新車試乗レポート[2020.10.15 UP]

【試乗レポート 三菱 エクリプスクロスPHEV】マイナーチェンジで追加された待望のPHEV

三菱 エクリプスクロスPHEV 三菱 エクリプスクロスPHEV

文と写真●ユニット・コンパス

 「待っていたのはこういうクルマだよ!」。そう思っているファンも多いのではないだろうか。2020年12月の登場予定の三菱 新型エクリプス クロスに、PHEVモデルが追加されることが決定したのだ。

 エクリプスクロスは、全長約4.5mの扱いやすいボディサイズに、SUVならではの悪路走破性と居住性をスタイリッシュなデザインでまとめたクロスオーバーSUVだ。2017年の登場から3年、マイナーチェンジを受けてデザインが刷新された新型は、ユーザーの「ほしい!」を盛り込んだ意欲作。価格は、ガソリンモデルが約255万円から約335万円。PHEVモデルが約385万円から約450万円(いずれも消費税込み)で、10月15日に予約注文の受け付けを開始。なお、2019年に投入されたディーゼルモデルは販売終了となっている。

 今回は発売を前に、新型の走りをほんのわずかな時間ながら試すことができたので、マイナーチェンジでの変更点と合わせてインプレッションをお届けする。

この記事の目次

世界で約26万台の販売実績を持つ三菱のPHEV
アウトランダーPEHVには三菱の培ってきた技術が凝縮されている
マイナーチェンジでデザインを刷新
「S-AWC」使いこなしのカギはドライブモードにあり
エクリプスクロスPHEVならではの個性、価値がある

関連情報

ボディタイプ:SUV・クロカン 国産車 新車

世界で約26万台の販売実績を持つ三菱のPHEV

前後にモーターを搭載するプラグインHVシステム 前後にモーターを搭載するプラグインHVシステム

 エクリプスクロスに追加されたPHEV(プラグインハイブリッド)は、EV(電気自動車)とHV(ハイブリッド)のいいとこ取りといったパワートレインで、普段は電気だけで走行し、パワーが必要なときにはエンジンの力も使うというもの。

 「プラグイン」の言葉どおり外部から充電できるので、駐車場で夜間充電できるユーザーならほとんどガソリンは使わずに済み、経済的で環境にもやさしい。充電設備がなくても走りながら自動的に発電するから、バッテリー残量を心配する必要がないため、電気自動車よりも多くのユーザーにマッチしやすい。

 また、PHEVの多くは、大容量の駆動用バッテリーを生かして、巨大なモバイルバッテリーのような使い方もできる。家庭用電化製品が使えるコンセント(AC電源、エクリプスクロスPHEVでは最大出力1500W)を備えるため、キャンプなどのアウトドアや災害時にも心強い。

 三菱では、アウトランダーPHEVを2013年から世界累計で26万台以上販売しており、ユーザーたちからも高い評価を集めている。SUVのスペシャリストというイメージが強い三菱だが、じつはPHEVの第一人者でもあるのだ。

アウトランダーPEHVには三菱の培ってきた技術が凝縮されている

 もうひとつ三菱には強みのある技術がある。それが、4つのタイヤそれぞれをコントロールすることで、どんな状況でも理想的で安心して走れるようにするというもの。SUVに欠かせない4WD(四輪駆動)の技術を長年にわたり磨き上げ、あらゆる路面状況での運転のしやすさと安心・安全を高い次元で両立させる「S-AWC(スーパー・オール・ホイール・コントロール)」を実用化している。
 
 一般的なクルマでは、雨や雪道、オーバースピードなどでクルマの動きが不安定になると、エンジンの出力を落としたり、タイヤにブレーキをかけて危険を防ぐ。つまり、ドライバーが失敗しても危険な状況になりにくいようにシステムが働くわけだ。それに対して「S-AWC」では、もっと手前の状況からクルマが緻密な制御を行うことで、そもそもクルマが不安定な状態になりにくいようにしてくれる。だから、運転があまり上手でないドライバーであっても、ひやっとすることなく思いどおりに走れてしまうのだ。

 どこにでも行けるSUVならではの走破性、PHEVならではのスムーズで爽快な走りと高いエコ性能、そして、どんな路面状況でも安心して運転を楽しめる「S-AWC」の高度な制御技術。エクリプスクロスには、三菱が長年積み重ねてきたすべての技術が惜しみなく投入されていることになる。

マイナーチェンジでデザインを刷新

三菱の最新デザインを取り入れたフロントマスク 三菱の最新デザインを取り入れたフロントマスク

 走行インプレッションの前に、マイナーチェンジの変更点について紹介しよう。

 大きな変更点がデザインで、「ダイナミックシールド」コンセプトを進化させたフロントマスクを採用。よりいっそうSUVらしさを強調。リヤビューも特徴的だったダブルウインドウを廃止し、たくましさを感じさせる造形となった。この変更によって全長は140mm拡大されて4540mmに。弟分の「RVR」との車格の違いもはっきりとした。

リヤガラスは従来のダブルガラスから一般的なシングルガラスに リヤガラスは従来のダブルガラスから一般的なシングルガラスに

インフォテインメントシステムの液晶画面が8インチとなった インフォテインメントシステムの液晶画面が8インチとなった

 インテリアでは、スマートフォンと連携するインフォテインメントシステム「SDA」の画面サイズを8インチに拡大(PHEV、ガソリン共通)、インテリアカラーにブラックとライトグレーの組み合わせが追加され、本革シートに加えて、スウェード調素材と合皮を組み合わせたコンビネーションシートを設定した。また、PHEVモデルは、エアコンパネル、メーター、シフトノブが専用部品となる。

エクリプスクロスPHEVフロントシート エクリプスクロスPHEVフロントシート

エクリプスクロスPHEVリヤシート エクリプスクロスPHEVリヤシート

クーペスタイルながら開口部が大きいため荷物の積み下ろしがしやすい クーペスタイルながら開口部が大きいため荷物の積み下ろしがしやすい

メーターもPHEV専用で、システムの動作やドライブモードを表示 メーターもPHEV専用で、システムの動作やドライブモードを表示

シフトノブはPHEV専用品となる シフトノブはPHEV専用品となる

「S-AWC」使いこなしのカギはドライブモードにあり

タイヤの持つ力を最大限に引き出すのが独自の4WDシステム「S-AWC」 タイヤの持つ力を最大限に引き出すのが独自の4WDシステム「S-AWC」

 それではいよいよ試乗したインプレッションをお伝えしよう。

 試乗の舞台となったのは、富士スピードウェイのショートコース。「ショート」といってもストレートスピードは時速100km/hを超え、アップダウンや複合コーナーを備える本格的なもの。聞けば、エクリプスクロスPHEVのドライブモードには、ガソリンモデルにはない「TARMAC(ターマック、乾燥した舗装路)」モードが用意されているのだとか。SUVの試乗場所としてサーキットを選んだのは、発売前のモデルということに加えて、「エクリプスクロスのPHEVはエコなだけじゃないぞ」という三菱からのメッセージなのだろう。ところが、試乗当日はあいにくの雨模様。しかも、コースの一部に川ができるような本降りだった。

 そんなわけで、「ターマック」の走りを試すことはできなかった。だが、考えようによっては、クルマの限界性能をより安全にチェックできるだけでなく、すべりやすく、路面状況が場所によって変わるコンディションは、「S-AWC」がどのような制御を見せてくれるのかを確かめることのできる、絶好の機会でもあるだろう。

 「S-AWC」を使いこなすには、4つのドライブモード(エクリプスクロスPHEV)がどのような意味を持つのかを理解しておく必要がある。以下は、モードの名称とそれが想定している路面状況。

「TARMAC(ターマック)」   乾いた舗装路
「NORMAL(ノーマル)」    乾いた舗装路から圧雪路
「SNOW(スノー)」      圧雪路から雪道
「GRAVEL(グラベル)」    雪道から砂利道のようなラフロード

 一般的なドライブモードは、スポーティ、快適、エコなどドライバーの走り方を重視した設定が多いのに対して、エクリプスクロスでは「走る道の状況」を選ぶドライブモードになっている。そして、一般的なドライブモードがパワーの出方をコントロールするのに対して、「S-AWC」では路面へのパワーの伝え方、クルマの動き方を制御する。タイヤのポテンシャルを、路面状況に応じて最大限に引き出すという考え方に基づいて作られているというわけだ。

 まずは「ノーマル」モードでコースイン。コースインしてすぐに登り坂だが、PHEVはモーターの力で加速するので、ガソリン仕様よりも走り出しからクルマが軽やかに加速し、なおかつスムーズであることはすぐにわかった。気を良くして複合コーナーに飛び込むと、まだタイヤが冷えていたこともあって車体が外側にふくらもうとする動きを見せた。リアルワールドだとヒヤッとする瞬間だ。しかしすぐにブレーキ制御が働き、ステアリングを切っている方向にクルマが素直に曲がり始めてくれた。

 一般的にPHEVはエンジンに加えてモーター、駆動用の大きなバッテリーを搭載するため、重量も重くなりがち。加速がいいだけに危険で、路面コンディションが悪いときには「思ったよりも曲がらなかった!」、「止まらなかった!」と怖い思いをすることになる。今回の試乗でもそこがチェックポイントであった。

 エクリプスクロスPHEVは、前輪用モーター、後輪用モーターを個別に制御するツインモーター4WDシステムを採用ことで、加速時だけでなく減速時にも前後輪間のトルク配分を緻密かつ瞬時に行う。さらにブレーキを使って左右輪間でもトルクベクタリングを行うので、ハンドル操作への追従性がいい。だから、滑りやすい路面で、登り下りしながらコーナリングするといった悪条件でも、クルマの動きが安定していて怖さがない。目線もゆすられにくいため、同乗者も酔いにくいだろう。

雨のサーキットでも「S-AWC」によりハンドリングは素直 雨のサーキットでも「S-AWC」によりハンドリングは素直

 ドライブモードを「スノー」にすると、さらに動きは安定する。「ノーマル」ではリヤタイヤをわずかに横すべりさせながらコーナーを回り込むような動きを見せたのに対して、クルマの動きが一貫して穏やかに、荷重移動しにくい走りに変わった。エンジニアによれば、「スノー」は雪道での安全性を優先したセッティングとのこと。雪道はもちろん、ゲリラ豪雨などの悪天候時でも有効に使えそうだ。

 続いて「グラベル」を試す。「スノー」よりもドライバーがクルマを振りまわすことを許してくれるため、安全な環境であれば積極的な運転を楽しめる。未舗装路を走る機会はあまりないかもしれないが、ある程度の積雪や悪天候時にも安定性と運転の楽しさを両立させてくれるモードだと理解した。

 10分ばかりの試乗ではあったが、慣れてくれば雨のサーキットでも「ノーマル」モードで十分に走行を楽しむことができた。ガソリン仕様よりも確実に車重は重いはずなのに、ひやりとすることなく走り切れたのは、間違いなく「S-AWC」のおかげだろう。とくに、ツインモーター4WDによる前後駆動トルク配分制御は、タイヤの持つ能力を引き出すのに非常に有効だと実感した。

エクリプスクロスPHEVならではの個性、価値がある

ライバルよりも低く設定された価格も人気を呼びそうだ ライバルよりも低く設定された価格も人気を呼びそうだ

 コンパクトSUVの多くはオンロード走行をメインに想定したクルマ作りがなされており、悪路走破性やそこでの振る舞いは安全、安定を第一としたセッティングだ。それに対してエクリプスクロスPHVは、安全安心をキープした上で、ドライバーがより積極的に運転を楽しめるクルマに仕上がっている。

 電動化がもたらす新しい生活習慣と価値に加え、あらゆる道と路面状況で操る喜びを与えてくれるエクリプスクロスPHEV。400万円台という価格を含め、このカテゴリーの人気モデルになる資格は十分だ。


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