い個体も存在する。新車時は222万円と、なかなか手が出しにくいモデルだったが、100万円台前半の予算で乗れるなら検討する価値は高い。
プリウスαも相場が下がり、中古車価格帯の下限は170万円ほど。ただし、200万円以下の物件は多走行車が目立つから、コンディション重視ならば最低200万円以上の予算は確保しておきたい。物件数はアクアと比べると少なめだが、それでもまだ十分に探せるはず。
6速MTの硬派なスポーツモデル「マークX GRMN」はまだ買える?
GR系スポーツモデルの頂点に位置するGRMNのなかでも、特にマニアに人気なのがマークX。このモデル、なんと6速MTで乗れるのが最大の魅力で、スポーツセダン好き垂涎の1台なのだ。GRMNは基本的にすべて限定車となるが、マークXは2015年3月に100台、2019年3月に350台の合計450台が生産された。
両者で仕様は異なり、2015年発売モデルは321馬力の3.5L V6、2019年発売モデルは同じエンジンを積むが、最高出力は318馬力となっている。詳細を書き連ねると長くなるので割愛するが、新しい方はフロントデザインの一新、ファイナルのギア比がハイギアード化、ECUの最適化など、細かな仕様変更が行われている。価格は2015年発売時が540万円、2019年発売時が513万円と、いずれも欧州プレミアムセダン級の価格。こんなレアなモデル、今でも買えるのだろうか。まずは中古車平均価格を見ていこう。
モデル | 中古車平均価格 |
マークX GRMN | 634万円 |
プレミア価格となり新車時より高い個体も存在
限定生産となるため、発売後から価格は高騰。新車時よりも安い個体は流通しておらず、平均価格は634万円とプレミア価格となっている。また流通する数も少なく、グーネットで検索しても10台前後しかヒットしない。ただし、基本的に状態のよいものばかりが流通しているようなので、お金さえ払えば現在でも入手は可能。2015年式は少なく、その大半は2019年式となるのも興味深い。
まとめ
今回紹介したG’s/GRモデルは、ラインアップのごく一部。買いやすいのはハリアーやアクアだが、ほかにも設定車種があるので、気になる人は調べてみるとよいだろう。また、ベース車の走りがよいといわれるカローラスポーツ、新型ハリアーへの展開も気になるところ。今後の動向にも期待しよう!